「シルバーくんだよね?」

わたくし、新米警官のハルと申します。
挨拶するとシルバーくんはぎょっとして目を見開いた。

「………お前」
「どう、似合う?」
「何してるんだ……」
「ああ、あの写真屋さんがね、色々コスプレできるから」

着てみたの。にっと満面の笑顔を見せるとシルバーくんに頭をはたかれた。いくらジョウトの文化でお笑いがあるからって、ヒドイ。

「でね、一緒に写真」
「断る」
「何でそんな」
「嫌だから断るんだ」
「がーん」

わざとらしく悲しんでみたけど効果なし。
シルバーくんは写真に写ってくれないらしい。
一方、シルバーくんの隣にいるニューラは私の後方に見えるカメラがとても気になってるようだった。
よし、こうなったらシルバーくんは諦めてニューラと写真を撮ろう。今回はこれで我慢してやろうじゃないか。

「ニューラ!」

私はシルバーくんのニューラに声を掛け、写真屋さんにダッシュする。
きっとシルバーくんはニューラと写真を撮ることも許してくれないだろうから捕まる前に撮るしかない。
ところが、慣れないタイトスカートにピンヒールは私の走行を阻む。思わずよろけてしまった。

「……ったく」

シルバーくんのオーダイルが私を支えていた。
ありがと、オーダイル。オーダイルがにやりと笑う。

「そんなの着るからだ」

フンと鼻で笑われぐさりとハートに傷が付く。
似合うとは自分でも思っちゃいないけど、鼻で笑われる程似合わないとも思ってない。だから悔しくてじろっとシルバーくんを睨んだ。

「じゃあヒビキくん呼ぶんだから」

ポケギアを取り出しヒビキくんの番号を探す。
あったあった、と電話を掛けようとした瞬間、シルバーくんが私の手をぐっと掴んだ。

「あいつは、呼ぶな」
「シルバーくんには関係ないでしょ」

写真撮ってくれないし。腕を振り払って強引に電話を掛ける。
するとチッと舌打ちが聞こえたかと思うと手の中のポケギアが吹っ飛んだ。

「………えっと、」
「………」

どうやらシルバーくんは私とヒビキくんが会うのが気に入らないようだ。
元々ヒビキくんのこと嫌いみたいだったけど、まだ嫌いなのか。

「じゃあ、写真撮ってくれる?」
「……しょうがねぇな」

シルバーくんの腕に自分の腕を絡めぴったりとくっつく。
照れて顔を逸らすシルバーくんもかわいいな、なんて見てたらシルバーくんがこちらを見た。

「な、なに?」
「お前……」
「うん?」

シルバーが小さな小さな声で呟いた。
その小さな小さな声は私の耳に届き、私の顔を真っ赤に変えた。

whisper

シルバーくんが可愛いって褒め言葉使うのは反則だよ。

 

 

シルバーくんって呼ぶと、なんだか可愛らしいですね。
またもやニューラ出現!