「………成る程」 パーラは私の話にただ一言、そう答えた。予想外に何も言われず、私には拍子抜けした感覚が残った。
「要するに、アンタのヨーギラスをバトルに触れさせたくないってことよね。でもアンタ、」 パーラが私を睨む。その瞳に返す言葉が見つからず、私は逃げるように俯いた。 「……さて、と。何にせよアタシ達は任務放棄して、しかもテレポートで迷子になったのよ」
そう、行き先を決めずにテレポートしたのは失敗だった。 「ったく、面倒なことしてくれちゃって」
私と違ってパーラは苦い顔をしつつも、特別困ったようには見えない。むしろ言葉の割には楽しそうに笑ってすらいる。 「悪いわね、ちょっと失礼」
突然、パーラの拳が私の鳩尾に一撃を与えた。あまりの衝撃に意識が飛んでゆく。
目を覚ますとそこはいつもの部屋だった。この部屋も久々だね、とぼんやりしていると先ほどの記憶が蘇ってきた。そうだ、パーラは何処にいるのかしら。 「気が付きましたか」 聞こえた声はパーラの声ではなかった。それは、 「ラ、ンスさん…」 そういえば、前回の任務からこの人には会っていなかったっけ。久しぶりに会ったその人は少し疲れが溜まっているように見えた。気のせいか、やつれたようにも感じる。 「お話しておくことがあります。今後、貴女は任務に就くことはありません」 ランスに真っ直ぐに見つめられる。最初の頃には感じなかった柔らかな雰囲気を、僅かではあるが感じとった。 「……、次の作戦はロケット団総員がかりで行います。その時に―」
成り行きでロケット団に入った私はアジト内を自由に行動できるようになった。彼はあまり賛成していないようだったけれど、私が行く場所が屋上だけだと言えば渋々承諾してくれた。 「風が気持ち良いなぁ」
手摺りにもたれながら、一人でゆっくりしていたその時、背後に殺気を感じた。 「ヘルガー、火炎放射」
青の短髪の男が挨拶もなしに攻撃をけしかけてきた。ポケモンを出していないトレーナーに攻撃するなんて、何とか火炎放射を避けると男を睨み付けた。 「怪しい光!」
育て上げられたヘルガーを倒すことは今の私には不可能だった。 「…お前はまさか」 男が驚いたように目を見開いて私を見ていた。しかし次の瞬間にはにたりと笑みを浮かべていた。
「お前はあのお方に会ったことがあるのですね」 男が混乱が解けたヘルガーに指示を送る。
「ズバット、超音」 ズバットの攻撃より早く、ヘルガーの炎がズバットを瀕死にする。そしてヘルガーの標的はトレーナーである私に移る。 「ヘルガー、やりなさい」
強力な炎が私を襲うその時、ぐにゃりと地面が歪む感覚に襲われた。これはテレポートだ、気付いた頃には私の体はその場から消えていた。 彼とあの子と私
気付かれた?まさか! |