ヨーギラスの穴を掘るで脱出した先はヒワダタウンだった。 「パーラさん、ここは…………って、それ何ですか?」
パーラの右手にはライチュウドールの姿はなく、その代わりにモンスターボールが握られていた。 「あのぬいぐるみの中に入ってたのよ。ちなみにこれ、」 ポン、とボールから現れたのはケーシィだ。
「移動専用の特殊なケーシィでね、きっとランス様が何か命令してたのね。アンタがピンチな時にテレポートしろ、って」
ケーシィはうとうとと船を漕いでいたけれど、私が近づくとテレポートして距離を開けた。
「ところでパーラさん、ライチュウドールはどこですか」 あのライチュウドール、とっても可愛かったのに、勿体ない。せっかくあの人から貰ったというのに。
「新しいの買ってもえばいいでしょうが」 パーラが瞳に怪しい光を灯らせて私に詰め寄る。 「あのおか――」
ピピピ、とけたたましい電子音が鳴り響いた。 「はい、パーラで…………………はい、その、………そうです。…………り、了解致しました」 ピッ、と可愛い音で終わった会話は、決して友達との会話ではあるまい。きっと通話の相手はあの人だ。
「………アジトに帰るわよ。 深々とため息をつき、パーラは私を助けてくれたケーシィでアジトまでテレポートした。
一瞬にして移動した場所は見慣れない建物の前だった。
「さて、どうやって中に入ろうかしらねぇ」
パーラの言葉が止まる。その視線はちょうど建物を出てきた女性にくぎづけだ。
「あら、パーラじゃない。あなた任務じゃないの?」 そう、アテナだ。
「早いのね、今日は。誰もまだ帰ってないわよ」
ぼそり、パーラが後悔に満ちた声で呟く。
「ところで、そこの可愛い女の子は誰かしら」 パーラが慎重に言葉を選ぶのを感じたが、彼女は言葉選びに失敗した。
「スカウトしたんです!」 パーラの顔からさぁっと血の気が引く。彼女も自身の言葉の選択ミスに気が付いたようだ。
「なら、この子あたくしの隊に入れてもいいかしら」
顔面蒼白のパーラと、満面笑顔のアテナが私を見ていた。
「、です」 彼とあの子と私
これでいよいよ逃げられない! |