恐る恐る目を開けると、そこは洞窟の中だった。 「な、なんで………」 理由がわからずオロオロしていると足元に見慣れぬポケモンを見つけた。 それは、ヤドンだった。 「ヤッ、ヤドン……!」
驚いて後退りしたらそこにもヤドンがいた。よく目を凝らせば辺りはヤドンだらけだ。
「よし!
ボールからヨーギラスを出して一歩を踏み出した。 しばらく歩いてみるとある異変に気が付いた。それは周りのヤドンにあった。
「ぎぃ……?」
ランスと共に首をひねっていたらコツコツと洞窟に足音が響いた。
「………、侵入者発見っと。
目の前に現れたのは探していた人物、パーラだった。
「なんでアンタがここにいるのよ!」
「―――事情は分かったわ。今アジトに戻るのは危険ね。
パーラは髪をぐしゃぐしゃに掻き、必死に考える。しかし名案は生まれず、私も考えてみたが何も思い付かなかった。
「うー、困ったわねぇ。 その言葉で、私は今の今までライチュウドールをこれでもかと強く抱きしめていることに気が付いた。恥ずかしくなって力を緩めたらそれは腕の中からするりと抜けてしまった。
「……ん?それ、変な音がしなかった?」
パーラがライチュウドールを拾い上げ、針のように鋭い視線で調べ始めた。いたって普通のライチュウドールですよ、と私が言ってもまるで聞こえていないようだった。 「この中に何か隠したのね、ランス様は」
僅かな糸のほつれを目敏く見つけたパーラがニヤニヤしながら糸を解いた。
「お前たち、ヤドンの尻尾を切るな!」
現れたのはまだ顔に幼さの残る少年だった。
「ぎゃあっ!」 ヨーギラスがヒノアラシに襲い掛かる。私が何も指示していないのに、どうして勝手に動くのか。 「ダメ!」
攻撃が当たる前に素早くボールに戻し、パーラを引っ張って少年から逃げる。
「ランス、穴を掘る」 ボールから再びヨーギラスを出すと洞窟から脱出した。
「アンタ!アタシが逃げたらランス様に殺されるでしょ!」 彼とあの子と私
「……は優しいのね」 |