何度も懲りずに挑んでくるトレーナーがいた。 名前は。 初めて僕の前に挑戦者として現れた彼女は既にへとへとで、僕と戦う気力なんて全くないようだった。 それが今、僕のポケモンは全てちゃんに倒されてしまった。 僕はこの現実を受け入れるのに少し時間が必要だった。いつも彼女は僕に負けていたから。それが当たり前になっていたから。 まさか。そんなはずは。 思わずそんな声が漏れていた。いつかこんな日が来ると分かっていた割りに、自分はそれを受け入れることを拒んでいた。それでも、 「……おめでとう、ちゃん」 無理矢理言葉にして理解させるしかなかった。 「ちゃんおめでとう」 本当は、全力で戦わなくてもちゃんに勝てると思ってた。でも君は本当に強くなったね。 「あはは……、やっと私勝てたんだ」 ちゃんは笑っていた、無理をして。 「これから君はどうするんだい」 嫌な汗を感じた。 「違う地方に行ってみたらどうかな」 彼女の言葉を遮るように言葉を被せた。 「そうしよっかな」 (始まる終焉) 何も始まってなどいないのに、 |
引き止める言葉がないから、受け止めるしかない。