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タイトル


 46th Future 「激突! ソウルウエポン」


 透子は咲紅の後に続き、監視搭施設の奥へと進んで行った。
(ゆかりは!?)
 ここにもしゆかりがいたとしたら、どうすればいいのか。春也はどうやらゆかりの仲間らしいので、ゆかりと春也、それに自分が力を合わせれば憂喜に勝てるかもしれないと計算する。咲紅はどうするだろう? 憂喜の側につくならこちらが不利になる。
 色々と考えていた透子だが、そこにいた人物は倒れた春也とそれに向かって右手を構えている憂喜の二人だけだった。
「ハル君、ユーキ君!」
 咲紅の声で憂喜が振り返った。
「桜川?」
「ユーキ君、何してるの!?」
 春也が身に纏ったクリムゾンファイアはあちこちが砕け、ひびが入っていた。口の端からも額からも血が流れてる。
「いいか、絶対に手を出すな、桜川」
 憂喜の右手は春也に狙いを定めたままだ。
「どうしてここに・・・・」
 咲紅は「ひょっとしたらハル君は死んでいるかも」と思っていただけに、生きている春也を見て安心したのだが、今まさに憂喜が春也にとどめを刺そうとしている。
 そして咲紅は透子と同じ疑問を抱いた。
(姫宮さんは?)
 見渡してみたが、春也と憂喜以外には誰もいないようだ。咲紅は透子がゆかりを射抜いたと思っているので「やっぱり助からなかったんだ」と思った。だが透子はそうはいかない。
(ゆかりはどこ?)
 透子も辺りにゆかりの姿を探した。春也がここにいるということは、一緒に空間転移したゆかりがいても不思議ではない。
 まさか、と透子の頭に良くない考えが浮かぶ。
 ゆかりが透子の作戦を理解出来ず、あのまま本当にライトニングアローに貫かれてしまったのか。それとも空間転移の途中で春也がゆかりを時空の狭間に落としてしまったのか。あるいはゆかりと春也がエミネントに見付かり、連行されて来たこの場所でゆかりが殺されてしまい、春也もまさにとどめを刺されようとしているのか。
 透子がそんなことを考えていると、憂喜が咲紅に「向こうの様子はどうだった?」と訊いた。
「向こう?」
「君達はここに来る時に見たはずだ。姫宮ゆかりと枯枝刀侍が逃亡し、管理局の私設警察が追って行った。先程から妙な気・・・・妖気のようなものを複数感じたのだが、何が起こっていた?」
「姫宮さんとトージ君が?」
 咲紅が透子の顔を見る。
「・・・・ゆかりが・・・・」
「でも、どうしてトージ君が? 彼はハル君と姫宮さんを追っていたはず・・・・」
「彼もまた澤崎のように姫宮ゆかりの肩を持ち、我々に歯向かった。全く、何を考えているのか・・・・エミネントに逆らってどうしようというのだろう」
「そう、トージ君が・・・・」
「で、どうなんだ?」
「あ、えっと、その管理局の警察はみんな倒れてて、イニシエートらしき団体が逃げて行ったわ」
「何だって? イニシエート!? まさか、そんな奴等はメビウスロードを通って来なかったぞ! ロードを通って来たなら、ここを通過しているはずだ」
「別の手段で来たんじゃない? ほら、出雲さんの家にイニシエートが来た時だって、何らかの手段を使ってたわけでしょ?」
「そうだな・・・・その技術があればここへ来ることも可能か・・・・」
 ゆかりが生きていた。それだけで透子は安心しかけたが、何と言っても逃亡中である。捕まってしまえば無事ではなくなってしまう。助けに行きたいが、今の自分はエミネント側の人間と言う立場になっている。
 それなら、追えばいい。
「憂喜君、あたしがゆかり達を追うわ!」
 そう申し出た透子だったが、憂喜は却下した。
「いや、その必要はない。すぐに澤崎を始末し、僕が姫宮ゆかりと枯枝の後を追う」
「ユーキ君、ハル君は私が拘束しておくから、ここはあたしに任せて」
 咲紅が提案した。
「僕の代わりに澤崎を始末してくれるのか? 桜川」
「えっ」
「澤崎は拘束じゃ駄目なんだ。姫宮ゆかりと澤崎は僕が抹殺したことになっている。だから生きていて貰うと迷惑なんだ」
「そんな!」
「手出しするな。この間のように助けようなんて思うなよ、桜川」
「殺すなんて、やめて!」
「もうこうするしかないんだ」
 憂喜の右腕、ビークペネトレイトが光を増す。
「こうするしかない、か・・・・だったら俺も抵抗するしかないよなぁ」
 瞬時に憂喜のクリムゾンファイアが再生し、サラマンダーの鋭い牙がビークペネトレイトを発射しようとしているブラスト・オブ・ウインドの嘴を捉えた。
「ヘルファイアァァァ!」
 憂喜の右腕が炎に包まれた。
「ぐっ・・・・澤崎ぃ!」
 憂喜は右手を炎に焼かれながらも、ビークペネトレイトを射出した。その発射口を咥えていたクリムゾンファイアの右手はバラバラに砕け散った。それだけではない、春也の右手も砕かれた。
(ヤベェ、右手がイカれちまった!)
 春也は急いで右手に対して左手で治癒魔法を施そうとしたが、憂喜は待ってくれなかった。すかさず繰り出したビークペネトレイトがとっさにガードした左腕の装甲を打ち砕き、その威力で春也は壁に打ち付けられた。
 炎に包まれた憂喜の右腕だったが、ブラスト・オブ・ウインドの装甲に守られてほぼ無傷だった。ただ広がった炎によって髪の毛が少し焼けてしまった。
「これで終わりだ澤崎!!」
 抵抗の出来ない春也に向けた憂喜の右手が輝きを増す。
 炸裂する光。
 放たれたビークペネトレイトは春也に届くことなく、咲紅が構えた盾で全て止められていた。
「アブソリュート・ガード・・・・桜川、邪魔をするなと言ったはずだ!」
 直径二メートルほどもある巨大な盾で、咲紅が二人の間に割って入ったのだった。
「どういうつもりだ桜川。まさか君まで・・・・」
「私はエミネントのやり方を否定する気はないわ。私は素晴らしい世界だと思ってる」
 アブソリュート・ガードは咲紅の体よりも大きいため、憂喜から咲紅の姿は見えない。盾越しに会話が続いた。
「ただ、ユーキ君とハル君が戦うのは見たくない・・・・まして命を奪うなんて。ハル君は管理局に任せればいいじゃない。何もユーキ君が・・・・」
「澤崎の処分は僕が管理局から任された。だから僕がやる」
「それは責任? プライド? ユーキ君の気持ちはどうなの? ハル君を殺して、何とも思わないの!?」
「悪人は処分する。それが僕の正義だ。邪魔をすると言うのなら桜川、君も一緒に処分するよ」
「ユーキ君・・・・」
「そこをどけ、桜川」
「・・・・いや」
「どかなければ、君も怪我をするぞ」
「・・・・やってみれば」
 咲紅のソウルアーマー「アブソリュート・ガード」は鉄壁の強度を誇り、チーフと呼ばれる彼らの指導者、井能空子の攻撃すら止めたことがある。咲紅はその強固さに絶大な自信があった。
「リムーブだ、蒼爪」
「リョウカイ、マスター」
「ソウル・ユニゾン、ターミネート=ドルグ」
 ブラスト・オブ・ウインドが光に溶け、凝縮し、鷲の姿となって宙に舞った。入れ替わりに憂喜の後方に巨大なドラゴンが現れ、光と化して憂喜の体を覆った。
(え、なに・・・・?)
 咲紅には聞き覚えのない名前だ。
「もう一度問う。そこをどく気はないか? 桜川」
「・・・・どかない」
「ならば」
 憂喜の左腕が巨大な斧と化す。青く光る斧が振り下ろされた。
「!!」
 爆音と共に飛ばされる咲紅の目に、憂喜の姿が見えた。鉄壁なはずの盾「アブソリュート・ガード」が叩き割られたのだ。
(まさか・・・・)
 砕けるはずがないと思っていた、自分を守る壁。それが今、目の前で打ち砕かれた。
 もう自分を守るものは、何もない。
 このソウル・ユニゾンには大量の魔力を注ぎ込むため、すぐの再生は不可能だった。
(嘘・・・・)
 半ば放心した咲紅は、春也と共に壁際に倒れ込んだ。
「無様な顔だな、桜川。今まで完璧だと信じていた物が砕かれた・・・・よほどショックだったんだろう」
「・・・・」
「なぜ鉄壁を誇る君のソウルアーマーが砕けたのか教えてやろう。『アブソリュート・ガード』は君の『保身』の象徴だ。君は今のままでいい、そこそこ幸せだからこのままでいい、誰にも逆らわずハイハイ言っていればいい、そんな人間だ。だがそんな君の心に迷いが生じた。正しいことと自分の感情との相違。本当にこれでいいのだろうか、こんなはずじゃない。そんな心の弱さが『保身』の象徴である『アブソリュート・ガード』に影響したんだ。・・・・ま、完璧な物であったとしても、僕の『ターミネート=ドルグ』は打ち砕いていたと思うが」
「・・・・」
「今の僕は強い。おそらくこのソウルウエポンに勝てるのは冴さんくらいのものだろうね。不意打ちなんて無駄だよ、藤堂院さん」
「!」
 憂喜が振り向くと、マジカルボウを構えライトニングアローを番えた「ぽよぽよととこたん」が立っていた。
「・・・・気付いていたの」
「ずっと気を配っていた。僕がお喋りに夢中になっている所を狙おうとしたつもりだったんだろうけど、残念だったな」
「・・・・いつから気付いてたの」
「君が僕達の仲間になる気なんかないと思いながらも、ここに連れて来たんだ」
「じゃあ、最初から?」
「君がどういう行動を取るのか、興味があったからね。このエミネントに乗り込んで何をする気なのか・・・・しかしまさか、姫宮ゆかりが生きていたとは。あれも芝居だとは思っていなかったな。まんまと騙されたね」
 そうは言うが、憂喜の表情はあまり悔しそうではない。それすら予想の範囲内だったとでも言うような顔だ。
「今なら間に合うよ、藤堂院さん。その弓を引っ込めるんだ。そうすればずっとこの平和な『神の国』エミネントで暮らしていける」
「・・・・」
 透子の心が少しだけ揺らいだ。
 自分では憂喜に勝てる見込みなどない。このまま春也と咲紅を救う為に戦ったとしても、死体が一つ増えるだけだ。説得など無意味だろう。それならばこの場は一旦引き、ゆかりを助ける為に憂喜を利用すべきではないか。憂喜に取り入っておけば、ゆかりを助けることもあるいは可能かもしれない。
 一旦弓を下ろした透子を見て「それでいい」と憂喜は再び春也と咲紅の方を向いた。
(ここであの二人を見捨ててゆかりを助けたとして、ゆかりは喜ぶ?)
(ゆかりはきっと、どうして二人を助けてくれなかったの、って怒る。そして悲しむ)
 ライトニングアローを作り、弓を引く。魔力を一本の矢に凝縮する。
(ごめんね、憂喜君)
 出来る限りの魔力を込めた矢が放たれた。
「!」
 振り向きざまに払った憂喜の左腕に、ライトニングアローが突き刺さった。
「冗談にしては痛いな」
 ライトニングアローは装甲を貫き、憂喜の腕に突き刺さっていた。やがて矢は薄くなり、消える。傷口から血が噴き出した。
「君はもう少し賢い人だと思っていたよ、藤堂院さん」
 透子の頭の上から、鋭い爪を構えた蒼爪が襲い掛かってきた。
「きゃ・・・・」
 避けられない、と透子が目を閉じた時「みゅう!」という泣き声が聞こえた。
「みゅうたん!?」
「みゅう!」
 マーダードラゴンのみゅうたんはトカゲらしくない跳躍力で飛び上がると、蒼爪目掛けて体当たりを食らわせた。
「ムッ!」
 蒼爪はバランスを崩したが、すぐに立て直す。
「みゅう!」
 みゅうたんはそのまま着地すると、透子を見上げて何か言いたそうな目線を送った。
「・・・・分かったわ、みゅうたん」
 透子は肩叩きを胸に当てた。
「ソウル・ユニゾン!」
 魔法の肩叩きが形を変え、透子の腕から肩、胸にかけてフレームを作り、その上に光と化したみゅうたんが装甲を形取ってゆく。
「本気なのか、藤堂院さん」
「・・・・あたしは不本意なんだけど。憂喜君がそこの二人を助けてくれるのなら助かるんだけどな」
「それは無理だな」
「そっか・・・・残念」
(みゅうたん、肩叩き・・・・お願い、あたしを守って)
 鎧を纏っている部分が暖かくなる。
「そのソウルウエポンの名は?」
「・・・・テンダネスハート」
 透子は何となく思いついた名前を口にした。
「弱虫のマーダードラゴンに相応しい名だ」
 憂喜は春也と咲紅に背を向けた。
「姫宮ゆかりのために単身でこのエミネントに乗り込んだのはいいが、手に入れた力と言えば使い道もないような貧弱ソウルウエポンのみ。あわよくば寝首を掻こうと僕のライフヘルパーになったのはいいが、結局こんなはめになってしまったか。ご苦労様だったな、藤堂院透子。君が本当に姫宮ゆかりを殺してまで自分が助かろうとしたのなら、軽蔑していた。その点では見直したよ」
「どうも」
「だがこうして勝ち目のない戦いを挑むなんて、がっかりしたね。頭の悪い者がする行為だ」
 憂喜が跳躍した。
「!」
 振り下ろされたバスターアックスが透子のいた場所のコンクリートを叩き割る。破片が飛び散り、倒れている春也と咲紅の所まで飛んで行った。
「藤堂院さんがソウルウエポンを?」
 初めて透子のソウルウエポンを見た咲紅が驚く。
「でも、あれではユーキ君には勝てない・・・・私のアブソリュート・ガードさえ破壊されたのよ!」
 憂喜の一撃を跳んでかわした透子は、スカートを押さえつつ着地した。
(勝てる気がしない・・・・あたしのモットーは「勝てない喧嘩はしない」なのに。でもここで負けたら、ゆかりを救えない。桜川さんも澤崎君も救えない。あたしが何とかしないと、ここで楽な方に逃げたらきっと後悔する)
 第二撃が襲い掛かってくる。またも透子はロングスカートを翻して飛び退く。だが憂喜は予測していたように第三撃を続けざまに繰り出した。
「きゃっ・・・・」
 両腕でガードしたが、威力が強くそのまま体ごと弾き飛ばされた。壁に激突し、バウンドして地面に倒れこむ。
「これで分かっただろう。そんなソウルウエポンでは・・・・」
 憂喜は、もう透子は立ち上がらないだろうと思っていた。だが腕を押さえつつ、透子はゆっくりと立ち上がった。
「何故だ・・・・」
「・・・・あたしはずっと、この世の中は頑張らなくてもそれ相応に『なんとかなる』って思ってた。一番でなくていい。何となく生きていれば、なんとなく幸せを感じて生きていけると思ってた」
「何を言っている?」
「だから憂喜君みたいに、何でも一生懸命に、何でも一番に生きてきた人の気持ちなんて分からない」
 ぽよぽよとこたんのコスチュームの特徴であるロングスカートの裾が短くなり、膝上丈のミニスカートになった。
「恥ずかしいとか言ってられないよね。動き辛いんだから。ここで負けちゃったら終わりだもん」
 テンダネスハートの左腕に付いているドラゴンの頭部が、手の甲に被さるように移動する。マジカルボウを構えると、ドラゴンの口が開き、光の矢が出現した。太さはライトニングアローの数倍はある。
「あたしはいつも逃げてばっかりだけど、それだけじゃ駄目なんだよね」
「弱き者は逃げて暮らすしかないんだ。だから力が必要なんだ」
 憂喜もバスターアックスを構える。
「多くは望まない。弱いなら弱いなりに、いつもちょっとだけでいいから幸せを感じていたいの! ここで負けたら、それすらなくなっちゃう、だから・・・・!」
「平和を乱す者が幸せだと!?」
 憂喜の足が地面を蹴る。
 透子が番える矢の光が増し、大きな渦を作った。
「アークエンジェル・テンダネスアロー!」
「吹き飛ばせ、ターミネート=バスター!」
 テンダネスアローの一閃が巨大なバスターアックスを貫いた。だがその攻撃を止めるまでには至らず、そのまま透子の頭上に襲い掛かる。
「きゃぁぁぁぁぁぁ!!」
「藤堂院さん!」
 透子の名を叫んだのは咲紅だろうか。
 バスターアックスは目標に向かって真っ直ぐに振り下ろされた。バキバキという破壊音が響き渡り、破片が飛び散り、降り注いだ。
 飛散した魔力の粒が降り注ぐ中、無傷の大きな斧が姿を現した。


「で、ここはどこなんだい? のの美ちゃん」
 ここはエミネント中央都市の郊外。街路樹や芝が美しい、公園のような場所だ。そこに目的地も分からず右往左往する三人の姿があった。ユタカ、みここ、そしてのの美である。今は夜らしく、公園内は多くの街灯で華やかにライトアップされていた。
「勝手に来て良かったんでしょうか・・・・」
 みここが心配そうな声で呟いた。
「俺達を放って行く奴らが悪い。だいたい、ゲートを閉じずにそのまま放置しておくってことは、俺達に『ついて来たければ来ていい』というメッセージだ」
「ゲートをそのままにしていたのは、戻って来るためだと思うんですけど・・・・」
「違〜う! 来てもいいってことだ!」
「ふにゅ、ごめんなさい・・・・」
 つい謝ってしまうみここだった。
 水無池芽瑠の報告により、紅嵐はイニシエートでエミネントに関する情報を集めていた。その結果エミネントの歴史とイニシエートとの関係、その空間位置が分かったので地上界に来たものの、ゆかりが自分を放ってエミネントに行ってしまったとユタカが騒いでいたので、ゆかりを助けるべくエミネントに乗り込んだのだった。ユタカ達には「危険だからあなたたちは来ないで下さい」と言って、作った時空ゲートで出発してしまった紅嵐だったが、みここの言うように帰り道を確保しておかなければ戻って来れないのでゲートはそのまま残してあった。じっとしていられないユタカと兄が心配なのの美、そしてゆかり達が心配なみここは「来るな」と言われていたにも関わらずエミネントに足を踏み入れた。もちろんユタカやみここはエミネントの地理は分からないので、のの美だけが頼りだった。あまり頼りになる気はしないが。
 辺りを見渡せばこの世界の人々も自分たちの服装と変わらないファッションだったので、ユタカは安心した。一目でこの世界の人間ではないと分かると面倒なことになりかねない。
「なぁのの美ちゃん、管理局の本部ってのはどこに・・・・」
 のの美の姿がない。ユタカが辺りを見回すと、アイスクリーム屋の前に立っているのの美がいた。
「のの美ちゃん!」
「アイス買っていい?」
「もう夜だぞ?」
「アイスに昼も夜もないよ。ねぇ買っていい?」
「いいから、買ったら本部って所へ案内してくれよ」
「おじちゃ〜ん、アイスちょ〜だい!」
(本当にのの美ちゃんが案内役で、辿り着けるんだろうか。こうしている間にもゆかりは・・・・)
 嬉しそうに駆けて行くのの美を見て、かなり不安になるユタカだった。



47th Future に続く



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