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タイトル


 44th Future 「一騎打ち! 憂喜vs春也」


「おかえりなさい」
 あずみが鵜川に向かって手を伸ばす。鵜川は戸惑った表情であずみを見ていた。
「ただいま」
 少し照れた笑顔で鵜川はあずみの手を握った。
「帰って来れたんですね」
「・・・・ありがとう。君のおかげだ」
 あずみの夢の世界に逃げ込み、出て来れなかった自分。そんな自分を再び現世に引き戻したのは、華代の意思であり、あずみの危機であり、信じる心だった。
「君が僕の事を信じてくれていたから、僕は帰って来ようという気になった」
「帰って来たのは、鵜川さんが頑張ったからです」
 そう言えば術者が寝てしまったからか、全く動かなかったあずみの手足は動くようになっていた。
「だが・・・・とんでもない場所で出て来てしまったな」
 鵜川は辺りを見回した。自分が置かれている状況は、あずみの中で感じ取ってある程度は把握している。だがここから抜け出す方法は全く思いつかない。エミネントという異世界から、どうやって自分達の世界に帰ればいいと言うのだろう。
「鵜川さん、これは鵜川さんの作り出した世界ですよね」
 これとは、今この部屋を覆っている灰色をしたドーム状の世界のことだ。この「ドリームドーム」は鵜川のオタ空間で、中に入った人物に強制的にその人の望む夢を見せ、現世に戻って来れないようにしたり、自分がその夢の中に介入して覗き見ることが出来る。
「あぁ、君と僕は寝てしまわないようにしているので安心して欲しい」
「そうじゃなくて、鵜川さんはあの時みたいにマジカルアイテムを持っていません。どうやってこのドームを作り出したんですか?」
「君の力を借りたんだよ」
「え?」
「聞いたろ? 君は小柴藍という子の魂を入れたトランスソウルだって。つまり君自身がマジカルアイテムなんだ。僕は君の魔力を借りてこのドリームドームを作った」
「あ、そう言えばマジカルアイテムでした、私」
 ポン、とあずみは胸の前で手を合わせた。
「実感ないですねぇ」
 あずみの平和な口調に思わず鵜川は顔をほころばせた。
「とにかくここを脱出しよう・・・・ここへ来たということは帰る手段もあるはずだ」
「ここに来る時は、冴さんに連れられてメビウスゲートっていう道を通って来ました。それを使えば戻れるはずですが・・・・」
「簡単に使わせてはくれないだろうな。考えていても仕方ない、とにかくそこへ向かおう」
 二人はロックを外し、部屋の外に出た。
「・・・・まずいな」
 鵜川が足を止め、振り返った。
「どうしたんですか?」
「半径約三メートルか・・・・」
「何がです?」
「ドリームドームの有効範囲だよ。発生させたマジカルアイテムを中心とした半径約三メートルがドームの大きさだ。つまりあずみ君が動けばドリームドームも動く。強制的に眠らせているだけなので、ドーム外に出たあの男はすぐに目を醒ますだろう。ドームを張ったまま移動すれば、追って来た男は射程内に入りまた眠るだろうが・・・・長い間ドームを維持すれば君の魔力も消費する・・・・んだよな? マジカルアイテムなんだから」
「そうでしょうね、多分。自分では分かりませんけど」
 そう言われれば、あずみには思い当たるフシがあった。
 アンドロイドであるあずみが行動すると、体内に蓄えられた魔力を消費する。そう考えれば、夜になると疲れていたことも、ぐっすり寝れば元気になることも納得出来る。例えばゆかりの「魔法の孫の手」なら、魔力を使えば魔力ドーム(孫の手で言えば肉球の部分)が萎み、睡眠を取るなど休息すれば魔力が回復し、魔力ドームは膨らむ。あずみがマジカルアイテムならば、その魔力ドームに当たる部分があると考えられる。
(縮んだり膨らんだりする部分・・・・)
「あっ」
「どうした?」
 鵜川が振り返ると、あずみは胸を押さえて顔を赤くしていた。
「い、いえ・・・・」
(朝は大きく、夜は小さい)
「私の魔力ドーム・・・・」


 メビウスロード監視搭でロードの監視をしている者は、本部から派遣された公務員である。一日二十四時間を三交代、三人体制で監視しているが、のの美がロードを使わせて欲しいと言って来たのは昼休み時間で、たまたまのの美と親しいお兄さん一人が受け持っている時間だった。
 昼休みが終われば残りの二人が帰って来る。ロードは無許可で通ってはいけないので、無断使用がバレると非常にまずいことになる。異世界に介入することは予測不可能なほど大きな影響を与えるため、主に下界を調査するオブザーバーのみがロードの使用を許可されていた。
「マズイよ、早く帰って来てよ、のの美ちゃん!」
 お兄さんは監視室の中を行ったり来たり、落ち着かなかった。前回は偶然に二人がトイレに行っていたので助かったのだが、そう都合のいいタイミングが続くはずもない。ちなみにロードの出入り口には監視カメラもあるのだが、録画しているだけでリアルタイムでは誰も見ていない。お兄さんはその記録を改ざんしていたのだ。よって今回も同じように細工をしなければならない。
(帰って来る気配があったら、あいつらをどこかに誘い出すか・・・・)
 そんな企みを企てていた時、ロードを監視するレーダーに反応があった。
「のの美ちゃん!?」
 だが、反応は一つではない。のの美がお兄さんも連れて帰って来たのかと思っていたが、さらに1人増えた。
(さ・・・・三人? 一人は質量が少ないのでのの美ちゃんとして・・・・後の二人は?)
 のの美は兄の春也が心配で下界に行ったのだから、その兄を見付けて帰って来ることも考えられたのだが、オブザーバーやエグゼキューターが見付けられない人物をまさかのの美が見付けて来るとは微塵も思っていなかった。春也が一緒だとしたら、面倒なことになる。犯罪者を見付けた場合、通報しなければ罪になるからだ。だが監視員は大好きなのの美の兄を警察に渡すことはしたくない。
(犯罪者になれば俺はソウルトランスの刑か・・・・通報すれば俺は助かる。だがその代わり、のの美ちゃんとお兄さんが同じ目に会う。どうすればいいんだ、俺は! のの美ちゃん、厄介なことをしてくれるよ全く!)
 もうすぐ昼休みが終わり、後の二人が帰って来る。無断でメビウスロードを使ったことを隠すのは難しい。
(イヤだ・・・・犯罪者はイヤだ。ソウルトランスなんてイヤだ! 父さんや母さんが悲しむ、これからの残りの一生を犯罪者の親として過ごさなきゃならないんだ。俺はまだ親孝行らしいことをしていない、恩を仇で返して、このまま死ぬのはイヤだ!)
 メビウスロード強制停止ボタンの蓋に手が伸びる。
(これを押せばロードの運行は停止し、現在ロード内にいる者は出口を見失って空間の歪を彷徨うことになる・・・・証拠は消え、ロードを無断使用したという僕の罪はなくなる)
 蓋を持つ手が震える。
(のの美ちゃん・・・・ごめんね、僕は・・・・)


「うわ」
 時空の歪みの中を通って来たゆかりは、もう少しで酔いそうになった。ぐにゃぐにゃした世界を抜けると、そこには搭が立っており、その横に大きな門があった。
「ここがエミネント?」
「あぁ、あれはメビウスロード監視搭だ」
 春也が搭を指差しながら説明する。
「むっ?」
 刀侍が門に向かって身構える。大きく腕を振って、何者かが走ってきたのだ。
「おお〜い、早く逃げて・・・・あれ?」
 監視員のお兄さんがゆかり達を見て立ち止まる。結局彼は、ロードの強制停止スイッチを押すことが出来なかった。
「のの美ちゃんは・・・・?」
「のの美は置いて来た。役に立たないし邪魔だからな」
 言い方は悪いが、春也はのの美を危険な目に負わせるわけにはいかないので置いて来たのだった。
「そ・・・・そんな」
「お〜い、何をしてるんだ?」
 そこに昼休みを終えた残りの二人が帰って来た。
「まずい・・・・早く隠れて! 無断でロードを使用したことがバレたら・・・・」
「ん〜?」
 同僚の一人がゆかり達に気付く。
「おい、そいつらは誰だ? 今日はロードの使用はないはず・・・・」
「まずいでござる」
 刀侍はまたもゆかりと春也を担ぎ上げた。
「まずいって?」
「ロードは許可がないと動かせないでござる。おそらくあの御仁がのの美殿に頼まれて無許可で装置を動かしたのでござろう」
「そ、それじゃあの人も怒られちゃうよ!」
「怒られる・・・・か。ゆかりんの世界ではそれで済むんだな。トージ、彼も助けてやってくれ。一緒に逃げないと・・・・」
「承知しているでござる」
 春也の言葉に刀侍が頷く。飛脚が発動し、ゆかりと春也を担いだ刀侍が管理員のお兄さんに向かって走った。
「おい、お前まさか無断でロードを・・・・!」
 同僚二人に囲まれ、お兄さんは壁際に追い込まれた。
「ち、違うんだ! あいつらは犯罪者だ、お前らも顔を知ってるだろう!? 俺はあいつらを捕まえようとここにおびき寄せたんだ!」
(許してくれ、のの美ちゃん・・・・こうするしかないんだ、俺が助かる道は・・・・)
 ありがとうお兄ちゃん、大好き!
 のの美の笑顔が浮かんだ。
(のの美ちゃん・・・・ごめん、ごめんよ!)
「!!」
 心の中で懺悔するお兄さんの胸に、光る棒が突き刺さった。
「のの美・・・・ちゃん」
 コンクリートの地面にうつ伏せに倒れる。棒は既に消失し、お兄さんの体を中心に血溜りが出来た。
 突然の出来事に、刀侍さえも逃げることを忘れてその光景を見ていた。
「観念しろ、姫宮ゆかり、澤崎春也!」
 二人を担いだままの刀侍が、様々な方向から当てられたライトの光の中に浮かび上がる。
「きゃっ!」
 あまりの眩しさにゆかりは目を閉じた。
「下ろしてくれ、トージ」
 春也の言葉で、刀侍は春也とゆかりを地面に下ろした。
 自分達を照らしている複数の巨大なライトが眩し過ぎてよく見えないが、どうやら周囲を取り囲まれているようだった。
「お見通しってわけか・・・・トージ」
「承知」
 刀侍は春也とゆかりの手を持つと、取り囲んでいる者達に聞こえるように大声で叫んだ。
「エグゼキューターの枯枝刀侍と申す! 拙者、魔法犯罪者である姫宮ゆかり、及びその逃亡の手助けをした同じく犯罪者・澤崎春也を連行して参った! これから管理局本部へ引き渡しに行くゆえ、お通し願いたい!」
 監視搭の敷地内に刀侍の声が響き渡る。だが応えはなく、しばらく妙な静寂に包まれていた。
(どいつが指揮を取っているでござるか・・・・?)
 ライトの眩しさに少しずつ慣れてきた目で、刀侍は取り囲んでいる者達を見渡した。服装が違うのでどうやら警察ではない。予想するなら、私設警察と言ったところか。
「ど、どうしてあの人、殺されたの?」
 ゆかりが先程胸を貫かれた男を見て、春也に聞いた。
「メビウスロードの使用許可を得ていないのに俺達を通過させたから・・・・だろうな」
「そんな、それだけで殺されるなんて!」
「それだけ重要な施設なんだよ」
「じゃあ、勝手に使ったゆかり達は!?」
「黙ってろ。刀侍が打ち合わせ通りに俺達を本部に連れて行ってくれる」
 その時、一つの影がゆかり達に近付いてきた。逆光のために顔が見えない。
「久し振りだね」
 顔は見えなくとも、声でその人物が誰であるかはっきりと分かった。
「ユーキ・・・・」
「ようこそ澤崎。それに姫宮ゆかり」
「・・・・」
 ゆかりは憂喜が自分と会って、少しも驚いていない事に気付いた。
 まるで、ゆかりが生きていたことを知っていたように。
(トージ)
 春也は刀侍の背中に手を当て、手の平から言葉を伝えた。刀侍も背中から「承知」と返事を返す。
「鷲路殿、澤崎春也と姫宮ゆかりを捕獲して来たでござる」
「ご苦労」
「拙者はこれより犯罪者を本部に送り届けるでござる。ところで、この物々しい包囲網は何でござるか?」
「あぁ、心配ない。報道規制をかけているので、この場所で起こることは公にはならないよ」
「どういうことでござる?」
「今夜、僕のオブザーバー授与式があってね」
「それはそれは。もう少し早ければ拙者も祝いに馳せ参じることが出来たのに、残念でござる」
「管理局では、そこの二人は僕が始末したことになっているんだ」
「始末・・・・?」
「エミネントのデータ上では、君達はもうこの世には存在しない。死人を管理局に連れて行かれると困るんだ。だからここで始末する」
「鷲路殿、お主・・・・」
 包囲網が一歩、二歩と距離を縮めてくる。
 刀侍の背中に、また春也の手が当てられた。
(お前が本部まで連れて行ってくれるという作戦は失敗だな)
(そのようでござるな)
(今までサンキューな)
(澤崎殿?)
(俺はゆかりんを連れてここを突破する。間合いを見計らってお前の手を振り払って逃げるから、お前はすまないが逃げられた振りをしてくれ)
(無理でござる、この人数を突破するなど! 拙者の足ならあるいは・・・・)
(お前まで巻き込むわけにはいかねぇ。今までありがとな)
(澤・・・・)
 春也の手が刀侍の背中から離れた。
「馬鹿なことを」
 憂喜は倒れている管理員のお兄さんを一瞥した。
「メビウスロードはエミネントの中でも重要な施設だ。誰が通ったか、というデータは管理局でも逐次見張っているさ。以前に澤崎の妹を転送した時もね。あの時は今までの働きに免じて許しが出たそうだが・・・・さすがに今度ばかりはね」
「鷲路殿、拙者は犯罪者を連行したのでござる。確かに無許可でござるが、あの男を殺す必要があるとは思えぬ」
「だから言っただろう、ロードの監視は管理局でも行っていると」
 憂喜の目が鋭さを増した。
「つい先程、チーフから連絡があった。メビウスロードの出口付近で、キミ達三人が仲良く話をしているってね。枯枝刀侍、君も犯罪者の仲間として認識されたよ」
「!?」
 突然、刀侍の両足首に光る何かが出現した。
(何でござる!?)
 両脚が固定され、動かない。
「足枷!?」
「どうしたの!?」
 ゆかりが刀侍のおかしな様子に気付いた。彼の足を見ると、光の鎖のようなものが動きを封じている。憂喜が魔法で作り出したのだろう。
「くっ・・・・これでは動けない!」
「観念しろ、枯枝」
 憂喜がゆっくりと刀侍とゆかりに向かって歩き出したその時、刀侍の足枷がいきなり細かい粒子に分解された。
「なにっ!?」
「刀侍さん、早く!」
 孫の手を持ったゆかりが叫ぶ。ゆかりは「フェアリーナイト・ムーン」で刀侍の足を縛っていた鎖を魔力レベルに分解したのだ。
「何をしたでござるか!?」
「そんなことより、早く!」
 包囲網を敷いていた男達が、一斉に襲い掛かってきた!
「トージ、ゆかりんを連れて逃げてくれ!」
「春也殿は!?」
「こいつらを足止めする! ソウル・ユニゾン!」
 ソウルウエポン「クリムゾンファイア」を装備した春也が、サラマンダー・サラの頭部を形取ったライトアームを構えた。
「魔力は満タンだ、恨みはないが、フルパワーで行くぜ!」
 サラマンダーの口から火炎放射器のように火が噴き出した。春也はそのまま体を回転させ、全方向に向けて炎を撒き散らす。
「無茶するでござるな!」
 刀侍はゆかりを担ぎ上げ「飛脚」で地面を蹴った。とんでもない跳躍力で包囲網の外側へ着地する。
「追え!」
 部隊は刀侍を追う者と春也を取り押さえようとする者に分かれた。
「おらおら、俺に近付くとヤケドするぜぇ!」
(頼む、逃げ切ってくれトージ!)
 春也を捕らえようとする者達は、クリムゾンファイアの吐き出す炎が凄まじく近付くことが出来ないでいた。
(だがこのままじゃラチが開かねぇ、一人ずつ倒すには数が多過ぎる・・・・)
「澤崎」
「!?」
 クリムゾンファイアのライトアームが掴まれ、ねじり上げられた。
「くっ・・・・ユーキ!」
「近付けば火傷をするとか言っていたが?」
 憂喜は「ブラスト・オブ・ウインド」を装着し、その上に青いマジカルバリアを纏っていた。手は鷲の鉤爪があり、それでクリムゾンファイアの右腕を掴み上げている。
「今だ!」
 火炎放射がなくなったのを見て、周りの部隊が一斉に春也に向かって襲い掛かった。だが憂喜は手を上げてそれを制した。
「憂喜様!?」
「君達は刀侍と姫宮ゆかりを追ってくれ。こいつは僕一人で充分だ」
「しかし・・・・」
「いいか、枯枝は足が速いし跳躍力も並外れている。出来るだけ多くの人数で周りから取り囲んで追い詰めろ」
「は、はいっ!」
 憂喜の命令により、二十人近くの男達が刀侍を追った部隊の後に続いた。かくして、この監視搭エリアは春也と憂喜の二人だけになった。
「一人で充分・・・・か」
 春也は右腕を鷲の爪に掴まれたままだ。
「何故、一対一なんだ? 俺みたいな奴に大人数を割くよりも、一対一の方がお前が好きな『合理的』ってことか?」
「一つ。君は僕が取り逃がした。だから僕の手で始末する。公には僕が処分したことになっているので、嘘はつきたくないからな。二つ。あの時見せた空間転移・・・・君にはまだ秘められた力がある。それを見てみたい」
「へっ、そんな力があるかどうか知らないが・・・・それを見てどうする? それを見たせいでお前は負けるかもしれないんだぜ?」
「有り得ない。それでもなお僕の方が強い」
「言うねえ。ユーキ、自分の顔は好きか?」
「何だ? いきなり・・・・」
「好きだったら悪いな!」
 憂喜に掴まれて上を向いていたクリムゾンファイアのライトアームの先端部分が、九十度曲がって憂喜の方を向いた。
「!!」
「ヘルファイアアアアッ!」
 憂喜に向かって火の玉が吐き出された。だが火の玉は憂喜の体を避けるように四方八方に拡散してしまう。
「僕のバリアーにそんなものは通じないよ」
「だが、自由になることは成功したぜ!」
 火の玉が自分に向かって飛び出した時、憂喜は掴んでいた春也の腕を離してしまったのだ。春也は後方にジャンプし、憂喜との距離を取ろうとした。だが次の瞬間、目の前に憂喜の手が迫っていた。
「何だと!」
 着地前に憂喜の追撃を受けた春也は、そのまま体制を崩して地面に落下した。すかさず憂喜の攻撃に対して防御の構えを取ったが、憂喜は攻撃を一撃のみで止めていた。
(やっかいだぜ、ブラスト・オブ・ウインド・・・・予備動作なしに飛行する能力があるんだからな・・・・飛べない俺は逃げることすら出来ない。真正面からぶつかってユーキを倒すしか手はないな)



45th Future に続く



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