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タイトル


 41th Future 「ゆかり捜索隊、結成」


 クリムゾンファイアのライトアームが火を吹いた。
 刀侍に向かってではなく、辺りの木々に向かって。
「何をする、春也殿!」
「言ったろ、悪あがきだよっ!」
 火事を起こし、それに乗じてゆかりを連れて逃げる。危険だが、他にこの状況を打破する良い方法が思いつかなかった。ちなみに山火事を起こすなどの自然破壊や、それに伴う大気汚染などの環境破壊はエミネントではかなりの大罪になる。
「逃げるぞ、ゆかりん!」
「え、う、うん!」
 春也に手を引かれ、つまづきそうになりながらもゆかりは必死で走った。
 だが・・・・。
「春也殿は拙者が思っていたより頭が悪いでござる」
 日本刀の柄が、春也の喉元に突きつけられた。刀侍のスピードは春也が想像していたよりも遥かに早く、燃える木々など障害にすらならなかった。
 おまけに、春也とゆかりの背後にはクリムゾンファイアの放った火によって火事が広がっており、逃げ場はなかった。
「今度こそ観念するでござる」
「嫌だね」
 台詞と春也の左腕が同時に出た。トゲの付いたレフトアームが刀侍の脇腹を襲う。だが刀侍はそれを素手で挟むと、手首をひねってそれをかわした。
「ぐあっ!」
 左腕を軸に、春也の体が反転する。気が付けば春也の体は仰向けに倒れていた。
「な、何が起こった!?」
「簡単な体術でござるよ」
 今度は日本刀の柄が倒れた春也の顔の真上に突き付けられた。
「春也殿。拙者は同窓のよしみゆえ、戦いたくはないでござる」
「だったら見逃してくれ」
「それでは拙者が管理局に怒られる。それどころか『執行者』の免許剥奪でござる」
 そう言いながら、刀侍は脇差を抜いて素早い動きで後方に投げた。
「きゃっ!」
 カスン、という音を立てて、脇差によってゆかりのスカートが木の幹に打ち付けられた。
「逃げられると思ったでござるか? 今度は衣類では済まないでござるよ」
「ふぇぇ・・・・」
 ゆかりは脇差を抜こうとしたが、幹に思い切り突き刺さっていた。脚と脚の間に短刀が刺さっているので、これでは身動きが出来ない。
「刀侍よ」
 春也は目の前に刀の鞘の先端を突き付けられた状態で話し掛けた。
「お前は俺と戦いたくないと言うが、何故だ?」
「無論、お主を傷付けたくないからでござる」
「だが大人しくお前について行けば、俺もおそらくゆかりんも処罰される。結果は一緒だ」
「だがそれは罪を犯した者が受ける、当然の処罰」
「お前は俺の命なんてどうでもいい。ただ、自分で自分の手を汚したくないだけだ」
「そうではござらん」
「そうなんだよ。俺を管理局に引き渡したらどうなるか、それを分かっていて連行しようとしているんだからな」
「黙れ」
 ガス、と刀の鞘が春也の額を打った。
「図星だったな、トージ。だから怒った」
「黙れ!」
 今度は鼻っ柱を突かれ、鼻血が出た。
「俺は・・・・」
 春也は刀の鞘を掴み、刀侍を睨んだ。
「ゆかりんだけは絶対に助ける!」
「な、なぜそこまで・・・・お前はこの娘のせいで追われる身となったはず!」
「あぁ、だがそれは俺自身が望んだこと・・・・後悔していない。いや、むしろ誇らしいぜ!」
 春也は鞘を持ったまま立ち上がり、刀侍に向かって蹴りを放った。刀侍がそれを間一髪でかわす。そのはずみで日本刀が鞘から抜けた。
 研ぎ澄まされた日本刀の刃が光り輝く。
「ぬっ・・・・」
 春也はそれを見て身構えた。鞘は自分の手にある。
 刀侍はエミネントでは有名な日本刀マニアである。この状況で、はたして刀侍の剣技をかわすことが出来るのか? 春也の額から汗が流れ、鼻から血が流れた。
 背後にいるゆかりが標的に選ばれたら最後だ。ゆかりは木の幹に打ち付けられて動けない。
(どうする・・・・? 俺が盾になるか? 盾になっただけで、ゆかりんを守れるのか?)
 斬られたら痛いだろうな、と春也は当たり前の事を考えていた。日本刀の切れ味を考えると、春也の腕や脚、首など一撃で胴から切り離されるだろう。
(死ぬのか、俺)
 どうせ死ぬなら、と春也が思いついた作戦は・・・・。
(空間転移)
 ゆかりとやったように、刀侍を連れてどこかに空間転移する。転移先を決められない春也が空間転移すると、どこに着くか分からない。ゆかりが逃げる時間くらいは稼げるはずだ。
 だが春也の残存魔力は少ない。刀侍は痩せているとはいえゆかりよりも質量が大きい。ゆかりとの転移は上手くいったが、あれはマグレと言ってもいい。今度こそ異空間に飛ばされるか、物質の中に転移して爆発するかもしれない。
(どうせ死ぬんだ。ゆかりんが助かるなら・・・・)
 だが、そうすれば刀侍も道連れになる。刀侍は命令に従っているだけで、春也に恨みがあるわけではない。
(俺はどうせ死ぬとして、トージまで巻き込んでいいのか・・・・?)
「早く返せ、春也殿!」
「あん・・・・?」
「鞘を返すでござる! 早く!」
「さ、鞘を返せだと? 何故だ!?」
「刀を収める為でござる! 当たり前でござろう!」
「そんなに高価なものなのか」
「そうではござらん! 早く!」
 何故か刀侍は思い切り焦っていた。
「・・・・俺を斬るんじゃないのか」
「そんなことをして、刃がこぼれたら大変でござるよ!」
「・・・・はぁ?」
「埃が溜まる! あぁ、燃えた木の灰が飛んで来る! はやく返せぇ〜!」
 そう。刀侍は日本刀マニアだ。
 マニアだからこそ、大事にする。
 だから何も斬らない。一度斬ったら、手入れが大変だからだ。刃こぼれなど起こそうものなら、美しい日本刀が台無しになってしまう。春也は刀侍の事を「日本刀マニア」と聞いていたので、てっきり人を斬るのが好きだと勘違いしていた。
「早く返せ!」
「どうしようっかなぁ・・・・」
 春也は燃えている木に向かって、鞘を投げるような恰好をした。
「やめてくれ! 頼むから返してくれ!」
「ござる言葉を忘れるほど大切なのか」
 刀侍の弱点を見付けて形勢が逆転したと思った春也だったが、燃えていた木が倒れ、火が燃え広がった。最近の日照によって木が乾燥していたらしい。
「やべっ、ゆかりん!」
「熱い熱い、助けて〜!」
 ゆかりの近くまで火が近付いていた。
「何やってんだ!」
「動けないんだもん〜!」
 スカートに刺さった脇差を抜こうとするが、全く動かない。
「破れよ、スカート!」
「やだぁ、恥ずかしいよ!」
「命の方が大切だろうが!」
 春也はゆかりのスカートを持ち、思い切り引っ張った。脇差の刃によってスカートが切り裂かれ、ゆかりは自由の身になる。ただ、ミニのプリーツスカートの前面にチャイナドレスのようなスリットが入ってしまった。
「や〜ん!」
「恥ずかしがってる場合か! 逃げるぞ!」
 春也はゆかりの手を引いて走り出す際に、手に持っていた刀の鞘を捨てた。木の根に当たり、それは燃え盛る火の中へと跳ねた。
「拙者の鞘〜!」
 その鞘を追って、刀侍が火の中に飛び込む。
「馬鹿、トージ!」
「うわっちぃぃ!」
 刀侍の侍衣装は薄く、すぐに火が燃え移った。
「そんなもの、命より大切かよ!」
 春也が必死で刀侍の服に燃え移った火を叩き、消そうとする。
「日本刀は拙者の命でござる!」
「くそ、俺のことをとやかく言えるのかよお前は! もっと命を大切にしろ!」
 必死で刀侍の服を叩くが、なかなか火が消えない。そうしている内にも、周りから火が襲って来た。
 その時。
 バシャァァァァ。
「うわっ!」
「冷たい!」
 二人の頭上から大量の水が降り注いだ。
「早く逃げて!」
 孫の手を構えたゆかりが叫んだ。

「はぁ、はぁ、はぁ・・・・」
 富士樹海の火事は、ゆかりが降らせた水によって完全に鎮火していた。
 ズブ濡れの春也と刀侍、そしてゆかりは地面にぶっ倒れ、荒い息を吐いていた。
「何故、助けたで、ござるか・・・・」
 息も絶え絶えの刀侍がゆかりに問い掛けた。
「刀侍さんだって・・・・ここまで運んでくれた」
 刀侍は足元の頼りないゆかりを背負って、ここまで走ってきたのだ。だから彼も息が上がっていた。
「助けられたから、助け返しただけでござる・・・・」
「刀侍、悪かったな、刀の鞘・・・・」
 春也が済まなさそうな声を出した。結局、刀侍の鞘は火の中で燃えてしまったのだ。そして鞘を失った日本刀は、土埃や灰をかぶり、その輝きが半減していた。
「春也殿・・・・」
「何だ? 弁償なら出来ないぞ。高いんだろ、あれ」
「拙者が刀を愛するように、貴殿もゆかり殿を大切に思っているのでござるな」
「えっ」
 赤くなる春也だが、幸いゆかりも刀侍も彼の顔を見ている余裕はなさそうだった。
「拙者は今まで、命令通りに幾多の任務をこなして来たでござる。命令の内容が正しいかどうかなんて考えたこともない。ただ命令を信じて行動して来た・・・・」
 刀侍は仰向けに寝たまま、空を流れる雲をじっと見ていた。
「怖かったのでござろうな」
「怖い?」
「命令自体を疑うことでござる。もしも命令が間違っていれば、今まで拙者のして来た事は何だったのか。拙者の全てが否定されてしまうでござるゆえ・・・・」
「トージはトージだ。自分の全てを否定することなんかないぜ」
「それほど任務が全てだったということでござる」
 刀侍は上半身を起こし、日本刀をそっと草むらの上に置き直した。
「聞かせて貰えぬか、春也殿。どうしてこうなったのか。お主が信じる正義を」
「あぁ・・・・」


「はにゃ〜」
 澤崎のの美はメビウスロードを利用してゆかり達の住む世界に来たものの、兄がどこにいるのかさっぱり見当が付かなかった。以前に来た時には、兄たちは任務の為にうさみみ中学にいることが分かっていたのですぐに会えたのだが。
(そう言えばお兄ちゃん、逃げてるんだもんね。どこにいるか分からないのは当たり前かな)
 取り敢えず、腹が減った。
 だがこの世界の通貨を持っていないのの美は、食事が出来ない。
「ふにゃ〜」
 腹が減っては力が出ない。のの美はその場に座り込んでしまった。
「ほぇ」
 顔を上げると、男と目が合った。すると男は慌てて目を逸らす。
 のの美が腰を下ろしたのは偶然にも出雲家のブロック塀で、男はもうすぐここに来るはずのこなみ達を待っているユタカだった。
「・・・・」
 のの美はユタカをじっと観察してから、声を掛けた。
「おじちゃん」
「誰がおじちゃんだ!」
「じゃあ、おじいちゃん?」
「余計悪いわ!」
 ユタカは激しいツッコミを入れたが、のの美の目尻が下がったので慌てて低姿勢になった。
「ごめん、大声出して」
「じゃあ、お兄ちゃん・・・・でいい?」
「・・・・」
「だ、だめ?」
「ご、ごめん・・・・ちょっと感動して」
「?」
 説明しよう。相楽豊は可愛い女の子から「お兄ちゃん」と呼ばれると感動するほど萌えてしまうちょっと困った体質なのである。
「で、なに?」
「この辺りにお金がなくても御飯が食べられるお店はないですか?」
「そんな善意の店はバブル時代でも存在しなかったと思うぞ」
「バブル?」
 首を傾げるのの美。
「君、ひょっとして迷子? それとも家出?」
「お兄ちゃんを捜してるの」
「俺とは違って、リアルお兄ちゃんか・・・・お兄ちゃんは家出? 迷子?」
「んとね、犯罪者」
「これはまた、えらくシュールだな・・・・」
「シュール?」
 またのの美は首を傾げた。
「あ、ユタカさん」
 呼び掛けられてユタカが振り向くと、こなみとみここ、それにタカシと倉崎が駆け足でやって来た。ゆかりを捜す為、人手が必要ということで声を掛けたのだ。健全な中学生四人は授業があったので、それが終わってからの集合となった。巳弥の祖父とウサギ二匹は現在、ゆかりを捜す為に出雲家で地図を広げ、手分けして捜索するための担当範囲を決めている。
「あっ」
 こなみがのの美に気付き、声を掛ける。
「ねぇ、スカートで脚を開いちゃ駄目だよ・・・・変なおじさんとかに見られちゃうよ」
「こなみちゃん、僕を見て言うのはやめて欲しいな」
 こなみの視線を受け、ユタカが弱々しく抗議した。何故なら、こなみの言った通りだったからだ。
「で、この子は誰なんです? まさか非道徳的なことをしようとしているのでは・・・・」
 倉崎がユタカに聞いた。
「ふにゅ、相楽さん。犯罪は良くないです」
「みここちゃんにまで言われた・・・・」
 落ち込むユタカだった。
「お兄ちゃんを捜しているそうなんだが」
「はぐれたのかな? お兄ちゃんのお名前は?」
 こなみがのの美の前に座り込み、尋ねた。
「澤崎春也」
「なにっ!?」
 ユタカがいきなり大きな声を出したので、のの美はビクっとなった。寿命が二時間ほど縮んでいるかもしれない。
「君、澤崎君の妹なのか!?」
「おじさん、お兄ちゃんを知ってるの?」
 本物の「お兄ちゃん」に負け、「おじさん」に逆戻りしてしまったユタカだった。
「と言う事は君もエミネントから来たのか」
「そです」
「目的は一緒のようだな・・・・頭数が一つ増えたと思えば丁度いい所に来てくれた、ってところか。君、名前は?」
「のの美」
「のの美ちゃんか。よし、メンバーは揃ったな」
 ユタカ、こなみ、みここ、タカシ、倉崎、それにのの美を加えた六名と、出雲家の中で地図を広げている巳弥の祖父、そしてミズタマ、チェックの二匹は、手分けしてゆかりと春也を捜すことになった。とは言え、何もあてはない。春也の空間転移可能な距離だけでも分かればまだ範囲は絞れるのだが、日本に限らないとなれば気が遠くなる話だ。
「のの美ちゃん、魔力サーチは使える?」
 やさしいおじさんぽくユタカが尋ねる。
「う〜ん、ちょっとだけ」
 頼りないが魔力サーチが使えるメンバーはのの美、ミズタマ、チェック。この三名を中心にグループ分けを行うこととなった。均等に分ければ三名ずつのグループと言うことになる。
「問題は、ゆかり達を追っているエミネントもいる可能性があるということだ」
 机の上に広げた地図を囲むように七名プラス二匹が座っていた。成り行きでユタカが進行役になっている。
「この中でエミネントに対抗し得るメンバーと言えば、悲しいかな巳弥ちゃんのおじいさまのみだ。そこで、魔力サーチ要員三名の仕事は、ゆかりと澤崎を探すこともあるが、エミネントが近くにいたら知らせる、という任務も重要だ」
「エミネントは手強いです」
 憂喜と手合わせをした倉崎が言った。
「僕のオタ空間が全く通用しなかった。彼らには手を出してはいけない」
「と、言うことだ。エミネントがいたら逃げる、これだけは守ってくれ」
 めいめいに頷くメンバー達。のの美だけはありついた餌、もとい食事を必死で頬張っていた。それを見てユタカは心配になってくる。
「のの美ちゃん、お兄さんのことが心配・・・・なんだよね?」
「うん」
 焼きそばが次々とのの美の口の中へと消えてゆく。
「お腹が空いたら力が出ないから」
「・・・・君さ、ひょっとしてあれ、使える?」
「あれ?」
「ソウル・ユニゾンとか言うやつ」
「うん」
 頬袋が膨らんだリスのような顔でのの美が頷いた。
「戦力になりそうだな」
 ユタカはメンバー表に書かれたのの美の名前に丸を付けた。しばらくその表とにらめっこをしていたユタカは、ささっと鉛筆で何かを書き込むと顔を上げた。
「時間がない、勝手に決めて悪いがメンバーを発表するぞ。異議のある者は発言するように」
 ラーメンをすすっているのの美以外がユタカに注目する。
「まずこの卯佐美市内をミズタマ、タカシ君、こなみちゃんで捜索してくれ。理由はミズタマが一番魔力サーチ能力に不安があること、タカシ君はマジカルアイテムを持っていないので移動手段がない、こなみちゃんはタカシ君と一緒にいたいから」
「異議有り! 我輩の魔力サーチ能力が低いとはどういうことだじょ!?」
 勢い余ってミズタマがテーブルの上に飛び上がる。
「では次のメンバー・・・・」
「無視するなじょ!」
「チェック、倉崎君、巳弥ちゃんのおじいちゃんの三人には曖昧だが東の方をお願いします。巳弥ちゃんのおじいちゃんは頼りになるし、倉崎君もマジカルアイテムの扱いには慣れている。実質、実戦的なグループだ。三組目は残った俺とのの美ちゃんとみここちゃんで西の方を担当する。異議がなければすぐにでも出発するが?」
 誰も異議を唱える者はいなかったため、メンバー構成も決まり、いよいよゆかりの捜索隊が出発の運びとなった。
「相楽さん」
 いよいよ出発、という時に倉崎がユタカに話し掛けて来た。
「何だ?」
「僕達の中に、女の子が三人います。グループも三組」
「それが?」
「どうして僕達のグループに女の子がいなくて、相楽さんだけ両手に花なんです?」
「偶然だ。戦力を考えたらたまたまこうなったんだ」
「・・・・」
「その疑わしい目はやめてくれ。さっき、異議を唱えなかったじゃないか」
「芳井さんは生田君と一緒だからいいとして、よりによってフリーの女の子二人を取ってしまうなんて・・・・」
「羨ましいのか?」
「い、いえ、違いますよ、そんなことは」
「素直じゃないな。さっきは何も言わなかったくせにコソコソ文句を言ってくるなんて。そんなにみここちゃんと一緒にいたいのか?」
「ちちちち違います! 僕はただ・・・・」
 明らかに動揺する倉崎を見て、ユタカは思わず笑いが込み上げた。
「魔力サーチ要員は外せないだろ? 例えばだ、みここちゃんとそっちの巳弥ちゃんのおじいちゃんを入れ替えてみろ。そっちの戦力がガタ落ちだぞ。もし敵との戦闘になった場合はどうするんだ? な、この組み合わせが一番いいんだよ」
「・・・・僕と相楽さんが入れ替われば良いのでは?」
「さぁみんな、用意は出来たか? そろそろ出発するぞ!」
 ユタカは出発準備の整った仲間に対し、拳を振り上げた。「おー」という微妙に頼もしげな返事が返って来る。
「これだから大人って嫌いだ・・・・」
 倉崎は眼鏡のズレを直し、リュックに入った魔法の塵取りの存在を確認した。



42th Future に続く



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