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タイトル


 11th Love 「魔法少女、辞めます」


 時間は少し遡って、ゆかりの家。
 お風呂を済ませ、猫さん模様のパジャマ姿でベッドの上に座っているゆかり。お気に入りのうさぎ枕を抱いていた。こう書くと13歳のゆかりん姿かと思われるが、家にいる時のほとんどは元の27歳のゆかりであって、今も例外ではなかった。
「ねぇミズタマ」
「ん〜?」
 ミズタマはお気に入りの漫画「ラビット仮面」を黙々と読んでいた。普段は大人しくて目立たなく、友達もいないヒロインがラビット仮面となって悪に立ち向かうというストーリーだ。誰にも正体を明かせずにたった1人で悪の組織と戦い、壊滅させて勝利するのだが、実は戦っている間だけは自分が1人であることを忘れられる時間だったことを悟り、最後は壊滅した敵のアジトで1人残され、淋しくて死んでしまうという切ない話である。ミズタマはこの全6巻のコミックスを何度も何度も読み返していた。
「泣けるじょ〜・・・・」
「聞いてよ、ミズタマ」
「ラビット仮面を読んで涙することより重要なことなのか?」
「そう言われると比較のしようがないから困るけど・・・・ゆかりね、魔法少女を辞めようかなって思うの」
 ミズタマの手からコミックスが落ちた。
「重要なことだじょ!」
「良かった。漫画に負けたら嫌だなって思ってた」
「なぜ辞めるじょ!?」
 ピョン、とミズタマはベッドの上に飛び乗ると、ゆかりに詰め寄った。
「宝玉はどうするじょ!?」
「これ以上、周りに迷惑をかけたくないの」
「・・・・何かあったのか」
 ゆかりは今日の出来事をミズタマに話した。魅瑠に襲われたこと、露里が怪我をさせられたこと、孫の手によって治癒できたこと。
「どうしてそんな大事なことを黙ってたんだじょ」
「だから今、話してるじゃない」
「あぁ、そうか・・・・」
「ねぇミズタマ、悪い人をいい人にする魔法ってないの? ほら、漫画でよくあるじゃない。浄化っていうか、改心っていうか」
「人の心を操作する魔法はないじょ。あるかもしれないが、使用は禁止されてるじょ。とても恐ろしい魔法だからな」
「どうして恐ろしいの?」
「例えばゆかりんを好きな男の子が、自分のことを好きになるようにゆかりんに魔法をかけたらどうだ? 嫌か?」
「う〜ん、そりゃ勝手に好きにされたら嫌だな」
「だが、ゆかりんは嫌だと思わないんだ。魔法で既にそいつのことを好きになってしまっているからな」
「え? あ・・・・」
「だから恐ろしいんだじょ」
 その後ミズタマは何かを言おうとして黙り、口を開こうとして閉じ、そんな仕草を繰り返していたが、やがてゆかりに向き直った。
「嫌なら、辞めていいじょ」
「え? 絶対反対すると思ったのに・・・・」
「宝玉を探すのは、本来我輩たちの役目だじょ」
 と、遠い目をするミズタマ。
「ただあの中学に潜入するために便利だから、それに知り合いだからということで頼んだだけで、本来はゆかりんたちが辛い目にあってまでしなければならない仕事ではないじょ。辞めたいなら、辞めていいじょ」
「・・・・ミズタマ」
「我輩は、魔法少女になって楽しそうにしているゆかりんが好きだったじょ。そんな悲しい顔は・・・・見たくないじょ」
 ベッドから出窓に飛び移り、窓を開けて外に飛び出すミズタマ。
「夜風にあたってくるじょ・・・・」
「ミズタマ!」
 ゆかりが窓から外を見ると、駆けて行くミズタマの背中が見えた。
(アニメや漫画の魔女っ子は、華麗な魔法で戦って美しく敵を倒すけど、現実は違う。戦うって、もっと辛くて、悲しくて、嫌なことなんだ)

 コンコンと窓を叩く音が聞こえ、透子は家庭用ゲーム機のコントローラーを置いた。もちろん、ポーズ機能で一時停止させるのを忘れずに。
「誰?」
「エリックだじょ」
「ミズタマ君?」
 透子がロックを外して窓を開けると、ミズタマがひょっこり顔を覗かせた。
「どこから来るのよ、ここ2階よ? ちゃんと玄関から訪ねて来て」
「喋るウサギが堂々と訪ねて来ていいのか?」
「冗談よ、入って」
 透子に促され、窓から部屋にお邪魔するミズタマ。その際、足の裏をハンカチで拭くことを忘れなかった。以前、そのまま入って透子に怒られたことがある。
「こんな時間に何の用?」
 透子の出したクッションに座ったミズタマは、キョロキョロと部屋を見渡した。
「どうしたの?」
「汚い部屋だな」
 ボカ、ともう1つのクッションがミズタマの顔面にヒットし、彼は見事にひっくり返った。
「本当のことだじょ!」
「言わずもがなのことを改めて言われるのって腹が立つものね」
「乱暴だじょ・・・・」
 ミズタマは体勢を立て直し、再びクッションに座った。
「手加減したのよ、あたしが本気でクッションを投げたら、今頃あんたの首がないわ」
「恐ろしいジョークはいいから、リチャードはどこだじょ?」
「リチャードなら、また自分の世界に戻ってるわ」
「え、我輩に何も言わずにか?」
「言う必要がないか、言いたくないかのどっちかね」
「・・・・」
「彼も責任を感じてるのよ」
「そうか・・・・」
「ねぇミズタマ君、君は知ってるの? あたしたちが探してる宝玉って、本当は君たちの世界の宝物じゃないんでしょ?」
「・・・・どうしてそれを?」
「水無池芽瑠って子も、自分たちの世界に必要なものだって言ってた」
「・・・・」
 ミズタマは少しの間黙っていたが、やがて口を開いた。
「詳しく言うと『無の玉』は我輩たちの世界の宝ではない」
「無の玉は、って?」
「我輩たちの世界にあるのは『陽の玉』。この世界にあると言われているのが『無の玉』。そしてダークサイドにあるらしい『陰の玉』」
「その3つの世界にある三宝玉を集めると?」
「我輩にも分からないじょ。ただ『世界を統一出来得る偉大なる力が出現する』という言い伝えしか知らないじょ」
「抽象的ねぇ。どこかのエセ宗教の勧誘みたい」
「宝玉の伝説をそんなのと一緒にするなぁ〜!」
 ちょっぴり憤慨気味なミズタマを横目に、透子は「何か飲み物でも持って来るわね」と席を立った。
「あ、おかまいなくだじょ」
「ミズタマ君はウサギだから・・・・キャベツでいい?」
「ケーキか何かないのか」
「贅沢ね」
 透子が部屋を出て行ってから、ミズタマは改めて部屋中を見渡した。
 ベッドには脱ぎ捨てられたパジャマの上着。ズボンはベッドの下に落ちていた。その横には昨日着ていたであろう半袖のシャツ。その横には畳まれ積み重ねられた洗濯物がドンと置かれている。一番上には下着らしきものが乗っていた。
(なぁんか・・・・飾り気のない下着だじょ)
「興味あるの?」
「はぅ?」
 ミズタマが振り向くと、透子がお盆を持って立っていた。足音もドアが開く音も聞こえなかったので、そ〜っと開けて入って来たに違いない。
「い、いや、別に下着を凝視していたわけじゃないじょ」
「スカーフの代わりに巻いて帰ろうとか・・・・」
「思ってない、思ってない。こんなものには全然興味ないじょ!」
「・・・・それはそれで悲しいかも」
 お盆をちゃぶ台の上に置きミズタマに紅茶を勧めた透子は、ポテトチップ(わさび明太子味)の袋を開けた。
「リチャードに何の用だったの?」
「リチャードだけでなく、透子にも聞いて欲しいことだじょ」
「・・・・ゆかりのことね。辞めたいって?」
「ゆかりんが言ったのか?」
「ううん、聞かなくても分かるよ」
 パリパリとポテトチップを食べる音が響く。
「ゆかりんは魔法少女を辞めたいって言ったじょ」
「で、ミズタマ君は何て答えたの?」
「・・・・好きにしていいって言ったじょ」
「ふうん。あ、ポテチ食べた手でクッションを触らないでね」
「分かったじょ」
「だったらあたしも辞めるよ」
「だろうな。あちっ」
 紅茶をすすったミズタマだったが、思いのほか熱かったようだ。
「ミズタマ君たちはそれでいいの?」
「良くはないじょ。ただ・・・・」
 紅茶の水面を見つめてミズタマは小さく息を吐いた。
「あんな悲しそうなゆかりんは見たくないじょ」
「ゆかりは先生の血を見て、怖くなったんだよ。戦うってことは、こういうことなんだって分かっちゃったんだよ。先生が怪我をしたのは自分のせいだって思ってるし」
「すまない。我輩たちも今回の任務を甘く見てたじょ」
 と、頭を下げるミズタマ。
「あたしはいいのよ。適当にやってるし」
「そうなのか!?」
「ゆかりは思い込むとドップリ浸かっちゃうところがあるから。と言っても、熱しやすく冷めやすい部分もあるし、も少し様子を見ましょ」
 ミズタマを元気付ける為なのか何なのか、どっちに転がってもいいアドバイスをする占い師のような発言をして、透子は紅茶をすすった。
「実はダークサイドの名前を聞いた時に思い出した伝説があるじょ」
「伝説?」
「この話はゆかりんにはしていないが、かつてこの世界にはゆかりんや透子のような魔女っ子が存在していたんだじょ」
「へぇ、そうなんだ。いつ?」
「ん〜、そうだな、十年以上も前の話だじょ。我輩たちのようにこの世界にマジカルアイテムを持ち込んだ者がいて、1人の少女にそれを授けたことがあったらしいじょ」
「何のために?」
「この世界に魔物が現れて、その退治をするためだったと伝えられているじょ。だからゆかりんと透子も、ダークサイドに対抗する力になれるかもしれないと思ったが・・・・そんなことは我輩の勝手な思い込みで、無理強いすることじゃないじょ」
「・・・・伝説ねぇ。そんなご大層なものじゃないわ、あたしたち」

 翌朝、ゆかりは目覚ましが鳴る前に目を覚ました。
 目を閉じたまま目覚ましのスイッチを手探りで押し、アラームを解除する。そのまま上体を起こし、ベッドの横のカーテンを開けた。
(眩しいっ)
 雲がほとんどない晴天だった。
 今日は出雲巳弥とお買い物に行く約束をした日だ。約束の時間まで1時間ある。
(ぷにぷにゆかりんって便利だよね。お化粧しなくてもいいんだもん)
 このままのゆかりなら化粧の時間を見越してその分早く起きなければならないが、13歳になると化粧の必要がなくなるので少しでも多く寝られるのだ。
 だが「魔法の孫の手」を返してしまうと、こんな便利なことも出来なくなってしまう。ゆかりが魔女っ子に未練があるのは、こんな理由もあるのだ。
(とりあえず、余計なことは考えずに今日は楽しもうっと)
「お父さん、お友達とお買い物に行ってきま〜す」

 約束の時間を2分過ぎた頃にゆかりが待ち合わせ場所のデパート前に着くと、巳弥は入り口から建物内に入った所の、案内板の前にいた。
「ごめん、遅れちゃった」
「ううん」
 巳弥は手にいつもの麦藁帽子を持っていた。布地は薄そうだが長袖のグレーのワンピースにストッキングという、夏らしからぬ服装だ。巳弥はゆかりの視線に気付くと、申し訳なさそうな顔をした。
「ごめんね、暑苦しいでしょ」
「ううん、そんなこと・・・・」
(暑そう)
 ゆかりは薄いピンクのノースリーブにこれまたピンクのフリル付きミニスカートだが、ここまで来るのにかなり汗をかいた。巳弥の格好だったら、一体どれだけ暑いのだろうとゆかりは考えた。
(ゆかりなら倒れるかも)
「丁度お昼だから、何か食べない?」
 ゆかりは腕時計を見て提案した。
「そうね」
「美味しいお店、知ってるよ。あ、でも、少し外を歩くけど・・・・」
「いいよ、大丈夫」
 巳弥は手に持っていた麦藁帽子を被った。
「ごめんね、格好悪いかな」
「そんなことないよ」
 雨の日以外は登下校時にいつも見ている巳弥の麦藁帽子姿なので、ゆかりの目には違和感がなかったが、やはり街中で麦藁帽子を被っている女の子は珍しかった。かなり大き目の帽子で、巳弥の顔を完全に日差しから守っている。それ故に巳弥の表情を隠し、しかも服装が地味なために、どうしても「暗い娘」という印象を周りに与えていた。
「この帽子は、魔法の帽子なんだって」
「魔法の帽子?」
「お母さんが言ってたの」
「へぇ・・・・」
「私を守ってくれる、魔法の帽子なの」
 確かに、厳しい夏の日差しからは完全に巳弥の顔を守ってくれていた。
(お母さんの形見、なのかな・・・・)
 お昼のランチを食べながら、ゆかりは巳弥に色々と質問責めをしてみた。ほとんど巳弥について知らなかったゆかりなので、聞きたいことが山ほどあった。だがやはり聞きづらいということもあり、家の話題には触れずにおいた。
「どんなテレビ見るの?」
「えっと、歌番組とか・・・・」
「よく聞く歌って何? 好きなアーティストとかは?」
「んと、『パープル』とかよく聞くかな、CD持ってるし。あと『びぃだま』とかナゴンとか」
 こうして聞いていると、巳弥も他のクラスメイトと変わらない。学校にいる時はほとんど口を利かないのに、今日の彼女は言葉数が多く感じられた。
「出雲さん、もっとみんなとお喋りすればいいのに。お友達もきっと沢山できるよ」
「・・・・」
「ど、どうしたの?」
 ゆかりは自分が何か悪い事をいったのかと考えてみたが、思い当たらない。
「いらない」
「え?」
「お友達とか、いらないから」
 顔を伏せて小声で呟く巳弥。
「じゃあ、ゆかりはなに?」
「えっ?」
「もう遅いよ、ゆかり、出雲さんのお友達になっちゃったもん」
「・・・・そう」
 笑っているような、困っているような、フクザツな表情をした巳弥は、心の動きを誤魔化すように黙々と食事をしていた。

「わぁ。可愛い」
「何て種類なのかな?」
 日曜なのに制服姿の女子校生が、商店街の片隅でたむろしていた。1匹の仔犬を囲んで3人の女の子がしゃがみ込み、頭や背中を代わる代わる撫でたり触ったりしている。
「おい、お手!」
「おいおい、無理でしょそれは」
 女子高生の1人が手の平を差し出したので、もう1人が笑い飛ばそうとしたが、仔犬がサッとその小さい前足を出したので、それを見て3人は大喜びした。
「すご〜い! 頭いい!」
「飼い犬かなぁ?」
「や〜ん、可愛い!」
 拍手を受けた犬は、そんな女の子たちに尻尾を振って愛想良く振る舞った。
(ちょっとサービスしてやったら喜びやがるな)
 その仔犬、迅雷が出された女の子の手を舐めると、女子高生はキャッキャと喜んだ。
(おいおい、パンツ見えてるぞ、股を広げるなっての。俺だけじゃなくて通行人にも丸見えじゃねぇか。こういう女の子のパンツは見えても嬉しくないんだよなぁ。何て言うの、普段は簡単に見えないから見えた時に嬉しいっていうのがパンチラの醍醐味っていうか、価値っていうか・・・・何を語ってるんだ、俺)
「ハンバーガー、食べるかなぁ」
 迅雷は鼻先に突きつけられたハンバーガーの切れ端を口にした。
(ったく、色気のないダブダブのパンツ履きやがって。ちょっと顔が可愛いからって、公衆の面前で、平気でガニ股座りする女の子は願い下げだ)
「カナ、飼いたいなぁ。でもカレシ、イヌネコ嫌いだしぃ〜」
(えぇい、妙な喋り方しやがって。こうしてやる!)
 迅雷は3人の中で一番好みの子のスカートの中に潜り込んだ。
「きゃぁぁぁぁ〜!」
 その絶叫で通行人の注目を一斉に受けた女子高生は、慌てて立ち上がって迅雷目掛けて蹴りを放った。
「この、エロ犬!」
 だがその一撃は空を切り、女子高生は見事に引っくり返った。
「いたぁ〜い!」
「カナ、大丈夫!?」
「盛ってんじゃないわよ、この野良犬! ハンバーガー返せ!」
 転んだ拍子にパンモロ状態になって悪態をつく女子高生を尻目に、迅雷は悠々と歩き去った。
(退屈しのぎにはなったな)
 魂の縮小化により本来の姿に戻るまで暫くかかる迅雷は、仔犬の姿で暇をつぶしていた。他の姿でも構わないのだが、女の子に受けがいいというのが彼が仔犬の姿でいる理由だった。
(おや?)
 ピンクとグレーの対照的な女の子2人が迅雷の目に止まった。食事を終え、デパートに向かう途中のゆかりと巳弥だ。
(あれは確かゆかりんと・・・・出雲巳弥。これは退屈しのぎどころではないな。仕事だ)
 迅雷はあくまで一介の犬の振りをして2人に近付いていった。
(出雲巳弥の正体を突き止めなければ)
「あ、ワンちゃん」
 先に迅雷を見つけたのはゆかりだった。てててと小走りに犬に向かって行く。
「こんな所で何をしてるの?」
 両手で犬を抱き上げるゆかり。
(こら、目的はお前じゃない、離せ)
 ジタバタする迅雷を力ずくで押さえつけるゆかり。迅雷はドサクサに紛れて胸を触ってみた。
(何だ、面白くない胸だな。それに比べて出雲巳弥の・・・・あの感触はたまらなかったなぁ。太腿も白くて綺麗だった・・・・)
「こんな所で、何してるの?」
 巳弥がゆかりの抱いている迅雷を覗き込んで話し掛けたので、犬は勢い良く尻尾を振った。
(巳弥、抱いてくれ、俺を抱いてくれ!)
「あ、そうか。君、出雲さんのこと好きだったもんね」
(そうだ、だから早く離せ!)
「でもゆかり達、これからデパートに行くから、一緒に行けないんだ」
(えぇ?)
 ゆかりは抱いていた迅雷を地面に降ろすと、犬に向かって手を振った。
「じゃあね」
(おいおい)
「それじゃ・・・・」
 巳弥も胸のあたりで微かに手を振った。
(くそ、諦めるものか)
 ピッタリと2人の後を追う迅雷。
(こうして見ると本当に対照的な2人だな。ピンクとグレーの色の違いもあるが、ゆかりんはこうしてローアングルから見るとパンツが見えそうなほどのフレアなミニスカート、出雲巳弥はすっ転んでも絶対に中が見えそうにない膝まであるワンピース、しかも黒のストッキングときている)
 迅雷は出来る限り後ろから巳弥に近寄ってスカートの中を見上げたが、危く後ろ足で蹴られそうになって、慌てて下がった。
(これだ、このガードの固さ、これこそパンチラを見ることに価値があるんだ。ようし、絶対に見てやる!)
 既に目的を間違っている迅雷であった。

 12th Love へ続く



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