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タイトル


 24th Revenge 「悪い人が多過ぎる」


 貴美愛はその足で柳原コーポレーションの本社に向かった。夏の日差しが強く、コンクリートやアスファルトからの熱気が貴美愛を襲って来る。
(姫、代わりましょうか?)
 烈が汗だくの貴美愛に声を掛けた。
(僕が出てリュックを背負いますから、姫はリュックの中に)
「リュックの中は暑くないの?」
(快適とは言いませんが、リュックの魔力で温度調節はされています。汗をかかない程度かと)
「そうね・・・・お願いしようかしら」
 今までは「自分が主人」であるという自覚から、三人をリュックに入れて自分が背負うと決めていた貴美愛だったが、都会特有の熱気にさすがに根を上げた。烈も見掛けは頼りないが、自分よりはマシだろうと思った。
 リュックへの出入りを誰かに見られてはまずい。貴美愛は人通りの少ない路地に入り、建物の影を見付けてリュックを下ろした。
「あ、おーい!」
 誰かが自分を呼ぶ声がする。その声に聞き覚えがある貴美愛は、恐る恐る振り返ってみた。
「偶然だねぇ、我が同志!」
 見紛う事もない巨体と萌えキャラTシャツは、国守宅也だった。
「更に暑苦しいのが出て来たわね・・・・」
「ん? なに?」
「・・・・はぁ」
 貴美愛は目を逸らした。暑苦しさで倒れそうだったからだ。リュックに入れると思っていたところだったので、更に疲労が増大した。
「ねぇねぇ、どうして連絡くれないの?」
(連絡先を聞いてないからよ)
 貴美愛は宅也の馬鹿さ加減を忌々しく思った。
「仲間なんだからさぁ、早く僕にもマジカルアイテムをくれないかなぁ」
「・・・・いつ、あげるなんて言ったかしら」
「え〜? でもみんな持ってるんでしょ? 僕も仲間なのに」
 宅也が考えた「素晴らしい作戦」では、まず貴美愛達を倒さなければならない。その上で真樹も倒し、ナナを手に入れるのだ。宅也自身は喧嘩が弱いし体力も特技もない。貴美愛らに勝つ為にはマジカルアイテムは必須だ。
(姫、こいつ片付けていいっすか)
 リュックからイライラした兇の声が聞こえた。
(個人的には許可したいところだけど・・・・)
 暑さと暑苦しさで、貴美愛もそうしたい気がしてきた。この際、人道的な事は考えなくていいように思える。
「マジカルアイテムをくれたら、僕がナナちゃんをやっつけてあげるよ」
(と言ってマジカルアイテムを頂く。僕って頭いい!)
 宅也は太い手を差し出した。顔には汗が流れていた。
「・・・・」
 貴美愛は黙ってリュックに手を入れると、手の平に収まる程度の四角い物体を取り出した。
「あげるわ」
「え、くれるの? やったー!」
 貴美愛は宅也の手に触れないように気を付けながら、その物体を渡した。
「これは?」
 宅也は受け取った物をマジマジと見た。
 金属で出来た箱に、赤・黄・緑のランプが付いている。
「何これ?」
「マジカルシグナル。いわゆる信号機ね。マジカルアイテムよ」
「へぇ・・・・」
 これで魔法が使えるのか、と宅也はその箱を握り締めて、希望を念じてみた。
「・・・・何も起こらないよ?」
「すぐには無理よ。練習しないと。それに、心から願わないと駄目よ」
「心からか・・・・」
「ちなみに何を願ったの?」
「あ、えっとね、カッコ良くなりますようにって」
「・・・・魔法にも限界があるわ」
「そうか、これ以上は無理ってことだね」
「・・・・」
 貴美愛は宅也が冗談を言っているのか本気なのかが分からなかった。
「そのアイテムが上手に使えるようになったら、仲間にしてあげるわ」
「ようし、頑張るぞ! ありがとう!」
 宅也はアイテムを握り締めたまま、貴美愛に手を振って去って行った。
「・・・・日本人の恥ね」
(姫、いいのですか? あんな奴にトランスソウルを・・・・)
「いいのよ、烈。あれは使ってみたけど発動しなかったものだから」
(欠陥品、ということですか?)
「発動しないものにいつまでも念じていればいいわ」
 無駄な時間を過ごした。貴美愛は烈にリュックを背負って貰い、自分はリュックに中に入ろうとした。今までずっと背負っていたので、初めての体験だった。
 リュックの中は真っ暗だと思っていたが、意外と明るかった。これも魔力によるものだろうか。
「いらっしゃい、姫」
 四畳半程度の部屋で、亜未と兇がテーブルを囲んでいた。
「思ったより狭いのね」
 貴美愛も座布団に座る。
「まぁ、リュックの中だからな」
 兇は畳の上に寝そべっていた。
「テレビも何もないから暇だぜ。あぁ、外を見る時はその窓から見てくれ」
 兇が指差した場所には、カーテンが掛けられた窓があった。
「ここから外を見ることが出来るのね」
 今までリュックの中からどうやって外を見ているのだろうと不思議に思っていたのだが、これで疑問が晴れた。
「あっ」
 部屋が揺れた。烈がリュックを背負い、歩き出したのだ。
「結構揺れるのね」
「走られでもしたら、酔うぜ」
 知らない家に来たみたいに何となく落ち着かなく、貴美愛は正座したまま烈の歩行に合わせて揺られていた。


「はぁ、はぁ・・・・」
 紅葉から逃げ出したナナは、自分を監禁していた男と一緒に息を切らせていた。
「日頃から運動はしておくべきだな・・・・」
 男はアスファルトに座り込んでいた。息が相当に荒い。
 ナナを見ると、ロザリオに付けた十字架を大事そうに手に包んでいた。
「・・・・良かったな、取り戻せて」
「ありがとうございます」
 ナナは頭を下げた。
「でも、あなたは、その・・・・」
「職探しでもするさ」
「・・・・ごめんなさい」
「謝るなよ、これは俺の罪滅ぼしだ」
 しばらく二人は息を整えていた。
「しかし・・・・うちの会社は何をするつもりだったんだろう。自分の会社は魔法などには縁のない企業だと思う。いや、魔法に縁のある仕事などないか・・・・」
 サーカスやマジック、演劇などには魔法を有効利用出来るだろうかと考えたが、魔法などという力を使ってしまっては駄目な気がした。自分達の出来る範囲で最大限の工夫をする。そうすることで人は頑張る事とその成果に達成感を感じる。魔法を使う事は「楽な方向への逃げ」なのではないか。
「魔法って、何の為にあるんだ?」
 男はナナに訊いてみた。
「何でしょうね。あたしにもよく分かりません」
 だが男にとっては意外な言葉が返ってきた。
「犯罪者を捕まえたり怪我をした人を治療したり。そんなところです」
「そうなのか? もっとこう、楽をしたりとか・・・・瞬間移動とか、お金を出すとか」
「瞬間移動は限られた人にのみ許されています。みんなが使えば交通機関が儲かりませんから。お金はもちろん、物を作り出すことは禁止されています」
「じゃあ魔法って、その・・・・何だか、思っていたより制限だらけなんだな」
「そうしないと世界が崩壊するんです」
「そうかもしれないな・・・・誰もが私利私欲で魔法を使えば、大変なことになる」
 紅葉は何に使うつもりだったのか? 盗んでまで手に入れようとしたのだ。良い事をするためとは考えられない。
 企業の為にしろ、誰か特定の個人にしろ、私利私欲以外の使い道はないだろう。
 男は改めて「良い事をした」と思った。そして危惧もある。
 紅葉はこれで諦めるのだろうか?と。


 貴美愛は焦っていた。
 柳原コーポレーションの本社にセルフ・ディメンションを張って侵入したのだが、目的の柳原泰造社長がどこにもいないのだ。
(昨日もいなかった・・・・しかも)
 色々な場所で聞き耳を立ててみたが、出張の予定はなかったらしい。しかも、秘書すらも社長の行方を知らないようなのだ。
 秘書室に侵入して「どこへ行かれたのかしら」という独り言を聞いた。誰も聞いていない独り言で嘘は付かないだろう。つまり、秘書も本当に知らないのだ。
(会社を放って、一体どこへ?)
 貴美愛はあの夜の出来事を思い出していた。
 メビウスゲート前で起こった、エミネントの拉致。
 柳原に先を越された、という台詞。
(そうだわ、あの時の男達が付けていた社章・・・・「K」のバッヂ、あれはKUREHA・・・・)
 柳原に先を越されたという紅葉。
 紅葉はナナからマジカルアイテムを奪って、何をしようとしたのか?
 そしてエミネントを拉致した柳原も、おそらく目的はトランスソウルだ。
(この二つの会社が、トランスソウルを手に入れようと動いている・・・・社長はその後、行方不明)
 柳原泰造もまた、トランスソウルに絡んで動いているのか。しかもそれは社内でもごく一部の者だけが知っている極秘事項らしい。
(どうやらエミネントの魔法が、つまらない事に利用されようとしているみたいね)
 だが貴美愛にとってそれはどうでもいい。
 恨みのある柳原泰造に復讐すればそれでいい。
(何とかして、居場所を突き止めないと)
 貴美愛が柳原の本社ビル内をほぼ踏破し、何の手掛かりも得られないままロビーに下りて来ると、受付で何やら言い争う声が聞こえて来た。
(何かしら)
 貴美愛は立ち止まり、受付嬢と話している人物を見た。背は高いが、まだ若い女性だ。貴美愛はその声を聞き、それが誰であるかを理解した。
「ですから、娘の私に父の行き先を教えないのはどういうことですか?」
「何度も申し上げております通り、社長は行き先を告げずに出張されまして・・・・」
「そんなおかしな話がありますか? 社長が不在の間に何か問題が起こったらどうするんですか?」
「それは副社長に一任されておりますので・・・・」
「誰も知らないはずはないわ。運転手は? 父は歩いて五分の場所でも車を使う人よ。柴崎さんはどこ?」
(あれは・・・・!)
 受付嬢を相手に言い争いをしているのは、柳原雪華だった。
 雪華は柳原泰造の娘であることは、貴美愛もよく知っている。受付譲と言い争っているのを見ると、彼女も泰造の行方を知らないようだ。
 だがそんなことより、貴美愛は雪華が所持している物に目を奪われていた。
 テニスのラケット。カバーは雪華の持ち物だが、外に出ているグリップの部分に貴美愛は見覚えがあった。
(あれは広沢美雪に渡した、マジカルラケット・・・・)
 カバーを被っているので特徴的なガットの部分は見えない。雪華はテニス部なのでテニスラケットを持っているのは不自然ではないが、この場には少々不似合いだ。
(委員長が何故、マジカルラケットを)
 美雪が雪華に渡したか、雪華が美雪から奪ったかのどちらかだが、おそらく前者であろう。所持していることが怖くなり雪華に相談した、そんなところだろうと貴美愛は推測した。
(広沢さんを信じて渡したのに、裏切られた・・・・とは思わないわ。彼女は心が弱い。こうなることは予想出来たもの)
 もし第三者の手に渡ったとしても、貴美愛が認めた所有者のみがその使用を許される。そのように禍津夜光がロックを施しているのだ。
 雪華をマークしても柳原泰造には辿り着けそうに無い。貴美愛はディメンションを小さく張ったまま雪華の横を通り抜けた。
「父は昨晩、家に帰っていません。娘として心配するのは当然だと思いますけど」
 雪華は父の事を心配などしていないが、「父親を心配する娘」を演じれば父の居場所を聞きだせるのではないかと思い、出任せに言ってみた。
「お嬢様の心配は良く分かりますが、こちらとしましても・・・・」
 だが雪華への対応に現れた専務も、同じ答えを繰り返すのみだった。
(・・・・?)
 雪華は突然、振り返った。
(何だ・・・・?)
 何もない。何も通り過ぎていないはずだが、雪華には「何か」が感じられた。
(気のせいか・・・・)
 雪華は知る由も無いが、その視線の先にはセルフ・ディメンションで異空間に入り込んだ貴美愛がいた。貴美愛は雪華の視線を真っ直ぐに見返した。
(感じるのかしら? トランスソウルを持っているから? それとも・・・・)
 貴美愛は踵を返した。
「素質・・・・かもしれないわね。私と同じように」


「ナナちゃんっ!」
 当てもなくナナを捜していた真樹、陽、そして寧音と泉流が星澄家に到着したのはほぼ同時刻だった。真樹は母の芳江から、陽と寧音、泉流は真樹から「ナナが帰ってきた」と連絡を受け、星澄家に集合したのだった。
 真樹が帰って来ると、ナナはダイニングの椅子に座り、ミルクを飲んでいた。
「真樹さん」
「良かった、無事だったん・・・・」
「ナナちゃ〜ん!」
 真樹は後から来た寧音に押し退けられ、言葉を最後まで言えなかった。寧音はナナの手を握り、早口で色々と捲くし立てていた。ナナは対応に困ったが、それだけ寧音が自分の事を心配してくれていたのだということは良く伝わってきた。その後ろで陽は微笑み、泉流は目頭を押さえていた。
「ナナちゃん、帰ってるの!?」
 そこに咲紅も飛び込んできた。ナナのディメンションを察知して追って来たらしい。
 寧音が少し落ち着いてから、ナナは昨日からの経緯を説明した。説明が終わるまで、一同は黙ってナナの話を聞いていた。
「そのKUREHAがトランスソウルを手に入れて、何をしようとしていたのかが気になるわね」
 咲紅が暗い面持ちで言った。
「トランスソウルを手に入れようとしてナナちゃんを誘拐したのは、エミネントとこちらの世界に交わされた協定に反する。その件はいずれ問題にしないといけないとして、それより先に片付けないといけないこともあるし・・・・あぁでも、そういうことは早く問題提起しておかないと後々だと面倒だし・・・・」
 咲紅は頭を抱えた。
「咲紅さん、例のエミネントからの助っ人は?」
 ナナの問いに咲紅は眉をしかめた。
「いないのよ、どこにも。ユーキ君に聞けば『確かに送った』って言うし、メビウスロードの前には争ったような形跡があるし・・・・」
「あたしのように、誘拐されたという可能性は?」
「有り得るわね。それも紅葉って会社かしら」
「どうでしょう・・・・あたしが見た限りでは、他に誘拐した人がいるとは思えませんでした」
「別の組織ってこと?」
「その人達がもし誘拐されたのなら、おそらく」
「あぁ、もう! どうしてこんなにややこしい事が色々と起こるわけ!?」
 咲紅は席を立つと、エミネントと交信すると言って二階に上がった。どうすればいいのか自分一人では答えを出せないので、話し合いをするらしい。
 咲紅が分からないことは真樹達も分からない。ことエミネントとこちらの世界との政治的な外交問題となれば、考えても仕方が無い部分が多過ぎる。
「あの・・・・」
 泉流はマジカルティアラを取り出し、ナナに貴美愛との事を説明した。
「ナナちゃんが捕まえないといけない小松さんを助けて、逃がしちゃって、更に小松さんの罪が増えて、それって私のせいだから、その・・・・」
「あたしもよく分からないの」
 泉流の言葉を遮り、ナナはテーブルの上に置いていた新聞を拡げた。先程まで読んでいた夕刊だった。
「悪徳金融の社長が飛び降り自殺。その前の自動車転落事故。これは多分、小松さんの仕業だと思うの」
「小松さんの?」
 真樹は新聞の記事を覗き込んだ。昨日からナナを捜していた為、新聞もニュース番組も見ていなかったのだ。
「新聞には書いていませんが、幻影に怯えていたという証言があります。それが小松さんの魔法によるものかと」
「小松貴美愛もこの会社に何らかの恨みがあったということか」
「ワイドショーを見ていると、この崎谷金融の取立てがいかに酷いものだったかということが分かりました。あまりの酷さに夜逃げをしたり、それこそ一家心中をする家庭もあったそうです。もちろん、取立てが全ての原因だったかどうかは分かりませんが・・・・」
「崎谷金融が潰れたお陰で、助かった家庭はかなりの数になるそうよ」
 朝からワイドショーを見ていた芳江が付け足した。芳江もナナの事が心配だったのだが、魔法がらみだと危険だと言うことで咲紅に「家にいるように」と強く言われていた。芳江は落ち着かないままテレビを見ている以外になく、朝からのワイドショーに出た話題はほぼ網羅していたのだ。
 もちろん借金はなくなるわけではない。残った借金は代わりの機構が取り立てることになるだろうが、今までのような非人道的な取立てがなくなるのは確かだ。
「自殺って言えば、卯佐美西総合病院のお医者さんも車に飛び込んだらしいわよ」
 その医師は目に見えない何かから逃げるように道路に飛び出し、車に轢かれたのだと目撃者は証言していた。見えない何かに怯えるというのは、崎谷金融の社長と類似する。
「それも小松さんか?」
 その記事は夕刊には間に合っていない。テレビを点けると丁度その報道が流れていた。逮捕された運転手も「何かに追われるような感じで飛び出して来た」と証言しているようだ。
「こんなことを言ったら、いけないのかもしれませんけど・・・・」
 ナナは新聞の記事に視線を落としたまま言った。
「小松さんのしていることって、悪い事じゃない気がするんです」
 そのナナの言葉に、誰も言葉を発しなかった。
「あ、もちろんトランスソウルを盗んだり、校長先生を酷い目に逢わせたり、色々と悪いことはしています。でも・・・・」
「ナナちゃん」
 真樹は少し優しい口調で言った。
「ナナちゃん、前に言ったよね。一つでも悪いことをすれば、その人は悪い人だって。それがエミネントの考えだって」
「それはそうです、でも」
「そう。でも、そうなんだよ」
「・・・・?」
「良い人だって、見方によっては悪い人になる。逆ももちろんあるよ。良い人は良いことばかりするわけじゃないし、悪い人も悪いことばかりしているなんてことはないはずだよ」
「でも・・・・」
 ナナは何か言い返そうとして、言葉が見付からなかった。自分の中でも答えが見付からない状態だった。
 今日のところはナナが無事で良かった、ということでその場は解散になった。陽、寧音、泉流はそれぞれ家に帰り、芳江は夕飯の用意をすることにした。ナナは手伝うと言ったが、芳江が「いいから」と台所から追い出された。
「ナナちゃん」
 エミネントとの通信はどうなったのか、咲紅の様子を見ようと階段を上がり掛けたナナに真樹が声を掛けた。
「君がこの世界を嫌いになるのは仕方ないと思う。今までのこともあるし、誘拐されたりマジカルアイテムを奪われたり・・・・この世界が信じられなくなるのも当然だと思う。でも・・・・」
「分かってます」
 ナナは自分を助けてくれた男の事を思い出した。
「悪い人ばかりじゃないって、分かってます。真樹さんや陽さん、寧音ちゃんや泉流ちゃん、お母さんもみんないい人です」
「そ、そう、ならいいけど」
「でも・・・・」
 ナナは目を伏せた。
「悪い人が多過ぎます」
 真樹もそう思う。だから何も言い返さなかった。



25th Revenge に続く




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