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タイトル


 8th Revenge 「ライター」


 一方、貴美愛を追う面々の中で、巳弥がその姿を発見した。
(いた、あの子ね)
「待って!」
 貴美愛とは先程出会って、会話を交わしている。まさかこの数分間で、自分が貴美愛をトランスソウル不法所持者であるという事情を知ったとは思いもよらないはずだ。そう読んだ巳弥は貴美愛に堂々と話し掛けることにした。
「何でしょう? まだ何か」
「ええ、ちょっと時間、ある? 学校での祖父の話を聞かせて貰えないかと思って」
「・・・・ごめんなさい、時間はありません」
「そう・・・・」
(トランスソウルは・・・・あの微量の魔力を感じる、リュックの中かしら)
 咲紅らを呼ぶべきかどうか、巳弥は迷った。相手は今、自分を警戒していない。貴美愛一人なら捕らえることは可能だろう。
(あのリュックさえ取り上げれば・・・・)
 話を聞かせて欲しいと提案し、貴美愛がOKであれば喫茶店にでも誘おうと思っていた。席に着く時はリュックを下ろすだろうと思ったからだ。
(何とかして、あのリュックを・・・・)
「ええ、そうね」
 巳弥は何も言っていないのに、貴美愛が誰かに返事をするような発言をした。リュックの中から烈が、巳弥には聞こえない心話を送ったのだ。
 貴美愛が巳弥を見る。明らかに警戒心の篭った目だ。
(バレた?)
 巳弥は貴美愛と距離を置いた。相手の能力は未知数だから、警戒されてしまった今、強引に捕まえるには危険が大きい。
「校長は只者ではなかった。とすれば、孫娘であるあなたにも当然何かあると考えるのが普通でしょう」
「・・・・大人しくマジカルアイテムを渡しなさい」
「あなたもエミネント?」
「違うわ」
「・・・・まぁどうでもいいわ」
 その時、リュックから烈が飛び出し、貴美愛の前に立った。巳弥は予期せぬ烈の登場に、更に距離を取るべく後ろに下がった。
「姫、ここは僕が」
「待って、ディメンションを張るわ」
 貴美愛の手に本が現れる。
(あれがあの子のマジカルアイテム? それに、リュックから出て来たこの子は・・・・)
 巳弥は咲紅から、烈らの話は聞いていない。烈が出て来たリュックの中にいる者は一人とは限らない、と巳弥は警戒を強めた。
「!」
 キーンという、耳に不快な音が聞こえた。
(これは・・・・オタ空間!?)
「セルフ・ディメンションを張ったわ。これで私を中心とした半径十二メートルで起こる出来事は、外部から見えることはない」
 烈が両手にライターを取り出す。
「正体を明かして貰いましょうか」
「・・・・」
 巳弥は被っていた麦藁帽子を取り、右手に持った。
(五年振り・・・・か。ニ度と使わないと思ったけど)
「さぁ、行きますよ!」
 烈が両手のライターを巳弥に向けた。
「燃えてしまえ!」
 だがマジカルライターから火が噴き出すことはなかった。ライターを操作しようとした烈の両手が、目に見えない何かに動きを封じられていたのだ。
「くっ・・・・こ、これはっ!?」
「じっとしてなさい、烈」
 貴美愛はマジカルバイブルから栞を抜き取ると、長剣へと変化させた。左手でバイブルを抱え、右手で栞の剣を振り下ろすと、烈の手を封じていた力が抜けた。
「マジカルロープの類ね・・・・」
 貴美愛はそのまま巳弥に剣を向けた。その剣戟を受け止めたのは、巳弥の麦藁帽子が変化したマジカルハットだった。
「ふぅん、あなたもトランスソウルを持っているのね」
「抵抗するなら、手加減しないわ」
「へぇ、面白いわね。烈」
「承知、ファイヤァァ!」
 掛け声と共に、マジカルライターから火柱が伸びた。
「!」
 巳弥はとっさに飛び退き、その炎を避けた。火は巳弥の後ろにあった、誰かのバイクを直撃し、瞬く間に炎上した。
(危ない!)
 巳弥はバイクが炎上したことにより、ガソリンに引火し爆発すると思い、マジカルハットを構えつつ退避した。だが爆発は起こらず、バイクは丸焦げになっただけだった。
(爆発しない・・・・ガソリンが入っていなかった? いえ、あれは普通の火じゃなさそうね)
 続けて、巳弥に向かって剣が振り下ろされる。巳弥はそれをマジカルハット・シールドで受け止めた。貴美愛は剣を引きつつ、巳弥に言った。
「悪あがきはやめて、そのトランスソウルを渡しなさい。そうしたら命だけは助けてあげる」
 貴美愛が操る栞の剣・マルクブリンガーは、あまり腕力のない彼女にも軽々と扱えるほどの重量しかない。だが巳弥のマジカルロープを切断したことから、特殊な力を持った剣であることは間違いない。その切っ先を突きつけられた巳弥は、貴美愛を睨んだ。
「あなたの目的は何? トランスソウルで何をするつもり?」
「その質問は聞き飽きたし、何度も答えたわ」
「分かっているの? この世界とエミネントの間での取り決めで、トランスソウルを許可なく所持したり使用したりしてはいけないのよ。今ならまだ間に合う、大きな問題にならない内に・・・・」
「私が罪を犯している、とあなた達が考える理由は、そんな法があるからよ。法が変われば何の問題もないわ」
「法を変えると言うの? あなたが?」
「法は人を縛る鎖・・・・」
 貴美愛は巳弥の質問には答えず、マルクブリンガーを振り被った。
「悪は滅びればいい。その為の手段は全て正義。それを妨害しようとするあなた達も、新しい世界には不要! 始末してあげるわ」
 貴美愛の剣をマジカルハットが受け止めた。
「あなた、研修に行ったのよね。エミネントで何を学んだの?」
「魔法の素晴らしさよ」
「・・・・違うわ」
「!」
 貴美愛の剣が何らかの力によって弾き飛ばされた。
(何・・・・今のは!)
 貴美愛の目には、一筋の白い物が見えただけだった。その瞬間、右手に激痛が走り、剣が弾け飛んだ。
「!」
 貴美愛の首に、マジカルハットの鍔が突きつけられる。
「あなたが学んだのは、間違った魔法よ」
「な、何を・・・・」
「あなたは人を殺せない。あなたの剣は、攻撃しているように見えるけど私を傷付けようとはしていない」
「違うわ」
「私はあなたと違って、いくつも戦いの場を潜り抜けて来たのよ」
 巳弥の眼差しから、貴美愛は目を離すことが出来なかった。
(何なの、この人は・・・・)
 怯みかけた貴美愛だったが、負けじと巳弥を睨み返した。
「そう、私は殺す気なんかないわ」
「なら・・・・」
「死ぬ時、恐怖や痛みは一瞬。死は、生の苦しみからの開放でしかない。悪への罰は、死であってはならない。永遠の苦しみ、永遠の悲しみ、永遠の痛みを与えてこそ罪を悔いる時間が生まれる。私に言わせれば、死は罪からの逃避に過ぎない。何も感じない。罪悪感も何もかも。そんな楽な罪滅ぼしは絶対に許さない」
「姫!」
 烈のマジカルライターが火を吹いた。火は巳弥と貴美愛が立っている道路、そしてブロック塀を焼いた。
「!」
 巳弥は慌てて貴美愛を庇うように、マジカルハットを等身大にまで巨大化させた。烈はそのシールドに向けて火を放射した。
「姫、こちらへ!」
 烈が地面に落ちたマルクブリンガーを拾い上げ、貴美愛の手を引いた。
「待って!」
 巳弥は貴美愛達を追おうとしたが、マジカルハットの表面が燃えていた。
(まさか・・・・! マジカルハットに火が付くなんて!)
 マジカルハットは形状こそ帽子で普段は麦藁帽子だが、材質自体は不燃性のはずだ。それが燃えているとなれば、この火は特殊な火であるとしか考えられない。バイクが爆発せずに全焼した現象からもそれは明らかである。
 アスファルト、ブロック塀も燃えている。だが道路の上に落ちている木材に火は燃え移っていなかった。
(このままじゃ、マジカルハットが!)
 巳弥はマジカルハットを振ってみたが、火は消えそうにない。
(お母さん!)
 巳弥の背中から複数の白い物体が伸びた。それらの先端が光ったかと思うと、光球が次々とマジカルハットの表面に撃ち出された。
「消えてー!」
 無数の光球が連続で撃ち付けられ、火は飛び散り、やがて消えた。
「・・・・」
 焼け焦げ、光球によって散々打ちのめされたマジカルハットがそこにあった。火を消す為とはいえ、自分で母の形見をボロボロにしてしまった巳弥は、それを拾い上げて胸に抱いた。堪えようとしたが、涙が滲んだ。
 巳弥は貴美愛らが走り去った方角へと足を向けた。貴美愛のセルフ・ディメンションは、所持者である貴美愛を中心に張り巡らされている。彼女が遠ざかった今、巳弥はその空間の外にいた。先程のやり取りは第三者には見えていないが、バイクや道路、ブロック塀は焼け焦げていた。その焦げ跡を見て、巳弥は不審な点に気付く。ブロック塀はブロック単位で焦げており、中途半端に焦げた部分は見当たらない。道路も、最近舗装したと思われる、色の濃いアスファルトに挟まれた部分だけが綺麗に焦げていた。
(火のついた物体のみを焼き尽くす、魔法の火・・・・ということかしら)
 しばらく辺りを捜し回ったが、肝心の二人の姿は見当たらない。火を消すことに夢中になり、時間をロスしたことで逃げる時間を与えてしまったようだ。
 マジカルハットを麦藁帽子に戻してみると、やはり三分の一ほどが黒く焦げてしまっていた。
(お母さん・・・・)


「ひ、姫、大丈夫ですか・・・・」
 体力のない烈は、足がもつれそうになって立ち止まった。その時、貴美愛の手を握ったままだったことに気付き、慌てて手を離した。
「も、申し訳ありません! 姫のお手をその、握ったままで・・・・!」
「いいのよ」
 焦る烈とは対照的に、貴美愛は落ち着いた声で答えた。
「・・・・」
 貴美愛もその場に座り込み、手を地面に付けた。声は落ち着いていたが、その額には汗が幾筋も流れており、真剣な眼差しには怖いものでも見たかのような怯えがあった。
(何なの、あの目は・・・・)
 巳弥の目に恐怖を覚えたが、瞳の奥に見えたものはそれだけではなかった。あえて言葉にするなら、悲しみ、孤独、そして優しさ、慈悲。
 貴美愛にとって、その奥は深すぎて理解することが出来なかった。
(何にせよ、あの人に係わるのは危険・・・・だということは分かる)
 烈も同意見だった。
「あれは魔力ではありません、おそらく妖気です」
「そう言えば、あの校長の時も言っていたわね、妖力がどうとか。やはり孫娘も同じ一族ということね」
「いえ・・・・それが校長よりやっかいかと。そう感じただけなので、あくまで私の客観的な意見ですが」
「・・・・」
 貴美愛は舌打ちしようとしたが、上手く出来ずに断念した。口の中がカラカラに乾いていたのだ。
「心配無用です、姫。僕達三人が姫を守ります」
 烈が右手の拳を胸に当てた。
「君子危うきに近寄らず。あの人は無視して、一刻も早く目的を遂行するわ」
 貴美愛がポケットから取り出した携帯電話を開くと、そこには目付きの鋭い、野性味のある男の写真があった。
(夜光様・・・・目的を果たし、早くあなたの元へ帰りたい)
 この世界の携帯電話はエミネントでは電波が通じず、勿論使えない。だが電話に付いているカメラで写真を撮るのは可能だ。貴美愛は「写真など撮ったことがない」と嫌がる禍津夜光の写真を無理矢理撮影し、待ち受け画像にしていた。
(愛する夜光様・・・・)
「!」
 気が付けば、烈がじっと自分を見ていた。待ち受け画像に見入っていた様子を見られたと思った貴美愛は、誤魔化すように慌てて携帯電話をしまい込んだ。
「さ、行くわよ。時間がないんだから」
「は、はいっ」
 烈がリュックの中に入り込むのを確認し、貴美愛は足早に歩き出した。
(姫、次のターゲットに向かうのですか?)
「そうよ」
 面会謝絶状態の校長は、すぐには動けないだろう。当面の邪魔者は桜川咲紅、神無月奈々美のエミネント組と、校長の孫娘だ。
(私は逃げ切るわ。そして全ての復讐を果たし、夜光様が改革を果たしたエミネントに帰るのよ)
(姫、兇はどうするんですか?)
(・・・・忘れてたわ)


「巳弥ちゃん!」
 ナナと共に貴美愛らを追っていた咲紅が、道に立ち尽くしている巳弥に声を掛けた。
「小松さん達は・・・・」
 返事がないので、咲紅は巳弥の正面に回ると、胸に抱いた、焼け焦げた麦藁帽子が目に入った。
「巳弥ちゃん、それ、ひょっとして・・・・」
「・・・・咲紅さん」
 巳弥が顔を上げた。
「あの子達の事、もっと詳しく教えて下さい」
 断ることも出来ず、咲紅は巳弥、ナナと共に病院に戻った。ロビー等で話をするのは迷惑になるので、真樹を含めた四人は病院の前の喫茶店に入ることになった。
 咲紅はいきさつをかいつまんで巳弥に話した。なるべく早く貴美愛らの身柄を拘束したい咲紅にとって、一人でも人手は多い方がいい。巳弥が手伝ってくれるのは心強いが、逆の気持ちもある。
「これは私達の問題だから、巳弥ちゃんにまで迷惑を掛けたくないの。だってもう、あなた達はとっくに魔法少女を辞めたわけだから」
 咲紅の言う「あなた達」とは誰のことなのか。巳弥以外に誰がいるというのか、ナナと真樹にはさっぱり分からない話だ。
「もう関係ない話じゃありません」
 巳弥は焼け焦げた麦藁帽子に目をやった。
「それに、祖父のことです。祖父があんな風になるなんて、相手は普通の人とは考えられません。あの子達がやったんじゃないんですか?」
「分からないわ。でもその可能性はあると思う」
「え、校長先生って普通の人じゃないんですか?」
 ナナが口を挟むと、咲紅が「後で説明するから」と咲紅に睨まれた。
「だとしたら祖父をあんな目に合わせた人を、放っておくわけにはいきません」
「それはそうだけど・・・・確かに私達に任せて、って自信を持って言えないのが辛い所なのよね・・・・」
「・・・・あの相手なら、何とかなるはずでした」
 巳弥はアイスティーのグラスを握り締めた。
「思ったよりユニゾンが上手く出来なくて・・・・シンクロ率が上がらなくて具現化出来ませんでした」
「仕方ないわ、五年振りでしょう?」
「ユニゾンって、ソウル・ユニゾンのことですか?」
 またもナナが口を挟むと、咲紅は「巳弥ちゃんのは普通のユニゾンとはちょっと違うんだけど」と言い掛け、「長くなるから、後で説明する」と言われてしまった。
「・・・・」
 ナナは自分の分からない話が何度も出て来るので、仲間外れにされているような気がして面白くなかった。
 そしてナナ以上にさっぱり話の内容が分からないのが真樹だ。
(取り敢えず大変なことだって言うのは分かるな)
 真樹としては、黙ってコーヒーをすすりながら話を聞くしかなかった。
「私としては・・・・」
 巳弥は飲み干したアイスティーのグラスを置き、姿勢を正した。
「祖父のこともありますから、単独行動を取らせて頂きます」
「私もそれがいいと思うわ。あの、他の人には・・・・」
「彼女達はもうマジカルアイテムを手放しています。声を掛けるつもりはありません」
「そう、そうよね」
 咲紅は自分に言い聞かせるかのように、何度か頷いた。
「病院に戻ります」と巳弥は席を立った。レシートを取ろうとした巳弥に、真樹は「払っておくよ」と言ったが、巳弥は財布から自分の分の代金を置き、出て行った。
「咲紅さん」
 巳弥が店を出てすぐ、ナナが口を開いた。
「大丈夫なんでしょうか?」
「何のこと?」
「あの巳弥さんって人です」
「彼女は・・・・」
 咲紅はアイスミルクティーを一口飲み、一呼吸置いた。
「私より強いわ。戦いにおいても、精神的にもね。ただ数年振りってことで、感覚はすぐには戻らないみたいだけど」
「そういう心配じゃありません。その・・・・」
 ナナは言っていいのかどうか、少し逡巡した。
「あの人にとって、小松さん達は校長先生をあんな目に遭わせた犯人ですよね。当然恨んでいるだろうし、今度逢ったら小松さん達に対して手加減しないんじゃ・・・・」
「ちなみにあの焼け焦げた麦藁帽子は、彼女のお母さんの形見よ」
「え? だったら、尚更・・・・」
「彼女が小松さんに対して、かたきを討つってこと?」
「その可能性もあるのでは・・・・そうなったら、拘束が任務であるあたし達が困るんじゃないかと思って」
「彼女はそんなに短絡的じゃないわ」
「・・・・」
 ナナは、咲紅が巳弥をそれほどまで信頼していることが面白くなかった。
「誰なんですか、あの人。ひょっとして、五年前のことに関係があるんですか?」
 五年前のこととは、エミネントとこの世界が交流を始めるきっかけとなったと言われている出来事のことだ。だがその詳しい内容は、エミネントでもごく一部の者しか知らない。ナナも例外ではなく、ただ咲紅を始め、数人の管理局関係者がその件に係わっていたということは噂で聞いていた。
「何があったんですか、五年前。咲紅さんと、巳弥さんも関係があるんですよね?」
「ナナちゃん、そのことは部外秘だって知ってるでしょ?」
「どうしてですか、交流を持つようになったきっかけでしょう? 何を秘密にする必要があるんですか?」
「とにかく極秘事項なの。私は何も答えないわよ」
 五年前の出来事は、エミネント管理局の威厳に係わる事なので、関係者には口止めされている。エミネントの権威、正義、象徴のシンボルであり、統率者の修法(ずほう)を始めとする幹部が、異世界の小娘達に敗北したという事実が知られることは、管理局の沽券に係わる。エミネントを統率する為に、管理局は揺らぐことのない、絶対なる威厳でなければならないのだ。
「あたし、誰にも言いませんから」
「駄目」
 咲紅は頑として答えるつもりはない様子だった。
「・・・・咲紅さん、巳弥さんのことは信用して、あたしのことは信用してないんですね」
「あのね、ナナちゃん・・・・」
「もう、いいです」
 ナナはふてくされたように残ったミルクを飲み干すと、ソファに深く腰掛け、独り言のように呟いた。
「・・・・信用してくれないと、一緒に仕事出来ない・・・・」
「信用してるわよ、でもね、五年前の出来事はトップシークレットなのよ」
「それなら・・・・ゆかりさんって知ってますか?」
「えっ?」
 咲紅の心臓が跳ねた。
(ど、どうしてナナちゃんが姫宮(ひめみや)さんの名を知ってるの?)



9th Revenge に続く




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