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タイトル


 6th Revenge 「悪夢」


「・・・・?」
 意識を取り戻したナナは、眩しい光に思わず目を細めた。どうやら布団の上に寝ているらしい。目の端に何かが引っ掛かり、誰かが座っているのだと気が付いた。
「や、やぁ」
「真樹さん?」
 夢かと思ったが、布団の肌触りや照明の眩しさは本物っぽい。
「目が覚めた? ナナちゃん」
 咲紅が寝ているナナの顔を覗き込んできた。
「・・・・」
 ナナはいまいち状況が把握出来ない。確かうさみみ中学の教室で炎に包まれたところまでは覚えている。
(咲紅さんが目の前に現れて・・・・)
 記憶がそこまでしかなく、自分がこうして寝ているということは、咲紅に助けられたということだ。
「こ、小松さんは?」
 咲紅は無言で首を振った。
「逃げられた・・・・んですね、あたしのせいで」
「それは違うわ、ナナちゃん」
「違いません。あたしが倒れていなければ、小松さん達を追うことが出来たはずです」
「ナナちゃんを放って?」
「あの場合は小松さん達を追うことが先決でした。あたしに構わずに追っていれば、任務は遂行出来たかもしれません。言いましたよね、もうお荷物になるのは嫌だって」
「でもね・・・・」
 咲紅が何か言い返そうとした時、真樹が手でそれを制した。
「ちょっと、いいですか。ナナちゃんと二人で話をさせて貰って」
「え、ええ、構いませんけど・・・・」
「申し訳ないですけど、外へ・・・・母さんも」
 真樹の真剣な目を見て、咲紅と芳江は部屋を出た。部屋の中には正座している真樹と、寝ているナナの二人だけになった。ナナは蛍光灯が眩しいのか、真樹と顔を合わせたくないのか、目を逸らしていたが、真樹がなかなか喋りださないので、横目で様子を伺ってみた。
「また、会ったね」
「・・・・迷惑ですよね」
「いや、嬉しい」
「嘘です。だってあたしは、こんな風に面倒事ばかり持って来て・・・・」
「例え面倒事ばかりやって来たとしても、ナナちゃんが一緒ならそれでいい」
「・・・・?」
 ナナと真樹の目が合った。
「ナナちゃんに恩返しがしたい。同時に、償いがしたいんだ」
「どうして真樹さんが?」
「手短には上手く言えないけど、力になりたいんだ」
「・・・・」
「あ、今、全然役に立たないって思った?」
「い、いえ、そんなことは・・・・」
「いいんだ、その通りだと思うから。役に立たないけど出来るだけ役に立ちたい。これは俺のわがままだ」
 ナナは目を閉じ、しばらく黙っていたが、やがて口を開いた。
「あたしもこの世界で、色々と遣り残したことがあります。でも時間がないんです。今の任務を早く終えないといけないし、それなのに倒れて、迷惑をかけて・・・・」
「咲紅さんは、目の前でナナちゃんが倒れたから助けた。それだけだよ」
「でも・・・・」
「話は聞いた。ナナちゃんは咲紅さんがやられた時に助けたんだろう? その時は咲紅さんを助けたい一心だった、最善の方法なんて考えている暇なんてなかった。それと一緒だよ。咲紅さんは言ってた。理屈では仕事が優先だって分かっている。だけど、人は理屈だけじゃ動けないんだって。だから自分は出世出来ないんだって、苦笑いしてた」
「・・・・」
「俺だって、倒れているナナちゃんを放って仕事を優先したら、きっと後悔すると思う。咲紅さんはこうも言ってた。かつて心が弱かったから負けたことがある。だから自分が間違いないって決めたことは、貫かないといけないんだって。ナナちゃんを助けないといけないと思ったから助けた。だからそれでいいんだって」
「・・・・」
「俺の目標は一つだ」
「目標?」
「ナナちゃんの笑顔を見ること。それが俺の願いだ」
「笑顔・・・・?」
「作り物じゃない、心からの笑顔だよ」
「心から・・・・」
 その時、きゅるるという音がナナのお腹から聞こえて来た。
「あ・・・・」
 思わずお腹を押さえる。
「いい匂いがしてるから・・・・」
「カレーを作ったんだ。咲紅さんに、君が好物だって聞いたから」
「真樹さんが作ったんですか?」
「口に合うかどうか分からないけど。食べる? そろそろ食べ頃のはずだよ」
「・・・・はい」


 真樹が作ったカレーを、ナナは「美味しいです」と言って食べてくれた。沈んでいた表情も少し和らぎ、真樹と芳江は安堵した。その後、ナナと咲紅はお風呂を頂き、ナナが使っていた部屋に布団を敷いて、二人の寝床は確保された。
 咲紅は鏡を見ながらピンクの髪を梳いていた。
「暖まったねぇ」
「いいんでしょうか、こんなにゆっくりしていて」
「焦っても仕方ないわよ。それよりナナちゃんはちゃんと体調を戻しなさい。元気になったらバリバリ働いて貰うんだから」
「・・・・はい」
「小松さんが他に行きそうな場所は?」
「分かりません。明日は小松さんをよく知っている人に、立ち回りそうな所を聞いて回ろうと思っています」
「二人で行動した方がいいでしょうね。一人では捕まえるのは難しいわ。彼らが持っているトランスソウルがやっかいね」
 二人は敵のトランスソウルの能力について分かっていること、推測できることを挙げることにした。そこに丁度真樹が廊下を通り掛ったので、ナナは部屋に招き入れた。真樹にも意見を聞こうと思ったのだ。
「そ、それじゃお邪魔します」
(あの時の家庭教師みたいだな)
 だが今日は二人きりではなく咲紅が一緒だ。
「ナ、ナナちゃん、パジャマ姿なのに!」
 咲紅が真樹を見て、慌ててナナの後ろに隠れた。
「何か問題でも?」
 ナナはパジャマ姿を見られたくらいではどうと言うこともないが、咲紅は違うようだ。男性にパジャマ姿を見られることなど、今までになかったのだろう。
「咲紅さん、そのパジャマ、変じゃないですよ?」
「そ、そういうことじゃなくて・・・・」
 ナナと違い、咲紅は「お年頃」のようだ。ナナもそういう年齢のはずだが、どうやらまだ色気付くには早いらしい。
「あ、あの、迷惑なら失礼しますけど」
 咲紅の反応を見ると、真樹も堂々とはしていられなかった。だがナナは「いいんですよ」と真樹に言った。
「咲紅さん、真樹さんはライトですがオタクです。アニメやゲームに詳しいので、きっと力になってくれます」
「ど、どうしてそれが力になるの?」
「格闘物とかでは、色々な超能力を持ったキャラクターが登場します。特徴をお話すれば、その能力の正体、弱点も分かるかも知れません」
「ちょ、ちょっと待った」
 ナナの得意げな口振りを聞き、真樹は焦って口を挟んだ。
「現実とアニメは違うんだから。本物の魔法なんて理解できるはずがないよ」
「事実は小説より奇なりです」
「いや、それは使い方がちょっと間違ってる」
 言葉の意味を説明していては長くなる。真樹は部屋にいていいのかどうか判断に迷った。咲紅はどうも自分を部屋に入れるのは反対らしい。
 頬が薄紅色に染まった咲紅を見て、可愛いと思ってしまう真樹だった。
「気にしなくていいですよ、いつもこうして真樹さんに色々教えて貰ってましたから」
「ナ、ナナちゃん、いつもこんな格好で!?」
「パジャマは変でしょうか」
「・・・・そ、そう思うけど」
(そうか、ナナちゃんはまだ子供だからね・・・・男の人の視線とか、感じたことがないのかもしれない)
 咲紅は改めて自分のパジャマを眺めた。そう言われればただのスウェットスーツのようにも見えるし、特に生地が透けているわけでもない。必要以上に恥ずかしがることもないだろうと思い直した。
「あの、迷惑なら出て行きますよ」
 真樹が控えめな態度で言うと、咲紅は「大丈夫です」と答えた。
 テーブルを囲み、ナナ、咲紅、真樹が座る。ナナはまず紙とペンを取り出し、名前を書き始めた。
 真樹が聞いた内容をかいつまんで話すと、次のようになる。
 ナナ達が追っている小松貴美愛は卯佐美第三中学の生徒で、研修目的で留学したエミネントでトランスソウルを手に入れ、復讐をする為にこの世界に戻って来た。この世界にトランスソウルを持ち込むことは禁止されているので、その時点で貴美愛は既に犯罪を犯していることになる。これ以上罪を重ねさせない為にも、身柄を確保する必要がある。
 貴美愛の所持しているトランスソウルは聖書型、いわば「マジカルバイブル」だ。その能力はまだ不明だが、ナナと対峙した時に取り出した栞型の剣は、マジカルバイブルの付属品なのか、または本自体が剣の鞘に過ぎないのか。
 更に貴美愛の背負うリュックの中に入っているエミネントが問題で、咲紅のアブソリュート・ガードを貫通した拳を持つ「兇」と呼ばれていた少年。おそらくトランスソウルであるあのナックルの能力もまだ不明瞭だ。兇自身の好戦的な態度が高い危険度を感じさせる。
 そしてナナがうさみみ中学で戦った「烈」という少年。烈自身の線は細いが、ライター型のトランスソウルから噴出す炎がやっかいだ。目標物のみを焼き尽くす魔法の炎は、魔力で出来ているだけに対処が分からない。おそらく普通の水では消えないだろうから、こちらも魔法の水で消すしかないのだろうか。
 更にもう一人、女の子の声が聞こえていたが、ナナと咲紅は名前を耳にしていなかった。名前だけでなく姿も、トランスソウルを所持しているかどうかすら分からない。
 ざっと話を聞いた真樹だが、内容を聞いて更に「自分には何も出来ない」という思いが強くなった。
(俺もトランスソウルって奴があれば、ナナちゃんの力になれるのに)
 真樹は以前、ナナのマジカルクルスを借りて戦ったことがある。あの要領でトランスソウルを使えるのであえば、自分もナナと一緒に戦えるのではないかと思う。
「あの、トランスソウルって貸して貰えないんでしょうか」
「駄目です」
 控え目に言った真樹だったが、咲紅に一蹴されてしまった。
「理由は何であっても、この世界の人にトランスソウルを貸すことは出来ません」
「あなた達に協力するという理由でも?」
「例外は認めません。第一、私達は予備のトランスソウルなんて持っていませんから」
「そうですか・・・・」
 マジカルアイテムを使ってナナを手助けするという、ちょっと恰好いい自分を想像していた真樹だったが、夢は叶わなかったようだ。仕方がないので、机上で力になろうとしてみることにする。
「で、その小松さんって子が復讐しようとしている相手は分かってるの?」
「それが・・・・」
 ナナはキョーコのことを真樹に話した。
「攻撃を受けた様子はないってことか」
「見た目は全く。咲紅さんの見たてでは、かなり高度な魔法を掛けられた跡があったんですよね?」
「ええ、でも魔法の内容は全く不明です」
 咲紅は悔しさを隠そうとして隠し切れないような、微妙な表情だった。魔法の勉強を始めて間のない貴美愛の使用した魔法なのに、種類が分からないのが腹立たしいのだろう。
(それにしても・・・・)
 咲紅は、貴美愛はともかくリュックの中の連中がトランスソウルを使っていることに疑問を感じていた。通常、魔力を持っていないエミネントが魔法を使う為に使用するアイテムがトランスソウルである。彼らは魔力を持っていないエミネントなのか、それとも魔力は有しているがトランスソウルを使っているのか。前者であれば四対二でも自分達に勝ち目はあると考える。トランスソウルは、エミネントが持っている魔力に比べればはるかに魔力量は劣る。高威力の魔法を使えば、それだけで魔力が尽きてしまうだろう。魔力を使い果たしたトランスソウルは、魔力が全回復するまでに丸一晩を要する。魔力のなくなったトランスソウルはただのオモチャに過ぎない。
 その話を聞いたナナは、うさみみ中学の教室で聞いた烈の台詞を思い出した。
「リムーバーは我々の憎むべき相手・・・・あのライターの子がそう言ったの?」
「ええ、どういう意味かなと思っていたんですけど」
「リムーバーに恨みを持つ者・・・・となると、リムーヴされた者ということかしら」
「つまり、あの子達はかつて罪を犯し、魔力を抜き取られたってことでしょうか」
「だからトランスソウルを使っている・・・・と考えれば辻褄が合うわね」
 ナナと咲紅の話を聞いていた真樹だが、どうにも内容が把握出来ない。自分は役に立ちそうにないなと感じずにいられなかった。
 明日は小松貴美愛が行きそうな場所を探すということだったので、真樹は聞き込みくらいなら自分にも出来るかもしれない、と思った。明日は日曜なので自由がきく。貴美愛の行きそうな場所を調べる程度の手伝いなら危険度はないだろう、と咲紅は真樹が手伝う事を許可した。


 寝る前、真樹が歯磨きをしていると芳江が話し掛けてきた。
「良かったわね、真樹」
「ん?」
 真樹は歯ブラシを咥えたまま振り返った。
「ナナちゃんにまた会えて」
「・・・・後味が悪かったからな。今度こそ力になって、何とかいい形で向こうに帰って欲しいよ」
「そうねぇ、色々あったから」
 話はそこで一旦切れたが、芳江はまだ真樹が歯を磨いている後ろで立ったままだった。気になって仕方がないので、真樹は「まだ何か用?」と聞いた。
「咲紅ちゃんも可愛いわよね」
「ん? ああ、まぁな」
「年齢は二十一歳」
「若いのに役職らしいよ」
「ナナちゃんより年齢的に咲紅ちゃんの方が釣り合うんじゃない?」
 真樹は歯磨き粉を噴き出し、王道の反応をしてしまった自分が少し嫌だった。
「な、何を言いだすんだ」
「だってナナちゃんは中学生だから。咲紅ちゃんは立派に成人してるし、何も問題はないと思うのよね」
「問題も何も・・・・」
「あんたはやっぱりナナちゃんがいいの?」
「そ、そういう問題でもない」
「あ、そうか、咲紅ちゃんなら恋人がいてもおかしくないわねぇ。確かめておこうかしら」
「頼むからやめてくれ・・・・」
 真樹はうがいをして、早々に自分の部屋に逃げ帰った。
(そんなこと言われたら、意識するじゃないか)
 真樹は咲紅の恥ずかしそうな表情を思い出し、慌てて首を振った。


「ぐはっ!」
 キョーコは布団の上で飛び起きた。
 これで何度目だろう?
 寝ようとする度、同じ夢を見る。
 二度と思い出したくない、最悪の体験をした時の夢。
 それが普通の夢とは思えないほどリアルなリプレイとして、キョーコが目を閉じる度に再生されるのだ。
(何なんだ、一体・・・・)
 しかもそれらは全て、直前に見た夢の続きから始まるのだ。
 忘れたくても忘れられない、おぞましい体験。それが何度も何度も、寝ようとするキョーコを襲い続ける。
(同じ夢を見るのは何度かあるが・・・・こんなに鮮明で、あの時のままを再現する夢なんて・・・・有り得るのか? これじゃまるで・・・・)
 そう、それがあなたの一番辛い出来事なのね。ふふふ、同情するわ。
 あの時の貴美愛の言葉。
(まさか、あいつが・・・・?)
 ナナが連れて来た女性が言っていた。自分の頭の中に、魔法を掛けられた痕跡があると。
(小松の仕業なのか・・・・?)
 あなたに分かる? 寝るのが怖いという気持ち。
(畜生・・・・)
 目が痛い。睡魔が襲ってくる。
 だが目を閉じれば、あの夢を見る。
 あの時のままに、リアルに。
 気持ち悪さも、痛みも、悲しみも、体温も、匂いも、あの時のままに。
「やめてくれぇぇぇぇ!」
 キョーコは布団を頭からかぶり、思い切り叫んだ。
 夢を無理矢理に振り払うかのように。


 雀の囀りで貴美愛は目覚めた。
 木漏れ日が眩しい、良い天気だ。腕時計を見ると朝の六時。向かいのベンチに寝ていたはずの兇がいないので、早起きだなと思っていると、下の方から寝息が聞こえて来た。ベンチの下を見ると兇が転がっていた。
「寝相が悪いわね」
 貴美愛はズレていた眼鏡を直し、腕を挙げて伸びをした。
 早朝の澄んだ空気が気持ちいい。
(さて・・・・と)
 すがすがしい気分も束の間、貴美愛は校長が入院しているであろう病院に向かうことにした。この辺りで大きな病院は一つしかない。
「起きなさい、兇」
 声を掛けたが気付く素振りもない。
「置いていくわよ」
 貴美愛はリュックを背負い、ベンチを後にした。置いていくわよ、は本気のようだ。
(ん・・・・)
 リュックの揺れで、中で寝ていた烈が目覚めたようだ。
(姫、もうどこかに行かれるのですか)
「時間が勿体無いわ。まだまだ後がつかえているのよ」
(兇は?)
「置いていくわよ、と声を掛けても起きなかったから、置いて来たわ」
(あいつは寝坊魔ですから・・・・どぅわぁっ!)
「どうしたの?」
 烈がいきなり、普段からは考えられない悲鳴を上げた。
(ちょ、ちょっと待った、亜未、そ、それは、だ、駄目だ!)
 烈が焦った声というのを、貴美愛は初めて聞いた。
(あ、亜未っ!)
(・・・・んん?)
(き、気が付いたか)
(烈っ!? な、何してるのよ、スケベ!)
(ち、違う、お前から抱き付いて来たんだ! 誤解だ!)
(変態! あたしが寝ているのをいいことに襲おうとするなんて! そうなのよね、烈君って真面目そうだけどどこかムッツリっぽい雰囲気が出ていたの、だからいつかこうなるんじゃないかって心配はしていたのよね! 一見クールそうな面持ちで、実はその眼鏡の奥では嫌らしい想像とか期待とか妄想とかしていたのね! あ、きゃっ、胸のボタンが一つ取れてる! 最低、目が覚めなきゃ脱がされるところだったのね〜! きゃああああっ! この変態、そ、その膨らみは何よ! あたしに対して欲情していたのね、最悪だわ! 兇がいなくて二人きりだから、この時を待っていたんでしょう! あたしにだって相手を選ぶ権利があるんですからね! そもそも抵抗できない女の子にそういうことをしようって根性が間違ってるのよ! 男だったら・・・・)
「ストップ」
 貴美愛の落ち着いた一声で、亜未の話は途切れた。
「烈の言い訳も聞いてあげなさい」
(でも!)
(そうだぞ、亜未。反論させてくれ。いいか、お前が寝ぼけて俺に抱き付いて来たんだ。それは信じてくれ。股間のこれは、男の生理現象だ。嫌らしい事を考えなくても、起きた時にはこういう状態になる)
(・・・・)
(疑いの目を向けるのはよせ)
「病院に向かうわ」
 貴美愛の足取りが速くなったのか、リュックの震動が大きくなった。



7th Revenge に続く




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