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タイトル


 36th Milky 「ナナ、尾行します」


(ちっ・・・・)
 雪華は二つに折れたテニスラケットをゴミ箱に放り込んだ。
 キョーコらの指示により、テニス部に雪華の居場所はなくなっていた。部員は皆、キョーコらの暴力が怖くて言いなりになるしかなかったのだと雪華は信じている。自分が部を去ることで他の部員が楽になるのなら、それでもいいと思った。
 雪華は自分の私物を全て持って帰ろうと、部室に入った。ロッカーを開けた時に目に入ったのは、愛用していたラケットの二つに折られた姿だった。
(やっていることは子供だが、内容はえげつないな・・・・)
 ラケットの値段はたかだか二万ちょっとだったが、二年ほど愛用していて愛着があり、グリップもいい感じに馴染んでいた。
(これで私をイジメてるつもりか?)
 折れたラケットを持って帰ろうとした雪華だったが、思い直して商店街の隅にあるゴミ箱にラケットを放り込んだのだった。
(何をしたいんだ、あいつら)
 人の嫌がることをして楽しんでいる輩は、心が病んでいると雪華は思う。病んでいるから同情してやろうかとも思ったが、到底そんな気にはなれなかった。
(大人になりたい・・・・こんなことにいちいち腹を立てなくて済む、大人に)
 今日は「用事がありますです」と巴は先に帰った。いつもはベッタリとくっついていて鬱陶しいが、いないと淋しく感じる。
 ゲームセンターの前を通り掛った時、雪華は何となく足を運び、店内を見渡してみた。
(・・・・何を期待しているんだ)
 すぐに店を出て、どこにも寄る気になれなかった雪華は、仕方なく帰路につくことにした。駅前を通り過ぎようとした時、うさみみ中学の制服が目に入り、足を止めた。
(あれは・・・・ミユキ?)
 すぐにミユキだと分からなかったのは、頭に白い大きなリボンを付けていたからだった。普段のミユキは頭に飾りを付ける習慣はない。
(そう言えば今日のあいつ、様子がおかしかったな・・・・)
 ミユキは俯きがちに、不安げな目線を行き交う人込みに向けていた。誰かと待ち合わせをしているようだが、雪華にはミユキが怯えているように見えた。
 雪華はミユキに見付からないよう、後方に回り込んで時計台の陰に身を隠した。
(誰を待っているんだ?)
 時計の針が午後六時を指そうかという時、ミユキに話し掛けてきた男性がいた。道でも聞かれたのかと雪華が見ていると、前頭葉の髪が少薄くなり掛けている男性は、ミユキの肩に手を掛けて立ち上がらせた。
(親父か? いや、それにしては・・・・)
 その取り合わせに不自然さを感じた雪華は、歩き始めたミユキと中年男性の後を追った。


「あれ〜?」
「おっ」
 同じ頃、ナナ、寧音、泉流は学校帰りに本屋に寄っていた。そこで偶然、仕事帰りの真樹に出会った。この本屋は卯佐美市内ではそれほど大きい方ではないが、帰り道にあるので真樹もよく利用している。週刊誌や月刊誌、新刊の文庫本やコミックスを買う分には申し分無い品揃えだ。
「あ〜、ネクタイだ〜」
 寧音が真樹を指差す。
「そ、そりゃ仕事帰りだからね・・・・」
「マサキさん、アニメ雑誌を買いに来たんですか?」
「あのね、いつもアニメ雑誌を買ってるわけじゃないんだけどな」
「でも、大抵のアニメ雑誌は今日発売ですよ?」
「え? あぁ、今日は十日か」
 真樹は他に色々と考えることがあったので、本日が雑誌の発売日であることを忘れていたのだった。色々と言っても、ナナのことばかりなのだが。
 真樹は寧音の言う通りにアニメ雑誌を三冊買うことになり少々癪だったが、かと言って読みたいので買わないわけにはいかず、雑誌を持ってレジに向かった。昔はネクタイ姿でアニメ雑誌を買うことに抵抗があったが、今はもう開き直っている。ナナに買って貰えば恥ずかしくないのだろうが、一応アニメファンとしての誇りがある。
 それに、真樹はナナと話をすることを避けていた。
(このままじゃいけないんだけどな・・・・)
 明日からは二連休だ。ナナとずっとこんな状態では、休日を楽しむどころではない。
「商店街で抽選会をやっています」
 本屋の店員がレシートと一緒に抽選券をくれた。商店街とその近くの店で千円以上の買い物をすると、福引券が一枚貰えるらしい。一等は海の幸満喫、温泉旅行だった。
(アニメならここで一等が当たって、お約束の海水浴、温泉という黄金パターンなんだろうけど)
 一クールのアニメであっても、必ず一つは海水浴又は温泉のエピソードがある。もちろん視聴者サービス、視聴率強化運動の一環だが、この作品の場合は作者がひねくれているだけに「黄金パターン」は期待出来ない。
 ちなみに家族団欒の夕食タイムに、お色気爆発の入浴シーンが出て来た場合、大変に気まずいと思われるのだが、どうなのだろう。
(ま、どうせいつもハズレだけどな)
 一応後で抽選会場に行ってみるか、と真樹は財布に抽選券を入れた。
 本屋を出た時、寧音が「それじゃあたし達はここで」とナナに向かって手を振った。
「えっ? でも・・・・」
「いいから、ナナちゃんはマサキさんと一緒に帰るでしょ? ほらぁ、邪魔者は退散するからさ!」
「邪魔じゃないよ〜」
「また遊びに行くからさ!」
 この後もしばらくナナとぶらつく予定だったのだが、ナナは真樹が好きだと思いこんでいる寧音は、二人切りにさせようと思って気を遣った。
「あっ・・・・」
 その時、泉流が小さな声を上げ、寧音の腕を突付いた。
「委員長・・・・」
「え、どこ?」
 泉流が指差した方向を見ると、雪華がいた。そしてその少し前を、うさみみ中学の制服を着た生徒が中年オヤジと腕を組んで歩いている。
「・・・・広沢美雪さん」
 ナナが呟く。ちなみにミユキの本名だ。
 明らかに雪華がミユキとオヤジのカップルの後を付けている。見失わないように、しかも相手から見付からないように必死で追っていた。
 普通じゃない、と思ったナナは真樹に「先に帰っておいて下さい」と言った。
「あの子は?」
「クラス委員の柳原さんです」
「前のカップル、親子には見えないな・・・・」
 親子が腕を組んで歩いてもおかしくは無い。だが女の子の表情が全く楽しそうには見えなかったので、真樹も不審に思った。
「なら一緒に行くよ。放って置けない感じがする」
「でも・・・・」
「それなら、あたし達も!」
 寧音が手を挙げた。泉流も後から遠慮がちに手を挙げた。
「でも、泉流ちゃんは・・・・」
 この先は大通りなので車が通っている。いつもは避けて通る道だった。
「車が多いから、泉流ちゃんは無理だよ。一人で帰れる?」
 寧音の言葉に、泉流は首を振った。
「いつまでもこのままじゃいけないから・・・・」
「うん、分かった」
 ナナが先陣を切る。その後に真樹、泉流の手を引いた寧音が続いた。


(どこへ行くんだ・・・・)
 雪華はかれこれ半時間、ミユキの後を追っていた。その間にミユキとオヤジは三つの洋服店に入り、その度に紙袋を持って出て来た。ミユキがオヤジに買って貰った、と言うより「買って貰ってあげた」のだろう。
(しかし・・・・夜の街にピンクの制服は目立つな)
「委員長!」
「ナナさん!?」
 不覚にも雪華はナナの登場に驚いてしまった。尾行している身なので、突然の呼び掛けに驚くのも無理は無いのだが。
 雪華がもっと驚いたのは、後ろからゾロゾロと三人も付いてきたことだ。
「ミユキさんに何が?」
「全くもう、こんなに大勢で来られたら目立って仕方ないでしょう!? 尾行が出来ませんわ」
「ご、ごめんなさい。それで、何事ですか?」
「確証はないけど、いわゆる援交っぽいので・・・・」
 雪華はミユキから目を離さない。
「えんこう?」
「説明している暇はありません」
「ですよね。とにかく一緒に追います」
「不要です。一人でも目立つのに・・・・」
 ミユキがいない。
(しまった・・・・!)
 商店街に入り、ミユキとオヤジの姿が人込みに紛れた。どちらもそれほど背は高くなかったので、目立つはずのピンクの制服も色取り取りのファッションの中に溶け込んでしまった。
 一同はミユキを見失った辺りまで走ったが、辺りを見渡してもミユキの姿はない。どこかの店に入ったのか、気付かれて撒かれたのか。
「手分けして捜しましょう!」
 ナナがそう提案すると「私は一人でいいわ」と雪華が言った。
「ところでナナさん、そちらは?」
 雪華の目が真樹に向けられた。
「あたしが下宿している・・・・」
 説明しようとすると、雪華は「そう、分かったわ」と手を挙げ、ナナを制した。それだけで分かったのか、あまり興味が無いのか、計りかねる真樹だった。
「それじゃナナちゃんは真樹さんと、あたしは泉流ちゃんと!」
 寧音の一存で組み分けされ、散開する。散らばった後で気付いたが、ナナの携帯電話の番号は寧音が知っている。泉流は持っていないが寧音と一緒なので問題ないが、雪華の携帯電話の番号は誰も知らなかった。そもそも持っているかどうかも知らない。
「何だかさぁ、勢いでこうなっちゃったけど・・・・」
 寧音が唇を尖らせた。
「あんな子、ちょっと痛い目に逢えばいいと思うんだけどね」
 あんな子とはミユキのことだ。ミユキが泉流を苛めているグループの一人だと知っているので、必死になって助ける必要なんてないのでは、と思った。
「ミユキさんはただの言いなりだよ。だからって許されるなんてことはないけど」
「でしょ〜? どうせお金貰ってるんだし、自分の意思ならいいじゃん、オヤジに何をされても」
「!」
 泉流が寧音に向かって倒れ掛かる。
 物凄い音と共に、明らかにスピード違反の乗用車が目の前を通り過ぎた。夢中で捜している内に、大通りに面した場所に出てしまったようだ。
「泉流ちゃん、大丈夫!?」
「あ・・・・い・・・・痛い・・・・痛いっ・・・・」
 泉流が左手を押さえ、座り込む。寧音は必死で泉流を立たせ、出来る限り道路から離れた。
「しっかり、泉流ちゃん! 大丈夫だから、車はもう行っちゃったから!」
「痛いよ・・・・手が、手が・・・・ステラ、いや、いやああっ!」
「泉流ちゃん!」
 泣き叫ぶ泉流を、寧音は必死で抱き締めた。通行人がチラチラと二人を見ていたが、誰も声を掛けるものはいなかった。


「えんこうって何ですか?」
 辺りを見回しながらナナが質問した。真樹は人の目を気にしつつ、どう言えばいいのか返答に窮した。真樹とて、その言葉の意味する所を全て知っているわけではない。定義が曖昧な、だが確実に浸透している言葉だった。
「エンコーとは援助交際の略だよ」
「援助交際? あ、聞いたことあります」
「お金を貰って交際する・・・・って意味かな、俺もよく分からない。最近は交際するだけじゃなく、売春っぽい意味で使われてるみたいだ」
「女の子が大人の人と、お金を貰って性交渉するっていうことですよね」
「あ、ああ」
 真樹はナナの口から「性交渉」という言葉が出てドキっとした。ナナが言えば下品には聞こえなかったが、昨日の今日だけに真樹は動揺を隠せない。
 非難されるのだろうか、と真樹は覚悟した。自分は覚えていないが、もしナナと「そういうこと」をしてしまっていたとしたら・・・・。
「あたしやっぱり、そういうことは好きな人同士でないといけないと思うんです」
「そ、そうだよね・・・・」
「大事なことですよね?」
「う、うん、大事だ」
「そういう人って、誰でもいいんでしょうか」
「そ、そんなことない! 俺は・・・・」
「いました!」
 ナナが真樹の腕を引っ張り、立ち止まる。目線の先には、喫茶店の窓際の席で向かい合って座るミユキとオヤジの姿があった。オヤジがメニューを拡げ、ウェイトレスに注文している。
「お食事だったんですね」
「もう七時だもんな・・・・」
 その瞬間、真樹のお腹が鳴った。
「・・・・ナナちゃん、僕らも入ろうか。向こうも食べ終わるまでは動かないだろうし」
「でも・・・・」
「母さんには遅くなるって電話しておくよ」
「それなら寧音ちゃん達にも・・・・」
 真樹が家に電話を入れている間に、ナナは寧音の携帯電話を呼び出した。だが泉流の調子が悪くなったので、来られないと寧音は泣きそうな声で言った。
「泉流ちゃん、大丈夫なの?」
「うん、前にも何度かあったから」
「今、どこ?」
「西商店街の入り口・・・・あ、いいよいいよ、泉流ちゃんが落ち着いたら、悪いけど先に帰るね。泉流ちゃんを送って行かないと」
「すぐそっちに行くから、待ってて」
 通話を切り、ナナは携帯電話をポケットに入れた。そこには既に圭ちゃんがいたので「もきゅ〜」と抗議の声を上げた。
「真樹さん、少し待っていて下さい」
「どうしたの?」
「泉流ちゃんの調子が悪いって・・・・」
 俺も行くよ、と言おうとした真樹だったが、ミユキを見張っていなければならない。ナナは「すぐ戻ります」と言い、西商店街の入り口へと向かった。


(ここにもいない)
 雪華は辺りの店を一つ一つ覗いて回っていた。居合わせれば見付かってしまうが、この際それは仕方が無い。「あれ〜、ミユキじゃない〜」と友達を装えば、助け出せるかもしれない。
「ねぇカノジョ、暇?」
 シワシワのアロハ系シャツに、だらしなくダブついたズボンを腰の辺りに引っ掛けている若者が雪華に声を掛けて来た。だが雪華は無視をして、捜索を続ける。
「ねぇカノジョってば〜。オレ、ぜんぜん暇なんだよねぇ」
「彼女とは誰のことだ?」
「あ?」
「彼女とは誰のことを指す代名詞かと訊いている」
「お、お前だよお前!」
「彼女とは三人称であって、一対一で話す場合に私に対して用いるのはおかしい」
「なにわけの分かんねぇこと言ってんだ?」
「それに走り回っている私に対し、暇かどうか訊いてくるのは洞察力が無さ過ぎる。『全然』は否定を表す言葉に付く副詞だから『暇だ』には用いることは出来ない。そうだな、その場合は『断然』なら意味は通る」
「このアマ、馬鹿にすんなよ!」
「私は海に潜ったりはしない」
 雪華は掴みかかって来た男の手首を掴むと、体を入れ替えて一瞬の内に腕を捻り上げた。
「ぐあ、い、痛えっ!」
「ナンパなどする暇があったら、正しい日本語を勉強しろ。親が泣くぞ」
 男は自分の体が浮いたかと思うと、次の瞬間に地面に背中から落下していた。
「お前のような男に声を掛けられて付いていくのは、せいぜい頭の程度が同じような女なんだろう。馬鹿は馬鹿同士、仲良くやっていてくれ。まともな奴に馬鹿を移すなよ」
 余計な時間を浪費した。雪華は腰に手を当てて座り込んでいる男に背を向け、捜索を再開した。


「泉流ちゃ・・・・」
 ナナがうずくまっている泉流と、それを抱き締めている寧音を発見して駆け寄ろうとすると、二人は数人の男に声を掛けられていた。
「どうしたの〜、気分でも悪いのかな〜?」
「ちょっと横になった方がいいよ、こっちに来なよ」
「や、やめて下さい!」
 寧音は泉流を庇おうと、強い口調で言い返した。
「ちょっと気分が悪くなっただけです、すぐ良くなりますから!」
「だからさ〜、優しく介抱してあげるって」
「そうそう、その後、気持ち良く・・・・」
 一人の男が泉流の肩に手を置いた。
「触らないで!」
 寧音がその手を払いのけると、男は寧音の腕を掴んだ。
「いや〜っ!」
 通行人は皆、見て見ぬ振りをして足早に通り過ぎてゆく。下手に関わって、見ず知らずの女の子の為に殴られたり刺されたりするのは真っ平御免だからだ。一見無害に見える少年でも「護身用」としてポケットにナイフやカッターを忍ばせている世の中であるから、見るからに柄の悪い男達がどんな物騒な物を持っているか、分かったものではない。
「あっちに車、停めてるんだ。乗っていかない?」
 男が指差した車が停まっているのは、駐車禁止区域だ。
「車・・・・」
 泉流が反応した。
「車、いや、いや〜っ!」
「何だ、こいつ?」
 男二人がそれぞれが寧音と泉流の腕を持ち、引き離す。抵抗するが、力の差は歴然だった。
「離して〜!」
 寧音が男の向こう脛を蹴り上げた。男は「うぎゃおぅ」という化物じみた声を上げ、寧音から手を離す。その隙に寧音は泉流を無理矢理引っ張って行こうとする男の背中に、スカートであるにも関わらず勇敢に飛び蹴りを食らわした。
「このガキ!」
「そのガキに何するつもりよ、変態!」
 そのやり取りに、助けようとしなかった通行人が見物人と化して集まって来た。
「ちょっと、通して下さ〜い!」
 加勢に行こうとするナナだが、野次馬の壁に阻まれてしまう。
(もうっ!)
 ナナはロザリオに手を掛けたが、思い止まった。
 目の前で起きている出来事には、魔法を使っても問題は無い。だがこれだけの野次馬の中、魔法を大っぴらに使うと大騒ぎになるだろう。
(魔法を使ったと分からないように寧音ちゃん達を助けるには・・・・)
 面倒だ。
 どうして悪者から友達を救う為の魔法を、人目を気にしながら使用しなければならないのか。エミネントなら男達を一撃で撃退出来るのに。それを簡単に出来ないことが、この世界に悪が蔓延る要因ではないのか。
「きゃ〜!」
 力の差は歴然としており、寧音の抵抗空しく、二人は男達に引きずられていった。その光景を何も出来ずにただ眺めているだけの野次馬。その内の何人かは警察に電話をしているらしいが、自分達が動こうとはしなかった。
 寧音達と見物人の間に距離が開いた。
 ナナは人込みの間を掻き分け、寧音達との距離を詰めた。野次馬を巻き込まず、寧音達を取り込める距離まで近付き、セルフ・ディメンションを発動した。
 無謀な女子中学生を止めようとした野次馬の視界から、ナナと寧音、泉流、そして男達三人の姿が消えた。
「ど、どうなってるんだ・・・・!?」
「き、消えた・・・・」
 見物人は目を凝らしたが、どこにも女学生と柄の悪い男達の姿はなかった。




37th Milky に続く



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