満月の坂    今村 正雄 様より



92才の今村さんが描かれた満月の坂

画題:幼時の幻想


私は子供の頃( 明治38年の生まれで、大正初期 )、現在の万才町のグランドホテルの下になります本下町(もとしたまち、現在は築町)に住んでいました。
当時の写真もないので「幼時の幻想」という題名で絵を描きました。

坂といえば、ほとんどの坂が石段でしたが、この坂だけは、切石を敷き詰めた坂でした。
その頃は、道路は地道でしたので、敷石のしてあるこの坂で、いつも遊んでいましたのでよく覚えています。
くの字になったこの坂を上って、右に行くと「料亭の満月」にいくので、「満月の坂」と呼んでいました。

この通りは、本下町(もとしたまち)鉄橋(てつばし)通りと呼ばれ、樺島町に通じるにぎやかな通りで、絵の左端中央のすこし広い所には、 車立て場(人力車置き場)がありました。右上端の建物は裁判所です。

(注)現在は、グランドホテルの前の坂で直線になっています。
 今村さんは92才、今は田上にお住まいで、毎日元気に趣味の絵を描いておられます。

最新長崎市街全図・長崎要塞司令部御認可済(明治40年9月発行、芦塚十三郎編刊) 及び、 長崎市地番入分割図・大正8年(大正8年7月、鎮西精図社発行)により、正確であることを確認しています。
(1997/2/15 wrote)