ナローゲージ体験記
〜天理軽便鉄道の乗り心地を求めて〜
三岐鉄道北勢(ほくせい)線・近鉄内部(うつべ)線
かつて安堵の地を走っていた天理軽便鉄道
「ケイベン」の名で親しまれていたのは戦前の話。
戦時下で鉄路は供出の対象となり運休。戦後も復活されることのないまま
廃線となってしまいました。
「今もあったら乗りたかったなあ・・・。」
この鉄道の歴史について学習した4年生の子どもたちから
たくさん聞かれた声でした。
天理軽便鉄道は、ナローゲージと呼ばれる幅がわずか762pの線路の上を
ゆっくりと走っていました。
(因みに、JRは1067p、新幹線は1435p、近鉄は両方あり)
こうしたナローゲージの鉄道は、全国各地で地域の足として活躍してきましたが、
時代の流れとともに次々と姿を消していきました。
ところが、今も営業路線として立派に活躍しているナローゲージの鉄道が
おとなりの三重県にあることを知った私は、
かつて、天理軽便鉄道で活躍していたSLやガソリンカーまでは体験できないまでも
ナローゲージの線路の上を走る鉄道の揺れを体感してみたくなって
三重県まで出かけることにしました。
三岐鉄道北勢線
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桑名駅を出て駅前バスターミナルへ続く高架橋を渡っていくと、駅前の建物群のすき間に三岐鉄道北勢線の西桑名駅はありました。初めて見るナローゲージの線路は、遊園地のミニ鉄道を連想させる狭さ。そこに停車する列車もまたミニサイズです。 |
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出発まで少し時間があったので三種類のゲージのレールを渡るという珍しい踏切を見に行きました。写真では分かりにくいのですが、一番手前から三岐鉄道(762p)、JR(1067p)、近鉄(1435p)とそれぞれ軌間のちがう鉄道をまたぐ歩行者専用の小さな踏切でした。 |
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さて、北勢線の小さな車内に入ると、逆に自分が一回り大きくなったような錯覚を覚えます。この写真は私の視線から写したもの。窓や網棚も低く見えます。両手を広げると左右の壁にもう少しで手がとどきそうな車幅。もちろん天井には簡単に手がとどきました。因みに私の身長は175pです。定刻、列車はモーター音をうならせながらゆっくりと走り始めました。 |
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25qや15q制限の標識が見えるカーブを右へ左へ、桑名を出た列車は住宅地の間をすり抜けるようにゆっくりと走っていきます。途中の駅ですれ違う列車の中には鮮やかな黄色に塗装された列車も・・・・これは三岐鉄道として再出発した北勢線を象徴する色。 |
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私の乗った列車は途中の楚原(そはら)まで。ここで30分あまり、次の阿下喜行きを待ちました。ここから先は員弁川沿いの田園風景が車窓に広がり、その背後に青く鈴鹿山系の山並みが迫ってきます。スケッチブックをもってゆっくりと歩きたくなる風景が続きます。 |
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比較的多くなった直線コースではジョイント音も軽快に車体を揺らしながらスピードアップ。その体感速度は6〜70qですが、運転席をのぞき込んでみれば速度計の目盛りは40qそこそこ。そう言えば、車窓を流れる景色もゆっくり。高速化の時代の流れにあって忘れかけていた身の丈にあった人の暮らしのスピードを思い出させるような北勢線の旅でした。 |
近鉄内部(うつべ)線
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北勢線でナローゲージの乗り心地をたっぷりと堪能したばかりでしたが、せっかく来た三重県。四日市にもあるというもう一つのナローゲージ内部線にも寄り道して帰ることにしました。高架駅の四日市の改札を一度出て、内部線の案内板をたよりに通路を行けば、高架の下にその小さなホーム。 |
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四日市を出発した列車はやがて住宅地が車窓を流れます。途中の日永(ひなが)駅で西日野行き(八王子線)の列車を横目にさらに列車は進みます。北勢線とちがい比較的直線の多い内部線は、軽快に走ります。でも速度はやはり40q前後。天理軽便鉄道も比較的直線の多い路線。今も走っていたらこんな感じで安堵の町の中をぬけて走っていたのでしょうか・・・・。 |
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終点内部駅。乗ってきた列車が折り返すまでのしばらくの間、駅周辺をすこし散策。駅のすぐそばの国道1号線をたくさんの自動車が流れていきます。このミニ鉄道と国道の対比がちょっと面白い内部駅周辺の風景でした。いつまでも、時代の流れに押されず走り続けて欲しいミニ鉄道です。 |
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実は、内部線には更に南下して延長する計画があったそうです。ところが、延長線上にある内部川を越えるための橋脚工事の資金繰りがうまくいかず、計画は断念されました。内部駅から国道1号線の歩道橋を渡りその延長線上に目をやると内部川の手前で中断された道床跡を見ることができます。途中の用水路を横断するあたりには狭軌に礎石が配された遺構を目にすることができます。 (2005年2月20日追記) |