ドイツ旅行記(マルクトオーバードルフ国際室内合唱コンペティション)2001.5.30〜6.7


ドイツ旅行記(オプションツアー編)

 マルクトオーバードルフでの一週間にわたるコンペティションやコンサートの様子は、masaokunが彼のHPで詳しく報告していたので、僕は彼の書かなかったオプションツアー(ミュンヘンとザルツブルグ)について少し書いてみようと思う。
                        masaokun のHP


1.ミュンヘン

     
   マリエン広場から旧市庁舎を望む           フラウエン教会

 ミュンヘンは人口130万人のドイツ第3の大都市だが、日本の大都市とは違い落ち着いたたたずまいだ。市内は他のヨーロッパの都市と同じく建物に高さ制限がされ、建物は5階建てまでで高さがきれいにそろえられている。市の中心部には中世の城壁跡(現在は環状道路になっている)に囲まれた旧市街があり、城門も三つ残っている。旧市街の中心部にはマリエン広場があり、買い物客や観光客でごった返していた。マリエン広場の北側にはネオゴシックの新市庁舎の塔がそびえ、毎日11時(夏場は12時・17時も)にからくり時計の人形が踊る。僕も近くのカフェで時間をつぶしてからゆっくり見物させてもらった。マリエン広場を西に少し行くと、ミュンヘンのシンボルであるフラウエン教会の2本の塔が見える。内部も素晴らしい彫刻や絵画で飾られていた。また、マリエン広場の少し手前を南に入るといろいろな市場や屋台がひろがる広場ヴィクトアーリエンマルクトだ。種々の新鮮な野菜や果物を売る店、肉やソーセージの店、チーズの専門店など、見て歩くだけでもあきない。広場では青と白のカラフルなマイバウム(メイポール)が我々を見下ろしていた。

 マリエン広場からディーナー通りを北に入るとマックスヨーゼフ広場に出る。この広場に面してバイエルン王家の居城であった広大なレジデンツがそびえ、その右に有名なギリシャ様式のバイエルン州立歌劇場がある。ワーグナーが「トリスタンとイゾルデ」を初演したので有名だが、運良く7日夜のチャイコフスキーの「スペードの女王」のチケットが手に入ったので、あこがれの歌劇場で本場のオペラを鑑賞することができた。チケットは最高2万円くらいの席から千円の立ち見席までいろいろあり、お金のない学生でも気軽に見られるのが日本との大きな違いだ。僕は立ち見席だったが、通路に立って見るのではなく立ち見用の席(手すりがあり、席番号も指定されている。)がちゃんと作られていてびっくりした。

 ミュンヘンの見所は旧市街に多いが、その周りにもいくつかの見所がある。中心部から北西へ30分ほどいくとヴィッテルスバッハ家の夏の居城ニンフェンブルグ城がある。バロック様式の広大な左右対称の建物が美しい。また建物の裏には様々な形式の広大な庭園が広がる。ウイーンのシェーンブルン宮殿やポツダムのサンスーシー宮殿にも匹敵する素晴らしさだ。僕は昨年ポーランドのアウシュビッツを訪れたが、ミュンヘンから北西へ19kmくらい行った所に有名なダッハウの強制収容所跡がある。時間があればぜひ訪れたかった。(F本くんとK藤くんは行ったらしい。)

 美術館や博物館の多いのもミュンヘンの特徴だ。そのうち僕たちが訪れたのはイザール川沿いのドイツ博物館と名画の宝庫アルテ・ピナコテークだ。ドイツ博物館は自然科学と工業技術の博物館で、小中高生の団体であふれていた。アルテ・ピナコテークは15〜18世紀のヨーロッパ絵画が数多く集められている。デューラーの「四人の使徒」やタビンチの「聖母子」、ラファエロの作品など興味深い作品が多い。特にルーベンスやレンブラントのコレクションは充実している。今回は見られなかったが、19〜20世紀の作品を集めたノイエ・ピナコテークにもいつか行ってみたいものだ。

 ヨーロッパは緯度が高いので思ったより食材の種類は少なく、どこへ行っても料理のパターンはよく似ている。特に野菜の少ないのには閉口する。ミュンヘンの料理で印象に残ったものを二つ。一つはミュンヘン名物ヴァイスヴルスト(白ソーセージ)だ。皮は食べられないので皮をむいて食べる。甘いマスタードをつけて食べるのだが、これが絶妙の取り合わせなのだ。二つ目はシュヴァイネハクセ(豚のすね肉のロースト)だ。バイエルン地方の名物料理らしいがその量の多いこと。とても食べきれなかった。ドイツ人はもっと大きいのを丸ごと食べるらしい。胃袋の大きさが違うのだろうか。付け合わせの芋で作った餅のようなものもおいしかった。そして、ミュンヘンと言えばビールだ。いろんな種類があるが、一番一般的なものがヘレスと呼ばれるもので、色も味も日本のビールとよく似ている。同じく色は淡いがピルスは苦みが強い。黒ビールもあるが、これはチェコの黒ビールの方がうまい。珍しいのは白ビール(ヴァイスビア)で酵母入りで少しにごっており、酵母の風味のきいた変わった味がする。マルクトオーバードルフからチャーチサービスのために行ったイルゼーの教会でいただいたビールは修道院が製造しているビールだが、これがとてもおいしかった。



2.ザルツブルグ

    
   モーツァルトの生家                 ミラベル庭園

 ザルツブルグはザルツアッハ川沿いに開けたこぢんまりとした町だ。古くから栄えた街で、いわば「オーストリアの京都」だ。また音楽の都としても有名だ。見所は川の西岸の旧市街と東岸の川沿いの地域に集中しており、歩いて回れるくらいの範囲だ。ザルツブルグはとにかく町並みが美しい。どこを見ても絵になる美しさだ。「世界一美しい街」と言われるのもうなずける。まず川の東岸から見学したが、一番の見所はミラベル庭園だ。きれいに手入れされた美しい幾何学模様の庭園は、日本の庭園とはちがった趣がある。また映画「サウンド・オブ・ミュージック」のドレミの歌のシーンに出てくるアーチ型の植え込みがあるのもこの庭園だ。東岸には他に、モーツァルトが住んだ家やドップラー効果で有名なドップラー博士の家などがある。続いて橋を渡って西岸の旧市街に入ると、山の上にそびえるホーエンザルツブルグ城が目に飛び込んでくる。その山の下に開けた旧市街はたくさんの教会とレジデンツや祝祭劇場、そしておしゃれなブティックや土産物店が並ぶ繁華街だ。店の看板一つをとっても美しい。旧市街の一番の見所はやはり「モーツァルトの生家」だ。今は博物館として保存され、モーツァルトが子供時代に使ったピアノや小さいスケールのバイオリン、自筆譜などが展示されている。何年か前にモーツァルトとサリエリを描いた「アマデウス」という映画がヒットしたが、あの映画はザルツブルグで撮影したのではないそうだ。近々モーツァルトの弟子のジェスマイヤー(モーツァルトの遺作レクイエムの後半を補筆した人として有名)を主人公にした映画がつくられる予定で、その映画はオールザルツブルグロケになるそうだ。公開が楽しみだ。他にもレジデンツ(旧王宮)広場前の大聖堂の中にはモーツァルトが洗礼を受けた洗礼盤が残され、聖堂横にはモーツァルトの銅像の建つモーツァルト広場がある。この小さな街がザルツブルグ音楽祭の時には正装した紳士淑女でいっぱいになるという。音楽祭の時にもう一度来てみたいものだ。美しい町並みを眺めながら街角のカフェでアイシュペナー(ウインナコーヒー)をいただいた。今回は時間が無くてたった1日の観光だったが、もう一度ゆっくり来てみたくなる街だ。機会があれば映画「サウンド・オブ・ミュージック」の舞台になったザルツ・カンマーグードにも行ってみたい。

 最後にテレフォンカードについて一言。ドイツのテレフォンカードは、大きさは日本と同じだがICチップの付いた分厚いもので、カードを挿入してから周りの枠を中に押し込まないと使えない。それに対してオーストリアのテレフォンカードは、見たところは日本のによく似ているが、横向きに挿入するようになっている。なれるまでとまどった。まさに「所変われば品変わる」だ。
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