7月13日(土)




   コンサートのポスター     旅居文旅中壢館           ホールのリハ室で練習

 朝4時起床。目覚まし1個ならず。目覚ましを2個かけておいて良かった。4時50分車で家を出発。朝早いので道路はガラガラ。伊勢湾岸道から知多 半島道路に入り、セントレアの第1駐車場に6時30に到着。スーツケースを転がして第1ターミナルの国際線Eカウンターに行くと、まだ誰も来ていない。集合時刻7時30分の15分前頃から団員が集まり始める。今回の台湾ツアーに参加するのは総勢37人、指揮者1人と合唱団員31人、同伴家族が5人だ。合唱団員のうち2人は別の飛行機で渡航し、指揮者夫婦と同伴家族4人はすでに昨日台湾入りしているので、今日、中華航空CI-151便に乗るのは29人である。電子チケットなので、パスポートを見せるだけで登録されている搭乗券を発券してくれる。私は久しぶりの海外旅行なのだが、出入国審査が完全機械化されていて驚いた。パスポートの写真ページをスキャンするため台に置くと、カメラが人の顔を判別して本人ならば自動的に扉が開くのだ。係官に質問されることもなければハンコも押されないのだ。ハンコが無いのは少し寂しい気もする。

 10時5分に少し遅れてセントレアを離陸、10時40分には早くも昼食が供給される。メニューは鶏丼or豚丼インゲン乗せ・パン・野菜サラダ・フルーツ・マドレーヌ・飲み物だ。中華航空の座席に設置してある液晶パネルは感度が悪い。映画を見ようと思って液晶をタッチするが、なかなか反応しない。強く何度も押しすぎて前の席の人ににらまれた。(どうもすみません。)台湾までのフライト時間は3時間ほどで、時差が1時間あるので、現地時刻では11時55分到着予定だが、フライトは順調に進み、11時40分に桃園国際空港に着陸。

 台湾の入国審査はパスポート写真と顔の照合に加えて両人差し指の指紋もスキャンされる。荷物のターンテーブルの前で待っているが、団員がなかなか集まってこない。途中でトイレに行ったり外貨交換に行ったりしているようだ。荷物のピックアップを他人任せにしている人もある。またY村くんは入国申請の用紙の記載ミスで入国審査所で捕まっているようだ。結局荷物をピックアップして全員そろったのは13時頃だった。これからの団体行動に一抹の不安がよぎる。到着ロビーで今回のコンサートのポスターを持って出迎えて下さった現地の担当者糖さんを長い間待たせることになってしまった。外貨交換の後、13時45分にようやくバスで空港を出発し、14時15分に宿舎であるHub Hotel旅居文旅中壢館に到着。

 ここで前日の夜中に到着していたK合くんと合流。チェックインは15時からなので、現地が用意してくれたランチボックスをいただく。ボックスの内容は総菜パン・シュークリーム・クッキーである。飲み物がないので近くのコンビニで「日式緑茶」(50元)を買う。前日から来ていたSop.のM井さんも合流し、14時45分より食堂でトレーナーN島さんの音頭で発声練習開始。しかしN嶋さんは声帯の調子が悪く声が出せない。身振りとスマホの音声ソフト「棒読み」を使って何とか指導。15時10分からはチェックインと並行して未合格者のシンコン(シンギングコンテスト)がパートリーダーの手で行われた。

 ここで担当者糖さんが通訳のニコルさんに交代、彼女の案内で歩いて10分ほどの中壢藝術館に移動する。ここは明日のコンサートの会場なのだが、今日は地元の合唱団の合唱コンクールが行われており、指揮者のM井氏は審査員を務めているのだ。私達はリハーサル室で明日の練習を行う。16時よりM井氏の代わりにパトリのY﨑くんの手で練習が進んでいく。まずフィンランドの結婚行進曲「Bruremarsj」、そしてエストニアの「Ta lendab」、ゲーム「シヴィライゼイション」のテーマ「Baba yetu」、インドネシア民謡「Hela Rotan」と練習が続いていくが、曲数が多いので1曲にそんなに時間がかけられない。17時になって審査が終わったM井氏が3名の客人を伴って現れる。17年前の台湾公演の際にお世話になったチュンルンさんとイェンシェンさん、そして審査員の女性(名前を忘れた)である。イェンシェンさんもM井氏と共に審査員を務め、今はアメリカで大学の教授をしているという。3人の紹介の後、M井氏がしばらく信長貴富編「別れの歌」、西村英将「花取踊」、間宮芳生「のよさ」、土田豊貴「伊勢木遣」、男声合唱「Wellerman」、女声合唱「となりのトトロ」、「鬼滅の刃」を練習する。その後M井氏は再度講評と表彰式のため席を外し、Y﨑くんが練習をしきって「鬼滅の刃」、「Hela Rotan」の踊りを確認。声の出ないN島さんの身振り手振りをS藤さんが通訳する掛け合いが何とも面白い。最後にM井氏がもう一度戻ってデ・プレ「Ave Maria」、ラウタヴァーラ「Gloria」、ヒンデミット「Gloria」を軽くさらって21時に練習が終了した。

 我々はまだ夕食を取っていない。夕食代は現地が持ってくれるので、藝術館から歩いて戻りがてら、途中のセブンイレブンにより、弁当を買う。台湾はセブンイレブンが異様に多い。買ったのはあの「牛角の焼肉弁当」だ。せっかく台湾に来たというのに。値段は89元(450円ほど)。そのままホテルで弁当を食べ、シャワーで汗を流す。私の部屋はバスタブもあるが、階によってはシャワーのみの部屋もあるらしい。同室は今回特別団員として我々を助けてくれるS谷くんだ。23時に就寝。




 7月14日(日)



     ホールで当日練習
         ステージで記念撮影        中壢観光夜市に並ぶ総菜


 6時30分起床。部屋が異様に寒い。クーラーの温度設定は26℃なのに、現在の室温は21℃だ。あわててスイッチを切った。7時、S谷君と1階の食堂でバイキング形式の朝食。白ご飯・粥・シリアルに加え普通のパンやいろいろな蒸しパンが並ぶ。おかずも中華風の物が4点ほど、野菜もある。飲み物にレモンティーを選んだのだが、これが過剰に甘い。蒸しパンにも甘い餡が入っている。台湾人は甘い物好きのようだ。部屋で困ったことが一つ。このホテルのトイレは水洗なのにトイレットペーパーが流せないのだ。(流すと詰まる危険があるらしい。)そういえば17年前台湾でコンサートをした時、ホテルのトイレを詰まらせて床を水浸しにした団員がいたっけ。使った紙はゴミ箱へ捨てるか、ウォシュレットを使うかだ。私はウォシュレットが苦手だ。正直に白状すると、本当は少し紙を流した。(詰まらなくて良かった。)

 9時45分ロビーに集合して歩いて中壢藝術館に移動する。ここのホールはステージの横幅が広くステージと客席との間にオーケストラスペースが設けられ、客席が遠い。キャパは1036人である。移動式の簡易山台が設置されているが、段が狭く移動しにくい。10時からの練習ではまずホールの響きをチェックし、最後列のみが山台の1段目を使い、あとの列は平場を使うこととなった。まずN島さんによる身振り手振り+アプリを使った発声練習、そしてM井氏の指導でAve Maria、ラウタヴァーラ「Gloria」、ヒンデミット「Gloria」と進んでいくが、昨日あまりできなかったヒンデミットのできが悪い。特にソプラノに課題が残る状況だ。練習がなかなか進まずM井氏も焦っている。12時になり、男声・女声で交互に昼食休憩を取りながら「Wellerman」と「となりのトトロ」を練習する。現地が用意してくれた弁当は5種類、ご飯の上に味の付いたチキンや豚肉や牛肉を乗せた物で、味付けが何種類かある。私はチキンの台湾風の味付けの物を選んだ。骨付きのチキンがごろごろ乗っかっている。昼食後練習を再開。14時にはホールを開場するので練習できるのはぎりぎり13時30分までだ。とても全曲はできないので、ステージ移動のある「Bruremarsj」や「Hela Rotan」、「花取踊」を中心に行い、「別れの歌」は発音の確認を中心に、「のよさ」や「伊勢木遣」、「鬼滅の刃」は部分練習のみ、「Ta lendab」や「Laskin mina」はほとんどできないまま、時間切れで13時40分に練習を終えた。この日はチュンルンさんとイェンシェンさんが応援に駆けつけて下さり、差し入れまでしていただいた。日本の今川焼に似たお菓子で、台湾では有名な物だという。

 課題の残る練習だったが、あとは本番で何とかするしかない。女性は浴衣、男性は法被に着替えて本番を待つ。今回は聴衆に曲の内容を理解してもらうため、所々で7人のナレーションをニコルさんの通訳付きで挿入することになっている。そして開演の14時30分、M上さんのナレーションでコンサートが始まった。オープニングは「花取踊」、男声が入場し太鼓と鉦に合わせて歌い出し、女声も入場、民謡の独特の世界をつくり出す。Y﨑さんのナレーションに続いて、「のよさ」、K藤さんのナレーションに続いて「伊勢木遣」と、民謡の世界が広がっていく。お客さんは日本民謡の世界を堪能してくれたようだ。第2ステージはS藤さんのナレーションの後、男声合唱「Wellerman」、女声合唱「となりのトトロ」、「鬼滅の刃」とポピューラーソングが続く。 特に「となりのトトロ」の人気は高く、M井氏のトトロの仮装もあって、会場は大いに盛り上がっていた。「鬼滅の刃」では4人のソロが大奮闘、メリハリのある演奏となったが、言葉は伝わったのだろうか。休憩を挟み第3ステージは団服に着替えて、Y﨑くんのナレーションの後、デ・プレ「Ave Maria」、ラ ウタヴァーラ「Gloria」、ヒンデミット「Gloria」と続く。課題が残っていたヒンデミットも、後半何とか空中分解することなく終えることができた。ひやひやだったが。続いてO村くんのナレーションの後「Bruremarsj」、N島さんのソロは本調子ではないものの、本当に頑張ってくれている。次の「Laskin mina」で事故が発生。各パートの最初の音がしっかり取れていないまま曲が始まり、しばらく音が決まらなかったのだ。途中で何とか持ち直したが、曲は今一つ盛り上がりに欠けた。続いて「Ta lendab」、すみません。私、これだけは暗譜できず楽譜を見た。そしてS木さんのカホンが入ってリズミカルに「Baba yetu」。会場は体を動かしながら聞いてくれる。そしてY村君のナレーションの後、踊り付きの「Hela Rotan」。各自頑張っているが、インドネシア人への道はまだ遠い。最後はM井氏の中国語の挨拶の後、中国語の「別れの歌」で万雷の拍手の後、お開きとなった。はたして我々の中国語は中国語に聞こえたのだろうか。終了は16時、ほぼ90分のコンサートとなった。終了後、現地のサンディさんより演奏報酬578,000円を日本円でいただいた。

 後片付けの後、一旦荷物をホテルに置いてから再度藝術館前に集合。チュンルンさん、イェンシェンさんと合流して、夕食会場「海瀧王平価海鮮熱炒」に歩いて移動する。18時より夕食会。メニューは台湾風焼きそば、刺身、白身魚の煮付け、骨付き豚肉、スープなど台湾料理だ。酒は個人持ちだが、団員は大いに飲んだようだ。だが私達が支払う前にゲストのチュンルンさんが気を利かせて全て払って下さったのだ。本当に申し訳ない限りだ。20時に夕食会は終了。その後、中壢の観光夜市に行きたいという声が上がり、私も含め25人ほどがタクシーに分乗して観光夜市に繰り出した。中壢区新明路に700メートルに渡って数百店の屋台が並ぶ様は何とも爽快だ。B級グルメやスイーツに雑貨、洋服・アクセサリー、麻雀や射的などのゲームもある。屋台は人でいっぱいだ。これぞ台湾といった感じで、少し観光気分に浸ることができた。21時ごろまでブラブラしてから歩いてホテルに向かう。飲み足りないのでコンビニでビールを買う。シャワーを浴びて23時就寝。



 7月15日(月)



       大渓老街の建物            福仁宮             桃園空港で記念撮影

 7時20分起床。7時40分に1階の食堂で朝食をとる。主食やパンは同じだが、おかずが台湾風焼きそばや台湾豆腐・レバーの煮付けなど、昨日と変わっている。一人で食事をしていると、同室のS谷君が呼びに来た。S谷君のパスポートが見当たらないというのだ。私は慌てて部屋に戻り、彼と共に部屋を探す。幸いベッドの下から見つかって事なきを得た。

 さて15日の午前中は元々フリータイムで、現地主催者が半日の観光プランを立ててくれることになっていた。ところが昨日担当のサンディさんにプランを訪ねると、近くに見るべき所がなくノープランだと言われてしまったのだ。そこで昨日夕食会の場でみんなに、15日午前はノープランであることを伝え、各自で過ごすようにお願いした。ただ台北に行きたい人もいると思うので、台北に行く人は直接空港に14時30分集合とし、ホテル周辺を観光する人は13時30分ホテル集合とすることにした。希望を取ると台北組が11人、ホテル周辺組が私も含め24名となった。

 私は朝食後少しゆっくりした後、桃園の観光スポットをネットで調べ、比較的近くて面白そうな「大渓老街」に行くことに決めた。「大渓老街」は1900年代初めの古い建築様式の建物がほぼ当時のままの姿で残されている商店街で、当時の繁栄を偲ぶことができる所だという。行きはホテルのフロントにタクシーを呼んでもらって出かけた。市内の通りはどこもバイクにあふれている。しかもどれもスクータータイプだ。片側2車線道路の1車線はバイク軍団が常に占有している。歩道も駐車したバイクだらけだ。30分ほどで「大渓老街」入口に到着、代金は430元(2,200円)だった。入口から和平路を奥に向かって進んでいく。両側にはバロック様式の装飾を施した破風やアーチの建物が連なり、歴史的街並みをよく残している。それぞれの店には中華・日本・ローマ字の商号が掲げられている。和平路の奥には1813年に創建されたカラフルな道教寺院「福仁宮」がある。唐代の英雄、陳元光を祀った寺院である。豪華で色鮮やかな内部に圧倒された。和平路の突き当たりからは大漢渓と呼ばれる渓谷が見え、バロック風の大渓橋がかかっている。その橋を見渡すところに中正公園があり、軍服姿の蒋介石の銅像が建っていた。その手前には日本統治時代の公学校長宿舎を復元した「木藝生態博物館・壱號館」があったが、閉館していた。

 さてそろそろ帰らなければならない時刻となったが、なかなかタクシーが通らない。タクシーを捕まえないと帰れないので、近くのコンビニに飛び込んで店員に英語で「タクシーを呼びたいのですが」と言ってみた。すると英語の分かる店員さんが出てきて、店内の機械を操作してタクシーを呼んでくれた。さすが観光地! 30分ほどで12時頃ホテルに帰着。昼食はホテルの喫茶コーナーで牛肉キムチトーストとアイスコーヒーをいただく。129元。午前中に入った連絡によると、808号室に灰色のパーカーの忘れ物があったという。どうやら台北組のS木くんらしい。この後、通訳のニコルさんが空港まで引率してくださるのだが、彼女には3日間本当にお世話になったので、日本から持ってきた和凧のミニチュアを日本土産としてプレゼントしたら、とても喜んで下さった。13時30分に予定通りホテル周辺組24名がロビーに集合、バスで桃園国際空港に向かう。14時30分、空港の発券カウンターで先着していた台北組11名と合流、ニコルさんと共に全員で記念写真を撮影してから、ニコルさんとお別れした。出国審査は指紋のスキャンもなくスムーズに進む。一旦解散し、16時30分に搭乗口に再集合。17時10分に中華航空CI-150便は予定通り桃園国際空港を出発した。帰りは時差のせいで日本時刻21時10分に到着予定だ。途中で機内食が一回、メニューは骨付き牛肉ごはん・パン・豆入りポテトサラダ・リンゴ・チョコクッキー・飲み物だ。映画を見て過ごそうとタッチパネルを操作するが、洋画は中国語吹き替えで、切り替え方法が分からない。日本のアニメは日本語音声なので、アニメ「ハイキュー」を見て過ごす。21時5分セントレア着、荷物をピックアップした後、チームは解散となった。空港の銀行で食事2回分×30人分として台湾主催者から受け取った9,000元を換金、1元=4.4元で39,600円であった。駐車場に向かうが、精算機には長蛇の列だ。22時セントレア発、23時30分、無事に自宅に到着した。めでたし、めでたし。

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台湾桃園コンサート・ツアー 2024.7.13~15