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あれはいつのことだったか。
仕事から帰ってみれば、部屋中鳩の羽根だらけになって
いたことがあった。
むろんそれだけではなく、鳩の頭と内臓と足もあったのだが、
そんなもの眼に入ってはいなかった)
しばしボーゼンとした後、涙ながらに、部屋の
掃除をするわたしの姿があったことはいうまでもないだろう。
しかしながら、わたしの認識は甘かった。後日、鳩くらいかわいいものだと思うもの
をミニが狩ってきたのだ。
(それまでに数回、鳩の後始末をしたので慣れたのかもしれないが)
ある日の晩のこと。
ズルズルと引きずりながらミニが持ってきたもの、それは、野兎
だった。そう、野原などを軽快にピョンピョンと飛び跳ねる野兎である。
自分の躰よりも大きな野兎をどうやって捕ったのか?そんな疑問はさておき。まずは
一刻もはやく、それをミニから取り上げねばならない。
このままいけば、ミニはため
らいもせずにそれを喰べるだろう。そうなったら当然、野兎の残がいの後始末をしな
ければならない。
それだけではなく、それに味をしめて鳩のように何度も捕ってこら
れては、たまったものじゃない。しかもヘタをすれば、それが5倍になるおそれがある。
すでにこのとき。ミニと4匹の仔供の間で、骨肉の野兎争奪戦が繰り広げられていた
のだから。
それから約30分。虎視眈眈と獲物を狙う5匹を退け、野兎をミニたちの手の届かな
いところに始末したときには、もはや精も根も尽き果ててしまった。
この後、幸か不幸か。ミニが野兎を捕ってくることはなかったが、それでミニの狩猟
生活がなりを密めたわけではなかった。
それからも、朝目覚めたときに、鼠や雀の慣れの果てがあったことも、また仕事から
帰ったときに鳩の羽根が散乱していたことも何回かある。
少なからず後始末の手間を
面倒に感じるときもあるが、わたしはこう思うことにしている。
そう。野兎捕ってこられるより、はるかにマシ。と。
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作:MIHO |
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ハハハ |
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