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二年ほど前、我家にはアールという名の雄の黒虎猫が居た。 
アールはそのとき一歳半になったくらいだったが、体長は約50?、体重5?超とよ
くもここまで立派に育ったもんだと、感心するくらいでかかった。 
ここまで図体がでかいもんだから、肝っ玉も大きいのかと思いきや、ところがどっこ
い、アールの心臓は、ノミよりも小さかったのだ。 
とにかく、アールの根性無しは筋金入り。例えば、こんなことがあった。 
 
家の近所に
は野良犬が多く、餌を漁りにやってくることも多かった。 
そして、運悪く鉢合わせし
た時は、アールの兄弟(雌)や母猫は、一応威嚇はするものの、勝てないと悟ると、
一目散に逃げて来る。まあ、これは一般的な行動だと思う。 
 
しかし、アールの場合はそうじゃない。アールは、逃げない。それは果敢にも立ち向
かうという意味ではない。 
近くに犬の気配を察知すると、アールは普段のトロい動き
が信じられないほどの素早さでもって、押し入れの隅に逃げこむ。そして、安全が確
認されるまで、ゼッタイに、出てこない。 
 
これだけならば、根性ねー奴ですむかもしれないが、それだけじゃない。アールは野
良犬がいなくなると、一応押し入れからは出てくる。 
しかし、家の外まで行く勇気は
ないので、なんと!部屋の中でトイレを済ませてしまうのだ。(むろん、“小”だけ
ではなく、“大も”) 
 
部屋の中にこんもりと盛られたウ×チを始末しながら、情けなさに泣けてきたこと は、一度や二度のことではなかった。 
 
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| 作:MIHO | 
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  うにゃ〜 | 
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