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山崎豊子さんの本の書評

 

山崎豊子 (やまざき とよこ)

 
(プロフィール)
1924年、大阪市生れ。
京都女子大国文科卒。毎日新聞社学芸部に勤務。
勤務のかたわら小説を書きはじめ、’57(昭和32)年『暖簾』を刊行。
翌年、『花のれん』により直木賞を受賞。新聞社を退社して作家生活に入る。
’91(平成3)年、菊池寛賞受賞。
 
  
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華麗なる一族

華麗なる一族

おススメ度:(5点満点)

本体価格:819円(上)、781円(中)、743円(下)
発行所  :新潮文庫
発行日  :1973年5月25日
形態   :文庫・657ページ(上)、637ページ(中)、550ページ(下)

ジャンル:サスペンス・ハードボイルド、ドラマ化・映画化された小説
 内容
 都市銀行の再編前夜、都市銀行10位の神戸銀行を率いる万俵大介は、上位銀行への吸収合併を阻止するため必死である。 大手銀行にのみ込まれる前に、小が大を喰うという野心を持つ大介は、自らの家族の犠牲をもいとわず、ひたすらその野望に向けて邁進する。

 感想
 全3巻、合計1800ページを超える大作であり、読むのにかなりの時間がかかった。 普通長期間にわたって読書をするとはじめに読んだ内容などを忘れてしまうものであるが、本作品についてはストーリーがしっかりと頭の中に入ってきて、しっかりとそのストーリーや世界観を楽しむことができた。 著者の筆力に脱帽である。
 この作品の主人公である万俵大介ははっきり言って悪役であり、その生き様や考え方にはとても共感できるものはない。 しかしそれでもなおこのストーリーが印象に強く残るのは、悪役を描くことでそれを反面教師とする意識が働くためであると思う。
 著者がこのストーリーで伝えたかったことは、おそらく高度経済成長を経て物理的な幸福感を得たけれどもそれと引き換えに精神的な幸福感を失っていくことへの警鐘、さらには繁栄は一時のものであるという”祇園精舎の鐘の音”の考えであろう。
(書評作成:2013年5月11日)
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