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坂東真砂子さんの本の書評 |
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坂東真砂子 (ばんどう まさこ) |
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(プロフィール) 高知県生まれ。奈良女子大学住居学科卒業後、イタリアで建築とデザインを学ぶ。 帰国後、童話作家やライターを経て、「死国」を発表。 「山妣」で第116回直木賞を受賞。 |
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死国 狗神 蟲 蛇鏡 屍の聲 花の埋葬 24の夢想曲 | ||
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死国おススメ度:(5点満点)![]() ![]() ![]() 本体価格:540円+税 発行所 :角川文庫 発行日 :1996年8月25日 形態 :文庫・344ページ ジャンル:ホラー小説、映画化された小説 |
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![]() 二十年ぶりに、故郷の高知・矢狗村を訪れた比奈子。 そこで彼女は旧友との再会を果たすが、一番の友人であった莎代里が十八年前に事故死したことを知る。 さらに、彼女の母が、四国八十八ヶ所を逆に回り、莎代里を生き返らせようとすることを知る。 そんな中、初恋の人・文也と再会し、恋におちる比奈子であるが、怪しい視線に付きまとわれる。 ![]() 四国のお遍路を題材として、オリジナリティがある仮説で独自の設定がなされている点は面白い。 ホラー+恋愛+友情+伝奇がミックスされた構成は面白いと思う。 ただ一般人が死者をよみがえらせる、また一般人がそれを食い止める、などご都合主義的な部分がちょっと多いのは気になった。 坂東氏の小説は、「狗神」もそうであるが、ヒロインの最後がちょっとかわいそうすぎ。 |
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(書評作成:2005年2月20日) | ||
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狗神おススメ度:(5点満点)![]() ![]() ![]() ![]() 本体価格:500円+税 発行所 :角川文庫 発行日 :1996年12月25日 形態 :文庫・320ページ ジャンル:ホラー小説、映画化された小説 |
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![]() 過去の辛い体験のため主人公・美希は、結婚も人生もあきらめ高知の山里でひっそりと暮らしいていた。 そんな彼女の前に、一人の青年が現れる。やがて彼女たちはお互い惹かれあう仲となる。 しかし美希の一族は村人から「狗神筋」と忌み嫌われる存在であった。 そしてやがて彼女たち一族や村人を「狗神」の恐怖が襲う。 ![]() さすが直木賞作家ということで、表現がうまく読み始めたら面白くて一気に読みきってしまった。 一応、この小説を分類分けするとしたらホラーになると思うが、話の大部分は美希の純愛話である。 そういう意味では純愛ホラーと呼ぶべきか。 一族の運命に翻弄されまくる美希の悲しさがストレートに伝わってきた。 他の坂東作品も読んでみたい、と思わせる内容であった。 本作品は天海祐希、渡部篤郎ら主演で映画化されている。 ただ話の舞台だけは共通で、ストーリーはほぼ別物と考えてよい。 映画を見た人もオリジナル小説を読めば、また違った発見ができるであろう。 |
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(書評作成:2005年2月17日) | ||
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蟲おススメ度:(5点満点)![]() ![]() 本体価格:500円+税 発行所 :角川ホラー文庫 発行日 :1994年4月25日 形態 :文庫・295ページ ジャンル:ホラー小説 |
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![]() 第1回日本ホラー小説大賞佳作作品。 夫が古い石の器を持ってかえってきてから、めぐみは奇怪な夢や超常現象に悩まされ始める。 その石の器には「常世蟲」という文字が刻まれていた。 そんなある日、めぐみ夫の体から巨大な緑色の虫が這い出してくるのを目撃してしまった。 ![]() 他の作品同様に日本の地方の伝奇をもとに現代における恐怖について語っている。 主人公の女性の悲惨さも他の作品と同様である。 ただ蟲が何者であるのか、なぜ現れたのか、その後どうなったのか、については何も語られておらず、後味が少々悪く感じられた。 坂東氏の他の作品の面白さ、また日本ホラー小説大賞のレベルの高さから、本作品も非常に楽しみにしていたのであるが、期待が大きかった分がっくりの度合いも大きかった。 |
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(書評作成:2005年8月4日) | ||
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蛇鏡おススメ度:(5点満点)![]() ![]() ![]() 本体価格:476円+税 発行所 :文春文庫 発行日 :1997年6月10日 形態 :文庫・350ページ ジャンル:ホラー小説 |
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![]() 姉の七回忌のために婚約者と故郷の奈良に帰ってきた玲は、姉が首を吊った蔵の中で珍しい鏡を見つける。 美しいその鏡の後ろにはまがまがしき紅色の蛇がレリーフされていた。 その鏡には忌々しいさまざまな過去が刻みつけられていた。 その鏡を見つけてから玲の心が徐々に変化していく。 ![]() 田舎に土着の文化とホラーとを融合させる坂東氏の十八番とも言えるストーリーである。 本書ではただのホラーではなくおのおのの立場で悩む登場人物の心理が描写されている。 むしろホラーの部分よりもそれらの心理が中心といえるであろう。 結婚を直前に控え心揺れる主人公・玲、半身不随を悲観する少女、先祖から受け継いできた神社の跡継ぎに苦悩する宮司など。 描写の怖さ歯特にないが、エンディングに代表されるように続々とする心理的な怖さが伝わってくる作品である。 この後、どのように話が展開していくのか? それらはすべて読者にゆだねられている。 |
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屍の聲おススメ度:(5点満点)![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 本体価格:419円+税 発行所 :集英社 発行日 :1999年9月25日 形態 :文庫・240ページ ジャンル:ホラー小説 目次 屍の聲 猿祈願 残り火 盛夏の毒 雪蒲団 正月女 |
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![]() 5編の恐怖短篇を収録している。 屍の聲 大好きだった祖母がぼけてしまったのを不憫に思った孫娘は、水路にはまっておぼれる祖母を見殺しにしてしまう。 猿祈願 不倫の末に子どもができ、男を奪った女が男の実家に挨拶に向かう。実家の近くの神社で起こった恐怖の物語。 残り火 典型的な男尊女卑の家で、夫につくし自らの自由がない妻が引き起こす事件についての話。 盛夏の毒 畑仕事の最中に妻が蛇にかまれてしまった男が取った行動についての話。 雪蒲団 父の事故死のために母の実家のある新潟に引っ越すことになり、慣れない田舎暮らしに戸惑う子どもが引き起こす行動についての話。 正月女 正月に女が死ぬと7人の道連れを連れて行ってしまうという伝承が残る地方で、難病で明日をも知れぬ命となった女の身に降りかかる恐怖についての話。 ![]() いずれの話も心理的な怖さを描いている。 アメリカ映画のホラーのような派手な描写は無いが、後から怖さが伝わってくるという感じである。 最近アメリカでジャパニーズホラーが人気とのことであるが、おそらくこの小説も映画化すると、派手さはないが徐々に怖さがこみ上げてくるのが好きという知的なアメリカ人に受けるのではないか。 とくに猿祈願、残り火、盛夏の毒などは人間の心情の深部がよく表現されていて面白いと思う。 |
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(書評作成:2005年6月16日) | ||
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花の埋葬 24の夢想曲おススメ度:(5点満点)![]() ![]() ![]() 本体価格:429円+税 発行所 :集英社 発行日 :2007年7月25日 形態 :文庫・208ページ ジャンル:日本文学(文芸) 目次 恋の原石 極楽浄土 伊豆特別列車 花芯 ピンポン・ナイト 裏切り 赤く錆びた海 愛しいあなた 花の埋葬 ごめんよ 追憶の部屋 赤い舌 黒い手 疾風 啓示 遭いにおいで 遅れてきた喪主 傷跡 聖餐 火柱 四つ辻にて 青い銀河 蝉時雨 彼方へ |
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![]() 表題を含む24話の短編集。 何らかの心に寂しさを持つ女性を主人公にして、夢か現か幻かよくわからない幻想的な舞台を描いている。 ![]() ここれまでの著者の作品のおどろおどろしさやどろどろした人間関係とはまったく方向性が異なるまさに幻想的な話である。 良くも悪くも純日本文学である。 表現や構成がきれいにまとめられており、また1話あたりのページ数もすくなくてすぐに読みきってしまう。 そして読後にはなんとも不思議な感覚が残る。 ただし幻想的な夢の世界が舞台なので、夢から覚めればそれで終わり、結局何が言いたかったんだろうと思ってしまう。 繰り返しになるが、まさに良くも悪くも純日本文学である。 |
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(書評作成:2005年8月4日) | ||
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