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赤川次郎さんの本の書評

 

赤川次郎 (あかがわ じろう)

 
(プロフィール)
1948年福岡県生まれ。桐朋高校卒。
「幽霊列車」で第15回オール讀物推理小説新人賞を受賞。
2006年、第9回日本ミステリー文学大賞を受賞。
 
さびしがり屋の死体  ひまつぶしの殺人  死体置き場で夕食を  死者は空中を歩く  死者の学園祭  殺し屋志願  忘れな草
親しき仲にも殺意あり  セーラー服と機関銃  セーラー服と機関銃.その後-卒業-
 
  
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さびしがり屋の死体

さびしがり屋の死体

おススメ度:(5点満点)

本体価格:379円;購入当時
発行所  :角川文庫
発行日  :1981年10月
形態   :文庫・273ページ

ジャンル:ミステリー小説

目次
さびしがり屋の死体
長き眠りの果てに
死が二人を分つまで
できごと
三人家族のための殺人学
 内容
 5本のミステリー小説を収録した短篇集。

さびしがり屋の死体
恋人武夫の死を目の当たりにして生きていく希望をなくして自殺したマリ。 しかし死んだはずの武夫は生きていた。 その武夫の周りで連続殺人事件が起こる。

長き眠りの果てに
軽井沢の別荘で夫婦が射殺される殺人事件が発生した。 唯一の目撃者である娘は事件のショックから昏睡状態が続いていたがついに意識を取り戻した。 事件の真相と犯人は・・・

死が二人を分つまで
九州に新婚旅行に来た兼一と久美子。 二人はある銀行の横領事件とそれに絡んだ殺人事件がきっかけで出会い、そして結婚した。 久美子がその事件について回想する。

できごと
修学旅行で女子生徒が強姦され妊娠した。 疑われたのは同じ学校の生徒で事件時のアリバイがない4人の男子生徒。 犯人は誰か?

三人家族のための殺人学
武志と幹子はルミという小学生の娘を持つ夫婦。 しかしその実態は殺人を職業とするプロの殺し屋である。 ある殺人依頼において幹子は見事に仕事をやってのけるが、発作に見せかけて殺した人が血まみれで発見され依頼者が逮捕される事態が発生した。 組織を守るため雇い主は幹子の始末を武志に命じる。

 感想
 北海道旅行に行くときのフェリーの中での時間つぶしのために購入した本である。
 ドラマのように話が展開するため、どんどん読み進んでいける。 ただ人が死にすぎる話が多く、あまりにも現実離れしたストーリーの設定や展開に感じられた。個人的にはちょっと好きになれなかった(特に”長き眠りの果てに”)。
  5つの話の中では「三人家族のための殺人学」が、まさかっていう感じのエンディングでありちょっと面白かった。
(書評作成:2003年12月22日)
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ひまつぶしの殺人

ひまつぶしの殺人

おススメ度:(5点満点)

本体価格:485円;購入当時
発行所  :角川文庫
発行日  :1984年1月
形態   :文庫・337ページ

ジャンル:ミステリー小説

目次
第1章 早川家の秋
第2章 予期された出来事
第3章 秋の夜は四度狙わる
第4章 かくも遠き無罪
第5章 愛とダイヤモンド
 内容
 早川家の家族は、母・香代子が泥棒、長男・克巳が殺し屋、次男・圭介は弁護士、長女・美香は詐欺師、三男・正実は警察官という偉大な一家である。 家族の秘密を知るのは圭介だけで、圭介はそのことで一人悩みを抱えていた。
 そんな折、中東の石油王橘源一郎がダイヤコレクションをともに日本に帰国した。 早川家の面々はそえぞれの仕事と思惑で橘の滞在先に向かう。

 感想
 北海道旅行に行くときのフェリーの中での時間つぶしのために購入した本である。
 発行は1984年と古いが、登場人物の(ありえない)設定が非常に斬新であり、今読んでみても新鮮である。 殺人事件が多く起こるが暗い感じは全くなく、軽いノリで読み進んでいける。 登場人物のキャラクターも非常に個性的であり面白くてよい。 話の展開も飽きさせるところがなく、最後のエンディングでもびっくりの仕掛けがあり、全く退屈することがなかった。 おススメの本であるといえる。
(書評作成:2003年1月27日)
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死体置き場で夕食を

死体置き場で夕食を

おススメ度:(5点満点)

本体価格:420円;購入当時
発行所  :徳間文庫
発行日  :1983年4月
形態   :文庫・223ページ

ジャンル:ミステリー小説

目次
食前酒   オードブル   スープ
魚料理   肉料理     ワイン
サラダ   パン       デザート
コーヒー
 内容
 新婚旅行中の紺野洋一・芳子夫婦が雪のため道に迷い、迷走するうちにあるロッジにたどり着く。 ロッジには管理人夫婦と6人の先客がいたが、紺野夫婦はそのロッジに泊まることにした。 その次の日、ロッジには誰もいなくなっており、管理人の絞殺死体だけが残されていた。 雪のためスキーができる芳子は洋一を残してスキーで町まで助けを呼びに行き戻ってくるとロッジは焼失しており洋一の姿も見えなかった。 ロッジの秘密をめぐり芳子は調査をするが、調査を進める中で新たな殺人事件が起こる。 なお本書の題名は「ティファニーで朝食を」のパロディである。

 感想
 謎解きの小説としてはよくできていると思う。 殺人事件を題材にしているが、キャラクターがユーモアな性格に設定してあるので、話が暗くならず、というよりも明るい話で終始している。 ただ話の途中までは謎解きの要素も強く楽しめたが、途中から話が読めてしまった。 もう一ヒネリ欲しかったところであるが、逆に言うと強引なエンディングへの誘導がないと言うことであり、ストーリーも破綻していない。 気軽に推理小説を読みたい人には十分お勧めできる内容である。
(書評作成:2004年1月31日)
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死者は空中を歩く

死者は空中を歩く

おススメ度:(5点満点)

本体価格:388円;購入当時
発行所  :徳間文庫
発行日  :1980年10月
形態   :文庫・318ページ

ジャンル:ミステリー小説

目次
第一章 総ての道は万華荘に通ず
第二章 親の行方子知らず
第三章 死体の顔も三度
第四章 命短し、殺せよ・・・
 内容
 財界の影の実力者、千重忠高は弁護士に命じ、殺人や公金横領などで逃亡中の4人の男を集め、豪華な食事を振舞いながら「私を殺してくれ」と依頼した。 そのうち千重は姿をくらまし、次々と殺人事件が起こる。

 感想
 例のごとく、殺人事件が起こりその犯人を突き止めていくというワンパターンの話である。 ただ登場人物がユーモラスに描かれており、殺人事件が起こっても暗い雰囲気ではなく、むしろ明るい雰囲気である。 気軽に推理小説を読みたい人におすすめである。
 なお登場人物として警察の本部長、警部、警官が登場するが、彼らのユーモラスな掛け合いは「踊る大捜査線」のスリーアミーゴを髣髴とさせて面白い。
(書評作成:2004年2月12日)
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死者の学園祭

死者の学園祭

おススメ度:(5点満点)

本体価格:460円;購入当時
発行所  :角川文庫
発行日  :1983年1月
形態   :文庫・307ページ

ジャンル:ミステリー小説、映画化された小説

目次
プロローグ
第一部 武蔵野学園
第二部 夏の日の冒険
第三部 死者の学園祭
 内容
 目の前で同級生の飛び降り自殺を目撃した主人公の女子高生・結城真知子。 彼女はその後、転校することになるが、その転校先の高校で同級生3人が連続して殺される事件が発生する。 彼女は友人や恋人とともにその事件の謎に挑む。 2000年に深田恭子主演で映画化された映画の原作。

 感想
 赤川氏の小説の中ではよく一般の人が事件の謎に挑むというパターンはあるが、本書もその流れを汲むものである。 ただそれらの小説では警察以外の人(主人公)が警察と協力しながら事件を解決するというパターンが多いが、本書では警察と全く接点がなく、事件を解明するという点では異色である。 一般人が知りえた事実のみで謎解きを成立させている点は見事である(最後にちょっと強引な謎解きの展開を見せるが)。
 これが赤川氏初の長篇であり、しかも始めての単行本であるという記念すべき(?)本であるので、赤川氏の興味がある人は読んでみるべきであろう。 なお映画と本書では人物の設定が少し違うようである。
(書評作成:2004年3月14日)
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殺し屋志願

おススメ度:(5点満点)

本体価格:447円;購入当時
発行所  :双葉文庫
発行日  :1990年6月15日
形態   :文庫・309ページ

ジャンル:ミステリー小説

目次
プロローグ  1.すれ違った少女  2.奇妙な鞄
3.花束   4.殺したら?  5.ホルン  6.雑踏
7.迷い   8.証人   9.遊園地のめまい
10.殺意の発酵  11.湖畔の別荘
12.開いたトランク  13.奇妙な夜   14.交錯
15.裏側の女  16.そして−殺意
 内容
 女子高生のみゆきは彼氏のことで母親と喧嘩が絶えない。 そんな彼女はふとしたことから殺し屋の最期を看取ることになった。 ある日、彼女の元に「殺したら?」という一言だけを告げる電話がかかる。 最初は相手にしなかったみゆきであるが、彼女の仲に徐々に母親に対する殺意が芽生え始める。

 感想
 赤川氏にしては少しキャラクターの個性というものが乏しく、キャラクターがうまく動いていない感じがした。 殺し屋が登場するあたり日常離れしていて、設定としては面白い。 ストーリー自体は面白いが、ミステリーとしてみた場合、また赤川氏の他の面白い小説と比べた場合、本作の面白さは可もなく不可もなくといった感じか。
(書評作成:2004年3月30日)
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忘れな草

忘れな草

おススメ度:(5点満点)

本体価格:500円(税込み)
発行所  :角川ホラー文庫
発行日  :1993年4月24日
形態   :文庫・270ページ

ジャンル:ホラー小説

目次
1.黄昏の客     2.教室      3.訪ねて来た男
4.過去        5.赤い夕焼   6.犠牲
7.追われる      8.肖像      9.冬の来訪者
10.隠れ家      11.ときめき   12.崩れる
13.<本日休診>  14.駅       15.過去
16.狂ったページ  17.復讐      エピローグ
 内容
 山間の小さな町に住む高校二年の布悠子は、学校の行事で遺跡の発掘に行き、その最中に奇妙な体験をする。 すぐにそのことを忘れてしまう布悠子であったが、その日を境に布悠子とその周囲の人の間で奇妙な異変が起こり始める。 そしてそれは布悠子も知らない、しかし布悠子が強く関わっている過去の事件が関係していた。

 感想
 かなり分類わけに困るジャンルの本である。ホラー、ミステリー、SF、いずれにも当たらない(一応角川ホラー文庫ということでホラーに分類しているが)。 結論から言うと、面白くないし、分けがわからない。 ホラーとしては怖さが伝わってこないし、ミステリーにしては謎が浅はか過ぎ、SFとしては設定にかなり難あり(空想の話でも最低限話の中でつじつまが合うための状況設定が必要であるが、それがない)、ということで自分にとってはちょっと合わないかな、という感じの本であった。
(書評作成:2004年6月6日)
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親しき仲にも殺意あり

親しき仲にも殺意あり

おススメ度:(5点満点)

本体価格:480円(税込み);購入当時
発行所  :集英社
発行日  :1990年4月25日
形態   :文庫・394ページ

ジャンル:ミステリー小説
 内容
 平田結美と森口容子は幼なじみの仲良しであるが、成人後の二人の生活は全く違っていた。 結美は腕利きの殺し屋、容子は刑事に。 そんな二人が顔見知りの一人の男をめぐり、容子は彼の命を守る側に、結美は殺しの依頼を受けて命をつけねらう側となった。 皮肉な運命に翻弄される二人であるが、殺人依頼の裏には複雑な秘密が隠されていた。

 感想
 突拍子もない主人公の設定は、「ひまつぶしの殺人」を髣髴とさせて面白い。 ただ「ひまつぶしの殺人」のほうがユーモラスな部分もあって楽しめた。 またキャラクターの設定もいまいち甘い(結美が殺し屋になった背景は書かれているが、なぜ殺し屋として成功するまでになったのかについては書かれていない)。 エンディングは一ひねりがあって、ちょっと面食らった。
 相変わらず平易な文で書かれており非常に読みやすく、また文の量もそんな多くないのでひまつぶしに読むにはもってこいとは思う。
(書評作成:2004年6月25日)
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セーラー服と機関銃

セーラー服と機関銃

おススメ度:(5点満点)

本体価格:552円+税
発行所  :角川文庫
発行日  :2006年9月25日
形態   :文庫・378ページ

ジャンル:ミステリー小説、映画化・ドラマ化された小説

目次
プロローグ
第一章 乾杯!女親分
第二章 女親分、起つ!
第三章 女親分、乗り込む!
第四章 女親分、絶体絶命!
エピローグ
 内容
 父の死をきっかけに、組員4人の弱小ヤクザ・目高組の4代目組長を襲名することになった女子高生の星泉。 襲名直後から、組や自宅マンションがあらされたり、また組員が殺される事件が発生した。 泉は組長としてセーラー服で敢然とそれら事件に立ち向かう。

 感想
 非常に懐かしい小説であるが、テレビで新装版が放送されたということもあり、読んでみた。 以前映画を見て大体のストーリーは頭に入っているつもりであったが、いろいろと忘れていることもあり、新鮮な感覚で読むことができた。
 かなり前に発行された小説であるが、今読んでもヤクザと女子高生、セーラー服、機関銃とほとんど交わることもない関係のものがうまくミックスされており、その舞台設定は非常に新鮮であり面白い。 いろいろとミステリーの要素も仕込まれており楽しむことができた。
 難点を挙げるとすれば(これは赤川氏の小説の全般の共通することであるが)、人がすぐに死んでしまうということ、 また人の死の描写が軽すぎるということ、である。仲間が死んでしまったらもっと悲しむはず。 あまりにもさらっと死の場面が過ぎ去ってしまうことに少々違和感を感じてしまった(映画などではそのあたりはきちんと描写されていたが)。
(書評作成:2008年10月17日)
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セーラー服と機関銃.その後-卒業-

おススメ度:(5点満点)

本体価格:552円+税
発行所  :角川文庫
発行日  :2006年9月25日
形態   :文庫・347ページ

ジャンル:ミステリー小説

目次
プロローグ
第一章 セーラー服のジャンヌ・ダルク
第二章 殺し屋対セーラー服
第三章 過去ある女とセーラー服
第四章 再び、セーラー服と機関銃
エピローグ
 内容
 前作の目高組の騒動から1年。星泉は高校三年生の学生生活を楽しんでいた。 そんな中、偽の星泉を語る恐喝事件が発生したり、また町の再開発をめぐる地上げ騒動が発生したり。 正義感の強い泉はそれらの事件に対して立ち向かう。

 感想
 星泉のその後の活躍を描く「セーラー服と機関銃」の続編であり、完結編である。 本書に対しては前作の出来からして賛否両論、むしろ否定的な意見が多い。
 ただ前作が人が死んでもその記述があまりにも軽すぎたのが気になったのに対し、本作では人が死ぬということの意味や重さが描かれており、その点では前作をしのぐ出来であると思う。
 星泉の活躍についても前作同様楽しむことができる。 「セーラー服と機関銃」を読んだ人に対してもおすすめできる出来であり、決して期待を裏切らないと思う。
(書評作成:2008年11月3日)
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