タイトなシルエットとコシのあるデニムが生み出す
ヒゲは、この1108でイチバン好きな部分だ。

股関節周囲のヒゲ同様、
1108の膝窩部のハチノス
もシャープに見られる。

このバックポケットの飾り
ステッチはMS個人による
改造が施してあり、販売
されている通常品とは
異なっていることをご了承
いただきたい。

フロント及びバックからの画像。細身ではあるが、非常にオーソドックスなシルエットである。
股上が深く、腰回りに余裕のあるXXタイプのジーンズが苦手な女性にも穿きこなし易いジーンズ
と言えるだろう。反面、大腿部の余裕も少ないため、いわゆる「下がりヒゲ」はほとんど見られない。

Pherrow's L2
リーバイスの66モデルをモチーフとした、フルカウントの1108である。右の画像を見て、自分の持っている1108の色落ちと違うことに気付く人もいるだろうが、これは既に現在は廃盤となったモデルであり、デニムにアメリカ産のコットンを使用している。

デニムフリークならフルカウント=ジンバブエコットンの構図がアタマに刷り込まれているだろう。だがこの当時のフルカウントはまだレプリカジーンズメーカーの色彩を強く残しており、この1108も忠実にディティールが再現されている。もちろん、ジンバブエコットンではなく、アメリカ産のコットンを使用したのは最上位モデルと位置づけた0105とは異なった個性を与える意味も多分にあるだろう。

購入は98年の2月頃、確か1108がリリースされたばかりの時期だったように思う。他のフルカウントのジーンズと異なった独特の浅い色の染めが魅力的で、大阪梅田のEST-1にある『PADDY』で購入した。しかし当時はドゥニームのXXを穿きこんでいる真っ最中であり、購入当初はなかなか出番がなかった。

しかし季節は寒さの厳しい冬である。ジーンズは他の素材に比較して生地の厚みはあるが遮風性が低く、保温性も低い。さすがはローテクの極みだ(笑)しかしそれをただ笑っていられないのも底冷えで有名な京都の冬である。寒いのは嫌だが、ジーンズを穿けないのはもっと嫌だ。そう考えた私は、あるチャレンジを試みた。おそらく、日本中のデニムフリークが考え、そして実行しているであろう『ジーンズ二枚穿き』である。

シルエットの異なるドゥニームのXXとフルカウントの1108。この二枚のジーンズを重ねて穿くことで高い遮風性を実現した。
また通気性が著しく悪化したことで保温性も向上した(苦笑)
こうして1108は私の冬のデニムライフにおける極めて重要な役割を担うようになった。逆に言えば、冬以外のシーズンでの登場回数は皆無になったワケだ。結局、02年までの約4年間、冬を乗り切るインナーデニムとしてひたすら穿き込まれ、
なかなかの色落ちを見せてくれた。

染めの色は0105と比べるとやや淡いようだが、染色回数自体が減らされたワケでは無いため、アタリやタテ落ち感は充分である。また現在のフルカウントでは見られないカード・レーベルは洗濯回数に比例してくたびれ、ジーンズのバックスタイルに迫力を与えてくれている。またこの1108では縫製糸にコットン×ポリエステル混紡のスパン糸を使用しているため摩耗に強く、バックポケットや大腿内側の負荷がかかりやすい部位へのダメージも少ない。現行の1108のように穿き込むと共にバックポケットの飾りステッチの糸が抜けていく魅力は味わえないものの、ジーンズの強度に与える縫製糸の役割の重要性を考えればこれは「アリ」の選択かもしれない。

現在、フルカウントは0105/1101/1108の主力モデルには同一のデニムと縫製を採用しており、ここで紹介した1108は既に廃盤になっている。しかし独特の魅力を持ったジーンズであり、もう一度穿き込んでみたいジーンズのひとつである。

フルカウントのSALEなどでは稀に目にすることがあるが、常に自分の欲しいサイズは無い。ちなみに先日、大阪の『+2』で開催されたフルカウントのOutlet&Sample Saleで40インチの特大サイズを発見したが、残念ながら(当然ながら?)購入は見送った。もしマイサイズのこのジーンズに出会う幸運に恵まれれば、私は迷うことなく再度このジーンズを購入し、穿き込んで行くだろう。もちろん、限定モデルとしての復活もアリだと思うのだが…。どうだろう?

66を想定したレプリカであり、バックポ
ケットの補強はそれまでのコーンシルド
リベットからバータックへと変更された。
トップボタン部の補強に採用され
たV字ステッチも消えた。

1108の元々の色を垣間見ることの出
来るバックポケットの中。
オールド・リーバイスの66モデルは
前期・後期型を分類して販売する
古着店が多いが、その際の最も簡便
な判断基準がバックポケット裏のステッ
チだ。前期型はシングルステッチでの
縫製だったが、「ほつれやすい」との
苦情にリーバイスが対応する形でチェ
ーンステッチへと変更された。

オールド・リーバイスではトップボタン裏
に”6”の刻印があるが、1108には見られ
ない。これは刻印がデニムの色落ちや
アタリといったジーンズの魅力をつくる
本質的な要素から乖離しているため、
フルカウントはディティールの採用を見送
ったのだろう。

柔らかいがコシのあるデニム故、細身のジーンズ
にありがちは大腿内側のダメージもこのジーンズ
には比較的小さい。