約1億人の米国人が過体重か肥満。
これは米国成人の約60%にあたる数値である。
(『SUPER SIZE ME』パンフレットより)

『SUPER SIZE ME』は、ある単純なルールに基づいて制作されたドキュメンタリーだ。すなわち、本作の監督であるモーガン・スパーロック自身が30日間、朝昼晩と三食マクドナルド三昧の生活を送る。「子供には信じられないくらいに、ハッピーは一ヶ月の始まりさ」
スパーロックは意気揚々とマクドナルドに乗り込んだ…。

資本の効率化がもたらした産業としての外食は隆盛を極め、その代表は一日の利用者数が世界で4600万人にも及ぶマクドナルドである。だがグローバル化を推し進めるこれらの企業の目的は(米国流の言い方をすれば)株主利益の最大化であり「ユーザーの健全な食生活の実現」は二の次である。つまり4600万人の胃袋を預かる企業の行動は、母親が家族の健康を願って作る一皿とも、シェフが精魂込めて作り出すハレの日の一皿とも、全く異なったベクトルで支えられているのだ。

そしてスパーロックが身をもって示した結末とそこへ至るプロセスこそ食の近代化(モダニズム)がヒトにもたらした全てと言い切れるだろう。だが哲学同様、我々の食生活もポストモダンを模索すべき時代が、とうの昔に来ているのだ。

では産業としての外食におけるポストモダンとは何だろうか。
それは「安全で安価な食品をより多くの人々へ提供すること」である…。
ありゃ!?ドコにでもあるスローガンになっちゃった(笑)

この『SUPER SIZE ME』はクリスマスに初日(笑)を迎えたばかりだ。場内は意外なほど盛況。その衝撃(笑劇!?)的な結末を、是非ともあなた自身の目で確かめて欲しい。さぁチケットを握りしめ、いざ『梅田ガーデンシネマ』へ!!

(2004.12.25)
食生活のポストモダン。