主演 仲間由紀恵 阿部寛 生瀬勝久 野際陽子
演出 堤幸彦
脚本 蒔田光治
特にオススメなのは『母の泉事件』だ。新興宗教団体、母の泉に入信した理事長の娘を奪還すべく、奈緒子と上田は教団に乗り込む。しかしふたりは次々と奇跡を演出する教母”ビッグマザー”との対決にことごとく敗れる。さらに信仰を深める信者達。何度目かの対決の末、奈緒子はついにビッグマザーのトリックを暴くが、信者達はその現実を直視しようとはしなかった。戸惑う奈緒子と上田に教団の幹部は笑いながらこう呟く。 「ビッグマザーを失ったアイツらに、何が残る?希望も、救いもない人生が待っているだけだ」 インチキだとわかっていても、トリックだとわかっていても、それにすがらなければ生きていけない弱さを持つ人だっている…。奈緒子と上田は、確かに新興教団にまつわる殺人事件を解決した。だが、教団に取り込まれてしまった人々の心を解放することはできなかった。悩みを抱えて蠕く信者の心も、教団に父母や娘を奪われた家族の問題も、誰も解決できないのだ。 このドライさはシリーズを通じて堅持され、他のドラマと一線を画すリアリティで観る者を揺さぶる。また鬼束ちひろの唱う主題歌もドラマに深みを与えている。だが脚本が深みのある重いテーマを扱っていても、全編は堤幸彦監督のスピィーディーな演出と仲間・阿部の息のあった演技と散りばめられた小ネタがドラマを盛り上げる。マスコミは「韓流ブーム」などと海外ドラマに浮かれているが、足元を十分に見つめ直せば、こんなに素晴らしいドラマがあると思うんだけど…ねぇ? |