ホタルの保護

 有名な飛翔地には沢山の人たちが押しかけている。ホタルは有名な所ばかりで飛ぶのでは ない。ホームページや案内本に書かれてい ないところで乱舞しているのである。 知らない所のホタルをさらに沢山飛ばす,新しく飛翔地を作るなど,多くの同好会や研究会が日夜活動している。君も やってみないか。
 皆,どのようなことを行ってホタルを保護し,増やしているのであろうか。新しい川にホタルを飛ばすことを念頭に,分かる範囲で概要を述べる。参考にされ たい。詳細は参考文献を参照されたい。

(1)川の調査

 まず,川がどのようであるかを調べよう。良い条件は次のようなものだ。
・水がきれいで石の下の下まで好気性(石の裏が黒くなっているのは嫌気性,ホタルは呼吸 が出来ない)
・水温が低い(
25℃以下)
・川の岸には土があること。
4月にホタルは川から上がって土繭を作る。全て舗装とコンクリートでは土繭が出来ない。斜 面がコンクリートでも上部が土であればよい。
・石を何個か取り上げて石の下に,きれいなところに棲む川虫(カゲロウ類,ヒゲナガカワトビケラ,ヘビトンボ,カワゲラなど)がいたり,サワガニが見つか ること。
・広葉樹が山に生えている。これはカワニナの餌。
・最上流の小さい集落の下流も良い。少し汚れが流れて,カワニナが住みやすい。
・ホタルの飛翔空間があること。土手などに竹藪や樹木があると良い。それらで出来た高い暗闇空間にホタルは飛ぶ。

(2)川の整備・清掃

・川のゴミは取り除く。ゴミが多いと,道路から捨てる者が増えてくる。
・瀬や淵を整備する。多様な自然を作る。川は増水の仕方などいろいろで,ホタルが何処を好むかは川によって異なるであろう。単一でない方がよい。

(3)カワニナ

 カワニナがいない場合は,下流の沢山いるところから拾ってきて入れる。餌は広葉樹の葉 や石の上に育つ珪藻(茶色)等である。岸に落葉樹を植えるのもよい。

 (4)ホタルを入れる

 必ず同じ水系から取ってくる。その川の支流など何処にもいない場合は隣の水系から捕獲 する。決して業者から購入してはならない。ホタルは川から200m以内で限定して飛ぶという。そのため水系毎に独立に進化しているのである。種の混合を起 こしてはならない。ホタルの保護が破壊になってしまう。
 移入する方法はオスメスをいれるか,たまごを産ませ孵化させてから入れる。

 

 ホタルが自分たちの手で乱舞するようになったらどんなに楽しいであろう。新しい名所に なるかも知れない。ホタルを飛ばすには最低1年間の手入れが必要だ。一度の失敗,たとえば幼虫の孵化に失敗した,も許されないのだ が,それが魅力でもあろう。

 

参考文献

1)村上光正・木下一成著「ホタ ルをとばそうー自分で作るビオトープー」パワー社,2006

2)村上光正編「ホタルのふやし方・写し方」パワー社,2007
3)大場信義「ホタルの飼い方と観察」ハート出版、1993

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