衛生管理は塩素かオゾンか
 最近,次亜塩素酸消毒についてその世界足を踏み入れる機会を得た。人から人に写るのはインフルエンザと決まっていたが,2007年の冬はノロウィルスが 席巻した。ノロウィルスは一昔前は生蠣を介して伝染するものと考えられていた。ところが蠣を生食する危険性は極めて低いことが判明した。換わって,咳や手 足を通じて経口感染することが日本中に見られる事態となった。ワクチンのあるインフルエンザよりも,ことは重大となってきた。
 多くの人々が集まる場所における感染をどう防ぐかは,今のところ答えはない。エアコンでは取り込んだ空気を紫外線で消毒するシステムが開発され,家庭で の需要を期待しているところである。しかし,電車やホールなどでは対策がない。
 現在,提案されている方法は,次亜塩素酸とオゾンである。いずれも必要量を吹き込むことで殺菌をねらっている。前者は一般の公共施設,後者は病院関係で ある。ただしまだ運転条件が確定したとはいえない。投入量が多すぎれば部屋を酸化してあらゆるものを錆させるであろうし,少なければ殺菌にならない。今の ところ企業の努力やノウハウに依存した状態である。国として早急に研究を進めて欲しいところだ。
 一方で,我が国は衛生管理が病的なまでに徹底されており,免疫力が極めて弱いという問題が発生している。東南アジアの観光旅行で赤痢性下痢でダウンする のは日本人だけで欧州人はびくともしない。これは幼児期からの免疫の問題である。純粋培養のような国はある意味では動乱に弱い,国力が無い,脆弱な社会と いうことができる。もやしのような日本人か,頑丈な日本人かは衛生管理と対極にあるものを問うている。これらについての議論は全く行われていないのが残念 である。
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