OGAWA's Page of Mountain and Fishing in Japan
   山 と釣りにおけるイノベーションとアメリカ
   Innovation caused by America on mountain and fishing
                                                                    9/19/2012
序;ジェットボイルとランチョンミート
 事の始まりは,ワサビ沢に張ったテントの中であった。
 購入して初めての山行で使うジェットボイルでお湯を沸かそうと,意気揚々と組み立て,水を注ぎ,ガスを出し,点火ボタンを押した。
 カチッという音とともに火花が飛び点火されるはずであった。が,火がつかない。何度やってもダメだった。仕方がないのでライターで
火を付けた...意気消沈...。
 買ったばかりなのに...ジェットボイルの,伝熱効率を良くし,さらに放熱を減らしてガスの消費量を抑えて,結果として軽量化するという
アイデアは良いのだが,品質がイマイチだな〜,持参するガスは軽くなったが本体が重たいしトータルとして効果あるのかな?と思ってしまう。
結局,さすがアメリカ製だという結論に達した。

 それだけでは無かった。その後すぐに,夕食のメインディッシュであるランチョンミートを開けようと取っ手を引っ張ったところ,缶が開か
ずに取っ手が折れてしまった!お陰でランチョンミートは単なるザックの重しと化し,メインディッシュはサバ缶に取って代わられたのであ
る。このランチョンミートもよく見るとアメリカ製だ。
 アメリカは斬新なオリジナリティの高いアイデアを出すのは得意だが,品質管理とかその手の事は不得意なんだなと実感した。

 ここでアメリカ製品の文句を言うのは簡単だが,よく考えてみると山では多くのアメリカ製品のお世話になっている。
 というわけで,山と釣りにおけるアメリカ産イノベーションについて考えてみた。

jet boil←ジェットボイル              ranchon ←取っ手が折れたランチョンミート


■モダンテレマークスキー 
 テレマークスキーの発祥はアメリカではなく北欧ではないかとお考えの方も多いと思います。その通りなのですが,北欧で発展したテ
レマークスキーは,踵を固定するアルペンスキーに押されて,随分以前に技術として廃れ消えてしまいました。
 長い空白の後,これを1枚の写真から復活させたのが,アメリカ人です。さすがです!この復活後のテレマークスキーをモダンテレマーク
スキーと呼んでいます。このスキーは,滑降性能重視=道具重視のアルペンスキーに対するアンチテーゼとして,すぐに日本やヨーロッパ
に広まりました。
 復活当初は,軽快なクロスカントリースキーでの滑降テクニックとして広まりましたが,結局現在では太く重くギブスの様なテレマークスキー
となってしまい,復活当初の軽快さは無くなり,アルペンスキーと変わらなくなってしまいました。
 現在では,テレマークスキーの利点は何か?と問われるとテレマークターンが出来る事だという事しか思いつかない状況です。しかしなが
ら,山スキー界にテレマークスキーの果たした役割は大きいと思います。

 私自身もテレマークスキー登場後に,その考えに感染してしまい,ステップソールの細長い板と革のスキー靴を買ってしまいました。
今では山で使うのはもっぱらファット(テレマーク)スキーばかりですが,時間が出来たらやはりこの様な板で里の雪山を駆けめぐってみたい
と思います。

 telemark ski←20年以上前に購入したステップソールのテレマークスキー「バルモンテX」アメリカ製

■フリークライミング
 フリークライミングとは,人工的な支点に加重せずに,天然の岩のみをホールドやスタンスとして使い崖を登る方法です。(命綱である
ロープは当然装着します,普通は...)
 これも,それまで行われていた,困難な部分はアブミ(縄ハシゴ)をかけて突破する,いわゆる人工登攀に対するアンチテーゼとして,
アメリカのヨセミテで生まれました。
 ボルトなどで岩に穴をあける事も良くない事(自然破壊)とされ,岩に傷を付けずにクラックに支点を取れるカムデバイスが考案され
ました。
 このフリークライミングも瞬く間に世界に広がりました。

 テレマークスキーといいフリークライミングといい,アメリカ人の中には既成の価値観を打破する事を良しとする人が多かったのでしょう。
 両者とも山の世界に大きなイノベーションをもたらしたと言っていいと思います。

■ドーム型テント
  これは,アメリカの発明かと思ってネットで検索しましたが,そのような文献・記述は見つけられませんでした。
 個人的には,30年ほど前に,それまでの重い帆布製の屋根型テントに変わって出てきた,アメリカ製のJanSportのドームテントの斬新さ
に驚いた事を忘れられません。
 それまでは,テント泊での単独行なんて想像も出来なかったのですが,軽量なドームテントの登場で実現可能な事になりました。
 私も,今では一人用のドームテント(重量約1.5kg)を活用して単独でのテント泊登山を満喫しています。

■携帯GPS
 GPS(グローバルポジショニングシステム)とは,アメリカにより運用される衛星測位システムです。カーナビですっかりおなじみになったよう
に,自分の現在地が10m程度の誤差で分かる装置です。
 10年ほど前に,登山用の携帯GPSが登場した時は非常に衝撃を受けました。これさえあれば道迷いは無くなると思いました。特に,目標
物の乏しい雪山や視界の悪い時には効果絶大だと思います。
 最近は携帯電話にもGPS機能が付いていますが,以前山で試したときには性能がイマイチでした。やはり登山用と銘打って売られている
ものが良いのかもしれません。
 また、最近は,ガイドブックにCDが付属していてその中に登山ルートのGPSデータが入っており,それを自分のGPSに入れることができる
タイプのものが出ています。ガイドブックの在り方にもイノベーションが及んでいるといえますね。
 反面、山登りの面白さが失われる気がしますが,これは使い方次第でしょう。
 もう少し価格が安くなって, 重量も軽くなって腕時計に入ればいいのですが。

■プラティパス(水筒)
 ビニールのバッグを水筒にしたもので,非常に軽量で,かさばりません。また,ザックに入れた水筒からチューブを口元まで持ってきてザ
ックをおろさずに水を補給できる「ハイドレーションシステム」にも対応しています。
 単なるビニールのバッグにしては価格が?と思えますが,今では,水筒といえばほぼ100%これでしょう。
platypus

■まとめ
 少なくとも私の山登りはアメリカ発イノベーションにより恩恵を受けている。品質管理は不得意かもしれないが,あまりあるメリットのため,
文句は言えないなぁと思った次第です。
 一方,日本に目を向けてみると,思いつくのはインスタントラーメン位でちょっと寂しい状況です。

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