精神状態なんていつでもギリギリ。

挨拶さえまともに出来ないでいる。

苦しいときだけ、神様に、仏様に、お星様に?

 

『私が○○出来たのは、お星様のおかげなんです』

 

あぁ、そうか・・・

それは 悔しいわ。


Wish



獅子座流星群が見れる、珍しい日。
アカデミーの御友達とかも、どこかへ見に行くと、張り切ってた。
私はあまりそういうところで人とあったりするの、好きじゃなくて。
(どうせまともに挨拶も出来ないのだから)
人の少なそうな静かな丘へでも、一人でこっそり出かけることにした。
 
ついた頃にはもう真っ暗で、空を見上げたらすでにいくつかの流れ星が見えた。
少しもったいなかったかも・・・。
「あぁッ、いくつか見逃したーーっ」
「えっ!」
突然した声に驚いて、私も思わず声をあげた。
まさか人がいるなんて、思ってなかったから。
でも。
それは、幸運の御導きかもしれない。
 
「なっ、ナルト君・・・」
「よお、ヒナタじゃん。こんばんはー」
「う、うん、こんばんは・・・」
あぁ、本当はもっとちゃんと、可愛く、利発に・・・。
なんていうのは頭の中だけで。
実際に挨拶をする私は、完全に引っ込み思案にもほどがあるような、かすれた声。
自分から話をつくっていきたい、なんて思っても、
「ヒナタも流星群、見に来たんだってば?」
ほら、話題を作ってくれるのは、いつも彼の方。
「うん・・・ここの方が、・・・・・・静かだから」
人の多さから逃げてきました、なんて言ったら、完全な根暗だと思われちゃう。
ナルト君も
「だよなー、俺も人ごみってあんましなれてなくてさ、こっち来ちゃった」
そう言って笑った。
そういえば、ナルト君はアカデミーの中で、ちょっと浮いた存在だった。
でも、そんなことは訊きたくなくて、結局黙ってしまう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ああ、これだからだめなのね、私は。
「あーあ、俺だけの秘密スポットだと思ってたのに・・・」
「え・・・っ」
どうしよう、怒っちゃったかな・・・?
そりゃそうよね、せっかく一人で静かに星を見てたのに・・・。
「ご、ごめんね・・・私他のところに・・・」
「なんで?いいじゃん、一緒に見ようってば」
退散しようとすると、ナルト君が引き止めてくれた。
・・・・・・いいのかなぁ?
甘えちゃうの?
心の中に疑問符を浮かべているくせに、体の方は正直。
特等席、ナルト君の隣に腰をおろしてしまっていた。
 
「すっげーよなぁ・・・星・・・」
「うん・・・き、綺麗ね・・・」
「それに、すっげぇ迫力あるってば・・・かっちょいー」
「そ、そうね・・・」
爆発寸前の心臓抱えて、ナルト君の言葉に軽くあいうちしか出来ない。
こんなだから、つまらない女だって思われても、無理はないわ。
自己嫌悪に陥りそう。
「なぁ、ヒナタもさぁ、流れ星に願い事しにきたん?」
「えっ」
図星をつかれて、時限爆弾みたいな心臓が、一気に跳ね上がる。
イルカ先生に、願い事を流れ星に託すと願いがかなう、って聞いたんだ、と。
ナルト君が流れ星を見上げながら言った。
そのとおり。
そのとおりだけど。
『ナルト君に、好きだって伝えられますように』
そんな願い事、本人を目の前にして言えるわけもなくて。
「う、うん・・・一応」
なんてあいまいな言い方をして、興味をそらせるように。
「ナルト君も、流れ星にお願い事しに来たのね・・・」
そう聞いた。
自分からの初めての話題が、こんな成り行きでなんて。
相変わらずだけど、自分が呪わしい。
それでも、少しでも自分のありったけの勇気を長持ちさせたくて。
「・・・ね、願い事ってやっぱり“火影になりたい”こと?」
そんな質問には、この流れで夢について語ってくれないだろうか、なんて望みも少し。
「え?違うってばよ」
返って来たナルト君の言葉は、以外だった。
だって、彼の願い事なんてそれしかないと思ってたから。
行動は何も起こせなくても、ずっと見てるつもりだったのに。
「俺の願い事はさ、明日イルカ先生がラーメンおごってくれますように、って」
「そ、そんなことなの・・・?」
ちょっと拍子抜けして、言ってしまった言葉は、少々失礼な言葉だったかもしれない。
でも、彼はそんなことには気づかなくて。
大きな笑顔で
「だって、火影になる、っていう夢は“自分で叶える夢”だからな!」
そう言った。
「それに、なってから『流れ星にお願いしたから火影になれた』なんて嫌だってば」
 
そうか。
そうだね。
ナルト君は、星の起こす奇跡なんかより、自分の力を信じてる。
流れ星になんか頼らなくったって、自分でその大きな夢を叶えられる。
・・・・・・私は?
大好きな人に思いを伝えることすら、星の力を借りなきゃ、無理?
そして伝わって、万が一両想いになんかなったりしたら
『流れ星にお願いしたおかげ』
なんて言うの?
 
「おーいヒナタ?ヒナタは願い事、言わないんだってば?」
いつのまにか考え事に浸ってしまっていた私を、ナルト君の声が正気に戻した。
「ね、願い事・・・星に?」
「?当たり前じゃん」
ナルト君が訝しげな顔をする。
「・・・・・・・・・・・・・ううん、やっぱりいいや」
「ふーん?なんで?」
「私もね、自分で叶えることにしたの、この願い事は」
ナルト君は、一瞬驚いた顔をしたけど、すぐに笑って。
「そっか、・・・がんばれよっ!」
と言って、私の肩をたたいてくれた。
・・・・・・・・・・・・・・肩が、熱い。
 
帰り道。
すっごく嬉しいことに、ナルト君は、家の近くまで送ってくれた。
「でもさでもさ、びっくりしたってば。ヒナタって結構、強いんだな」
「え・・・、強い?」
「おう、自分で夢叶えるって」
「うん・・・、ナルト君みたいな、すごい夢じゃないけど・・・」
「でもさ、星に願おうって思ってたんだから、大変な夢なんだろ?」
「そうね・・・」
少なくとも私にとっては、心臓100個賭けるくらいのものすごい夢だね。
「だろ?頑張れ、俺、応援してるからさっ」
そう言って、ナルト君は、どんなエールよりも嬉しくなるような、力強い笑顔をくれた。
 
「うん・・・だから、頑張るから・・・待っててね」


初めてまともにノーマルカップリングを書いた気がします。
短文には前あったんですけどねぇ・・・。
今まで書いたことはなかったですが、ナルヒナは1位2位を争うくらい好きです。
もう、愛です、愛。
自然にほのぼのとしてくれちゃうのがたまりませんv

文章については語りません・・・。
感想はいつでもカマン!状態ですv(笑)