「おはよーってば、紅せんせーっ!」
と。
今日も元気な、“私の”可愛いナルト君。
ここら辺ではあまり見かけない金色の髪が、とっても綺麗。
「おはよう、ナルト君」
本当は語尾にハートマークつけたいくらいだけど
『アイツ』じゃあるまいし、上忍がそんなことできるものですが。
なんて思っていたら。
「おはよ〜、ナルトv」
私に笑いかけているナルト君を上から羽交い絞めにして微笑んでるクソ変態上忍『アイツ』、もとい、はたけカカシ。
いつか殺す!!
「あら、めずらしく早いのね、こんな時ばっかり」
口元を引きつらせながら、挨拶も草々に嫌味を言ってやると
「あ、紅いたんだ?気付かなかったよ全然〜」
という嫌味が返ってきた。
絶対殺す!!
「あっ、先生。本当に珍しいってば。先生が早起きしてるなんて。
・・・今日は槍でも降るってばよ・・・?(怯)」
「ひどいなー、ナルト。俺だって上忍なんだからね?用事があるときくらい早く起きるんだよー」
(以下2人の会話が続く)
ナルト君本人は無自覚に違いないけれど。
彼は誰とだってそんな風に、楽しそうに会話するのだろうけれど。
端から見れば、それはまるで恋人同士のような雰囲気で・・・。
・・・・・・ムカツクっ!
タイミングを外してしまったことが悔しくて、私がこぶしを握り締めていると、横から声が。
「どうします、紅先生。あの男・・・」
声の主は、ヒナタ。
受け持ちの下忍の子の気配まで感じ取れなくらい取り乱すなんて・・・私ったら。
まぁ、それほどナルト君が可愛くって、カカシがムカツク、ということだけど。
ヒナタの目はナルト君を追いながら、しかしあの上忍をこれでもかというくらい睨みつけていた。
この子のこんな眼、・・・ネジと戦った時も見なかったわよ(汗)?
「1人では無理でも、集団で襲えば何とかなると思うんですけど・・・?」
・・・その言葉は・・・手を組んでカカシを倒そう、という意味?
私が返事を返せないでいると
「そういうことなら協力しますよ。ヒナタ様」
と別の返事が。
・・・この子は確か、例の日向ネジ。
この子がヒナタに協力、だなんて・・・。
やっぱりこの子も、ナルト君狙いって訳ね。
「俺も手ぇ組むぜ、ヒナタ」
「俺も協力させてもらおう・・・・」
次に入ってきたのは、我が生徒達、キバとシノ。
兄弟や親子が似るってのは知ってるけど・・・。
教師と生徒が似るっていうのは、初耳・・・いえ、初体験だわ・・・。
なんて私が呆然としていると
「ふっ、まぁ上忍がいればいくらアイツでもそう簡単には勝てねぇだろうな」
「そうよね、サスケ君(やっとあの上忍からナルトを引き剥がすことができるわ、っしゃーんなろっ)」
「ちょっとサクラ、抜け駆けは許さないわよ。ってかあんた、前はサスケ君狙いだったじゃない(お前もだ)」
「決着はさっさとついたほうがいいですしね・・・」
「ちっ、めんどくせーけど俺もやってやるよ」
「じゃー私もはいるわ」
「あっ、あたしもやりたーい!」
「アイツからナルト兄ちゃんを守らなきゃいけねえな、これ!」
と、ぞろぞろと集まるメンバー。
順にサスケ・サクラ・いの・カブト・シカマル・テンテン・アンコ上忍・木の葉丸。
ちょ、ちょっと待って、なんなのこれは?
全員ナルト君狙いってわけ?
競争率が高すぎるわ・・・。
ただでさえ班が違うせいで、いつも悔しい思いをしているっていうのに・・・。
でも確かに、これだけのメンバーで組めば、あの1番邪魔な変態上忍も楽に倒せるというもの・・・。
ああっ、でもどうせその後こいつら、我先にとナルト君にアタックかますに決まってる!
そんなのカカシと対して変わらないじゃない・・・っ。
急に人口密度が高くなった自分の周りを無視しながら、1人考えをめぐらせていると、
「あっ、そうだ。今日俺は紅先生に用事があったんだってば!」
と、急にカカシとのおしゃべりを中断させて、ナルト君がこっちに来た。
私に用?
そうなのね、そういったわねナルト君!!
「どうしたのかしら、ナルト君?」
喜びを隠せない私は、どうしてもニコニコ顔になってしまった。
周囲から殺気のこもった視線が痛い。
ついさっきまで同盟を結ぼうとしていたはずの、このメンバーのつながりの、なんと儚いものか。
やっぱ信用できないわね。
「今日は紅先生と一緒に、一楽のラーメン食べに行こうと思って。
前言ってたじゃん、先生。一度一緒に一楽のラーメン食べに行こうねって」
と、笑顔でいうナルト君。
そういえばそんなことも言ってた気がする。
なにせ、ナルト君と話す時は、可愛いナルト君を少しでも長い時間見ておくのに夢中で、会話にはそれほど注意を払ってなかったり。
もちろんそんなことを口に出す私ではないけれど。
「あぁ、そうだったわね。それで、今日行くのね?
嬉しいわ、ナルト君。私の今ちょうどラーメンでも食べたいと思ってたところなのよ。
早く行きましょう。今日は特別に、私がナルト君の好きなラーメンをおごるわよv」
そう言って、なにげにナルト君を急がせる。
ナルト君狙いの猛獣が多すぎるこんな部屋は、さっさと出て行くに限るもの。
なぜか周囲に不自然なほどに多い人々に、ナルト君は気を払わなかったけど。
しょっちゅうこんな風に取り囲まれていて、慣れてしまって気付かないのかも、と思うと少し納得する。
「わーい、紅先生とラーメン、楽しみだってばよー」
なんて。
可愛いことを言ってくれるわ、ナルト君。
私はナルト君の言葉に満足感を覚えながら、口惜しそうな目で睨んでくる恋敵どもに、優越の笑みをくれてやって出て行った。
私たちが部屋を出て行って1分後に交わされたらしい会話。
「おい、どうする、カカシ。あの女・・・」
「んー・・・、とりあえずはイビキにでも頼んでおくかな・・・(拷問を)。
ところでサスケ、俺は仮にもお前の担任なんだから、先生くらいつけなさいね」
「つけて欲しいなら普段から教師らしくするこったな・・・」
好きなカップリング適当に詰め込んでたら、こんなんになっちゃいました。
紅ナルは・・・両想いでも一方通行でもないくらいのが、丁度良いです。
私はなぜか、女キャラとナルトを良く書きますね・・・。