ある日の修行風景?



「あぁ〜っ、疲れたってばよ・・・・・・」
もう数えるのもめんどくさくなるような番号の、おたまじゃくしを出し、ナルトは後ろ向きに倒れこんだ。
 
「おい、中断するつもりか・・・?」
誰がお前の修行に付き合ってやってると思っとるんじゃ、と出来の悪い弟子を見下ろすのはエロ仙人。
・・・・・・改め、自来也師匠。
 
「体力残ってねーって」
「なっさけないのう、お前。わしの若い頃ってのはなぁ、もっとこう・・・」
「年寄りの昔話はいいってば」
 
わしを誰だと思っとる・・・、と言う怒りの言葉は飲み込んで。
(こぶしで教えたろか)
というのは、なかなかいい解決策に思えた。
(こやつに言葉での教育は、馬の耳に念仏じゃ)
 
こぶしを振り上げ、さあ、こいつの頭に直撃・・・、と振り下ろした瞬間
 
「あ〜あ、サクラちゃんにも久しぶりに会いたいってばよ〜」
と、ナルトの口から出てきた、女の名前。
ピクリと反応する自来也。
やっぱりお前なんて、エロ仙人で充分だ。
っつーか、久しぶりとか言うほど離れていないはずなのだが。
任務で毎日会っていたときのことを思えば、久しぶりに入るかもしれない。
 
「“サクラ”?女の名前か。おい、小僧。・・・・・・美人か?」
そう言いながら、仰向けのナルトのそばにしゃがみこむ。
 
「あったりまえだってばよ」
「ほほう・・・。ナイスバディーか?」
「さぁ、それは・・・・・・って、やっぱしスケベじゃねーか!オープンスケベじじい〜〜!!」
ひょいっと立ち上がり、さっきまでバテとったんちゃうんかい、と突っ込みたくなるほど、軽快に自来屋の周りを飛びはね
『バーカ、バーカ、変態エロ親父〜』
と、程度の低い罵倒の言葉を浴びせるナルト。
 
「うっさいわ、ヘチョ弟子」
相手をするのもめんどくさい、といった調子で片付ける。
大人なんだか、なんなんだか、自来也さん。
 
「そんで・・・そりゃお前のコレか?」
と言って、小指を立てる自来也。
お下品ですよ。
「えっ・・・、いや〜そんな・・・ばれちゃしょうがないってば・・・」
 
「誰がいつ、あんたの彼女になったのよ!馬鹿ナルト!」
 
照れて頭を掻いていたナルトの後頭部を、サクラの渾身の蹴りが、クリティカルヒットした。
 
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ」
あまりの痛みに声を出すことも出来ずうずくまるナルト。
 
「あんたが“サクラちゃん”とやらかい」
頭を抱えているナルトには目もくれず(酷)、自来也はサクラに不躾な質問をする。
「・・・・・・そうだけど?」
内なるサクラ:『何よ、この薄汚い親父・・・イキナリレディーに対してあんたなんて失礼ね』
表と裏の顔を見事に使い分けるサクラだった。
 
(ちっ・・・やっぱりガキじゃわいの。期待したわしが馬鹿じゃった・・・)
何を期待していたというのだ。
 
「ってて・・・、ひ、ひさしぶりだってばよ、サクラちゃん・・・」
ここまでされてもなぜか礼儀正しく挨拶をするナルト。
イルカ先生の教育の賜物だろうか。
 
「久しぶり〜、ナルトv」
 
「「「・・・え?」」」
 
超のつくご機嫌な声で返事を返したのはサクラでなく。
 
「なんでここにカカシ先生が?!」
 
7班担当教師。
はたけカカシ上忍だった。
で、隣には一緒についてきたと思われる、うちはサスケ。
 
「やー、久しぶりにナルトに会いたくなってなぁv元気してたか〜?」
「あ・・・う、うん・・・元気だけど・・・」
突然の出現に驚きつつ、やはりどこか礼儀正しいナルト。
 
そして、見つけたお邪魔虫に、
「っつーか、なんでサスケまで来てんだってばよ。(せっかくサクラちゃんが来てくれたのに・・・)」
と、けんかを売ることも忘れず。
「ふん・・・てめーの無様な修行風景でも見にきてやったんだよ、ウスラトンカチが」
あんたも相変わらずですな。
 
「むかつくな、相変わらず・・・っ」
「テメーほどじゃねぇよ、ドベ」
「ぜってー倒す!!」
 
いつものように始まる、どことなく久しぶりな喧嘩。
 
「あぁもー、はいはいはい、2人とも喧嘩しないのー」
「止めるなってばよ、カカシ先生!」
内なるサスケ:(そうだ、止めんじゃねーよ、変態教師)
内なるカカシ:(せっかくひさしぶりにナルトにあえたのに、お前に邪魔されてたまるかっつーの)
 
その他2人の存在を無視した状態で、(1名は自覚なく)3人の世界を作る3人。
『ちょっとちょっと、レディーを無視して、何3人でとっくみあってんのよ!』
とは、内なるサクラのつっこみ。
 
「なぁ・・・、もしかしてあいつら・・・」
妙な関係の、3人を見ながら自来也が問う。
頭の切れるサクラは、自来也の訊きたいことを察知したのか、
「まぁね・・・・・・」
と力なく答えた。
自分の班の男3人が、妙な三角関係を作り上げているとは、やはり情けない思いなのだろう。
 
「おかしな輩もいるもんじゃのぅ・・・。なんであんな、色気とかがあるわけでもないナルトなんぞに・・・?(しかも男だぞ、おい)」
根っからの女好きの自来也は、理解できない男心に首をかしげた。
と。
 
「おい、エロ仙人!誰が色気ないんだってばよ!」
と、地獄耳で今の台詞を聞き取ったらしいナルト。
別に色気なんか欲しいとは思わないが、『ない』と言われると、腹が立つらしい。
負けず嫌いの、微妙な少年心。
 
「俺だって色気ぐらい出来るってばよ!」
出来るとか出来ないとかそういう問題でもないが。
ともかくナルトはそういうと、お得意の『例の印』を結んだ。
 
「お色気の術!!」
 
ぼんっ、と白い煙が立ちこめ、中から金髪の裸の女性、自来也の言うところの、“ナイスバディー”が出てきた。
 
「おお!」
思わず目を輝かす、『オープンスケベ』自来也。
 
「どうだってばよ、俺だって色気、使えるんだぞ!」
・・・間違っていないようで、間違っている日本語。
を、ナルトは自信満々、といった感じで言い放った。
 
他方、サクラは呆れた表情をし。
カカシは、特に興味ない様子で、『やっぱ生の(?)ナルトの方がいいよなぁ〜v』などと考え。
以外に純情少年サスケは、赤くなって目をそらしていた。
 
(おお、こいつにこんな特技があるとは・・・コレはなかなかじゃのぅ・・・)
と、いやらしそうな目つきになる、自来也。
「げっ、エロ仙人の目つき、気持ち悪・・・・・・」
さすがにナルトが引き腰になった瞬間。
 
「ぎゃあぁぁぁぁっ」
 
ナルトは見事、エロ仙人につかまった。
 
「はなせーっ、オープンスケベっ。どーせなんか変なことするんだろ!」
肩に担がれながら、ジタバタともがくナルト。
 
「本当は男なんだからな、術を解いたら男に戻るってばよ!」
「ふふん、甘いわ。既に術は解けんようにしてある」
「なっ・・・、げっ、本当に解けね〜〜!!(汗)」
「かっかっか、新連載の話の、ネタだしにでもなってもらうとするか」
「何の新連載だ、なんの〜〜!!」
 
そのまま、連れ去られてしまうナルト。
 
 
「ちょっとあんたたち!何呆けてるのよ!このままじゃナルト、あの変態親父に喰われちゃうのよ!!」
突然のことに呆然としている2人に、叱咤したのはしっかり者のサクラ。
 
「「はっ。な、ナルトォ!!」」
 
2人の車輪眼付エリートは、慌てて2人を追ったのだった。
 
 
 
ナルトが無事助かったかどうかは・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 
 
 
神のみぞ知る。




私の想像する自来也×ナルトってこんな感じです。
自来也さん、男のナルトは好きにならない気が・・・。
『馬鹿弟子』として、愛情を持つとは思いますが。
それにしても、ずんずんとマイナーカップリングの道を進んでゆく私です。
もう、止まりそうにありません。