「んじゃ、今日は任務終了〜」
いつもの間の抜けたカカシの声で、本日の仕事が終わった。
「サスケ君・・・今日こそ私と・・・」
「断る」
「・・・・・・」
いつも通りの展開だったが。
今日はサクラに考えがあったらしい。

「ナルトォ!」
「はいぃっ!?」
あまりものサクラの剣幕に押されて、思わず肩を震わすナルト。
驚いたのはナルトだけではなく、サスケとカカシも、ギョッとした目でサクラを見る。
・・・と。
とても優しそうに(サスケとカカシには、恐ろしく見えたとか)、にっこりと微笑むサクラ。
「ねぇナルト、今日一緒に修行しない?」
「・・・え?」
「なっ!」
いつも誘っては断られていたナルト(サクラと同じ)。
サクラの方から誘われたのは、初めてだった。
「え・・・い、いいの?」
戸惑いつつも、嬉しそうである。
「私から誘ったのよ、当然でしょ?」
「・・・やったってばよー!」
喜びを隠さないナルトは、万歳でもせんほどの勢いで声をあげた。

焦ったのはサスケ。
(な、何っ?ちょっと待て・・・後で俺がナルトを誘おうと思っていたのに・・・)
と、カカシ。
(え〜・・・今日はナルトにラーメンでもおごってやろうと企んでいたのに・・・)
((サクラの奴、一体何を考えて・・・!?))
珍しく、2人の考えが重なった。
(というか、ナルトが関わった場合この2人の思考は驚くほど一致する)

「サクラちゃんと2人で修行なんてはじめてだってばよ〜v」
「そぉねぇ・・・どこでしようかしら?」
「あっ、俺さ俺さ、森ん中にいいところ知ってるってば!」
「本当?じゃあそこにしましょ」
車輪眼2人の止めるまもなく、話が進んでいく。
サクラが顔だけこちらに振り返り。
『ザマーミロ』
といわんばかりの、優越に満ちた笑み。
「「!!!!!」」
やっと意図がわかった2人。
はっきり言って鈍すぎです。
「「ちょっと待てナルト!」」
あぁ、こんなところでも息が合うのですな。
「え?」
ナルトが振りむいた。

思わず引き止めたはいいが、なんと言えばいいかわからない。
まさか、理由もなくサクラと一緒に修行をするのは止めろ、とは言えない。
とか言って、サクラの目の前で、ナルトを修行にさそう勇気はサスケにはなく。
(誘ったところでついてくるとも思えない)
カカシはカカシで、こうなった以上ラーメンよりもサクラを取るだろう、とはわかっていた。
万が一ラーメンを取ったとしても、
『ちょっと、私よりラーメンを取るわけ!?』
とサクラに睨まれれば、ナルトはサクラを選ぶはず。
こうすれば自分が勝者、とわかって、サクラはナルトに声をかけたのだ。

「・・・なんなんだってば?」
引き止めた後、何も言わない2人を見て、訝しげな顔をするナルト。
「あっ」
ピン、と来た顔をする。
「さては2人とも、サクラちゃんとの修行を狙って・・・」
と、ずれた発想も、鈍いナルトならでは。
「いやー悪いってば。今日はサクラちゃんは、俺と!修行するんだってばv」
『俺と』を主張し、やけに嬉しそうに言うナルト。
「そうね、じゃあお2人さん、お先に〜v」
勝利の笑みを浮かべて、サクラはナルトをつれて森へと向かった。

「くそっ・・・あのウスラトンカチが・・・サクラなんかについていきやがって・・・」
「情けないね〜、女の子にまで負けるなんて」
「そんなんあんただって一緒だろ?それに、子供にまで嫉妬心燃やしてんのは、見苦しいぜ?」
「恥ずかしがっていつも喧嘩腰になる馬鹿より、100倍マシ」
「クソ変態エロ上忍・・・」
「ヘタレ激弱妄想小僧・・・」
しばしの間。

その後、数時間にわたって紛争を繰り広げる2人の姿が、そこにあった。
そんなことは露知らず、サクラとナルトは仲良く修行をしているわけで。
所詮負け犬同士の戦いは、何の慰めにもならないものなのであった。


7班のこういうの大好きです。
ナルサクも好きだけどナルヒナも好き。微妙な心情。