「おい、ナルト。ちょっとでかけねー?」
「どこに?」
そんな会話で、散歩。
でも、一番大切なのは?


2人で肩を並べて歩く。
足取りは、遅いような速いような。

「シカマルが散歩に誘うなんて、めずらしーってば」
歩きながら、ナルトが言った。
「散歩とか、めんどくさがりそーなのに」
確かに、めんどくせーわな。
と、心の中でだけ頷くシカマル。
口に出せば
『じゃあ何で誘うんだってば』
等、質問攻めにあうのは、火を見るより明らか。
代わりに。
「そーでもねーよ」
これも本心。
語尾の、『お前と一緒ならな』は、省略。
「ふぅん?ま、いいけど」
少し疑問符をつけながら、ナルト、自己完結。
「俺はシカマルと歩くの、好きだし」
「・・・・・・」

こいつは俺と正反対だ、とシカマルは思った。
根底にある感情は、わざと言葉にしない自分と。
他人が聞いたら赤面するような心のうちも、包み隠さず、というか思いついたままに口にするナルト。

でもま、正確反対の奴は相性いいって言うし。

滅多に信用なんかしない一般論。
都合のいいときばかり適用。

「でもさでもさ、いきなり散歩なんて、どっかいい場所でも見つかったのかよ?」
「別にー」
「・・・?どこに行くか決めてあるってば?」
「一応、な」
「どこなんだってばよ?近い?遠いの?」
「あー・・・、遠いかもな」
「・・・いいかげんな返事ばっか・・・」
質問攻めのナルトも、埒のあかない問答に諦めた。
「いいじゃねーか、場所なんかつきゃわかんだろーが」
いかにもシカマルらしい答えだが。
それは知りたい答えのような、実はちっとも答えになっていないような。

それから歩くことしばらく。
ついたところは・・・・・・?

「目的地って、ここ?」
「おう」
ナルトは“目的地”を、きょとんと見ながら言った。
「ただの広場じゃん」
「初めて来ただろーが」
なんか文句あるのか、と、言いた気な。
シカマルの語調。
「はじめても何も、ココってば、別に来る必要あんのか、散歩してまで・・・?」
「どこならよかったっつんだよ?」
「どこってことねーけど・・・なんでわざわざココに来るんだってばよ?」

特別なものがあるわけでもないし、景色が綺麗なわけでもない、その広場。
それどころか人がいるわけでもなく。
たまにいるのは、犬の散歩。
何のためにココへ来る必要があったのか、分からない。
しかも、シカマルが。
あの、ことあるごとに“めんどくさ”がるシカマルが。
わざわざ自分を、散歩にまで誘って?

「うっせーなぁ、散歩ってのは歩いてくる時間の方が大切だろーが」
シカマルが、ほぼ投げやりに言った。
「・・・・・・?」
その言葉に含まれた意味を理解するのに、数秒。
「・・・ああ!」

つまり。
目的は『ココ』ではなく『自分と歩くこと』。
そう理解したとたん。
嬉しいような、こそばゆいような、微妙な感情。
とりあえず、たどり着いた極論。

やっぱり、シカマルと歩くの好きだってば。

自分で照れてしまうような結論に、微笑って。
後ろからシカマルに飛びつく。
・・・というか、飛び掛る?

「うわっ、なんだよ?」
「あのさ、あのさ、明日も散歩、する?」
「!・・・・・・ま、気が向いたらな」


シカナル祭でも開いてた気分です。
開きたい。今からでも遅くない。やろうか。