さりげなく 空気の共有。
悪いことではないでしょう。


俺が囲碁の戦略の本を開いている横で。
さっきから何をするでもなく座り込んでいるナルト。

あまりにも何もしていないので
「おい、暇じゃねーのかよ?」
と聞いたところ
「ん?別に〜」
気の無い返事が返ってきた。

別に約束していたわけじゃないし。
何で今ナルトが隣にいるのか分からん・・・。
・・・いや、嬉しいんだけどよ。
かといって、ここで本を手放すのは、俺が負けたようで。
意味もなく悔しい気がする。
だから、どんなにナルトが暇そうに見えても目線は本からはずさない。

しばらくすれば、
『本ばっか読んでないで構え〜』
なんて言い出すだろう、と思っていたけれど、その様子、なし。
これじゃまるで。
無視を決めてる俺が悪者みたいじゃねーか。

「帰ったっていいんだぞ?ココにいてもやることねぇだろ、お前」
「別にいいんだってば。やること無くても」
「はぁ?」

なんでだよ。
黙るときがあんのか、ってくらい普段五月蝿いコイツが。
沈黙を決め込んだまま、隣にじっと座ってる。
これ以上おかしな状況は、無い。

素っ頓狂な声をあげた俺に、答えられたナルトの返事は。

「俺がシカマルの隣にいたいだけだもん」

爆弾発言。

やべぇ・・・・・・。
頭に上ってくる血をごまかすために、再び本に視線を落とす。
が、頭に入ってくるものは、単なる白黒の羅列。
“囲碁の戦略”?
そんなもん、訳わかんねぇ。

黙り込んだ俺に、思うところあったのか、ナルトが
「あ、読書の邪魔だったら帰るけど・・・」
急にしおらしくなる。

何なんだよ、それは。
邪魔しないために、黙り込んでただただ座ってたんだろーが。

「邪魔じゃねーよ、別に・・・」

言うと、ナルトは笑って。
「じゃあいよーっと」
居座りを続けた。

結局俺は、頭の中に入ってきもしない本の内容を。
ぱらぱらとめくって眺める。
眺め続ける。
・・・ある意味ナルトと同じくらい暇なんじゃねーのか、これは。

それでも
意味もなく同じ空気を共有する時間。
こんなのも悪くねーか。


シカナル・・・・・・もう語ること無いです。
存分に短文で発散してたみたいですヨ。