『お前、さ、本気で笑ってないでしょ』
「TRUE」
話は“少し昔”に遡る。
「う〜ん・・・・・・」
俺は任務終了後解散場所で、全員が解散した後、一人で座り込んでいた。
「めんどくさいことになったってば〜」
と言いながら、シカマル節が移っちゃったじゃん、とかなんか思ったりして。
不機嫌になるのも無理は無い。
下忍、とはいえとりあえず『忍者』となって、これから本気出そうかな、なんて思ってたのに。
そう、本気
俺の『本気』というのを知っている人間は、実は少ない。
アカデミーでは、サスケの言葉を借りるとすれば、『ドベ』の『フリ』をしてたから。
成績悪いフリすんのも、楽じゃなかったんだけど・・・・・・目ェつけられて僻みにあうよりは、よっぽどマシ。
ただでさえ、いろいろと「ワケアリ」で目立ってる俺が、成績良かろうもんなら、成績悪い『バカ』の僻みにあうのは目に見えてる。
対抗できないわけじゃないけど、騒ぎおこすと今度は周りの大人が五月蝿い。
(この詳しい理由は、実は最近知ったんだけど)
まぁ、そんなこんなな理由で、アカデミーでは『ドベ』で通してきた俺だけど。
『下忍』になったんだから集団に合わせる必要は無い、と思って張り切ってたのに。
とりあえずなった下忍には、スリーマンセル行動、なんていう厄介なおまけつき。
当然アカデミーでの知り合いだった人物が、仲間とやらなわけで・・・・・・『本気』を出すわけにもいかなくなった。
(いや、サクラちゃんと一緒になったのは、ちょっとは嬉しかったけど)
こうも自分の能力押さえつけられると、苛立ちもする。
しかも、アカデミー卒業、ってことでようやく発揮できる、と、俺は張り切ってたってのに。
「・・・・・・はぁ・・・・・・不満がってたって、しょーがないってば・・・」
ため息をついて、一応家に帰るため立ち上がった。
これも、自分の正体を隠す、という意味で、忍びとしてのいい修行になるかもしれない。
無理矢理そう思い込めば、ちょっとは気が楽になる。
・・・・・・・・・それでも、不満が残ることに変わりは無いけどさ。
とたん、自分の背後に気配を感じる。
「!?」
俺たちスリーマンセル7班の担当上忍、はたけカカシが立っていた。
「あれ、カカシ先生・・・・・・?任務報告行ったんじゃなかったっけ?」
次の瞬間には、『元気の良い子供』のカオ。
なかなか洗練されてきたな〜、俺も。
「もう終わったよ。・・・・・・ナルトこそさ、こんな時間までどうかした?」
だいぶ前に解散したでしょ?と、カカシ先生が続けた。
「別にどうもしないけど・・・ここでちょっと修行しようと思ったんだってば」
とっさに言った嘘の割には、なかなかいいセンいってると思った。
どうかした、も何も、本当に全然意味もなく座ってた、なんて言えばソレこそおかしいし。
修行しようと思ってた、なら、ドベでバカな単純一途って感じする。
カカシ先生も納得したようで
「そーかそーか、感心感心」
と、例のやる気があるんだかないんだか分からないような笑顔で、頷いてみせる。
俺も一応、笑顔を返しておいた。
と。
「お前、さ、本気で笑ってないでしょ」
・・・・・・・・なんだそりゃ?思わず心の中で突っ込みを入れた。
否、実際口に出した。
「・・・・・・へ?どういう意味だってば?」
いかにも、理解してないオバカな子供、という感じ丸出しにして。
実際俺に意味は・・・・・・わかるようなわかんないような。
「だからさ」
言いながら、カカシ先生が近づいてくる。
気味悪かったけど、殺気も闘気も感じられなかったから、下がらない。
「その表情、本気の笑顔じゃないでしょ、って」
俺の目の前まで来てしゃがんで、俺の顔を覗き込むような体制になってそう言った。
挑戦するようなその瞳に、ようやく何を意味するのか察した。
「っ!」
カカシ先生の表情からは、カマかけてます、なんて感じは微塵も見られない。
むしろ、いかにも確信してます、というような自信。
ごまかしても無駄だ、ってことくらいは、分かる。
しかも、俺の反応でさらに確信を固めたようで。
「あ、バラしたりする気は無いから、安心しなよ。やー、でもよく騙したモンだよね。たいしたもんだと思うヨ」
なんて頷きながら、カカシ先生は立ち上がった。
相手は上忍、しかも、聞いた話によると、元暗部だとか。
やっぱ筋金入りのエリートは、騙し通せなかったってことか?
さっき背後にいたときも、それまで近づいてくることに気付かなかったくらいだし。(気配消してたんだろうけど)
そう考えるとちょっと口惜しい気もするけど、それはそれで仕方ない。
でも、・・・・・・・どこでいつ気付かれたんだろう?
素直に疑問を口に出してみることに。
「・・・・・・なんで気付いたんだってば?」
すると、カカシ先生はソレを待ってましたとでも言わんばかりに、ご機嫌な表情となる。
・・・・・・ちょっと不気味。
しかし、その次に返された返事の方が、よっぽど不気味だった。
「それは〜、俺がナルトのことを好きだからっで〜すvv」
「はぁぁあ!?」
思わず間抜けな声を出す。
それも当たり前の対応だと思うけど。
なに考えてんだ、この上忍。
上忍・・・ていったら、当然俺の九尾のこと知ってるはず・・・(だよな?)。
それ以前に俺男だけど、とりあえずソレは置いておくとしても、何故に俺に?
どっちにしろ俺の本性知ったとしたら、“生意気なガキ”とか思うのが普通じゃない?
否定条件ばっかりが思考回路に回る。
そのまま何も答えずにいたら、カカシ先生は更に
「ほらほらナルト、御返事は?愛の告白なんかしてくれちゃったかっこいいカカシ先生に、御返事は?」
なんて、調子に乗ったことを言い出す始末。
って、返事と言われても、なんせ言い出したのは、このなにやら初対面から怪しげだった担当上忍。
というか、今でも十分に怪しい。
しかも、(いつものことだけど)口調は羽のように軽いし。(更に自分のこと自分で“かっこいい”とかぬかす)
そんな人に『愛の告白』とやらをされたって・・・・・・・・・。
「信じられるかぁっ!!」
俺は珍しく本心からそう怒鳴ると、思いっきりすばやく自宅へと駆け出して行った。
しばらくしてカカシ先生は追いかけてきてはいない、と知るまで、最高速度を緩めることは無かった。
「あっはっはっはははは、・・・・・・よぅ、振られたか、カカシ」
「見てたんだ、悪趣味。・・・・・・まだ振られてはいないでしょーが。信じてもらえてないだけなの」
「そうかぁ〜?それにしちゃあ全然脈なしだったじゃねぇか」
「うっさいなぁ〜、アスマ。・・・ま、お前の女歴の無さよりマシだよ」
「おう、言いたいように言ってろ。・・・・・・・・・けどま、あいつは難しいだろ」
「あいつってナルトのこと?何でさ?」
「考えても見ろ、あいつはガキん時からずっと、大人から批判の視線しか浴びずに育ってんだぞ?極一部例外はあるにせよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「今更大人に懐け、なんて言われたって、そうそう信用するかよ」
「・・・そうかもね。まぁ、それは時間かけて何とかするつもりだからいいけど」
「お前が長期戦か、いいねェ・・・クックック。でもなぁ、敵も多そうだぞ、あいつは」
「敵って・・・・・・ちょっとアスマ、誰か知ってるわけ?」
「さあねえ・・・・・・?」
「言えって!」
「おお怖。でも言わねーよ。自分で見て考えろ」
「・・・・・・・・・ちっ」
「ちなみに、俺も気に入ってるしな」
「げっ!お前が?」
「面白い奴じゃねーか。ぜひともうちの班に欲しいな」
「・・・・・・絶対にやんない。そういうのだったらいいけど・・・、まさか本気になったりしないよな?」
「さぁて、どうだかなぁ・・・・・・?」
「アスマ!!」
初スレナルのリクエストでございましたが・・・どうでしょう?
ご期待に添えているのやら・・・。
スレナルは・・・好きですが時がこないと(?)書かないので、難しいですね。
てゆーか、なんだかんだ、終わり方は総受けに近いし。
大丈夫か、私・・・?(病気)
個人的には最後のアスマとカカシのやり取りが、書いてて楽しかったです。
うちのサイトって、カカシよりアスマのほうが優勢っぽいですよね・・・。
車輪眼批判的サイト・・・?いや、違うけど。
(↑しかし車輪眼への扱いは酷い)
5000HITありがとうございました!
これからもよろしくおがいいたしますv