最終兵器彼女
「サクラ、コレどうすんのよー?4人じゃないと駄目なんでしょー?」
「わかってるわよ、だから今考えてるんじゃない。・・・あんたも考えてんの、いの?」
「考えてるわよ、失礼ねー。ヒナタはー?」
「う、うーん・・・と、紅先生とか・・・は?」
「え〜?なんか引率されちゃいそうじゃない?せっかくだから思いっきり遊びたいじゃないのー。」
「どっちにしろ無理よ、いの。16歳以下の女性限定だもの、コレ」
「あ、じゃあ・・・無理ね・・・」
「紅先生もさすがに16以下には見えないしねー」
「い、いのちゃん・・・っ、く、紅先生が聞いてたら、怒るかも・・・」
「聞こえるわけ無いじゃないー」
「ともかく!誰かちょうどいい子いな・・・・・・あっ」
「「いるの?」」
「まぁ・・・ね」
そう言って妖しく笑うサクラの手には、1枚のチラシが握られていた。
次の日の朝、ナルトの玄関先は一時ハーレム状態となった。
「な、なんだってば・・・?サクラちゃんにヒナタに・・・いのまで・・・」
めったに揃うことの無い女性の面子が、しかも自宅の玄関先に並んでいるのである。
ナルトでなくても驚く。
「あのね、ナルト。今日はちょっと、あんたに頼み事があるの、聞いてくれない?」
「頼みごと?俺に・・・?」
憧れのサクラから、頼み事がある、と言われれば、ナルトも悪い気はしない。
「な、なんだかわかんないけど、とりあえずあがってってばよ。出来ることならするけど・・・」
そう言って、落ち着いた場所へと3人を招きいれた。
「で、頼みごとってなんだってば?」
不安と期待の入り混じる声で、ナルトが聞くと、女子3人が顔を見合せる。
頷くようにして、サクラが切り出した。
「単刀直入に言うわ、ナルト、あんたに頼みごとってのはね・・・女の子になって欲しいの」
「・・・・・・・・・女・・・の子、・・・女の子ぉ!!?」
あまりの突拍子も無い要望に、反応が遅れるナルトだった。
「お、お願い、ナルト君・・・ナルト君しか、た、頼む人、いなくって・・・」
「ヒ、ヒナタまで・・・・・・(汗)。一体、なんでなんだってば・・・?」
サクラの話によると、始まりはある1枚のチラシだとか。
『木の葉・アミューズメントパーク女性サービスデー』
つまり、その遊園地の女性サービスデーの対象となるのが、“16歳以下の女性4人”なのである。
4人以上でも以下でもいけないのだが、サクラといのとヒナタでは3人。
どうしてももう1人が必要だったわけである。
そこで、
「ナルトに『お色気の術』を使わせて、4人にすれば良い」
という結論に至ったそうだ。
説明されたナルトは、しばし黙り込んだが、
「・・・で、でもさでもさ、俺のお色気の術は、大人の女の人になるんだってば。16歳以上の・・・」
と、せめてもの反論を試みた。
「身長をちょっと低くして、胸とかお尻小さくして、ちょっと童顔にすれば良いんじゃないー」
「う・・・・・・」
「そ、それに・・・女の人の振り、な、慣れてると思うし・・・」
「うぅ・・・・・・・」
「それにさ、あんた言ってたじゃない。アミューズメントパーク行ってみたいって。今日ならタダなのよ、乗り物」
「うぅぅぅっ・・・・・・」
サクラのとどめが、とうとうナルトからOKの意思表示を引き出した。
「わ、わかったってば・・・・・・(滝汗)」
「支度出来たー?ナルト」
「う、うん・・・これで・・・良いってば?」
神妙な表情をして、『ナルト』ならぬ『ナルコ』が出てきた。
「「「・・・・・・・・・・・・」」」
一瞬言葉を失う女性陣。
沈黙して凝視され、変だろうか、とだんだん不安になるナルト。
首もとのあいた七分丈のティーシャツに、(ナルトがスカートだけはと断ったので)7分丈のスリットのあるGパン。
長いまつげに、(元からだが)青い瞳、薄くリップを塗った艶のある唇。
ブロンドの髪は、用心したサクラの要望により、束ねずおろされている。
どこから見ても、見事なまでの“女性”だった。
羞恥で朱色に染まった頬が、余計に色香を増している。
「コレはさぁ・・・」
「ちょっと・・・ショックよねー」
「お、女の私たちより綺麗・・・」
「ま、まぁともかく出かけましょ」
三者同様(違)のショックはともかく、早速出かけようと、サクラがドアをあけた。
ガチャ。
(サクラ)「・・・・・・・・・・・・」
バタン。
サクラは、ドアを空けたまま一瞬停止し、すぐさまそれを閉めた。
「あ、あれ?サクラちゃん・・・」
「ちょっとー、なにしてんのよ、でこりん、さっさと出かけましょうよ」
女性陣から困惑の声があがる。
「な、なんかあったってば?」
ナルトも、ある意味ほっとしつつも、なぜだろう、と疑問の声。
サクラが振り返りざまに、大声を出した。
「あんたたち、急いでナルトを隠して!!」
「「「はぁ?」」」
ナルトを含む、全員が、わけのわからない、という声を出す。
「ちょ、ちょっと、何なのよー、とにかく事情を説明しなさいよねー」
「あいつらが来た・・・・・・」
「あいつら・・・って誰だ?」
目を細くして、ナルトは首をかしげた。
「いいから!早くあんたは隠れなさい!!」
と、サクラが言い終わるか否やという、その瞬間。
バタン
と音がして、ドアが開いた。
「「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(絶句)」」」」」」」
「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(同じく)」」」
「はぁ・・・、だから隠れろって言ったのに・・・」
サクラがため息をついた。
ここから時の止まる数十秒間の間。
はいるとすれば、こんな心情レポートが。
カカシ(女の子のナルトかーvたまにはこんなのも良いなあv女の子だったら普通にアンナコトやコンナコトも・・・v)
行動が変態なら、思考回路もまさしく変態。
というか、少しは動じたらどうだろうか。
一方、もう少し落ち着いた方が良いと思われる人間もいる。
サスケ(なっ、ナルトが女に・・・?と、ということは唯一の問題点だった、一族の復興の野望が・・・っ)
それが唯一の問題点だったのならば、ずいぶん幸せな恋をしていたものだ。
紅(ナルト君が女の子!ってことは、あの服もあの服も着せられたかもしれない!カメラもって来るんだったわ!)
紅上忍、心の中で激しく後悔。
しかし、ナルトは今の姿であっても、「あの服」や「あの服」というのは着たがらないだろう。
勘違いのはなはだしい人物もいた。
我愛羅(あいつ・・・女だったのか?ということは・・・結婚できるな・・・)
女だった=結婚できる、という方程式の途中式の中には、どうやらナルトの意思は存在しないらしい。
イルカ(あ゛ああああああ!!そ、そんな格好で外に出たら・・・確実に犯られるぞ、ナルトぉッ!)
父親の心配は美しいものだが。
そんないかがわしい心配が出てくるあたり、普段の気苦労が見て取れて、余計に涙を誘う。
キバ(げっ・・・、あれ、まさかナルトかよ・・・・・・すっげー美人じゃん・・・やべぇ)
※ ある意味まともな感想過ぎて、突っ込みが入れられません。
シノ(・・・・・・どんな姿をしていても、ナルトはナルトに変わりない・・・)
ここが普通の少女漫画のワンシーンであれば、どれだけかっこいいセリフであったことか。
「何で俺んちにこんな来てんだってば!?」
我に返ったナルトが、びしっと、目の前の人物たちを指差す。
が、しかし。
「ナルト、お前こそその格好は何なんだ!?」
サスケに返された。
「げっ!これは・・・いろいろとワケがあんだよっ!それに、何なんだってばよ、このメンバーはっ!」
巧みに(?)話題を逸らしたナルトだが、確かに妙なメンバーだった。
「そ、そういえば何で砂忍がー・・・?」
「五月蝿い・・・、今日は休日だ。それに通行許可証ならもらってある・・・」
我愛羅は、青ざめているイルカに許可書を見せた。
「ほ、本当だ・・・一体どうやって・・・?」
「脅しかなんかデショ、多分」
「カカシもよくやるから、行動パターン読み取りやすいのね、きっと」
「ちょっと、紅?どーゆー意味なのさ?ソレ?」
「ふん、聞いたまんまの意味だろ」
「パクリ車輪眼は黙ってなさい」
「なっ!誰がパクリだ。パクリは貴様だろ!この似非車輪眼が!」
「俺より後に出て来といてよくゆーよ。二番煎じもいいとこ、ハッ(嘲笑)」
「2人とも、こんなところで(というかナルトの家で)喧嘩は止めなさい!」
と、イルカが止めたところで、ストッパーになどなるはずもなく。
まともなイルカ先生がとても可哀想。
「あいつらと一緒の班じゃ・・・大変ねー、2人とも」
あきれた表情で、いのが嬉しくもない同情をしてくれた。
サクラもうらやましそうな表情で、いのを見る。
「そうね、あんたんところは落ち着いてるわよね・・・」
「シカマルはボーっとするのに忙しくて、チョウジは食い歩きするのに忙しいのよ、きっとー」
「・・・そう・・・。アスマ先生は?」
「さぁ・・・?シカマルの囲碁の相手か、チョウジのメッシー君(死語)でしょー」
「・・・・・・やっぱ落ち着いてるわね・・・」
「うらやましかったら、1人サスケ君と交換してあげても良いわよー」
「・・・・・・・・・・・・・・」
いつもなら大声で否定するところだが、このときは本気で迷ったサクラだった。
刻一刻と、時間だけが過ぎていく。
「あーもう・・・っいいかげんにしろっ!!」
サクラの一声、鶴の一声。
騒がしき群集が、ぴたりと日本庭園の静寂さになった。
「わたしたちは忙しいんです。さっさとナルトに用事済ませて、出て行ってください。ていうか出て行け!」
怒鳴った声とは重なりもしないような、事務的な声で、淡々と告げるサクラの声は、むしろ恐ろしい。
しぃん、と静まり返ったまま、誰も動けない・・・のも当たり前か。
「ほらほらほら、さっさと用事、済ませる!用事ないの?ないならさっさと・・・」
「用事ならある」
それまで黙っていたグループの1人、シノが不意に言った。
「何、用って?」
ナルトへの用のはずなのに、なぜサクラが仕切っているのか。
・・・この期に及んで、そんなことを口に出すものはいなかったが。
「ナルトに会いに来た」
「え・・・?////」
ナルトがちょっと驚いた顔をする。
(ちょ、ちょっと、何ムードつくりかけてんのよ、あんたらは)
サクラがいらだち始めた瞬間。
「あ、俺もー」(キバ)
「「俺もだ・・・って、ハモってんじゃねえよ!」」(サスケ&我愛羅)
「あっ、私も〜」(紅)
「お、俺も・・・久しぶりに・・・」(イルカ)
「俺もだよー」(カカシ)
サクラの望みどおり(?)、そんなムードは綺麗さっぱり崩れ去った。
「・・・・・・・・・・・・(怒)あんたらねぇ・・・っ」
肩を震わせ、寸前のところで怒りを抑えているサクラ。
(これだからナルトに関わるとろくなことないのよ、あーもう、いらいらする!こないだだってねぇ、あーだこーだ・・・)
と、そんなことをサクラが思ったかどうかは知らないが。
そんな思いを爆発させるかのように、サクラは手近にあった窓ガラスを叩き割った。
ガシャン・・・ッ
「(!!!!!!俺んちのガラス――――!!)」
ナルト、心の中の悲痛な叫び。(声に出したらサクラに怒られるから)
「・・・残念だけど、皆さん、ここはお引取り願うわ・・・。今日はナルトは、わたしたちと!用事があるの」
穏やかな口調でそう言ったが、声裏には明らかに
『さっさと帰れよ。帰らんと殺すぞ・・・』
という、呪いの呪詛のような声が聞こえた。
「「「「「「「(怖っっっっっ)」」」」」」」
一瞬ひるんだ男性陣+紅だったが、そこへ我愛羅の一言。
「俺には今日しか時間がない・・・何が何でも今日は俺がナルトをいただく・・・(出来れば今のままの格好で・・・)」
もちろん、そんな言葉に負けるほどサクラはお人よしではなかった。
それに、サービスデーも今日1日限定。
「悪いけど!私たちにも今日しか日にちがないの。さっさと、お・ひ・き・と・り・ね・が・い・ま・す!!」
「そうだ、お前はさっさと里にでも帰れ」
便乗するように(こんなときだけ)、サクラに同意するサスケ。
「ハッ・・・お前こそ帰ったらどうだ?どうやらお前は、ナルトに歓迎されていないらしいしな・・・」
「な・・・っ(怒)」
たしかに。
先ほどからナルトの表情と言えば、迷惑極まりない、という顔。
「あ、あれは(俺を除く)全員にだろ!お前もだ、このクマパンダ!」
サスケのこの一言。
まさに、口は災いの元だった。
我愛羅「誰がクマパンダだ・・・(怒)」
紅「てゆーか、サスケ。ってことは、私たちもその中に含まれてるっていうことかしら!?」
カカシ「ちょっと紅、“たち”に俺まで入れてないでしょーね?」
イルカ「いや・・・入っているでしょう、カカシ先生・・・」
キバ「俺はアカデミー時代から、ナルトとは友達だしー、なっ、赤丸?」
シノ「・・・犬臭いと言われていたな・・・」
休み時間の教室のようにざわめいてきた群集を、もはや止められるわけもなく。
たった7人、されど7人。
サクラ以下、ナルトも含む4人の耳は、嫌なざわめきに支配された。
「ナルト・・・・・・もう行くわよ」
プツリ、と切れたサクラが、突然ナルトの首襟をつかんで引きずっていく。
「え、こいつら放って行くわけー?サクラ」
「仕方ないでしょ、いの。どうやって止めろって言うのよ?」
「た、確かにそうかも・・・」
「え、ヒナタまでそんなん・・・。そしたら俺の家どうなるんだってば?絶対無事で済みそうにない・・・(汗)」
「諦めなさいよ!そんなもん!命には代えられないでしょ」
サクラの言うとおり、家にいれば命が危ないかもしれない。
ナルトも一瞬黙る。
「・・・・・・サヨナラ、俺の家―――・・・(涙)」
すでにナルトは、自宅の全崩壊を予測している模様。
サクラがため息をついた。
「火影様に頼んだら、あんただったら作ってもらえるんじゃないの?家」
こちらもすでに家が崩壊することを前提としているらしい。
「え・・・?そ、そうかなぁ・・・?」
「火影様のお気に入りだもんね・・・な、ナルト君は・・・」
「は?それはないと思うってば・・・」
「あんたってさー、むかつくやつねー・・・」
「な、なんでだってばよ・・・・・・?(怯)」
サクラといのは、顔を見合わせて同時にため息をついた。
結構、仲のいい2人。
((とりあえず、今日はナルトを使ってとことん遊んでやる・・・・・・!!))
そんな2人の意識が、見事にシンクロした瞬間だった。遊園地で遊ぶのではなかったのか。
その月の火影の会計簿には、1つの建築物代の出費が組み込まれていたと言う。
2000HITありがとうございましたv
なんていっている間に、カウンタは3000を越えてしまっていますが。
(相変わらずの遅筆っぷりが目にあまる状態・・・)
ちゃんとリクに答えられているのかどうか・・・かなり微妙です(汗)。
ていうか、答えられていません!!(ひーっ!)
新人下忍たち全員出てないですし・・・。
すみません×10000〜〜〜!
せっかく素敵な設定を頂いたのに、うまく生かせていないです・・・(死)。
もっとナルコを!生かせ生かせ!(自分に言い聞かせ)
では、これからもよろしくお願いいたします〜。(腰低く)