『旅情』


「うっわー・・・・・・、綺麗な宿・・・・・・」
感嘆のため息を洩らしながら、セナが屋敷を見上げた。
まさに屋敷。
純日本風の広い庭に、どっしりとした大きな建物。
「本当に、こんなところに泊まれるんですか?」
驚いたような、感動したような声で言ったセナの肩を、軽くポンと叩いたのは、まもりだった。
「ヒル魔・・・君だもの」
「あ・・・・・・あぁ・・・・・・」


「オイ、今週末の土日、合宿すんぞ合宿!」
いつもの調子で、ヒル魔はドアを蹴り開きながら、そう叫んだ。
初めはいちいち文句を言っていたまもりだったが、すでに慣れたらしい。
喧騒は起こらなかった。
が。
「「「合宿!?」」」
突然なこの響きに、全員が耳を疑うのも当然。
セナがまず立ち直って
「な、なんか偉く急じゃないですか・・・・・・?普通こういうのって、1ヶ月くらい前から・・・・・・」
と言いかけると、ヒル魔がこともなげに答えた。
「昨日決まったんだよ」
「・・・・・・は?」
「正確に言うと、決定したのはついさっきだ。場所、ここな」
ぺっ、と放り投げるように出された1枚の紙は、駅によくおかれている、宿の宣伝広告のようなもの。
3人がそれに群がった。
「「「・・・・・・温泉?」」」
確かに、そのチラシの写真に写っているのは、綺麗な、そして広い温泉。
隅には近所の観光地案内などであるらしい、景観みごとな山々の写真が、彩っている。
電車を使って、ここから大体2時間と少し。
交通費だけ考えれば、そこまで無茶を言っているようには聞こえない。
けれど、問題は宿泊費である。
セナは、すばやく宿泊代に目を走らせた。
・・・・・・・・・・・・お一人様一泊19000円。
かける4で、ええと・・・・・・。
呆然としすぎて働かない頭を、必死に巡らせていると
「4人で76000もかかるじゃないの・・・・・・」
隣で、まもりが呟くように言った。
「なな・・・まん・・・・・・ろくせん円・・・・・・?」
それがどれだけの数字か、ふと頭の中で分からなくなりながら、呟く。
そして、セナの脳は、急に正常に回転し始めた。
「!!!」
今週末土日に合宿・1人頭19000円・4人で76000円・・・・・・。
「そ、そんないきなりこんなの無理ですよっ!」
思わずそう叫んだ。
というのも、こういった会計の仕事は、主務である自分の仕事。
このアメフト部の財政を把握しているセナは、そんな金がアメフト部には無いことくらい、百も承知である。
そのお金をどこから搾り出してくる・・・・・・、なんて、それぞれの自費に決まっているが、セナはそんなお金は持っていない。
親に貰うにしても、こんなに急では怪しまれることは必至だろう。
そして、各家庭の出費となれば、その旨を公式に伝える文書を考えるのも、やはり自分。
顧問の教師がいればその人に任せられるのだが、その存在はこの部活において霧に包まれている。
自分が出費についての文章を考える・・・・・・?
無理無理!そんなこと!
セナは自分に降りかかってくるであろう責任の重さに、身震いした。
「お金どうするんですか、無いですよ?
 それに、合宿って言ったって、こんな温泉地じゃ、何の練習も出来ないじゃないですか」
一気にまくしたてると、ヒル魔はどかっと椅子に座り込んだ。
「金なら心配いらねーよ。その話を今、つけてきたんじゃねーか」
「・・・・・・つけてきた?」
「ケケケ、校長にな。部活の練習のために、って『オネガイ』したら、喜んで出してくれたぞ」
「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」
その瞬間、3人が同時に校長に同情を抱いたのは、言うまでも無い。
今ごろ彼は、校長室で一人頭を抱えていることだろう。
限りない罪悪感を、なぜか自分たちが感じながらも、解せない点は解せない。
「で、でも、こんな温泉地じゃ、練習なんか出来ませんよ・・・?」
セナがさっきと同じ言葉を、繰り返した。
「別にアメフトの練習だけが、合宿の目的にはなんねーだろ」
「・・・・・・はぁ・・・・・・?」
「ま、慰安合宿だ、慰安合宿」
蜜みてーなもんだろ?と、セナ命名・悪魔笑(・・・)をしたヒル魔に、他の3人がピンと来た。
・・・・・・部員集めの宣伝か!
とりあえず、部員の足りなさという決定的な面での不足を補うための、宣伝効果、といったところだろう。
確かに、いくら私立と言えども、温泉に慰安合宿、と言えばかなりの魅力。
もっとも、栗田・セナ・まもりの3人に言わせれば、その部員不足の原因は、ヒル魔にあるとしか思えないのだが。
(勿論、彼の前でそんなことを口に出すほどの馬鹿は、3人の中にはいない)
「ま、そういうことなら仕方ない・・・・・・わね」
色々な疑問を封じ込めて、まもりが言った。
所詮、学校と言う機関内での、色々な諸事は、この男にかかれば何の問題でもないのだ。
と言うことを、順応性のある彼女は、既にわきまえているのかもしれない。
その適応能力を知っているセナは、いつの日か適応しすぎて、一般概念が麻痺してしまわないかと、少し心配もしたが。
彼女の承諾が降りた時点で、問題点は既に無いに等しい。
例え先約があろうとも、そちらを優先させることをヒル魔が許すはずも無い。
こうして、緊急ともいえる泥門アメフト部温泉合宿は、決定したのだった。


玄関に入ると、テレビでよく見るような高級旅館のように、和服姿の女性数人が出迎えた。
純日本風の、その落ち着いたたたずまいは、かえってセナたちを緊張させる。
ヒル魔を除く3人は、素直に感嘆したが、やはりそこで気になってくるものと言えば、宿泊費。
一泊だけでいいなら、もっといくらでも安いところがあったのではないのだろうか?
「良くこんな宿、取れたわね・・・・・・」
暗に、どういう神経をしてるのだ、という意味でまもりが言ったが
「学校が出してんだから、金の心配はねぇだろ」
と、ヒル魔にはその深層の嫌味は、通じない。
自分たちがこの宿に泊まるために、一体校長がどれだけ頭を痛めたか。
それは想像に難くない。
3人は、悪いのは自分たちではないのに、どうしてこんなに心が痛むのだろう?と、心臓に手を当てた。
「こちらの御部屋でございます」
丁寧な物腰でそう言うと、仲居さんが物音立てず下がって行った。
4人であったが、女子が男子と同じ部屋で過ごすわけにも行かない。
よって、部屋数は2部屋。
5,6人は裕に泊まれそうな広い部屋に、なかなか贅を尽くした宿泊の仕方ではある。
「お前一人でそっちの部屋な」
「分かってるわよ。・・・・・・セナの睡眠邪魔したら、許さないからね!」
「はは・・・、まぁ僕もついてるし、大丈夫だよ、姉崎さん」
「そ、そうよね、栗田君がいてくれると安心だわ・・・・・・。セナ」
「え?」
「ヒル魔君が五月蝿くしたり、酒盛りでもして眠れなかったら、私の部屋に来ていいのよ、広いんだし」
「あ・・・・・・う、うん、ありがと。(さ、酒盛りって・・・・・・一人で?)」
部屋を別つその瞬間まで、妙に火花の散る2人、ヒル魔とまもりを見て、セナと栗田はため息をついた。

時は夕刻、メインの温泉もゆったりと味わった4人は、まもり専用の女性部屋にて、夕食タイム。
男性部屋でも良かったのだが、早速ヒル魔の荷物によって、ゴチャゴチャにされたのだった。
まもりは
「旅館の部屋まで自分の部屋とか部室みたいに、好き勝手散らかさないでよ!」
と喚いたが、ヒル魔曰く
「金払って借りてる部屋を、好き勝手使ってどこが悪い」
とのこと。
実際お金を払っているのは、学校なのだが、ヒル魔氏にはそんなことは微塵も関係ない。
入浴終了後、早くも一触即発になりかけた2人を
「ま、まぁいいじゃん。まもり姉ちゃんの部屋で食べたら。ね?」
と、セナが穏便に宥めたのだった。
まもりはヒル魔が自分の部屋に入ることを、最後まで嫌がったが(笑)、そこは出来た人格。
最終的にはこうして落ち着いた。
「おいしいねぇ、このイカのお刺身」
「ここって海が近いから、魚介類がおいしいそうよ。ですよね?」
まもりがセナに説明しながら、食事を運びに来ている仲居さんに尋ねる。
まだ20そこそこの若い女性は、綺麗な笑顔を浮かべて頷いた。
「ええ、特に冬には蟹がおいしいんですよ。おかげで冬は予約がいっぱいに」
当り障り無く、そんな話をしながら、飲み物を机の上に並べる。
セナが、「咽喉が渇いた」と言って頼んだ水。
「ジュースとか頼んだらいいのに」
と、言われたが、ただでさえ罪悪感を感じているこの合宿。
出来るだけその他の経費は、抑えて無事帰着したい、というのが、小心者セナの正直な気持ちで。
勿論その辺は、まもり、栗田にしても同じだったであろう。
仲居さんはすぐに出て行き、同時にセナがグラスに手を伸ばした。
ガラスを通して、水の冷たさが伝わってきて、今すぐ咽喉を潤したい衝動に駆られる。
まさか水を飲むのに、ためらいなど感じるはずも無く、セナは一気に2口ほど、それを咽喉に通した。
「・・・・・・・・ゴクっ」
・・・・・・・・・・・・あ、あれ?
なんかこれ、水じゃないような気が・・・する。
咽喉越しがやけに熱いし・・・・・・。
「ま、まさかこれ・・・・・・」
バタ・・・・・・ッ
言い終わらないうちに、セナは倒れた。
「セナ君?」
「セナ!?」
驚いたまもりが、慌ててグラスの中身を確認した。
「こ、これ、日本酒じゃない・・・・・・」
「はぁ?酒ぇ?」
ヒル魔が、倒れたセナとグラスとを見比べた。
ぐったりとしたセナを、栗田が半分抱えて上半身を起こす。
「きっと、さっきの人が、どこか別のお客さんのと間違えたんだわ・・・・・・」
「つーか、何で酒のちょっと位で倒れんだよ?情けねえな」
「セナはアルコール弱いのよっ。大体、未成年なんだから普通は飲むわけ無いでしょう」
今時アルコールを一口も口にしたことがない高校生がいるかどうかは分からないが。
ともかくセナが酒に弱いのは本当らしく、意識は戻っものの、気分が悪そうに顔をしかめている。
「セナ、大丈夫?すぐ本物の水持ってきてもらうから、しばらく寝てなさいね」
「あ、ありがとう・・・・・・。う゛え゛ぇ・・・・・・、気持ち悪。す、すみません栗田さん」
口元を抑えながら、支えてくれている栗田に、謝罪の言葉も忘れない。
「いいよ、いいよ。楽にしてなよ」
「はいぃ・・・・・・」
突発的な事故ではあったが、こういう時、周りの人の優しさが身にしみるというもの。
セナはぐったりしながら、まもりと栗田2人に、感謝した。
そして、セナを心配そうに覗き込むこともせず、ただ黙って傍観を決め込んでいるヒル魔。
(あぁ、でも自分の食事を止めてるってことは、それなりに気を使ってる・・・のかもしれないなぁ)
アルコールで、頭の回転がおかしくでもなっているのだろうか。
とりあえずの理由を見つけてでも、なぜかセナは、ヒル魔にも感謝しようとした。
「すみませんっ」
血相を抱えて飛び込んできたのは、さっきの仲居の女性。
片手に、今度は間違いなく、水の入ったグラスを持って。
「申し訳ございません・・・、私の手違いで・・・・・・っ」
相当申し訳なさそうに謝る彼女に
「いいですよ、そんなに飲んでないと思いますから。しばらく休んでたら、大丈夫です」
と、まもりがセナの代わりに、そう言った。
セナも、そうそう、という風に頷く。
本当にすみませんでした・・・、と最後まで頭を下げながら、女の人は出て行った。
「どう?セナ。少しは気分よくなった?」
「・・・ん、だ、大分マシにはなった・・・と思う。も、部屋で休んどくよ・・・・・・」
赤いやら青いやらな顔色をして、そう言ったセナに、まもりと栗田が頷く。
「そうね、その方がいいわね・・・・・・。今、あっちの部屋開いてるし」
「んじゃ、僕が・・・・・・」
「俺が運んでやるよ」
「「「・・・・・・え?」」」
突然栗田をさえぎったヒル魔の言葉に、3人が反応。
「え、い、いいですよ、ヒル魔さん・・・・・・」
ヒル魔さんに手数をかけたら、後が怖い。
寧ろ、後々どうなることか分かったことではない。
(それなら寧ろ、しんどくても自分で行った方がましだ・・・・・・)
幸い、部屋はそんなに離れているわけでもないので、セナはそう思った。
まもりも、急なヒル魔の態度を心配して、訝しげな表情でヒル魔を見た。
「なんか変じゃない・・・・・・?急に。セナは任せられないわ」
と、彼女の意見は、いつでも大切な幼馴染、兼、弟的存在中心である。
栗田でさえも、少し心配そうな表情を見せた。
「うっせーな、別に俺がどうしようと俺の勝手だろ?それに、あの部屋ほとんど俺の荷物で、散らかってるしな」
お前らが片付けられんのかよ?と。
ヒル魔がそう言うと、周りは口ごもるしかない。
「ま、こんな糞チビ抱えんのなんざ、屁でもねぇしな」
と言うと、ヒル魔はセナを小脇に抱えて立ち上がった。
「ちょ、ちょっと、何よその荷物みたいな抱え方!」
「ぁあ?姫抱っこでもしろってのかよ?」
「・・・・・・それもおかしいわね」
「先食べてろ、お前ら。コイツあっちの部屋に捨てて、片付けたら戻る」
(『捨てたら』って・・・・・・・・・)
相変わらず、人を人扱いしてない発言であるが、まぁ行動は親切心なのだろう、と。
聞き捨てならない言葉も、今回は見逃すことにしたまもりだった。

「す、すみません、ヒル魔さん・・・御手数かけちゃって」
「本当にな」
「・・・・・・っ、だから、別にいいって言ったじゃないですか〜・・・・・・(汗)」
「ケケケ、冗談だ、冗談。・・・・・・ハイハイ、ご到着〜」
いかにも高価そうな襖を、足で蹴り開ける。
どちらにしろ、ヒル魔がドアを手で開けるようなことがあるのかは、甚だ疑問だが。
パチパチっと電灯をつけると、真っ暗だった部屋が一気に明るくなった。
・・・・・・なるほど、確かに先ほどまでいたまもりの部屋と比べると、乱雑である。
が、寝る場所も無いほど・・・・・・というわけではない。
これなら、そこまでヒル魔の手を煩わせずに済みそうだ、と、セナは少し安心した。
「布団一応出しといてやるよ」
「あ、有難うございます・・・・・・」
部屋の隅に配されている押入れから、ヒル魔がバサバサと枕、カバーなどを出していく。
と、意外と手際よく、それを寝られる状態に整えた。
驚くほど普段と異なるヒル魔の親切心に、逆にセナが戸惑った。(失礼)
「オラ、寝とけ」
「あ・・・・・・、ハイ。どうも有り難うございました」
ぺこり、と頭を下げて、いそいそと布団に入り込む。
暗に、『もう戻っていいですよ』と、匂わせる合図。
だが、意に反してヒル魔は目を閉じようとしたセナを、じぃっと凝視している。
「・・・・・・・・・・・・あ、あの?」
「あ?」
「もう、戻って貰っていいです・・・よ?」
今度は、はっきり促した。
別に怪しんでいるわけではないが、じっと見ていられると寝難い。
特に、まもりならともかく、相手がヒル魔だと。
「・・・・・・・・・・・・」
ヒル魔は、ふむ、としばらく考える様子を見せたが
「いいや、お前見てっと俺も眠くなってきた。俺も寝る」
と言うと、ためらいもなくセナの寝ている横に、潜り込んだ。
勿論、セナがそれで慌てないはずも無くて。
「えっ!?ちょ、ヒル魔さん?」
「うっせーなー。眠いんだよ、俺は」
「だ、だったら何も、同じ布団で寝なくても・・・・・・」
「面倒臭ェだろ、わざわざ出すのなんか」
「じゃ、じゃあ僕、出しますよ」
「お前は寝てろ!」
「だ、だって・・・・・・」
「文句言える立場か、お前?ここまで誰が運んでやったと思ってやがる」
「・・・・・・・・・・・・っ!」
あぁ、だからこの人に運んでもらうのは、いい予感しなかったんだ・・・・・・。
などと、今更後悔したって遅い。
こうなったら、少しずつ這い出して、ヒル魔さんが寝た頃に自分で布団を敷こう。
と、ずりずりと身体をずらしていくと
「何逃げてんだ、馬鹿が」
「!!」
逆にヒル魔に、後ろから羽交い絞めされる結果となり。
勿論、こんな緊張(セナにとっては緊迫とも言える)状況で、眠りに落ちれるはずも無く。
思わず仰ぎ見た時計の針は、7時半をさしていた。
(す、少なくとも明日の朝・・・・・・10時間以上この状態!?)
睡眠不足・寝相の悪さ・無駄な心拍数の増加・・・・・・などなど、さまざまなことを心配し始めるセナ。
(神様仏様キリスト様・・・、だ、誰でもいいからともかくこの状況を何とかして・・・・・・)
と、祈る気持ちになったセナの背後で、既にヒル魔は、寝息らしいものをたてている。
と言って、腕の力が弱まったかといえば、ちっともそんなことはない。
このままじゃ、寿命が10年は縮まっちゃう・・・・・・。
とうとうセナが、自分の寿命のことまで心配しだした時。
遠慮がちに襖が少し開かれた。
「セナ、もうすぐこっち食べ終わるから、私の部屋に来なよ」
救いの女神・・・・・・もとい、まもりの声。
助かった・・・、と口には出さなかったが、その瞬間、セナが人生で最大の安心を得たのは事実。
「う、うん・・・・・・」
返事をして、「そういうことなんで」とヒル魔に告げて、腕を這い出す。
「ちっ・・・・・・あの糞女」
等という小声が、聞こえたような気がしないでもなかったが、あえて聞こえなかったフリをして、部屋を辞した。
「あら?ヒル魔・・・君が、なんでセナの寝てた布団に寝てるのよ?」
立ち去ろうとしたまもりが、セナの出た後の布団に気付いて、訝しがって声をかけた。
「・・・・・・眠かったからだよ、文句あるか?」
「・・・・・・・・・・・・」
まぁ、確かにその言い分は、最も彼らしい。
が、だからって同じ布団に寝なくても・・・、というのは、セナでなくたって同じ意見。
妙な感じがして首を捻りながらも、セナ用の布団を敷く為に、まもりもすぐ、セナの後を追わなければならない。
「・・・・・・ま、いいけど。セナは私の部屋に寝かせますからね」
「勝手にしろ。・・・・・・いいのかよ、お前は?」
「?別に構わないわよ、もともと広すぎたくらいなんだし」
そうではなくて、“男女で”という意味合いだったのだが。
それを言いかけて、面倒くさくなってヒル魔はやめた。
彼女にとって、セナが異性と判断するより前に、弟のような存在だ、ということだろう。
一種憐れな気がしないでもないが、少なくとも今回は、その関係はセナにとって、ラッキーだったということで。

「じゃ、おやすみなさい・・・・・・」
と言って、まもりが静かに襖を閉めた後に、ヒル魔がまた舌打ちをしたことなど、セナもまもりも、勿論栗田も。
知る由はなかった。



終われ。




〜後書きという名の言い訳〜

初のヒルセナリク小説でございます。
相変わらずおよそヒルセナらしくないヒルセナを書く私でございますな。(死)
詳しいリクをいただいたので、スムーズに行ったような、各所設定を変えてしまったような(汗)。
毎度こんなですみません・・・・・・。
いつまでもヒル魔さん、片想いの匂いがします。
このままではいかんねー、とか思いながら、ラブラブ設定なんか滅多にかけないんですけど。(笑)
ちなみに、まもりちゃんはセナと同じ部屋で寝るとか、マジで本気で気にしなさそう。
なきがするんですけど、どうでしょう?
(どうでもいいけど、まもりとヒル魔、バトルしすぎ)

なんかいつも通り(え)謝りどころが多いですが・・・。
17000HIT有難うございました!
これからもよろしくお願い致しマスv