舞台は木の葉流拳法道場。
ただひたすら拳法の修行をするため、完全寮制の、寺のような道場である。
己の精神と武術を磨くために、男たちが集まりお互いに鍛えあう。
そんなこの道場に、新しいメンバーが入ったのは、ある晴れた日曜日だった。
「はじめまして、うずまきナルトだってばよ!よろしくな」
と、緊張しつつも持ち前の明るさで挨拶をしたのは、金髪の背の低い少年。
「えー・・・、とゆーわけで、今日から新しくこのうずまきナルト君が一員として加わることになったから」
6代目師範のはたけカカシが、そう言ってその金髪の少年を紹介した。
「とりあえず今日は初顔合わせだからね。ちょっと時間とるから、質問とかは今のうちにしときなよ」
ここは道場なのだから、新人が入ってくることは、別段そう珍しいことではない。
それでも、いつものように道場へ集まった数人の男たちは、しばらく言葉を失った。
まず、こんな拳法道場に入る人間にしては、毛色が違う。
チャラチャラしているようにも見えないが、ここにいるメンバーは全員黒か、親譲りの茶色だ。
(師範は銀髪であるが・・・)
そして、それ以上に少年たちを黙らしたのは、彼の苗字だったらしい。
「あのー・・・」
訝しげな表情をして、おずおずと声をかけたのは、この道場で1番にぎやかな、犬塚キバ。
「うずまき君は」
「ナルトでいいってばよ」
「あ、ナルトは、“うずまき”ってことは、あの『うずまき流拳法』の家元・・・?」
他も思っていることは同じだったらしく、その答えに興味津々と言った表情をしている。
(中には表情の読み取れない者もいるが)
うずまきナルトと名乗った少年は、予測していた質問だったらしく、
「ソウデス」
と、あらかじめ用意していたような答え。
メンバーに、少しざわめきがおこった。
「だってなぁ・・・」
「・・・・・・あの、うずまき流拳法だろ?」
「なんでうちに・・・?」
「あーはいはい、身内で勝手に盛り上がるのはよしてね。質問はうずまきナルト君にしなさい」
ざわざわとひそかに疑問の声をあげる者たちを、カカシが制止した。
「今度はお前が質問しろよ」
犬塚キバに言われて、隣にいた少年、同い年であるうちはサスケが質問をする。
表情は、というと、どこか嫌そうだ。
「うずまき流っつったら、木の葉流のライバルでもある名流儀のはずなのに・・・なんでそんな道場の家元がここに・・・?」
周りが、同調するようにうなずいた。
これも、ナルトにとっては予想していた質問だった。
答えようかどうか迷っていると、
「説明してやりなよ」
とカカシに背中をたたかれ、ナルトはうなずいた。
「今言ったとおり、俺は『うずまき流拳法』の家元の、1人息子。
わかると思うけど、つまり、『うずまき流』の後継者なんだってば。
実際、小さいころから拳法を叩き込まれてきたし、自分で言うようなことじゃないけど、それなりの拳法家だ」
ナルトは、あまり周りと顔を合わすことなく、目を伏せがちにして語った。
「俺、今13なんだけど、18になったら道場の後継として、それが決定することになってる」
そこで、すこし沈黙の間があいた。
「・・・でも、俺はそういうわけにはいかなくて・・・自分には自分のやりたいことがあるんだってばよ。
そのためには、いくら自分の家の道場でも、継いでるわけにはいかない。
俺には、自分の意志で決めた自分の夢がある」
そこでナルトは顔をあげた。
意志の強い瞳、表情。
「・・・で、ここへ来た理由ってのはそこにあるんだけど・・・。
そのことを父親に話したら、やっぱり猛反対された。
当たり前だと思う・・・・・・俺、一人息子だし、今まで道場を継いできたのは、全てうずまき家の人間だったから。
でも、俺の方としても折れるわけにはいかなくて、ずいぶん親父とは争ったんだけど・・・。
父親の出してきた条件は“俺を倒すことができたら、その話を聞いてやる”ってものだった。
つまり、俺が父親を拳法で倒したら、家の後を継がなくてもいい、ってことなんだってば。
そのためには、いつまでも自分の道場で修業していたんじゃ、親父には勝てない。
だから、『うずまき流』のライバル道場でもあるここへ、拳法を習いに来たんだ・・・ってのが理由・・・」
話し終わるとナルトは、緊張が切れたように一息ついた。
「こういう理由があるってワケ。みんな、理解・納得、した?」
カカシが、にっこりと笑って言った。
しばらく、静まり返っていた道場だった。が。
パチパチ・・・
と、キバが拍手しだしたのを合図に、全員から拍手が送られた。
全員が、そのナルトの意思を認めたという、言葉の要らない証。
はじめは驚いていたナルトだったが、やがて意味がわかり嬉しそうに微笑った。
「・・・ありがとっ、よろしくなっ」
ドクン・・・っ
(・・・・・・って、今の“ドクン”ってのはなんだあぁッ!!///)
諸君の心の突っ込み(笑)。
「ま、じゃあそれぞれ適当に自己紹介でもしてよ。じゃあまず、年長のネジからね」
カカシが、ネジと言うらしい、周りより少し大人びた少年を指差して言った。
「はい・・・。日向ネジ。14で、この道場の寮長だ」
「寮長かぁ・・・よろしく、ネジ」
「次、キバね。どんどん順番にいって」
「あ、はいっ。俺、犬塚キバ。13歳。よろしくな、ナルト」
「キバ、ね。よろしくってば」
「うちはサスケ。キバと同い年だ」
「うちはサスケ・・・か。よし、覚えた」
「油女シノ、同じく13だ・・・」
「背ぇ高いなぁ・・・、シノ、ね」
「奈良シカマルー・・・、13」
「同い年多いなぁ・・・シカマル・・・、よしっ」
「砂漠の我愛羅・・・同じ13だ・・・」
「砂漠の・・・?苗字?ま、いいや。我愛羅か」
ナルトは、自己紹介する一人一人を、名前を繰り返して覚えていった。
最後にカカシが、
「よし、これで一通り自己紹介したね。俺は6代目師範の、はたけカカシ。よろしくねー、ナルト」
と、簡単に自己紹介を済ませた。
「後一人、師範代の薬師カブトってやつが、今買い物に出でてるんだけど。ま、後でいいか」
そういうと、カカシは時計を見て、
「じゃ、今日は練習時間はもう終わってるし、ナルトの寮内案内もかねて、解散」
と言い、
「ちゃんとナルトに、寮内とか教えてあげるように。特にネジが責任持ってね」
と、残して、道場を出て行った。
「「「「「「ありがとうございました!!」」」」」」
6人の声がそろった。
「さてと、ではまずは寮の方へ案内しよう。ついて来い」
ネジがまず立ち上がった。
とっさに自分のことか、と判断し、ナルトも次いで立ち上がる。
「あっ、うん。よろしくお願いしますーってばよ」
「「「「「待て!」」」」」
「・・・・・・?」
ネジと、ついていこうとしたナルトが振り返ると、他の5人も立ち上がっていた。
「「「「「俺も一緒に行くことにする・・・」」」」」
そろえてそう言った5人の声には、どこかしら殺気が籠っていた。
・・・・・・ように、ネジには少なくとも感じられた。
「はぁ・・・・・・・」
ネジはため息をつき、
「おぉー。皆いいやつらだなっ」
ナルトは、嬉しそうだった。
舞台は木の葉流拳法道場。
己の精神と武術を磨くために、男たちが集まりお互いに鍛えあう。
己の好感度をUPしナルトを振り向かせために、男たちが集まり互いに競い合う・・・?
またなにやらアホみたいなもんば書いてしまいました・・・。(いつものこと?)
なんかストーリー性をはらんでます(?)が、続きはやはりギャグになる予定。
女性キャラもたくさん出す予定です・・・v