精霊流し

長崎では初盆を迎えた家では精霊船を作り, 毎年8月15日の夕方から夜にかけて, 家から港まで運んでいきます。

さだまさしの「精霊流し」のイメージを持って行きましたが, 実際に見た精霊流しは, 最初はまったく違ったものの様に見えました。
絶え間なく聞こえる耳が痛くなるほどの鉦(かね)の高い金属音と爆竹の破裂音, 辺りが霞むほどもうもうとした爆竹の煙を背景として, 千台以上の精霊船が街を練り歩いて行きます。

このように一見派手な祭りに見えるのですが, 家族や親しい人を亡くした寂しさや悲しみを抑えて, 故人を極楽浄土へ送るための行事であることに間違いはありません。
皆心の中では,さだまさしの精霊流しと同じ思いを, 抱いておられるのだということが感じられました。 特に小さな精霊船を担いで運んでおられるのを見たときには, その思いを強くしました。


精霊船が通っている方の道路にたくさんのゴミが落ちているように見えますが, これらはすべて爆竹の残骸です。



(追記:1986年に見たときは上のような感想だったのですが, 2005年にもう一度見たときは, 追悼のためにというより, 長時間1つの所に立ち止まって騒ぐためかな, と思える様な集団がたくさんありました。 もちろん追悼のためにと感じられるような集団もたくさんありましたし, なるべく派手に送ることが長崎の精霊流しだというのも聞いたことがありますが, 1986年の音と光は派手だが粛々と流れていたのとは余りに違う光景に戸惑い, また少々残念に思いました。)


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