資格試験の受験勉強をする際には、やはり独学では不安だという方もいらっしゃると思います。
そこで、コストが安くつく独学ではなく、敢えてコストのかかる通信講座を受講する「メリット」について考えていきたいと思います。
そして、そのメリットを最大限に活かす通信講座とはどのようなものなのか、選び方のポイントについても解説していきます。
なお、ここでは、宅建や行政書士、マンション管理士などの法律系・不動産系の資格試験を前提としてお話していきます。
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資格試験の通信講座を受講するメリット
まず、資格試験の通信講座を受講するメリットとしては、次の4つがあると考えています。
- プロの講義を受講することができる。
- オリジナルの教材一式が提供される。
- 効率的なカリキュラムで勉強できる。
- サポートが受けられる。
この中でも特に、独学にはなく通信講座にしかないものは、「講義」、「カリキュラム」、「サポート」の3つです。
この3つは、独学では得ることのできない通信講座の絶対的な価値と言えます。
また、「教材」については、通信講座に固有のメリットではありませんが、講義にしてもカリキュラムにしても常に教材に基づいて進められますので、教材がわかりにくかったり使いにくかったりしては元も子もありません。ですので当然、「教材」も重要な要素のひとつですね。
ということで、通信講座を受講するうえで、通信講座の絶対的な価値である「講義」、「カリキュラム」、「サポート」に、「教材」を加えた4つが、通信講座を受講するメリットということになります。(もちろん、「通学」講座においても同様の価値はありますが、ここでは独学と通信講座との比較という点で記載しています。)
では、通信講座のメリットである「講義」、「教材」、「カリキュラム」、「サポート」について、もう少し詳しく見ていきたいと思います。
通信講座のメリット@
プロの講義
まず、プロの講義についてですが、独学の場合は、テキストを自分で読んで理解していく必要がありますが、読むだけでは理解できない場合もあります。そうすると、勉強が前に進まなくなってしまいます。また、テキストを一人で読んでいると眠くなってくることもあります。
しかし、通信講座を受講すれば、プロの講師の解説講義を聴くことができますので、難しい内容であっても理解が進みます。そして、人から説明を受けていれば眠くなるのを防ぐこともでき、学習がはかどります。
まさに講義は、通信講座の最大のメリットですね!
通信講座のメリットA
オリジナルの教材一式
次に、オリジナルの教材一式についてですが、独学の場合は、自分でどのテキスト・問題集がよいのか、あれやこれやと悩みながら、試行錯誤しながら選んでいく必要があります。
しかし、通信講座を受講すれば、合格に必要な教材一式がすべて揃った状態で提供されますので、教材選びという無駄な時間を省くことができ、過不足なく必要な教材を揃えることができます。
また、資格予備校の教材は、受講生の生の声を聴き、受講生がつまづきやすい部分を把握し、本試験に送り出した受講生の試験結果をフィードバックし、常に改良しながら作成されますし、出題予想なども組織的に分析されます。
このため、通信講座では、市販の教材にはない、資格予備校ならではの蓄積されたノウハウが凝縮された教材を利用することができるというわけです。
通信講座のメリットB
効率的なカリキュラム
次に、効率的なカリキュラムについてですが、独学の場合は、自分でテキストや問題集を選んだとしても、さらに自分で、どの教材をいつ使って、どんな順序で学習を進めていけばよいか考える必要があります。また、自分の勉強方法が正しいのか不安になります。
しかし、通信講座を受講すれば、効率的に合格するためのカリキュラムが用意されていますので、それに沿って安心して学習を進めていくことができますね。
通信講座のメリットC
サポートが受けられる
最後に、サポートについてですが、独学では、テキストを読んだり問題集を解いたりしながら、わからないことが出てきた場合、ひとりで悩むか、ネットで調べるなどしないといけません。これはけっこう時間がかかりますし、場合によっては解決できないこともあります。
しかし、質問サポートが用意されている通信講座なら、わからない点は、メール等で質問し、解決することができますので心強いですよね。
さらに、フォロースタッフと連絡を取り合うことで、勉強のモチベーション維持にも繋がります。
ということで、資格試験の通信講座を選ぶのであれば、この通信講座のメリットである「講義」、「教材」、「カリキュラム」、「フォロー」が最大限に活かされている講座が理想的な講座ということになります。
資格試験の通信講座の選び方
では、どのような通信講座が理想的な講座なのか、その選び方を考えていきたいと思います。
通信講座の選び方@
講義
まずは講義から見ていきたいと思います。
講義では、テキストやスライドを使いながら、オンライン(Web)、またはDVDによる動画講義が提供されます。
講師が、重要度に応じてメリハリをつけたうえで、噛み砕いてわかりやすく解説してくれるか、というのがポイントになりますね。
また、受験生のやる気を起こさせる熱意や、聞き手を惹き付けて退屈させない話術というのも重要です。
しかし、一律な判断基準はありませんので、公式サイトで提供されているサンプル講義を聴いたうえで、ご自身で判断するのがよいと思います。
ただ、言えることは、カリスマ講師やベテラン講師と呼ばれているような講師や、高い合格実績をあげている講師なら、安心して任せられると思います。
それと、講義をスキマ時間に受講するなら、講義時間が2時間半というような教室講義を収録したものではなく、10分〜30分程度以内で刻んで収録してある講義の方がいいですね。
さらに、動画プレーヤーも、途中で中断した場合でも中断したところから再生できる機能を備えているものがよいと思います。この機能がないプレーヤーを使うのは、かなりのストレスになりますので(私自身、経験あり)。
通信講座の選び方A
教材
次は、教材についてです。
通信講座の教材は、
- テキスト
- 問題集
- eラーニングシステム
で構成されているのが基本パターンになっており、通信講座の各社で様々な工夫を凝らして作成されています。
テキスト
テキストについては、市販テキストでも同じことがいえますが、とにかく多種多様です。
印刷の刷り色がフルカラー、2色刷り、白黒といった違いや、ボリュームの違いはすぐにわかりますが、内容については、サンプルテキストを見て判断するしかないように思います。
刷り色については、フルカラーの方が見やすいですし、印象に残りますし、やる気もアップします。
また、きれいに整理されていれば理解がスムーズに進むというのも確かだと思います。
しかし、それにこだわる必要はなく、2色刷りでも十分にメリハリをつけた表現はできると思いますので、2色刷りでも問題はないと思います。
ただし、さすがに今の時代、白黒は厳しいかと思いますが。。
ボリュームについては、効率的に学習するためには、できるだけ薄いテキストが好ましいですが、薄ければいいというものではありませんし、逆に、分厚いのがいいということもありません。
この点については、最近の主要な(人気のある)通信講座では、どこの講座も効率性を意識して、合格するために必要な範囲に絞り、無駄を省くという最適化が進んでいますので、各社によって程度に差はありますが、そこまで気にしなくても大丈夫かと思います。
ただし、「通学」講座を開講しているような資格予備校では、かなり分厚いテキストが用意されていることがありますので、注意が必要です。
また、具体例などを交えながら、噛み砕いた解説がなされているか、という点も重要ですね。ただし、独学とは違って、解説講義があることが前提ですので、独学用のテキストほど気にする必要はないかもしれません。
それと、メリハリをつけて記述されていることも大切です。このメリハリというのは、暗記事項と解説との区別のほか、図表で整理したり、イラストを使ったりするなどの工夫も含みます。
このように、テキストはとにかく、各社の工夫のしどころですので、サンプルテキストを見て、わかりやすいと自分が感じるものを選ぶべきですね。
問題集
次に、問題集についてですが、テキストに比較すると、通信講座各社による違いは、それほど大きくないように思います。
過去問が掲載され、それに対する解答・解説が収録されているという形式は基本的に同じです。
もちろん、細かいところでは様々な違いはありますし、問題集では、解説がわかりやすいかどうか、というのが一番重要なポイントになりますが、基本的に、どこの講座の解説も一定のレベルが確保されているはずですので、そこまで気にする必要はないかと思います。
また、問題集を解きながらテキストを確認したいとなった場合に、テキストの関連ページをすぐに参照できるようテキストの参照箇所が明記されているかどうかは学習の効率に大きく影響を与えますので、この点については注意が必要だと思います。(ただし、「分野別」過去問題集の場合、テキストと収録順が揃えられていれば、参照ページの明記はなくても、それほど問題はありません。)
なお、印刷の刷り色については、問題集の場合は2色刷りが主流で、白黒のものもありますが、問題集は白黒であっても気にする必要はないかと思います。
eラーニングシステム
次に、eラーニングシステムも、各社の通信講座によって大きな違いがあります。
ここで、eラーニングシステムについて検討するにあたって、通信講座を使った勉強方法について触れながら、見ていきたいと思います。
資格試験の勉強は、まとまった時間を確保して勉強するというのが基本形になるかと思います。毎日決まった時間に、例えば、仕事(学校)から帰ってきて、食事などを済ませてから寝るまでの時間で、数時間を確保して、机に向かってパソコンで講義を受講するというのが最もオーソドックスな勉強方法かと思います。
そして、プラスアルファとして、スキマ時間を活用して、eラーニングで問題演習をするということも考えられます。
また、そもそもスキマ時間のみで勉強するという勉強方法も考えられます。この場合は、スマホの学習に完全対応した講座を選ぶ必要があります。
食事しながら、通勤しながら、昼休みに、休憩時間に、スマホをいじる時間は全て勉強時間に変えることができます。
とはいえ、講義の受講は、やはりまとまった時間がやりやすいことは間違いありません。自宅でのスキマ時間もある程度の講義の受講も可能です。
しかし、外出先でのスキマ時間に講義を受講することは、なかなか難しいと思いますが、できる人はその時間も活用することができます。
一方、問題演習は、スキマ時間を積極的に活用しやすいと思います。是非、問題演習が、スマホに対応している講座を選ぶべきだと思います。
通信講座の選び方B
カリキュラム
次は、カリキュラムについて考えてみたいと思います。
カリキュラムは、一般的に、
- インプット講義
- アウトプット講義+自己学習による問題演習(又は、eラーニングを使った問題演習)
- 模試
で構成されているのが基本パターンになっています。
インプット講義
インプット講義では、基礎知識から応用知識まで、知識をインプットするための講義が提供されます。
このインプット講義は、通信講座の根幹をなす部分になります。まさに講師の腕の見せ所になるカリキュラムです。
インプット講義時間は、コンパクトなものから充実したものまで様々です。
例えば、講義時間が60時間の場合、1日に1時間しか勉強時間が確保できない人なら60時間の講義を聴くのに丸2か月かかってしまいます。
10時間の講義なら10日間で終わります。そうすれば、残りの期間は、復習や問題演習などを繰り返すことができますよね。
丁寧な充実した講義がよいか、効率的な講義がよいかは人それぞれです。
解説講義は要点だけで、あとは自分でテキストを読めば理解できるという方は、コンパクトな講義の方が効率的ですね。
逆に、自分でテキストを読むのが苦手な方は、じっくりと丁寧な講義の方がいいですね。
アウトプット講義
アウトプット講義では、問題を解きながら、解き方を解説したり、周辺知識・関連知識を説明したりしながら、問題演習を進めていきます。
問題を解くことで、インプットした知識を使える知識に変えていきます。問題を解くことで、どこがどういうふうに問われるかわかりますので、知識を定着させていくことができます。
このアウトプット講義では、問題集に掲載されている全ての問題を解説するような講義は稀で、重要な問題のみをピックアップして解説するような講義になっているものが主流です。
アウトプット講義の時間も、講座によって様々です。
問題演習は、インプット学習のように受動的なものではなく、能動的に自分で問題を解いていくため、インプット講義に比べると、講義の必要性は低いと思います。
解説を読むだけでも十分かもしれません。
ここは、通信講座の各社によって考え方、戦略に大きな違いが出てくるところですね。
講義時間が長いものは、ひとりで自己学習する時間を極限まで減らし、すべての問題演習を講義付きで提供していこうという考えになっていますし、短いものは、問題演習は、基本的に自己学習で十分という考え方です。
その人の勉強のやり方次第ということになり、自己学習が苦手な人にはアウトプット講義が長いものが適していると思いますので、自分に合ったものを選択する必要があると思います。
ただ、言えることは、解説を読むだけでもわかる問題について解説講義を聴くことは時間がものすごくかかるということです。
自分の確保できる勉強時間と相談して検討する必要があるでしょう。カリキュラムのボリューム感は、確保できる勉強時間との兼ね合いといえます。
模試
模試では、オリジナルの予想問題を使って本試験のシミュレーションをすることで、自分の実力や苦手部分を把握します。
そして、その苦手部分を重点的に復習することで、合格に必要な実力を完成させていきます。
模試に関しては、各社によって、的中率などに差があるかと思いますが、通信講座を選ぶうえで、その的中率の高さはそれほど気にする必要はないかと思います。
模試の的中率の高さをセールスポイントにしている講座の講師でさえ、模試は、直前期にお試し受験的な使い方をしていただく程度のものに過ぎない、と話していましたので、模試に至るまでのカリキュラムの中で、どれだけ実力を養成できるかが重要です。
なお、模試がついていない講座もありますが、その場合は、もし必要なら予備校各社の模試は、数千円で受講できますので、それを利用すればよいかと思います。
カリキュラムの組み合わせ
以上のように、カリキュラムのボリュームは、各社によって様々で大きく異なっていますが、カリキュラムに関しては、ボリューム感の違いだけでなく、組み合わせ方にも各社の特色が現れます。
一通りの講義が終わってからアウトプット講義に入るというパターンもありますし、各科目が終わるごとにアウトプットに入るパターンや、1回の講義ごとにアウトプットを行うパターンもあります。
また、メインのアウトプット講義は全科目のインプット講義が終わってから用意されているけれど、簡単な確認テストなどを講義の合間合間に挟むというパターンもあります。
以前は、全部のインプット講義が終わってからアウトプットに入るというカリキュラムが主流でしたが、最近の傾向としては、科目ごと又は講義ごとにアウトプットを行うという「平行学習」に移ってきています。
どちらが良いとは一概には言えませんが、より良いものに改良されてきていると考えられるのではないでしょうか。
つまり、全範囲の講義が終わってから初めてアウトプットに入るようなカリキュラムは、改良されていない古いものといえるかと思います。
カリキュラムまとめ
ということで、カリキュラムについては、あれもこれも詰め込んで、ボリュームが増えているものもありますが、それだけやれば誰でも合格するでしょうけれど、消化しきれないことになりかねないため、ご自身の確保できる勉強時間と相談しながら、判断することが必要です。
カリキュラムでは、ボリューム感を確認するのが最も大切であり、また、並行学習が導入されていないカリキュラムは要注意といったところかと思います。
通信講座の選び方C
サポート
最後は、サポートについてです。
多くの通信講座では、勉強する中で疑問点や不明点が出てきた際に質問できる「質問サポート」が用意されています。
Eメール(又はEラーニングシステム内の質問フォーム)で質問を送信するタイプが主流ですね。
その他にも、郵送したりFAXしたり、電話やオンラインで質問できる講座もあります。
また、SNSを使って質問を共有したり、添削課題で受講生一人ひとりにコメントを添えてサポートするという仕組みもあります。
こういった質問サポートには、質問回数が無制限のところと、回数制限が設けられているところとの違いもありますので、注意が必要です。
やはり、回数を気にすることなく質問できるサービスの方が望ましいですよね。
ただし、受講料を抑えるために、質問サポートを用意していない講座や、回数制限を設けている講座もありますので、その辺りは、受講料の安さを取るか、質問サポートを取るか、ご自身で判断する必要がありますね。
通信講座のメリットと選び方まとめ
以上、通信講座のメリットと選び方について記載してきましたが、少し長くなってしまいましたので、最後にまとめとして、整理しておきたいと思います。
まずは、通信講座を受講する最大のメリット「講義」についてのまとめです。
- 重要度に応じてメリハリをつけたうえで、噛み砕いてわかりやすく解説してくれるかがポイント
- 受講生のやる気を起こさせる熱意や、聞き手を惹き付けて退屈させない話術も重要
- サンプル講義を聴いたうえで判断するのがよい
- ただ、カリスマ講師、ベテラン講師、高い合格実績をあげている講師なら安心して任せられる。
- スキマ時間を活用するなら、短時間で刻んで収録してある講義が便利(通学講座も開講している資格予備校は、1講座2時間30分のものがあるため注意)
次は、通信講座を比較する上で最重要な「教材」として、テキスト、問題集、eラーニングについてのまとめです。
テキスト
- フルカラーに越したことはないが2色刷り以上を
- 無駄を省いた効率的なテキストになっているかどうか
- 具体例など噛み砕いた解説がなされているか
- メリハリをつけた記述(解説と暗記事項の区別、図表、イラスト)がなされているか
- サンプルテキストを見て、自分がわかりやすいと思うものを選ぶのがよい
問題集
- わかりやすい解説が大切。
- ただし、各社ともそれほど大きな差がでないため、あまり気にしなくてよい。
- 刷り色は白黒も可
eラーニング
- 外出先でスキマ時間を活用するなら、eラーニングシステムは「問題演習」にも対応したものを選ぶべき。
最後は、通信講座の効率性を決定づける「カリキュラム」として、インプット講義、アウトプット講義、模試についてのまとめです。
インプット講義
- 丁寧な充実した講義がよいか、効率的な講義がよいかは人それぞれ
- 解説講義は要点だけで、あとは自分でテキストを読めば理解できる方は、コンパクトな講義が効率的
- 自分でテキストを読むのが苦手な方は、じっくりと丁寧な講義を。
アウトプット講義
- 自己学習が苦手な人はアウトプット講義が丁寧なものを。そうでなければ効率的なものを。
- 最近の主流は、インプットとアウトプットの平行学習
- 自身が確保できる勉強時間に合ったボリュームのものを選びましょう。
模試
- 模試の有無は、それほど気にしなくてよい。
- 必要なら、予備校の模試が数千円で受験できる
最後は、疑問を解消しモチベーションを維持する「サポート」についてのまとめです。
- 回数無制限で質問できるか
- その他、SNSやYoutube動画配信、添削課題など各社で工夫されている。
- 回数制限や質問サポートの有無は受講料の安さに影響するので、どちらを取るか判断が必要
さらに最後に一言でまとめると、効率的な教材・カリキュラムに基づき、わかりやすい講義を受講し、もし疑問が沸いた場合はいつでも質問できるサポートを備えた講座。まさにこれですよね!
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