宅建士の業務として注目されている空き家問題や加古川市の空き家対策についてご紹介します。

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宅建士(宅地建物取引士)と空き家問題
宅建士の業務として注目される空き家問題

 近年、少子高齢化の進展に伴う人口減少などにより、空き家問題が深刻化し、社会問題として取り上げられる機会が増えてきています。

 適正に管理されずに放置された空き家は、瓦や外壁が落下したり、建物が倒壊するなど周辺に危害を加えることや、雑草や害虫などで周辺の生活環境に悪影響を及ぼすこと、景観上の問題、防災・防犯上の問題など、様々な問題を引き起こします。

 このような問題は、テレビ番組やニュースで見るだけでなく、私が暮らす兵庫県加古川市においても、身近な出来事として起こってきています。

 このページでは、宅建士の業務として注目されているこのような空き家問題について、ご紹介したいと思います。

※ このページは、加古川市役所で空き家対策を担当していた元職員が執筆しています。

執筆者 大西雅明
市役所に22年間勤めた元公務員。在職中に、宅建士、行政書士、マンション管理士、土地家屋調査士などの資格試験に合格し、10年以上にわたって当サイトで情報発信している。

執筆者 大西雅明のプロフィール写真(宅建士、行政書士、マンション管理士、土地家屋調査士などの合格証書)
執筆者紹介

空き家率

 空き家に関する統計的な数値としては、平成30年度の住宅・土地統計調査(5年に一度、総務省が実施)によると、全国の空き家率は、13.6%、加古川市の空き家率は、10.7%となっており、およそ10軒に1軒程度が空き家という計算になります。

 ここで、あれ?そんなに空き家だらけだっけ?と思う方もいらっしゃると思います。

 それもそのはず、ここで言う空き家率というのは、賃貸用や売却用として管理されている物件や、二次的住宅(別荘)も含まれていますので、一般社会でいう「空き家」とはズレた概念の空き家率が出てしまっているからです。

 このような賃貸用、売却用、二次的住宅を除いたものを「その他の住宅」と呼びます。

 この「その他の住宅」というものが、賃貸・売却の予定がなく市場に流通していない空き家ですので、長年にわたって放置されているものが多く、空き家問題の主役になっているといえます。

 「その他の住宅」に限った空き家率でいうと、全国では 5.6%、加古川市は 6.3%となってきますので、皆さんの周りにある空き家の実感と一致してくるのではないでしょうか。

 ちなみに、その他の住宅以外も含めた全体の空き家率では、加古川市の空き家率は全国平均よりも少なかったですが、「その他の住宅」という、流通していない空き家に絞ってみると、全国よりも数値が大きくなってしまうんです。。それだけ流通している物件が少なく、老朽空き家が多いということなんでしょうね。

宅建士の活躍が期待される空き家問題

 とにかく、いずれにしても、空き家問題が年々深刻化していくことは間違いありません。

 人口は減少するにもかかわらず、古くなった建物の解体はされないまま、新たに宅地が造成され、バンバン新築されていくわけですから。

 そう考えると、根本的に空き家問題を解決するには、新築と解体とのバランスを調整する必要があるわけですが、この部分については、そう簡単に解決できることではありませんので、ここでは触れません。

 ここでは、空き家が放置されて周辺に迷惑をかける前に、管理、又は、処分(解体や売却)をするという形で、空き家問題の発生を抑制するという、個別的な、いわば対症療法について考えたいと思います。

 この点を考えた場合、実は、空き家問題というのは、宅建士の活躍が期待されている分野のひとつということになってきます。

宅建士が担う空き家問題の発生抑止

 空き家問題がなぜ発生するかというと、家の住人が、死亡したり、引っ越したりした後、適正に管理されないまま放置されることによって発生するわけです。

 空き家が発生すること自体は、やむを得ないことというか、当然のことだと思います。

 空き家が発生した後に、しっかりと管理、もしくは、解体・売却など処分すれば、空き家問題は発生しませんよね。

 空き家の管理は、宅建士の業務というわけではありませんが、宅建業者が請け負っているケースが多くありますし、空き家の売却については、まさに宅建士が関わっていく業務です。

 ということは、空き家問題を抑制するための多くの部分を、宅建士が担っているということになります。

宅建士などの専門家で組織された空き家相談窓口

 ただし、空き家問題というのは、一筋縄ではいきません。

 空き家になってからすぐに売却の相談があれば、単純に、売買の取引だけですから、宅建士の業務の範疇です。

 しかし、空き家になってから何十年も経ち、相続が発生しているような場合は、解決すべき問題が広範にわたり、様々な専門家の関与が必要になってきます。

 代表的な専門家を挙げると、宅建業者のほか、司法書士、行政書士、解体業者、遺品整理士、不動産鑑定士、建築士などが関与するケースが多いかと思います。

 このため、全国的に、このような専門家で組織されたNPO法人などが立ち上がり、空き家問題の解決に向けた取組みが進んでいます。

 私の住む兵庫県では、下記のような空き家相談窓口がありますので、空き家のことで困ったことがあった場合は、このような窓口に相談してみるといいですね。

  • NPO法人 兵庫空き家相談センター
    兵庫県宝塚市栄町2-1-2ソリオ2(3階)
    TEL 0797-81-3236
    ※本部は宝塚市にありますが、加古川市の業者も会員に加入しており、平成30年から毎年、加古川市の後援を受けて、加古川市民会館で空き家相談セミナーを開催しています。
  • ひょうご空き家対策フォーラム
    兵庫県神戸市中央区下山手通3丁目12-1 トア山手プラザ807号室(公益社団法人兵庫県不動産鑑定士協会事務局内)
    TEL 078-325-1021
    ※兵庫県や神戸市といった地方自治体がオブザーバーとして参加している組織のため、信頼性が高いですね。

行政における空き家問題への取組み(宅建士など民間との連携・支援)

 なお、行政においても、空き家問題への取組みが全国的に進んできています。

 平成27年に、空家等対策の推進に関する特別措置法(以下「空き家特措法」)が施行され、危険な空き家に対し、「特定空家等」に認定し、法に基づき除却するように助言・指導、勧告、命令、代執行などができる旨が定められました。

 ただし、法に基づき公権力を行使していくには所定の手続が求められるため、とても時間がかかります。これは、数ヶ月というような単位ではなく、数年という単位です。

 ですので、できる限り、宅建士などの民間の力で売却や解体を進めていくべきだと思います。

 個別の空き家問題の解決は民間に任せ、行政は、民間の活動を支援する制度や枠組みを作っていくべきです。

加古川市の空き家対策

 参考に、加古川市の空き家問題への取り組みをご紹介しておきます。

  • 平成28年 空き家バンク制度運用開始(加古川市ホームページ)
     空き家バンクというのは、空き家を売却したい、賃貸したい、という所有者が市の空き家バンクに登録し、市のホームページで空き家の情報を発信し、物件を探している人とのマッチングをするという制度です。
     加古川市では、空き家の媒介について、宅建業協会と協定を締結していますので、行政と民間(宅建業)とが連携し、宅建士の活躍の場が設けられています。
     この空き家バンクでは、空き家の所有者が自ら登録を希望するというケースのほか、例えば、周辺に迷惑をかけている空き家として市に通報があった場合に、市から適正管理の指導を行うとともに空き家バンクへの登録を案内し、登録に至るというケースもあります。これは、理想的なパターンですよね。地域住民の生活環境も改善され、かつ、空き家所有者も空き家が売却できるわけですから。
  • 平成30年度 空き家管理業者登録制度開始(加古川市ホームページ
     空き家を所有しているけれど、遠方に居住している場合や高齢の場合など、自身で空き家を管理できない場合には、空き家管理代行サービスを活用するという方法があります。
     このサービスを提供している事業者が市に登録し、サービスの利用を希望する方に対して、市から事業者の情報を提供するという制度です。
     空き家管理サービスを利用するには費用がかかりますが、自分で管理することを考えれば、安いものだと思います。
  • 平成31年度 隣接空き家一体利用除却補助制度開始(加古川市ホームページ
     自宅の隣に、条件の悪い空き家(狭小宅地や無接道など)がある場合に、自宅の駐車場や家庭菜園などとして一体的に利用するために買い取って空き家を除却する場合の除却費用の一部を補助する制度です。
  • 平成31年度 空き家活用改修費補助制度開始(加古川市ホームページ
     空き家バンクに登録されている空き家について、賃貸又は購入して活用する場合のリフォーム費用の一部を補助する制度です。

 とにかく、このような制度を使って空き家問題を具体的に解決していくのは、宅建士をはじめとした民間の力です。

 難関の宅建試験に合格した暁には、宅建士として、空き家問題の解決に取り組んでください!

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