宝塚大好き!

◆宝塚大劇場星組公演(01/8/17〜01/10/1)感想◆
 〜『ベルサイユのばら(オスカルとアンドレ編)』〜

 うっわー、めっちゃ久しぶりですねー。このコーナー。何年ぶり!? 宝塚には出産後もしつこく通い続けているわけですが、感想は歌劇のオフィシャル・サイトの方に書いてたんで、長らくのご無沙汰となりました。ここに書いてもあんまり読んでくれる人いないと思うしね。

 オフィシャルの方の掲示板が閉鎖されちゃったせいもあるんだけど、やはりコーナー復活の一番の理由は『ベルばら』! 見たら書かずにいられない! 

 平成の『ベルばら』見たの、ついこの間のような気がするのにもう10年。初めて宝塚を見た第一次からはかれこれ20年以上……。ひょえー。ということは原作が発表されてからもそれだけの年月が経っているということ。21世紀になってもあの感動は色褪せないのか!?

 率直に言うと、今回の舞台、私は泣けませんでした(その昔友だちから、「なんで『ベルばら』で泣くの?」って言われたけど……)。何度見てもしつっこくうるうるしていたアンドレが死ぬ場面でも、泣けなかった。なんか、幕開きから「やっぱクサいな、これ」って思っちゃったし、最初の方の展開(フェルゼンとオスカルのやりとり)がかなりゴーインで、「これで初見の人にわかるの?」って思ったり。隣に宝塚にも『ベルばら』にも詳しくない義妹がいたせいもあるんだけど、色々と気になっちゃいました。悶絶夫人と失神夫人の場面なんか、昔懐かしくはあるけど、やっぱ時代遅れっていうか、あんなの長々やるぐらいだったらもう少しストーリーを突っ込みゃいいのにとかね。

 原作もボロボロになるくらい読んだし、舞台も10回以上見てるもんだから、セリフもそらで言えるし、振り付けだって覚えてる。だもんだから、「ここは前と違うなー」「あの時は誰々が素敵だったなー」とかよけいな記憶が喚起されて今現在の舞台に集中できない。大体「オスカルとアンドレ編」の展開ってなんか無理があるんですよね。こっ恥ずかしいシーン多いし。最後の「ガラスの馬車に乗ってアンドレがオスカルを迎えに来る」という場面なんかその最たるものだけど(今回はやめてくれるかと思ったのになぁ)。

 これが退団公演となったオスカル役のノルさん(稔幸)、立ち姿が本当に美しく、まさにマンガから抜け出たような凛々しさでしたが、しかしなんとなく、私の中のオスカル像とは違うんですよね。うーん、決して悪くはないんだけど、ノルさんってどっちかというとアンドレ役者のような気がする。『ベルばら』を星組でやると決まる前から、私はノルさんのアンドレとブンちゃん(絵麻緒ゆう)のオスカルというコンビを見たかったんです。新専科制度のおかげで引き離された二人……絶対良かったと思うのになー。

 アンドレは次期星組トップとなることが決まったタータン(香寿たつき)。何やらしてもうますぎるほどなんだけど、今回色気ありすぎで、ラブシーンは見ている方が赤面。マンガと舞台は違うけど、でもアンドレってけっこう3枚目的な要素もある、もうちょっとあっさりしたキャラなのではないかと……。

 アントワネット様はこれまた退団を決めた星奈優里さん。あまり出番がない。出番がないと言えばフェルゼン伯。まったく見せ場がない。ご贔屓のトウコちゃん(安蘭けい)だというのに。「オスカルとアンドレ編」のフェルゼンなんて他の組からの特出でいいんだよ。トウコちゃん、フェルゼンなんて柄じゃないんだし。まさに宝の持ち腐れ、気の毒でした。

 で、今回一番良かった(と私が思う)のはアランを演じた真飛聖さん。ま、アランって役そのものがおいしいんで、誰がやってもそこそこ目立つんですが、しかしそれにしたってうまかった。まず声だけ先に聞こえるんだけど、その声だけで「え?これって誰がやってんの?」と思うぐらい耳を引く。その後のオスカルとのやり取りも迫力満点。下級生とは思えない。

 今回何か今ひとつ乗れなかったのは、きっと作品のせいじゃなくて私が年を取って「昔は良かった」モードに入っていたせいでしょう。本当に、平成の再演の時は役変わりをほぼ完全制覇して、前売りには前日から並び、前売りが取れなかった分は当日券に始発で並び、それでもダメな奴はロビーのテレビ(時々歌劇団はこーゆーテレビ中継をやる)で見て、大好きなスターさんのオスカルを見るために東京にまで行った。オスカル様のセリフの通り、「二度と戻ることのない私の青春よ!」と叫びだしたくなるほど夢中になっていたあの頃(自慢にならん。私の青春って一体……)。

 家に帰ってきて、思わず昔の実況CDとかテープを引っ張り出して聞いちゃったもんね。歌っちゃったもんね。今回フィナーレがノルさんのサヨナラに合わせてあって、ボレロとか薔薇のタンゴとかなかったのも残念だった。歴代『ベルばら』ソングもシャンソンもなくて。オスカルとアントワネットのデュエットダンス見てもなー(ノルさんユリさんファンの方、ごめんなさい)。

 おばはんモードついでに言うと、私が一番好きだったのは平成版星組の『フェルゼンとアントワネット編』でオスカルがカナメさん(涼風真世)のバージョン。原作の性格に近かったのはシメさん(紫苑ゆう)だと思うけど、宝塚のオスカルとしてはカナメさんが良かったなぁ。アンドレはマリコさん(麻路さき)。包容力以外はとりたてて特徴がなさそうに見えるところがかえってアンドレに合っていた(誉めてんのか?)。アントワネットは昭和の初風諄さん。なんてったって8歳の子どもを泣かせるんだから。歌も抜群にうまくて、堂々たる王妃様でしたねー。

 また十年経ったら再演するのかなぁ。そん時はプログラムに「宝塚好きの作家」として一文を寄せられる身分になっていたいもんだ(今回のプログラムには林真理子さんだとか中島梓さんのコメントが載っている)。しかし『ベルばら』は確かに不滅の名作で、宝塚らしい外部ウケのする作品だと思うけど、でも「宝塚は『ベルばら』だけじゃない!」ってみんなが思える作品をいっぱい上演していただきたいです。

インデックスに戻る