宝塚大好き!

◆宝塚大劇場月組公演(99/5/14〜99/6/21)感想◆
 〜『螺旋のオルフェ』『ノバ・ボサ・ノバ』〜

 半年ぶりのこのコーナー、私が歌劇から遠ざかっていたのかというとさにあらず、3月の星組、4月の雪組もしっかり観劇していました(ということは私、毎月宝塚に行ってるんですよね。ははは)。いちいち感想を書いている暇がなかったのです。

 さて、まずはミュージカルと銘打った『螺旋のオルフェ』。一緒に見に行った夫(と言っても彼は11時公演。私は3時公演。一家総出で2班に分かれての観劇だったのでした)の感想が的を射ています。曰く、「なんでこんなとこで終わるんや!」。いつもの芝居より短かった(通常お芝居は1時間35分のところ、1時間15分程度だった)せいもあって、「こんな時間に終わるはずがない。ひょっとして今日はショーがなくて芝居の一本立てなのか?」とまで思ったそうです(しかしこれって通の発想よね)。プログラムもオペラグラスもなく、何が何だか誰が誰だかさっぱりわからなかったと。

 元ナチスの将校である主人公が、レジスタンスのスパイだったヒロインと恋に落ち、祖国を裏切ったものの、終戦間際にヒロインが死んでしまい、彼女の面影を胸に暗く生きている。そこへヒロインそっくりの妹が現れて、閉ざされていた彼の心が動き出す……、とまぁそういう話なんですが、そこに「ヒロインの霊を呼び出す降霊術師」だとか、「主人公の握るナチスの情報を手に入れようとする東側のスパイ」だとかが絡んできて、しかもそれがただ絡むだけで、なんだかうやむやなまま幕が下りてしまう。時間が短いため、エピソードを深く掘り下げられないんですね。象徴的なシーンばかりになって、おまけに現在と回想シーンとがもつれあって初見ではよく理解できない。

 バウホールなら「奥の深い作品」ですむかもしれないけど、宝塚自体を初めて見る人も多い大劇場では、プログラムを読んでからでないとストーリーがわからないっていうのは問題だと思います。上演時間が短いのは最初から決まっているのだから、その時間内で無理なく処理できる物を持ってこなければいけないんじゃないでしょうか。同じように上演時間に制約のあった雪組の『再会』は非常に面白かったですから。

 お芝居でたまったストレスを発散するかのように、ショー『ノバ・ボサ・ノバ』は非常に素晴らしかったです。この作品は伝説となっていた名作ショーで、雪組に引き続いての再演となります。舞台がリオのカーニバルですから、いやがおうにも盛り上がる。音楽もダンスも本当によくできていて、28年も昔にこんな素晴らしいショーを創っていた宝塚ってすごい、と感心してしまいます。

 私としては雪組の方が好きですが、初風緑さんの歌のうまさが印象的でした。彼女は芝居もダンスもしっかりしていて実力派ですね。また、フィナーレでの矢代鴻さんの歌もさすがの一言(何せ声楽専科の方です)。矢代さんの歌をバックにトップコンビがデュエットダンスを踊るのですが、矢代さんの方に耳だけでなく目まで奪われてしまうのです。トップコンビがバックダンサーのように思える。夫も「なんか一人で歌ってる人いたやん。演歌歌手みたいな。あ、ジャズ歌手か。すごい歌うまい人」と言ってました。

 新しくトップ娘役になった檀れいさん。お人形さんのような可愛らしさですが、夫曰く、「歌が下手。(前トップの風花舞さんに比べて)だいぶ格が落ちたな」。う〜ん、まったく夫もなかなかの宝塚通になってきました。


インデックスに戻る