宝塚大好き!

◆宝塚大劇場星組公演(96/11/8〜96/12/16)感想◆
 〜『エリザベート−愛と死の輪舞−』〜

 今年2月に雪組で一路真輝さんのサヨナラ公演として上演され、絶賛を博したウィーンミュージカル『エリザベート』。時を置かずして星組での再演となりました。雪組公演の評価があまりに高かったため、ファンからは危惧の声も聞かれ、また星組の皆さんにとっても非常にプレッシャーのかかる舞台になってしまったと思うのですが果たして。
 ファンの心配は杞憂に終わりました。素晴らしい舞台です! 隅々まで行き届いた、というのでしょうか、主役は言うに及ばず端役に至るまで大熱演の上に、まとまりがあり、エリザベートの生涯が一つの大きなドラマとして胸に迫ってきます。私は星組びいきのせいもあって、雪組公演より以上に大感動してしまいました。
 麻路さきさんのトートのなんと妖しく艶めかしいこと! 一路さんのトートとは全く違った独自のトート像を作り上げていらっしゃり、本当に目が離せません。立ち居振る舞いのいちいちが色っぽく、目線一つにもエリザベートへの愛が感じられるのです。一路さんのトートが氷のような鋭く冷たい印象だったのに比べ、麻路さんのトートは匂うような、むしろ人間くさい息吹を感じさせるトートです。心配された歌も、うまくはないながらも『心で押す』感じで堂々の歌いっぷりでした。
 タイトルロールのエリザベートはこれがサヨナラ公演となる白城あやかさん。最初から貫禄がありすぎるきらいはあるものの、その歌唱と後半の静かな狂気をたたえた演技はさすが。
 ゾフィーはフランツは、と書き出すときりがないのですが、本当に星組は層が厚い!とうならせてくれます。ゴージャスでアダルトというのが星組の”売り”ですが、芝居も歌もダンスも三拍子揃っている組なのだと改めて感じました。フィナーレの美しさもたまらない! ああ、星組ファンで良かった……。
 チケットの入手は困難かもしれませんが、是非是非大劇場に足を運んで麻路トートの魅力を生でご覧下さい! 魅入られることうけあいです。

◆初心者のための宝塚講座『宝塚バウホール』◆

 宝塚大劇場の隣にある収容人員500名の小劇場、それが宝塚バウホールです。主に若手スターの研鑽の場として使われ、しばしば小劇場ならではの実験的な作品が上演されます。  何しろ舞台と客席が近い!。スターさんの息吹がじかに感じられますし、細かい表情まで見てとれます。セリも銀橋も大階段もなく、大劇場のようなスペクタクルな舞台ではありませんが、お芝居をじっくり観るにはもってこいで、大劇場公演以上に感動することも多いくらいです。  基本的にはお芝居の公演が多く、音楽は録音ですが、時にショー形式の公演では舞台上でバンドが生演奏を聴かせてくれることもあります。出演者はおおむね30名程度で、公演期間は2週間ぐらい。料金は最前列でも最後列でも一律で、トップ・準トップが出演している時は5000円。若手スター中心時は4500円です。公演期間が短いため、トップスターが出演する場合はチケットの入手がかなり困難。名作も多いだけに、大勢の人に観てもらえないのは残念です(自分が観られないのはもっと残念……)。最近トップスターさんが出ているものはビデオが発売されるようになりましたが、それ以外はテレビ放映もなく、本当に2週間の夢。見逃すと本当につらいものがあります。  大劇場ではなかなかセリフをもらえない下級生達が活躍するので、明日のスターをチェックするもよし、純粋にお芝居を楽しむもよし、舞台と客席との一体感はくせになりますよ!

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