宝塚大好き!

◆宝塚大劇場月組公演(96/9/20〜96/11/4)感想◆
 〜『チェーザレ・ボルジア』『プレスティージュ』〜

 久世星佳さんがかっこいい!
 これに尽きます。ルネッサンスの豪華な衣装に身を包み、にこりともせずいつも何か獲物を求めているという風情の久世さん扮するチェーザレは、まさしく『優雅なる冷酷』そのもので、超かっこいいです!
 が。いかんせんストーリーの方は、そんなに面白くありませんでした。華やかな舞踏会や、ダンスによる戦闘シーン、狂言回しを使っての状況説明等、そつなくまとまってはいるのですが、盛り上がりに欠けるんです。感動のしがいがないというか。事件の羅列に終わってしまったという感じなんですよね。サブタイトルどおり『野望の軌跡』を追っただけという……。
 二番手・三番手の役が「狂言回し(マキャヴェリ)」と「うわべだけの同盟者(ルイ12世)」という一歩引いた立場であるために、チェーザレの野心は一人孤独に空回りして、見ている方はなかなか感情移入ができません。これが明確にチェーザレと誰かとの「国盗り物語」になっていて、丁々発止の駆け引きが展開されるというのなら、どきどきもするんでしょうけどね。
 スターさんたちはみんな好演しているし、久世さんのチェーザレもほれぼれするかっこよさだけに、見終わって素直に『面白かったね』と言えなかったのが非常に残念でした。

 一転してショー『プレスティージュ』は激しいダンスシーンの連続で、文句無く楽しめるものでした。群舞が多く、舞台いっぱいにダンスが展開されるので、ショーの醍醐味が味わえます。
 特に中詰めのラテンナンバーは「血が騒ぐ」という言葉がぴったり。個人的にラテン音楽が好きなので、音楽的にも楽しめたし、次々とスターさんの出てくる構成や、「お立ち台」風のセットを使った演出は秀逸。
 久世さんはほぼ出ずっぱりで、ファンとしては嬉しいのですが、千秋楽まで体がもつかしらとちょっと心配になってしまいました。  ともあれ、豪華でエネルギッシュで、おすすめのショーです。

◆初心者のための宝塚講座『タカラジェンヌへの道』◆

 昔、第一期『ベルばら』ブームの時、「宝塚に入りたい」と言った私に、母は冷たく言い放ちました。「あそこはお金持ちの子しか入れないのよ」と。素直な私は我が家の家計を案じてタカラジェンヌへの夢をあきらめたのですが、果たして母の言葉は真実だったのでしょうか?
 タカラジェンヌになるためには、「宝塚音楽学校」というところに入らなければなりません。最近は競争率40倍とかいう超難関で、合格発表の光景はTVニュースでもよく取り上げられています。この難関を勝ち抜くために、たいていの受験生はバレエやら日舞やら声楽やらお稽古に通っていて、これが「金持ちの子しか」と母の言ったゆえんです。とは言えもちろんレッスンに通ってれば受かるってもんでもないですし、バレエや日舞を習ったことが無くても受かる人は受かります。お金持ちじゃないからってあきらめるのは早計というものでしょう。
 予科、本科と呼ばれる2年間の音楽学校生活を経て、タカラジェンヌは晴れて大劇場の舞台を踏むのですが、「歌劇団員」となってもやっぱり彼女たちは「生徒」なんですね。「研究科1年」などと言って、俗に「男役が板につくのは研10になってから」と使ったりします。試験もあるそうです。
 音楽学校を受験できる年齢は限られているうえに、大変な競争率。お金があってもなくてもタカラジェンヌになるのは大変ですが、もしも生まれ変わってまた女だったら、チャレンジしてみたいなぁ……。

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