宝塚大好き!

◆宝塚バウホール月組公演(96/6/1〜96/6/15)感想◆
 〜『銀ちゃんの恋』〜

 ご存知『蒲田行進曲』の宝塚版です。宝塚版と言っても、時々歌が入るぐらいでかなり原作に近いお芝居です。ということはつまり、全く宝塚的でないお芝居ということなのです。主役は『映画スター』ではあるものの、目立ちたがりの寂しがり屋の愚かな男だし、準主役はよれよれのジャージ姿の『大部屋役者』、清く正しく美しいはずの娘役トップスターが演じるのはなんと妊婦さん。こんなの宝塚でやってもいいのぉ?という作品なのですが。

 すごく良かったんですよ、これが。泣いて笑って2時間余、これで5000円は安い!と思えるほどの熱気のある充実した舞台。銀ちゃん役の久世星佳、ヤス役の汐風幸、小夏役の風花舞の熱演はもちろんのこと、他の出演者達もそれぞれにいい味を出していて、『宝塚を見てる』という意識を忘れて芝居に熱中してしまいました。

 バウホールという小劇場だからこそできた冒険でしょうが、宝塚的であろうとなかろうと良い物は良いのだということを再確認させられた舞台でした。宝塚のスターは歌って踊れるだけじゃない、れっきとした役者なんだぞ、ということも。

 バウホール公演は終わってしまいましたが、東京特別公演もあるということなので、是非是非宝塚の底力を見に行っていただきたいです。チケット取るのは大変だと思うけど……。



◆初心者のための宝塚講座『トップスター制』◆

 宝塚歌劇団は月・星・花・雪の四組に分かれて公演を行っていますが、各組にトップスターと呼ばれる方がいます。トップスターとは何か? 簡単に言うと、主役をやる人のことです。その人が出ている限り、そのお芝居(またはショー)の主役は彼女で、宝塚名物大階段を最後に一人で降りてくるのも彼女です。

 ただ単にトップスターと言うとそれは『男役トップスター』のことですが、女役トップスターもいて、こちらは必ずヒロインをやります。トップスターの下には『準トップ』という人がいて、『二番手』とも呼ばれますが、要するに『次にトップになる人』ですね。準トップになったらまず間違いなく、退団しない限りはトップになります。逆に言うと、準トップになれなければトップになれないということで、トップスター退団の時には準トップ候補のスターさんのファンはいつもやきもきします。ここで敗れたら、もうトップにはなれないですからね。娘役の方は最近は誰が二番手なんだかわかんなくて、若手の人が大抜擢されるというパターンになっていますが。

 総勢300人余りのタカラジェンヌの中でトップ男役と呼ばれるのはたったの4人。熾烈な闘いではあります。

インデックスに戻る