◆『THE SEVENTH NIGHT』
〜UNPLUGGED〜◆


 「今年はアルバムを3枚出す」と言っていたガックンの2枚目のアルバムは「UNPLUGGED」、アコースティックセルフカバーアルバム。発売前に選曲を見た時、へぇーと思った。シングルA面は4曲だけ、あとはカップリングやアルバムからの曲で、大好きな『Papa lapped a pap lopped』や『uncertain memory』も入っている。アコースティックってどんな風になるのかなぁと楽しみにしていた。

収録曲 5月26日、発売日きっかりに届いて(ネットで予約していた)早速視聴。曲が始まってすぐに、「うわー、“素”だ!」。ギターの弾き語り風で、バックもシンプルなら声もシンプル。ああ、ガックンが歌ってる、って。当たり前やんって? それが当たり前じゃないんだよ。ガックンの曲はみんな「物語の中の登場人物が歌ってる」んだもん。そういう音作りで、声のトーンも曲に合わせて変わるんだよね。それが今回、最初から最後まで全部、「あなたのすぐそばでGackt本人が弾き語ってます!」って感じなの。いや、夜中に一人で眼を閉じて聴いたらまじで「隣にいる」錯覚が味わえると思うよ。あたしのために歌ってくれてる、みたいな(笑)。

 もともとガックンの曲はピアノやバイオリンがとても効果的に使われていて、クラシック風なところがあるんだけど、改めてしみじみと曲の美しさというものを感じる。『この誰もいない部屋で』なんか泣けるよぉ、うん。異色は『U+K』で、これはオーケストラによるインストルメンタル。こっから3曲、曲調が明るいんだけど、このオーケストラバージョンはほんとにいい! めちゃくちゃ素敵! って、ガックンの声が入っていないものをべた褒めするのもどうかと思うけど、作曲家としてのガックンの素晴らしさがわかるよ。一回全部オーケストラでやってみてって思っちゃう。

 楽しみだった『Papa lapped a pap lopped』は間にタップの音が入ったりしてまたすごく面白い。タップってすごいね。リズムだけじゃなくてちゃんと音階がある。フラメンコの曲でも手拍子とか足拍子がすごく重要な「楽器」になってるけど、これそういう感じ。やってほしいなぁ、ガックンにスパニッシュ。続く『Mirror』では仲間達と路上で盛り上がってる雰囲気で、一緒に「ヒューヒュー」と囃したてたくなる感じ。これはどの曲にも言えることだけど、元々のアレンジが完璧なだけに、「あ、こうでもいいのか」って驚かされます。

 最後の『Last Song』はピアノの弾き語り。ガックンのピアノって、ほんとに素敵なんだよね。なんというか、すごく綺麗でどこか哀しい音色。技術的なことは私、全然わかんないんだけど、ピアノもやっぱり「物語」って感じがする。昔、コーラス部だった時にピアノ伴奏を部員の子が手分けしてやっていて、それぞれに音色が違ってね。何弾いてもやたら元気に聞こえる子とかいるわけよ。音階的には間違ってないけど違うだろ、っていう。同じ学年の、副部長だった子の弾くピアノが私としては一番好きで、その子の音色はとても表情が豊かで美しかった。ああ、これが上手下手というもんか、とその時思ったんだけど。何でもそうなんだろうね。どんな楽器でも、ただ「音を出す」のと「奏でる」のとは違うんだ。うん、歌でも。魂入ってるか?って。

 ブックレットの写真がまたモノクロで美しいです。Youさんと一緒のが多いのでYouさんファンにもたまらないと思うけど、かっこいいね、ほんと、Youさん。「ピアノに向かうガックンの後ろでバイオリンを弾くYouさん」なんて、「ちょっとあんたら綺麗すぎ!」って感じだもん(笑)。異世界だよね。なんでこんな人達が実在するんだろ。

 あなたも是非、「隣にGacktがいる」快感を味わってみてください。

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