◆『素晴らしきかな人生』◆&
◆『素晴らしきかな人生2』◆


 えー、これは『WO(ウィークリー・オリコン)』誌上で連載されていた『Gacktがカップルにモノ申ーす!』というコーナーを一冊にまとめたもので、この度『2』の発売に合わせて絶版状態だった『1(という番号はついてないけど)』も復刊されました。『1』には『モノ申ーす』の2000年11月から2001年8月までの分と『Gacktの世界征服』(1999年6月から9月にかけて雑誌に掲載された物)が、そして『2』の方にはその後現在(?)までの『モノ申ーす』と『Gacktの哲学』が収録されています。

 私はもちろん今回初めて『1』を手にして3〜4年前のガックンの写真に触れたんだけれども。

 若い!

 今の方が全然いいと思いましたね。それは私が基本的におじさん趣味のせいもあるんだけど(だって『太陽にほえろ』で一番好きだったのヤマさんだったし、舘さんだって『あぶ刑事』の時もう35ぐらい)、なんというか、「とがった」感じがする。でもって写真が全部コスプレで、『世界征服』の方は宝塚もかくや、というような王侯貴族の格好とかマタドールの格好とかしてるんだよね。いや、もちろん似合ってるんだけど、似合いすぎてて、やばい人っていうかさぁ(笑)。『モノ申ーす』の方も全部妖しい扮装写真なの。それはそれで確かに見てて楽しい。A4見開きの半分が写真だから、写真集としても十分楽しめるんだけど、ちょっと作りすぎっていうか塗りすぎっていうかあっち(どっち?)行きすぎっていうか……。この頃出逢ってても、きっとファンになってなかったろうな、って気がする。今の方がいいよ、絶対!

 『2』の写真もマシンガンを持ったサバイバルゲームの格好とか、フェンシングとかビリヤードとか、何かの扮装になってるんだけど、こっちはぐっとナチュラルで素直に「カッコいい!」と思える。『Photo Collection』として入ってる写真もすごくほわっとした感じでいいんだよぉ。化粧映えする人だから、きっと周りも色々いじってみたくて『宝塚』になってたんだろうとは思うけど、昔は顔も今よりもうちょっと痩せてとんがってる感じで、やっぱり何か、落ち着きというか自信というか、「このままで勝負!」みたいなものがガックンの中に生まれてきたのかな、と勝手な想像をしてます。

 で。本文なんですけど。

 『カップルにモノ申ーす』って、要は恋愛相談で、最終的には相談に来たカップルののろけで終わることが多く、『2』の序文でガックンは「みんな幸せなんだね」と呆れてます。そして「つまりは大した本じゃないってことです」とまでおっしゃってます。ま、確かにこんな雑誌の企画のお悩み相談に応募する程度の悩みは大したことないに決まってる(だってホントに解決したいと思ってるんだったらそんな、採用されるかどうかわかんないようなところに悠長にハガキ送ってないで別れるなりなんなりするでしょ)んだけど、ガックンのアドバイスはとても的確でなるほどなぁと感心させられます。なんか恋人とかパートナーとの間で困ってることがある人は、この本めくったら解決の糸口が見つかるんじゃないでしょうか。

 色々とガックンの恋愛観や人生観が分かってファンとしては面白い。そして勉強になる。ガックンって、見た目がああだから「なよなよしてる」とか「ちゃらちゃらしてる」とか思う人いるかもしれないけど、すごーく侠気(おとこぎ)のある、けっこう古いタイプの人なんだよね。「男としての責任」とか、「女性はもっと『女』であることを大切にしてほしい」とか。でもその「女らしさ」っていうのは家事云々ということではなくて、逆に「奥さんは絶対に家事をしなくちゃいけないとは思わない」と言ってくれたりする。「女の子はコックとウェイトレスと食べる人、3役をひとりでやらなくちゃいけなくてかわいそうだ」って言ってくれるんだよ! こーゆーこと、なかなかわかってくれないよ、世の男どもは。っていうか、私自身自分が作る立場になるまでお母さんの大変さ、わかってなかったもんね。お母さんが出かけるとなるとすぐ「ご飯は?」と訊いて怒られてた。お母さんは家政婦じゃないっちゅうの。

 話がずれた。ガックンの人間に対する洞察力、観察力、そして考え方。これホント、勉強になるよー。「相手に好きでいてもらうのと、自分が相手を好きでいるのとどっちが大事か。僕は自分が好きでいる方」とか、「その人を好きだとか信用できるだとかいう時、根拠はない」とか、「人の気持ちというものは結局はわからないんだから、お互いがお互いに片思いしてる、でいいんじゃないか」とかね。私も常々、人の気持ちなんてわかりようがないと思ってる。わかんないからこそ、「思いやる」ってことが必要なんだし。別に「恋愛」だけじゃなくて、人間関係全般において、色々参考になることが多いから、迷いの多い方はぜひ一度読んでみてください。

 『2』に入ってる『Gacktの哲学』がまた、ガツンとくるんだけど。「このアマチュアが!」ってね。もうホントに、すいません、出直してきます、って感じで……。自分がどうしたいか、それさえわかってれば、悩むことなんか何もないはずなんだよね。そこで色々な障害が立ちはだかるっていうのは、自分にその壁を乗り越えたり打ち破ったりするだけの根性がないというだけの話で、「でも」とか「だって」と理由をつけては壁の前をうろうろしているだけ。乗り越えるのがしんどくて嫌だっていうならとっとと諦めな!このアマチュアが!……すいません。

 ガックンのコスプレ写真集として楽しむもよし、人生の指南書として性根を入れ替えてもらうもよし、のお得な本でございます。また絶版にならないうちのお早くお買い求めくださいませ。

『Gackt素晴らしきかな人生』『Gackt素晴らしきかな人生2』(オリコン・エンタテインメント株式会社)
★この本を買う→『本の虫書房』へ(「Gacktの拳」コーナーにて『2』を発売中)


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