◆『自白』を読んで感じたこと◆


 買うまいと思ってたのにやっぱり買ってしまった『自白』。『女性自身』での連載、ある時は書店で、ある時は美容院で、はたまたある時は歯医者で、読んでいたんだけど。

 最初に読んだ時、けっこうショックだった。丁度子どもの頃の精神病院行きの話と、結婚したことがあるという話のところで、なんだか心臓がバクバクするぐらいショックだった。映画見て、CD聴いて、一体この人はどんな人なんだろ、どういう背景を背負ってる人なんだろ、って思ってはいたけど、想像以上に波瀾の人生で、「痛くて」、知らなきゃよかったなぁとさえ思った。彼の中にある想いは音楽や映画として表現されていて、それを感じるだけで十分、よけいな情報は感性を鈍らせるだけだ、って。

日向の自白  ま、そう思いながらも結局連載のほとんど(この本に収められたうちの7割方)を立ち読みしちゃったんだけど。

 ガックンの「自白」は、とても痛い。そんなこと隠しとけばいいのに、って思うこともある。ワイドショーや週刊誌で下手に面白おかしく書かれるぐらいなら自分で全部ほんとのことを言っちゃった方がいい、ってこともあるんだろう。それにきっとガックンは、これぐらいさらけ出しても平気な強さを持った人なんだ。あるいは、「言っても大丈夫。自分は揺るがない」ってことを確認するための、「自白」。考えてみれば、揺らぐのはガックンじゃなくて周りなんだもんね。私みたいに「え、そうだったの!?」ってショック受けて、よけいな想像をめぐらしたりしてさ。ガックン自身は何も変わらない。「騒ぎたきゃ騒げば? そっちの器の小ささを露呈するだけだぜ」っていう、挑戦状なのかも……(←これもよけいな想像)。

 連載とは違って、テーマ別に並べられて加筆修正もされたこの本を通して読んでみて、改めて、ガックンはすごいと思った。すごく、真摯だ。とんでもない人好きになっちゃったなぁ、と思う。甘ったれでぐうたらで何の苦労もなくのほほんと生きている私は、ははぁーとひれ伏すしかない。

 映画を見て、「この人私と同じこと考えてる!?」なんて思っちゃった私ではあるのだけど、本当に、どうしようもなくおこがましい。乗り越えてきた山の高さが違いすぎる。飛び越えてきた谷の深さが違いすぎる。自分への厳しさが違いすぎる。……ううう。

 ガックンと恋人付き合いをすると女の子が「壊れる」という話が出てくる。「私はあなたにとってどういう存在なの?」という気持ちがエスカレートして、留守電のメッセージなんかがストーカーじみてくる、という話。これってでも、わかる気がする。あんなとんでもない人を一度でも独占したと思ったら……そりゃ不安でたまらなくなるよね。この世のものじゃない天馬を手に入れたようなものじゃない。いつ天に還ってしまうかわからない。人間の力では引き留めておけない。檻に入れたくなるよ。

 「僕を振り回してくれるぐらい器量のある女性であってほしい」という一節もあるけど、そんなん無理や〜。ガックンを振り回せるほどの器量って、どんなすごい人よ。それこそ天女ちゃうん。

 「僕の人生はそのぐらい波瀾に満ちていると思うし……その中で、みんなに感動を届けることができると思う。それが、僕のあり方だと思う」

 せめて、色々な情報に惑わされることなく、自分自身の感性で、揺るぎなく彼の表現に感動できるように、私は私のあり方を、まっとうしていかなくっちゃね。

『自白』(光文社) Gackt著
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