◆2009.01.30 名古屋センチュリーホール◆
『Requiem et ReminiscenceU〜再生と邂逅〜』参戦記


 逝ってきました、3年ぶりのライブツアー『Requiem et ReminiscenceU』! 2008年12月から2009年4月までにわたる、Gacktさん史上最高にハードなツアースケジュール。6月7月のアリーナ追加公演も決まり、全部終わるまで「ネタバレ禁止!」なので、この原稿が陽の目を見るのはまだ半年も先になります。でも書いとかないとね。忘れちゃうもん。

 今、これを書いてるのは2月の3日で、もうライブから4日目で、すでにこう、記憶があやふやって言いますか(笑)(←結局書き終わったのは2月の6日。ライブから優に1週間……。とほほ) ライブって「魔法の時空」だから、終わって会場を後にした瞬間、「あれ?私今まで何してたっけ?」みたいな、記憶の飛ぶところがある。しかもライブ後、色々あってバタバタして、まだツアーパンフも見てないもん(涙)。でもね、今回はパンフ見る前に、とりあえず自分の感じたことを書きたいんだ。説明されて「なるほど」って思う前に、たとえ間違っていたとしても、自分で感じ取れたことを記録しておきたい。どんな表現にも、受け手の「間違い」っていうのは、ほんとはないと思うのよ。作品は作者の手を離れる。作者の意図しないことを受け手が感じたとしても、それは正しいとか間違ってるということではなくて、それもまた「作品の力」だから。

 ってもう、前置き長っ! 早く本題に入りなさい。

 今回のツアー、チケットを取ったのは2008年の8月で、いつもながら待っている間がとーっても長かった。これもいつも言ってることだけど、チケット取ったからってホントに行けるとは限らないわけじゃない? 8月に来年の1月、世の中や家族がどうなってるか、わかったもんじゃないんだからさ。「来年のことを言うと鬼が笑う」状態でしょ。うちは闘病中の父や90歳超えた祖母が2人もいるし、よけいにね。当日が近づいてくるに従ってドキドキしてきちゃって。毎日「Gacktお守り」にお祈りする日々。

 それに今回は、Dears村(ファンクラブ専用サイト。SNSなどがある)で他のファンの人が「逝ってきた!」っていうのを続々と見てたから、「ああ、私はまだあと1か月……」って「おあずけ」喰わされてる気分が強くて。私が「あと1か月」って待ち焦がれてる間に、行く人は3回とか4回とか行ってるんだもん、なんか、わびしい……。

 ライブまであと1週間と迫る中、学校ではインフルエンザが猛威を振るい、学級閉鎖だの学年閉鎖だのあちこちで。うぉーっ、インフルエンザかかるんなら今のうちにかかってくれぇ〜っと本当にヒヤヒヤした。今シーズンは雪が多くて、例年1月の末なんて一番寒くて雪も降る時期だから、「雪で電車がストップしたらどうしよう」って、それも心配しなくちゃならない。もう、毎日週間予報を何回見たか。

 今まで、一人参戦がほとんどの私(『DIABOLOS』のみ家族参戦)。今回はお友達のAちゃんと一緒♪ 私が初めて横浜アリーナに行った時から、「私も行ってみたい」と言ってくれていたのだけど、なかなか日が合わなかったのよね。めでたく初参戦! 岐阜在住、名古屋勤務のAちゃんのために、ちゃんとあるんだ、名古屋金曜公演。……ってゆーか、今回のツアー、滋賀はもちろん大阪も京都もなかったから、私も名古屋行くしかなかった。金曜なら、お泊まりしても次が土曜で夫も子どももお休みだし。Aちゃん的にもGoodということで。チケット取れて良かった♪ ほんと、今回公演数多いんだけど、滋賀からは遠いとこばっかで、しかも平日が多くて遠征もままならない。名古屋で月曜とか言われてたら……無理やもん(涙)。

 公演までの1週間、毎夜Aちゃんとメールで打ち合わせ。「何着ていく?」「夕飯はどうする?」 こーゆー「行くまでの準備」も、わくわくして楽しいものなのですね。前回の「ЯR」のライブCD+『Jesus』を「予習CD」としてAちゃんに送り、Dears村の『KOAKUMANIA練習動画』のことも教えて、それぞれに自主練習。そう、なんかよくわかんないけど「練習動画」というからには練習しとかなあかんねやろな、とパソコンの前で一緒に躍りながら振り付けを練習。うーん、覚えられん。

 そうして。

 ついにやってきた2009年1月30日! (もう、ほんま、前置き長っ!!) 雪の心配なんかなーんもない暖かな日。前日から、「3月の陽気」などと言われていて。気持ち悪いぐらいぬくかった。昼から雨の予報だったけど、滋賀を出発する時にはまだ降っておらず、予定通り順調に米原から新幹線に乗り、一路名古屋へ。途中、母から「実はお父さん入院してんねん」メールに「え゛ーっ!」と驚きながらもそのまま名古屋駅。わはは。15時待ち合わせで、半日有休をとったAちゃんと合流。ライブ開演は18時半、開場17時45分なので、まずは腹ごしらえ。Aちゃんおすすめのお店で極上小籠包を食べたあと、これまた名古屋ではとっても有名というお店のミルクレープをいっただきま〜す♪ ……って、ホントに一体この原稿はいつになったらライブの話になるんだ???

 お腹もいっぱいになり、いざセンチュリーホールへ向けて出陣! とうとう雨が降ってきていました。すでに本降りです。ホールに着いたのは17時半くらいだったと思う。「先にグッズを買って」と思うのだけれど、売り場が見つからない。雨のせいか、グッズは会場内での販売になっていて、「グッズ買うためにも入場の列に早く並んでおいてください」と言われ、列へ。そんなに遅く入場したわけでもないと思ったのに、グッズ売り場に直行するとお目当てのキーホルダーは売り切れ。そんなぁ。今回のツアーでは、「ご当地キティちゃん」ならぬ「ご当地がくっち」になっていたらしく、会場ごとに売られるデザインが違って、「君は全部集められるか!?」なんて書いてあったから、買い占める人がいたんだろうなぁ。よそで買ったけどこっちでも、とか、友達に頼まれた分とか。……1回しか参戦できない身にもなってみろってんだ、ぐっすん。車のキーに新しいキーホルダーを付けるのを楽しみにしていたのに、なかったもんだから、普段は買わないクリアフォルダーなどやけ買い。ああ、お金が……。

 私達の席は1階の21列23番と24番。宝塚大劇場の21列より舞台に近い感じ。今までが横浜アリーナとか東京ドームとか、でかいとこばっかりだから、こーゆー小さい箱って新鮮っていうか、窮屈っていうか(笑)。21列の後ろは通路だったから、後ろは気にしなくてよかったけど、左右と前は狭かったな、踊るには……。実は今回、Dears村で知り合った宝塚ファンでもある若〜いMちゃんと「会いましょうね」と言っていて。無事、初顔合わせ。いやぁ、若いって、いいね。ちょっと、おばさんは会うのが恥ずかしいくらいだったわ(笑)。仮面かぶって会いたい、みたいな(爆)。あんな若くて可愛い子と知り合えるのも、Gacktさんのおかげ。うん、なんか不思議な感じだったよねぇ。いつも一人参戦で、Gackt友達なんて一人もいなくて、知らない人ばっかりで、それがあたりまえだったのに、ネットだけとはいえ知ってる人が同じ会場にいて、「わ〜、こんにちは〜」なんてやってるんだもん。隣にはAちゃんがいるしさ。うふふ。

 Aちゃん持参の「キラキラグッズ」で手指や顔を飾りながら座席で開演を待つ。いつも大体30分ぐらいは遅れるのでのんびりしていたら、18時27分頃早くも「まもなく開演いたします」アナウンス。嘘でぃっ、こっからが長いんだろ、と思いきや。

 ホントに始まった。

 びっくり!!!

 まぁ、名古屋の2日目だったので、機材調整なんかはあんまり必要なかったんだろうけど、でも定刻に始まるなんて初めてだよ! いつもこうだと終電気にしなくてすむのになぁ。あの時間ならお泊まりしなくてもなんとか滋賀まで帰れただろうし。

 最初は、映像。これまでのツアーでもオープニングや途中で非常に凝った、映画のような映像が流れたけれど、今回のツアーは「VISUALIVE」と銘打たれただけあって、またこの凝り方が半端ではない。オープニングと途中とエンディングの3つで立派に映画として公開できるんじゃないかと思うし、曲それぞれの背後にもイメージ映像が流れる。そりゃ、こんな凝ったことしてたら初日は開演が2時間押しになるよなぁ。「映像が仕上がってないから」遅れたらしいんだけど、なるほどさもありなん。映像のすごさ、痛々しいストーリーに感嘆しながらも、「予習コンテンツでおなじみだったアサクラさんってこんな人だったのねぇ。Gacktさんと三角関係はそりゃきついよねぇ」などとつい考えてしまう私。いや、別にアサクラさんは不細工ではなかったけどさ、Gacktさんと張り合える男の人なんてこの世にいるわけないもんね(笑)。

 そして、ついに。

 『DRUG PARTY』からでも丸2年以上ご無沙汰だったGacktさんと再会!!! 1曲目、『Jesus』。きゃ〜、ノリノリよぉ♪ ……って、でも、会場はそれほどでもなかった。なんか、前半パートはみんなけっこう大人しくて、最初から馬鹿みたいに踊り狂ってるのは私とかAちゃんとか、斜め前の人とか……。少ない。なんで??? 後半はみんなちゃんと騒いでいたので、もしかしたら前半は静かに耳を傾けなきゃいけないっていう暗黙の了解があったのかしら??? 名古屋だけでも2日目だし、他の会場にも参戦してこれが2度目、3度目って人も多かったらしく、みんなもう構成がわかってて、「あ、ここは座るのね」みたいな。近くからは、「ここって○○が××だよねぇ」なんていう解説が聞こえてきたりもして。みんなホント、何回も逝ってるのねぇ。羨ましい。しくしく。♪だぁけど私は泣ぁかないわ♪ 一球入魂、全力投球、この一球は唯一無二の一球なり!(意味不明) 完全燃焼、最初から飛ばすのだーーーっ!

 「誰か俺を止めてくれぇっ!」という叫びとともに、2曲目『uncontrol』。これも踊れ〜〜〜っ!!! ここまでは、知ってる曲で。次から、知らない曲。今回(って言葉が多いなぁ、今回(^^;))アルバムがツアーの後に出るっていう構成で、「知らない歌で盛り上がれるの?」とAちゃんも心配していたのだけど。「大丈夫、Gacktさんのライブはただのコンサートじゃなくてショーだから。宝塚だって、基本知らない曲ばっかりだけど楽しいでしょ?」 うん、ほんと、知らない曲でも大丈夫だった。歌詞だけは、予習コンテンツの「想いのカケラ」で知ってて、詞だけ読んだ時はストーリーの三角関係に引きずられて、「zeroとマリアさんの曲ばっかりじゃん」って思ったりしていた(あからさまな恋の歌は好きじゃないのだ、わたくし)。でもやっぱり、音楽として、生で、映像やGacktさんの表情、全身からあふれるオーラ、そういうもの全部引っくるめて感じたら、全然違う。もっともっと感じられる。一人だけの想いじゃない、一つだけの愛じゃない。歌われているのはもっと大きなもので、もっといろんなイメージが膨らんでいく。

 なんせ知らない曲だから、曲の順番をはっきり覚えるのは難しかったんだけど、たぶん3曲目は『Suddenly』で、『No Reason』と来て『In Flames』だったと思う。『In Flames』の時に、バックの映像で炎が上がっていて、「ああ、これは戦火なんだ」って思った。詞だけ読んだ時は、ヒロインのマリアさんを焼く葬送の火としか思えなかったものが、ライブではもっとたくさんの命を焼いていく戦火に見えて。ああ、これは戦場で理不尽な死を迎える者みんなを弔う歌なんだ、って思えた。それは恋人かもしれないし、家族だったり友達だったり、同じようにサイボーグにされて戦場に散る、【Zero】にとっての「仲間」なのかもしれない。

 サイボーグって、象徴にすぎないんだ。戦争の狂気、戦争によって剥奪される個々の人格。Gacktさんが歌い、表現するのは、戦争によって引き裂かれたすべての愛、すべての命

 人はなぜ争うことをやめられないのか。なぜ、同じ人間を貶め、いたぶり、殺し合う―――。

 舞台変わって、酒場の風景。軍服姿のGacktさんやメンバーがグラスを傾けている。淳士くんのセリフとともに、ピアノについていたGacktさんが『Sayonara』を奏で始める。弾き語りの『Sayonara』。めっちゃ良かったぁ。いつもGacktさんのピアノ聴くのがホントに楽しみなんだ♪ 小芝居しながら、よそ向いてても片手でピアノ。ううっ、すごいわ。このシーン、みんなお酒飲んでるみたいなんだけど……まだサイボーグになる前の、普通に志願兵だった時の記憶なのかな? 戦場での、束の間の休息。生きては帰れないことを覚悟して、愛しい人へ『Sayonara』を贈るのか。途中、間奏はGacktさんのピアノとYouさんのヴァイオリン! ううっ、素敵すぎる。この泣きのヴァイオリンがたまらないの。大好きなの。これを生で聴くだけでも7000円安いって思うぐらい。しかもその後が!

 GacktさんとYouさんのヴァイオリン二重奏なんだよぉ!!! 雑誌のレポで「そーゆーことをする」って知ってはいたけど、ホントにかっこいいーーーーーっっっっっ!!!!! 曲は、たぶんクラシックの、聴いたことのある曲だったんだけど……詳しくないからわかんない。眼福。もちろん耳も福。こんな麗しいヴァイオリニストが二人もいていいのかぁ。しかも軍装やもんね。あ、よだれが……(笑)。GacktさんとYouさんはもう18年も付き合いのある、本当に「戦友」なんだけど、よくこの二人が出逢ってくれたよなぁ。もうこれは前世からの因縁っていうか、出逢うべくして出逢った人達なんだろうね、やっぱり。

 にしても。

 こんな小芝居までできないと、GacktJobのメンバーは務まらないのよね。大変だ、みんな。すごく演劇的な、ホントに宝塚のショーみたいな。歌だけじゃない、エンターテインメントショー。総合芸術。開幕前の、舞台の「枠」セットを見たときに、「このまま『エリザベート』が始まってもおかしくない雰囲気だよね」、って思ったんだけど、ホントにできるよ、Jobメンバーで『エリザベート』(笑)。Gacktさんトートに、茶々さんシシィ。Youくん黒天使筆頭で、Ju-kenさんルキーニね。んっと、淳士くんはぁ……ゾフィー!(爆)。そうそう、あの小芝居の時、「淳士くんがお笑いのナントカに似てる」って声が近くから聞こえてきた。それってもしかしてブラックマヨネーズの小杉くんでは……。淳士くん、プラチナムボックスでもいい味出しすぎやもんね。あそこまでお笑い担当でいいのか!みたいな。ライブ行くと、ほんと、メンバーみんな大好きだな、って思う。Job最高!って。テレビだと、Gacktさんしかトークしないし、演奏中もメンバーはあんまり映らないし。もったいないよなぁ。

 と、いくぶん話がそれましたが。

 次はいよいよ『GHOST』!!! PVでの完璧な「サイボーグダンス」を生でっ!!!!! もうこれはホント、すごい。Mステの時、堂本光一くんが「やっぱりサイボーグだったんだ」って言ってたけど、Gacktさんはホントに、「なんでこんなに何でもできるんだろう」って。「できる」んじゃなくて、「やる」人だって知ってはいるし、ものすごい努力する人だって知ってるけど……でも、やっぱりサイボーグかもしれない(笑)。すごいカッコ良かったし、もう一緒に踊れ〜〜〜〜〜っ♪ 全然めちゃくちゃだけど、気分は「一緒にサイボーグダンスをやってるつもり」(爆)。最初、「次はテクノ」って聞いた時はちょっと嫌だなって思ったんだけど、浅はかだったね。Gacktさんの手にかかれば、こんなすごい曲になる。ダンスだけじゃなく、曲も最高!!! 今までシングルで出た曲のどれよりも好きかもしれない。今までのも全部好きだったのに、新しいのが出るたび「これは!」って思わせてくれる。ほんとに、すごい人だ、Gacktさん。

 そして次が『GHOST』のカップリングの『Blue Lagoon〜深海〜』だったんだけど。これがまた!!!!! もぉ、どないしたらええの。CD聞いた時に、「あ、これってサイボーグ化されるためにホルマリン漬けになってる人の歌だ」って思ったんだけど、ライブセットもまさにそれでね。いや、まぁ、ホルマリンじゃないとは思うけど、SFアニメやマンガではよくある、「培養液の入ったガラスカプセル」みたいなのが後ろに4つぐらいあって。実験ラボみたいなセットになってるの。後ろ、映像のはずなのに、途中でカプセルの中の人がダンサーさんになって動いたりするし。Youくんと茶々さんの2人も両脇にプラグで繋がれてるロボットみたいな感じで演奏してた。もうめっちゃSFチックで、「お話」になってて。

 しかもGacktさんがエロいっ! マイクスタンドが、マネキン。トルソーっていうのかな? 女の人の胴体がマイクスタンドになってて、それをなで回しながら歌うのよ。しかもここの衣装が、いわゆるボディスーツっていうか、ノースリーブの、宝塚でいう「ダルマの衣装」みたいなやつの上に毛皮のコート、って感じで。時々そのコートをひらっとさせて、ボディラインを「ちら見せ」してくれるわけ。がーっ、もう、なまめかしすぎるっ!!!(……ちょっと、テンション上がりすぎ?……) なんていうか、ホントに自分の「見せ方」を知ってる人だよね。どうすればどう見えるか、天使にも悪魔にも、それこそ女にもなれるんちゃうかっていうぐらい、いろんな「Gackt」になれて。ここのGacktさん見てて、絶頂期の美輪明宏さんを連想したなぁ。「黒蜥蜴」やらせてみたい。「女」じゃなくて、「男」のままでいいから。あの三島由紀夫の美しいきらびやかなセリフをGacktさんに言ってもらいたいな。「夜がひしめいて息を凝らしている。精巧な寄せ木細工のような夜。こういう晩にはかえって体が熱くほてって、いきいきとするような気がする」……うぉーーーっ、想像するだけでよだれが(爆)。

 『深海』も曲自体すごく良くて、ライブ帰ってきてから『GHOST』とともに何度もリピート。でも、なんでこの曲でエロかったんやろ?(笑) 他にエロくなれそうな曲がないからかな(爆)。

 前半パートの最後は『Oblivious〜顔のない天使〜』。ここはまた、バックの映像が凝ってたなぁ。普通の街角、行き交う幸せそうな人々。歌に合わせて、時々ストップモーションになる。戦争によって奪われた、平穏で幸せな日々。もう、取り返しがつかない――。そういうせつない想いが、あふれてた。

 今回曲ごとに、後ろの映像が変わって、キーとなる歌詞が映し出されたり、曲のイメージが映し出されたりしていて、たとえ初めて聞く曲でも、すっと入っていけるようになってた。宝塚のショーやミュージカルでは、「初見の時は全部知らない曲であたりまえ」だけれども、「歌手」が「アルバム出す前に新曲ばっかでライブをやる」って、普通ないでしょう? すごい、冒険だと思う。「みんなが知らない曲でも俺は楽しませてみせる」っていう自信がなければできないことだと。逆に、まったく初めて聞く曲だから、先入観なしに触れられるってことさえもあって。ステージでの表現を、逆に素直に受け止められるっていうのかな。こんなこと、他のアーティストじゃ無理だよね。やっぱり総合芸術。まさにVISUALIVE

 ここで、また映画。ショートフィルム。戦場で、銃撃戦をやっているサイボーグ部隊『GHOST』。いくつかの小隊と連絡を取りながら、戦っている。Gacktさん扮する【Zero】は隊長で、彼のもとに別の小隊から次々に無線が入っている。「隊長、俺たちに、帰る場所はあるよな?」 その声を残して、途切れる無線……。【Zero】の隊ももうギリギリの状態で、緊迫する状況の中。「この匂い、この感じ、前にもあったような」 え゛? もしかして……。ふっと切り替わる映像。猫ダンサーに囲まれ、「たぁまや〜」と花火見物をしている【Zero】……うわぁ、また夢オチかいっ!

 と、笑いを取ったところで、後半パート、スタート!

 まずは猫ダンサーとの『U+K』かな。後半、記憶がぐちゃぐちゃなの。楽しすぎて。幸せすぎて。Gacktさんの、「3年間待たせたな!」っていう熱い愛がもうひしひしと感じられるステージだったから。白いTシャツの上に、やっぱり白いシャツを羽織って、カジュアルな格好のGacktさん。汗で透けたシャツが色っぽい。

 『Mirror』は恒例の掛け合いで。『KOAKUMANIA』があるから、もう『U+K』や『Mirror』はないのかな、って思ってたんだけど、どっこい全部やってくれるんだよねぇ。愛だわ、愛。最初から飛ばしていた私、掛け合いのところで酸欠。「Gacktーっ!」「聞こえませ〜ん」「Gacktーっ!」「そんなもんか、名古屋っ!」とかって、煽ってくれるものだから。あの日、ちょっと喉が痛かったんだけどがんばって叫んでたら、途中で酸素足りなくなっちゃった。あんな、「くらっ」と来る感覚、初めて。「やば、ちょっと休憩しなくちゃ」みたいな。暑くてもう汗だくだったし、スタミナないからな……。でも踏みとどまったよ。その後も叫び続け、踊り続けた。ふふふ。

 「おかえり」「ただいま」はこの後だったかな。これも恒例なんだけど、「2階おかえり!」「3階おかえり!」「2階おかえり!!」とかって、1階にいけずするGacktさん。うう。早く1階にも「おかえり」って言ってぇ(涙)。さんざんじらされて、やっと、「1階おかえり!」「ただいま!!!」。あー、幸せ。

 あれ? ヴォルビック投げはいつだ?? 今回も、2階まで投げてしまうGacktさんの投擲術に、一同拍手。あの人はほんとに、どうなってるんだ?? やっぱり「強化人間」??? それを言うならニュータイプか(笑)。茶々さんなんて、全然遠くへ飛ばなくて、Gacktさんに「その女投げやめろ!」って突っ込まれてたもんね。淳士くんは投げるはずのボールをどっかに落っことして、「MC止めるなよ!」って言われてたし。ボールをおっぱいにしていたYouくんは、「おまえな、もっと面白いことしてみろ」みたいに煽られて、股から「鹿の糞」のようにぽろっとボールを……。みんな、かっこいい人達なのにね。体張ってるよね(笑)。

 MCのGacktさんはとっても可愛い。なんか、疲れすぎて笑えてきちゃうって感じでもあったけど、でもお茶目で。テレビでしか知らない人は、こんな表情見たらびっくりするだろうな。「このへん、もうGackt菌に冒されてるよ」「冒して〜」「女の子が“犯して”なんて言っちゃいけません!」「(男の人が)冒して〜」「男は犯さないよっ!」 うぷぷ。なんか、「この年でそんなこと」みたいなことも言ってたなぁ。あれって、何の話だったっけ。「この年」なんて、Gacktさんが言っちゃダメだよ!!

 あと、やたらに「一流芸能人」の話をするなぁ、と思ってたら、吉田秀彦さんが来てたんだよね。2階の中央席にいらしたんだって。私たちの席からは見えなかったけど。お正月の特番で、見事「一流芸能人」に輝いたお2人。「もう出ない」って言ってた。「だって大変だよ、どうするのさ、二流とか三流とかになっちゃったら」「ぼくの後ろには君たちがいるんだからさ。背負ってるものが大きすぎるよ」とかって。「ゴチ参戦」の話も少し♪ 楽しいね、幸せだね。

 そして、『小悪魔ヘヴン』。ってゆーか、『KOAKUMANIA』? 練習動画で練習したけど、やっぱり難しい〜。でも楽しい〜〜〜っ。ゲームみたいになってて、後ろに「ここを叩く」みたいな、こう、「太鼓の達人」的な感じの映像が流れて、そこを叩くつもりで手を振って、「ハイ!」。だんだんレベルが上がっていって、メンバーとともに私たちも挑戦。なんでこんなこと思いつくんだろ。これからライブの定番になるのかな? 1回だけじゃもったいないよね。まぁ、メンバーは今回のツアーだけで50回以上やるんだろうから、「もう勘弁してくれ〜」かもしれないけど(笑)。

 めっちゃ楽しんだ後、『Papa lapped a pop lopped』のイントロが流れた時は、「え〜っ、まだやるの〜〜〜っ」って思わず……。まだ踊るの? ちょっと休憩させて、って(笑)。もうほんと、スタミナないったら。しんどいけど、でもやっぱり楽しい。

 そして緒形拳さんに捧げる歌だろう、『My Father's Day』 バックは、歌詞が出てたな。「ぼくはきっと新しい世界を開く 恐れも、疑いもなく」っていうような意味の、英語詞。

 で、『Faraway〜星に願いを〜』『Flower』と続いたと思うんだけど。『Faraway』の最後の方かな、バックに宇宙の映像が流れてね。「星空」じゃなくて、「宇宙」。それを見た時に、「あ、やっぱり神様なんかいらない」って思って。ライブ行く前に萩尾望都さんの『百億の昼と千億の夜』を読んで、そーゆーことちょっと考えてたから、「やっぱり神様なんていらないんだ! Gacktさんがいるもん!」って思っちゃった。いつもライブに行くと思うけど、あの場で過ごすあの時間って、ほんと「特別」なんだよね。「生きてる」って実感できる。「生まれてきて良かった」って、心の底から思える。たとえ神様がいけずなよその星の高等生命体だって、たとえ人類も太陽系もそいつらの実験場でしかなくたって、そんなの全然関係ない。世界が無意味でも、私たちはこんなに幸せだーーーーーっ!!! って、叫びたい気分だった。今この瞬間、Gacktさんと私たちのために世界は存在しているんだ、それでいいじゃないか、って。神様だろうと何だろうと、かかってきやがれ!(笑)。

 そしたら『Flower』が、そんな曲で……って、全然違う? でも「たとえただ空しい結末が待ってても オマエがいればいい」って、そーゆーことじゃないかな?? 哀しいこと、いっぱいあるし、何をなしても結局みんな「無に帰してしまう」って、一体この命に、この存在に、何の意味があるんだろう?って思うけど、でも、誰かにめぐり逢えたら、大切だと思える誰かがいれば、「生まれてきてよかった」と思える。そのために生まれてきたんだと思える。なんか、そんな歌に聞こえたの。私にとっての『Flower』。「生まれ変わるなら寄り添う花に」……きっと、この世界が朽ち果てても、どこかで、私たちの想いの花が咲いているんじゃないかな。寄り添って、揺れながら、歌を歌っているよ。きっと、きっと……。

 『君のためにできること』の前に、Gacktさんは「ぼくが消えてしまっても ぼくは君のそばにいる」と言ってくれる。それもまた、きっとそういうこと。私たちは、めぐり逢えたから

 この曲で、恒例の「銀テープ」。ばーんと銀テープが降ってくるのね。でも残念なことに私たちの席のとこだけ降ってこなくてさ……。「あららら」 お隣の方が、通路のを拾ったのか大量に持ってらっしゃるのを見て、思わず「いいなぁ」と物欲しそうな視線を向けていたら、「どうぞ」って分けてくださった……。すいません、ありがとうございます。最初から横でずっと騒がしかったのに、ほんと、ありがとうございました。

 そして、最後の曲。また軍服に戻っての、『Lost Angels』。「ぼくは君を忘れはしない」……やっぱり、そういうことだよね。出逢いがあれば……。かっこよかったな。軍服で、みんなが階段の中央に。やっぱり宝塚みたい(笑)。私もあなたを忘れないよ。絶対に。

 曲の後、最後のショートフィルム。ショートと言っても、ほんと完成度高い。ほとんど上半身だけになったような、損傷の激しい【Zero】。顔はGacktさんなのに、この映像はどうやって撮ってるんだろう?とつい技術的なことを考えてしまう。体はサイボーグで、ボロボロってことになってるんだもんね。今のCG技術なら、これぐらいは屁でもないのかしらん。瓦礫にもたれかかっている【Zero】に向かって、いけずな上官がねちねちと嫌みを言う。「鉄くず」呼ばわりし、「仲間がみんなやられて哀しいか? 哀しいなら泣いてみろ、人間のように」などと。その横で、ただ辛い顔をしているだけのアサクラ。【Zero】は答える。「俺たちの方が、よっぽど人間らしいぜ」 その言葉に憤った上官は、自ら銃を取り、【Zero】をめった撃ちにする。上官が去った後、「すまん」と泣いて謝りながら、【Zero】の手に写真を握らせるアサクラ。マリアさんとの写真。マリアさんと【Zero】になる前の『彼』、そしてアサクラ。3人で撮った写真の、切れ端。『彼』の部分はちぎれていて――。「すまん、本当にすまん」

 逃げていくアサクラ。……って、あんた結局そーゆー奴なんだ(怒)。予習コンテンツの最後では、なんか「彼らの友人としてやらなければならないことがある」なんて言ってたのに……。あれって、もうすべて終わってからの話なのか。生きているうちに――『彼』が存在しているうちに、アサクラがしたことは、ただ、写真を握らせてやるだけ。

 【Zero】の目から、一粒の涙。そして、機械の目に映る、写真。機械の意識が認識する。機械の記憶が蘇る。ちぎれた写真。本当は、3人で映っていた写真。ざざっと画像が乱れ、そうして、ブラックアウト―――。

 冒頭で、「俺は誰だ?」と言っていた【Zero】は、「俺は【Zero】。ただのサイボーグ」と言って死んでいく。『彼』であった頃の記憶を取り戻しても、【Zero】として

 クレジットに流れる映像は、サイボーグ部隊の束の間の休息の記憶。そう、あれは、サイボーグになってからの、「“人間”よりずっと人間らしい」彼らの、「笑いあえた記憶」だよね。腕相撲をしているところとか、【Zero】の奏でるヴァイオリンに耳を傾けているところとか……。もう、ほんま、泣かせるわ。でもこーゆー映像を最後に持ってくるGacktさんが、とっても好き。

 やっぱり、そういうことだと思うんだ。たとえ悲劇に終わっても、哀しい最期を迎えても、それでも、彼らにだって「笑っていた時」があって、「笑いあえる仲間」がいて。「隊長、俺たちに帰る場所はあるよな?」と聞いてきた仲間。「あたりまえだ!」と答えた【Zero】。仲間のためにも、彼は『彼』としてでなく、【Zero】として死ぬのだろう。自分の存在を、肯定して、受け容れて――。「生まれてこなければよかった」なんて、きっと【Zero】は言わない。すべてが無駄だったなんて、きっと思わない。

 俺たちはこの世に“人間”として存在して、精一杯生きたんだ。

 クレジットの映像は、そう言っている。

 やっぱりGacktさん大好きだぁ!(って、そっちへ行くか?(笑))。このGacktさんの世界観が、メッセージが、大好き。いつだって、素晴らしいステージに、素晴らしい時間を過ごさせてくれることに、Gacktさんがこの世にいてくれること自体に感謝しているけど、でも本当に心から、「ありがとう」って叫べた。「ありがとう、Gackt!」って。

 Gacktさんに逢えて、ほんとに幸せだ。幸せついでにもう一つ。今回のツアーでは各公演ですべて異なる「おまけ映像」が最後に流される。1月は、予習コンテンツの「想いのカケラ」(新曲の歌詞)を順に公開していくことになっていて、「おまけ映像」でも「今夜はこれをUP」という告知がなされていた。1月30日、名古屋公演で、最後の「想いのカケラ」がUP。「今夜は『Flower』」という告知を見て、「わぁ」と思った。29日までに公開された「想いのカケラ」は全部印刷して、タイトルと歌詞の内容が大体結びつくように予習していた(でないと曲順が覚えられないでしょ)。それで、一番「幸せだぁ」って思った時の曲、「これはまだUPされてないやつだ。“寄り添う花に……”だから、タイトルは『Flower』ってところかな」って思ってたの。そしたらホントに『Flower』だったから、なんか嬉しくて。自分がそのライブで一番「生まれてきてよかった」って実感できた曲が、その夜にUPされるなんて、なんか、「特別プレゼント」をもらったような気分♪

 ロビーへ出た時が、21時45分くらいだったかな。たっぷり3時間、あったね。なんか、ものすごい充実してた。Gacktさんのライブで、「充実してない公演」なんてあるわけないんだけど、でも今回はホントになんか、「たっぷり!」って気がした。すごく盛りだくさんで、Aちゃんと「なんかもう前半の記憶があいまいだぁ」って言い合うぐらい。やっぱり、「長い間待たせたから」っていう、Gacktさんの愛がたっぷり詰まってたからだろうな。

 外へ出ると土砂降りで、会場から続く陸橋は川みたいになってたけど、でも心は浮き浮き。本当に楽しかった。では最後にもう一度、大きな声で。さん、はい!

ありがとう、Gacktさんっ!
愛してるよぉっっっっっ!!!!!


†注意書き†
 色々と好き勝手なことを書きましたが……この後パンフを読んでびっくり!ってことも、大いにありえます(笑)。参戦した方々からの、「そんな話ちゃうやろ!」という厳しい突っ込みも大いに予想できます。化粧品やサプリメントのCMじゃないですが、「使用感には個人差があります」ってことで、どうかご容赦ください。
 次、アリーナツアーに参戦したら、「あれ? 覚えてたのと全然違う」かもしれないもんね。たぶんアリーナの前にアルバムが出るんじゃないかと期待しているんだけど、新曲のメロディーはさっぱり覚えられなかったから(『Suddenly』のみ、サビがこの間ふっと頭の中に出てきた)、アルバム聞いてまたびっくり、かも。「なんかイメージと違うぞ?私、思いっきり勘違いしてた??」みたいな(笑)。
 あと。この日「定刻開演」だったのは、「1日目にお客さんがなかなか会場を出なくて、2日目は22時に全員出すようにという会場側からのお達しがあったらしい」という話を聞かせていただきました。そういえば、開場前からスタッフの方が何度も「終演後のグッズ販売はありません。先に買っておいてください」「会場使用は22時までです」って言ってた。ある意味、終電が気になる田舎者にはありがたいお達しかも(笑)。
 もっとも、この日私はAちゃん家にお泊まりさせてもらったので、終電を気にする必要はありませんでした。Aちゃん家では「1泊いくらですか?」と言いたくなるような素晴らしいおもてなしを受け、おかげでとても楽しい2日間を過ごすことができました。Aちゃん、Aちゃんのお母様、本当にありがとうございました。
 そして帰りの電車の中で、「息子の発熱」メールなんか受け取ったりしちゃうんですけども……はい、いっぱい楽しんだ後は、自分の務めをちゃんと果たしましょうね。「自分もちゃんと生きる」ってことが、唯一私にできる、Gacktさんへの恩返しだもの。

†正しいセットリスト†
 お友達のKuuさんから正しいセットリストを教えていただきました。
Jesus
uncontrol
Suddenly
No Reason
In Flames
Sayonara
バイオリン二重奏
GHOST
Blue Lagoon〜深海〜
Obilivious〜顔のない天使〜
My Father's day
Mirror
……MC……
U+K
小悪魔ヘヴン
Papa lapped a pop lopped
Faraway〜星に願いを〜
Flower
君のためにできること
Lost angels
 やっぱり後半が間違ってました。「夢オチ」映像の後は『My Father's day』だったのですね。後半は楽しすぎて、しかも酸欠だったので(笑)、ちゃんと覚えてろという方が無理な話ですわ。
 Kuuさん、ありがとう〜〜〜(*^_^*)

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